• 2022年1月17日
  • 2024年2月27日

保健師になるには資格が必要? 主な勤務先・年収も紹介

 

保健師は、保健指導を通じて、地域で暮らすさまざまな人々の身体的・精神的な健康を守る役割を持った専門職です。健康相談や生活改善のサポート・アドバイスを行う対象は幅広く、勤務先によって多岐にわたります。

近年の日本では少子高齢化など、健康上のあらゆる問題が取り沙汰されています。各問題に対して適切に取り組める保健師は、需要が高くやりがいのある職業といえるでしょう。

そこで今回は、保健師を目指す方に向けて、保健師資格の必要性や資格の取得方法、さらに資格取得後の勤務先や働き方を詳しく解説します。また、保健師の仕事に向いている方の特徴も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

そもそも保健師とは?

保健師とは市区町村などに勤務し、保健・医療・福祉・介護などの分野にわたって住民が必要とする保健サービスを提供する専門家です。保健師の支援対象は幅広く、乳幼児から高齢者まで多様な年齢層の健康相談に乗り、悩みを解消するためのサポートを提供します。

そのほかには一般企業や教育機関に勤務し、社員や生徒の暮らしの質向上をサポートすることも、保健師の仕事の1つです。一般企業で働く保健師は一定規模以上の職場において義務付けられている「ストレスチェック」の実施、結果の通知などの仕事も担当します。

少子高齢化や国際化が進行する現代では人々の抱える健康課題が複雑化しており、保健師の業務内容も多様化している状況です。保健師には社会全体を看護する専門家としてさまざまな健康課題と向き合い、相談者の支援にあたる必要があります。
(出典:job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))「保健師 – 職業詳細」

保健師の仕事内容

保健師助産師看護師法では保健師の仕事内容を「保健師の名称を用いて、保健指導に従事すること」と定義します。
(出典:e-Gov法令検索「保健師助産師看護師法」

保健指導とは、保健師のサポートを必要とする人々の病気やけがの予防および健康維持・増進を目指した活動全般です。たとえば、地域の健康診断で健康課題を指摘された住民に対しては保健指導として、生活習慣の改善につながるアドバイスを提供します。一般企業に勤務する保健師の場合は、保健指導として社員の健康状態をチェックすることが仕事です。

また、適度な運動やバランスの良い食事を促すことも仕事となります。

以下はそのほか、保健師が担当する仕事の例を示しています。

  • 地域住民向けの講習会、健康教室の実施
  • 乳幼児健診、成人健診の実施
  • 支援が必要な家庭に対する相談対応、サポート
  • 児童や生徒などに対する病気、けがの応急処置
  • 児童や生徒などに対するメンタルヘルスケア

保健師は病気やけがの応急処置など、看護師同様の役割を担当することも仕事です。しかし、保健師の仕事の大半は病気やけがになる前の相手が対象で、看護師と比較して広範な業務を担当するケースも多いことを理解しておきましょう。

保健師の種類

保健師は勤務場所により、地域保健師・学校保健師・産業保健師などに分類できます。

・地域保健師

地域保健師は市区町村に勤務して地域住民の病気予防や健康増進を後押しし、生活の質向上をサポートする保健師です。地域保健師のサポート対象には、地域に居住する妊婦・高齢者・障害者などが含まれます。

・学校保健師

学校保健師は教育機関に勤務して、教職員・児童・生徒の健康管理を担当する保健師です。学校保健師は児童・生徒の人間関係や成長段階の悩みに寄り添い、アドバイスすることもあります。

・産業保健師

産業保健師は一般企業で産業医や人事部と連携し、従業員の健康管理を担当する保健師です。企業で働く人の健康を守るために、産業保健師は大きな役割を果たします。
(出典:独立行政法人福祉医療機構「保健師」

保健師になるには資格が必要?

保健師になるには資格が必要?

保健師になるためには、「保健師免許」が必要です。そして、保健師免許を取得するためには、「看護師免許」を有していることが条件となります。すなわち、保健師には保健師免許と看護師免許の両方が必要です。

保健師になろうとする者は、保健師国家試験及び看護師国家試験に合格し、厚生労働大臣の免許を受けなければならない。

(引用:e-Gov法令検索「保健師助産師看護師法」

ここでは、保健師の資格を取得する方法について、4年制大学・専門学校を経由する方法と3年制短大・専門学校を経由する方法に分けて、詳しく解説します。

【パターン1】4年制大学・専門学校を経由して資格を取得する方法

保健師資格の主な2つの取得ルートのうち1つが、高校卒業後、総合カリキュラムのある4年制大学・専門学校で必要科目を習得したのち、保健師国家試験・看護師国家試験を受けるという方法です。スムーズに保健師資格と看護師資格を取得したいという方や、育児や仕事と両立せず学習に専念できる方に向いています。

<メリット>

  • 保健師国家試験と看護師国家試験を同時に受けられる
  • 一般教養科目を含む幅広い分野を学べる

総合カリキュラムのある4年制大学・専門学校では、一般教養科目に加えて保健師資格・看護師資格の取得に必要な科目も同時に習得できます。卒業とともに両資格の国家試験も受けられるため、両方の資格の取得を目指すことが可能です。保健師資格の取得方法の中では、最もスムーズな方法といえるでしょう。

<デメリット>

  • 学校によっては、総合カリキュラムを受講できる方が限られている
  • 保健師資格と看護師資格のダブル取得を目指すためには2つの試験対策を並行しなければならない

保健師資格・看護師資格の取得に必要な科目も同時に習得できるというメリットがある一方で、2つの試験対策を同時に行わなければならず、やや難易度が上がる点が最大のデメリットです。仕事や育児・家事との両立は困難となるでしょう。

【パターン2】3年制短大・専門学校を経由して資格を取得する方法

保健師資格の主な2つの取得ルートのうちもう1つが、看護系の3年制短大・専門学校で3年間看護師資格の必要科目を習得して看護師資格を取得したのち、保健師養成学校で1年間保健師資格の必要科目を習得し、保健師国家試験を受けるという方法です。看護師免許は確実に取得したい方や、無理なく両方の資格取得を目指す方に向いています。

<メリット>

  • 総合カリキュラムのある4年制大学・専門学校よりも比較的無理のないペースで保健師資格の取得を目指せる
  • 看護師として働きながら保健師を目指せる
  • 保健師として働くために必要な知識の習得や授業に集中して取り組める

3年間みっちり看護師の勉強を行い、看護師資格を取得後、保健師養成学校で1年間みっちり保健師の勉強を行うため、無理のないペースで保健師資格を取得することが可能です。保健師に関する教育体制も整っており、4年制大学と比べて専門基礎科目のみを学べることもポイントです。看護師として働く中で、実際に保健師がどのように活躍しているかを見ながら保健師資格の取得を目指せる点も魅力といえるでしょう。

<デメリット>

  • 看護師として働きながら保健師養成学校に通う場合、仕事と学校の両立が必要となる
  • 総合カリキュラムのある4年制大学・専門学校と比べて保健師資格の取得にかかる期間が長くなる

看護師として働きながら保健師を目指せるというメリットは、裏を返せば仕事と学校の両立が必要となるというデメリットにもなり得ます。また、4年間でまとめて資格取得に必要な知識の学習ができる総合カリキュラムのある学校に比べて、「看護系の3年制短大・専門学校→保健師養成学校」は保健師資格の取得にかかる期間が長くなりやすい点にも注意してください。

看護師資格所有者の保健師資格の取り方

看護師資格所有者の保健師資格の取り方

ここまで、看護師資格を所有していない方に向けて保健師資格の取得方法を紹介しました。それでは、現在すでに看護師資格を保有している方や、実際に資格を保有したうえで看護師として働き始めている方は、どのようにして保健師資格を取得すればよいのでしょうか。

看護師から保健師への転職を目指すためには、2つのルートが挙げられます。1つは「保健師専門学校」へ通うこと、そしてもう1つが「保健師資格を取得できる大学」へ通うことです。

保健師専門学校や保健師資格を取得できる大学へは、看護師として働きながら通うことも不可能ではありません。しかし、基本的に夜間コースはなく全日制の学校ばかりで、かつ1年間など短い期間で授業が詰め込まれるため、主に日勤で働いている看護師が仕事と学校を両立させることは困難でしょう。

看護師として働きながら学校へ通うのであれば、夜勤専従という働き方が最も適切です。しかし、昼間は学校で夜間は仕事という生活が日々続くと集中力が低下し、仕事に精が出ないということも考えられます。

従って、看護師として働きながら保健師資格の取得を目指すなら、比較的自身のライフスタイルにあわせてシフトを決められ、学校と仕事を両立しやすい「夜勤専従の非常勤看護師」という働き方が適しています。

【要注意】通信教育で保健師の資格取得はできない

学校へ通わず、自宅で指定のカリキュラムを組む「通信課程」で取得できる資格はいくつもありますが、保健師資格は例外です。保健師資格を取得するためには、必ず学校へ通わなければなりません。

通信教育で保健師資格を取得することが不可能な理由は、そのカリキュラムにあります。保健師資格を取得するために必須となるカリキュラムの中には「臨時実習」という実習科目があり、実際に病院などに行って臨床での実践を学ばなければなりません。従って、通信コースで保健師の資格を取得することが困難となります。

2011年に行われた保健師助産師看護師学校養成所指定規則の改正では、臨地実習の単位数が9単位から11単位に引き上げられていることから、非常に重要な科目であることも分かります。
(出典:文部科学省「保健師助産師看護師学校養成所指定規則の一部を改正する省令の公布について(通知)」

保健師が活躍できる勤務先

保健師が活躍できる勤務先

保健師の活躍場所は幅広く、資格取得後はさまざまな環境の職場で働けます。保健師の主な勤務先は、下記の通りです。

  • 市区町村の保健センター
  • 診療所
  • 保健所
  • 一般企業
  • 教育機関
  • 介護施設

ここからは、各勤務先の概要や働き方について詳しく紹介します。保健師はどこでどのように働くのか気になる方は、ぜひ参考にしてください。

保健師の求人・転職・募集おすすめ一覧 – マイナビ看護師・公式

市区町村の保健センター

地域住民の健康づくり・健康維持のために設置される市区町村の保健センターは、保健師の就職先として最も代表的な勤務先です。保健センターで働く保健師は「行政保健師」とも呼ばれます。

行政保健師の仕事内容は、地域住民の健康診断・保健指導・医療福祉施設の紹介、さらに妊婦健診や訪問指導、高齢者の生活支援などです。ベテラン保健師は保健センターの所長として活躍することも多く、主に看護師・助産師・栄養士とともに、地域に根ざした保健活動を行います。

仕事を行うにあたって人と接するシーンが多々あるので、コミュニケーションを取ることが得意な方・思い入れのあるエリアに貢献したいという方にぴったりの勤務先といえるでしょう。

なお、2019年度における市区町村の保健センターで働く保健師数は、30,299人です。
(出典:公益社団法人日本看護協会「看護統計資料」

診療所

「地域のかかりつけ医」としての役割を持ったクリニックや診療所も、保健師の主な勤務先です。診療所などで働く保健師は「病院保健師」とも呼ばれます。

病院保健師の仕事内容は、診療所に訪れた患者さんへの健康診断の実施や結果をもとにした保健指導・生活指導・健康相談やアドバイスなどが基本です。看護師資格を活かして、看護業務を兼務することも多々あります。地域に根ざした保健活動を行いたい方・看護業務も行いたい方に合った勤務先といえるでしょう。

なお、2019年度における診療所で働く保健師数は、10,106人です。
(出典:公益社団法人日本看護協会「看護統計資料」

保健所

都道府県、政令指定都市、中核市などに設置された、地域住民の健康を支える公的機関である保健所も、保健師の主な勤務先です。保健所で働く保健師も、行政保健師に分類されます。

保健所で働く保健師の仕事内容は幅広く、保健センターの主な仕事内容に加え、感染症の調査や予防活動、さらに難病の啓蒙活動など、保健に関する社会的な政策にも重点的に関わることとなります。あらゆる専門機関や関係者との連携を図り、地域住民の健康づくりに取り組みたい方・世界的な健康問題に深く関わりたい方に向いた勤務先といえます。

なお、2019年度における保健所で働く保健師数は、8,357人です。
(出典:公益社団法人日本看護協会「看護統計資料」

一般企業

企業によっては、社員の健康を心身ともに支える保健師を常駐させるところもあり、一般企業は保健師の活躍フィールドの1つとなっています。一般企業で働く保健師は、「産業保健師」と呼ばれます。

産業保健師の仕事内容は、社員の健康診断結果の調査や保健指導・職場の過重労働に関する対策や取り組み実施・社員のメンタルヘルス対策などです。残業が少なく、土日祝休みとなることも多いことから、子育てや家事としっかり両立したい方にも適した勤務先といえます。

なお、2019年度における一般企業で働く保健師数は、2,974人です。
(出典:公益社団法人日本看護協会「看護統計資料」

教育機関

専門学校・小学校・中学校などの教育機関も、保健師の主な勤務先の1つです。教育機関で働く保健師は「学校保健師」とも呼ばれます。しかし、学校保健師とひとくちにいっても、「保健室の先生」と「授業を行う担当の先生」とでは、働き方が大きく異なる点に注意が必要です。

保健室の先生は、保健室に常駐して生徒や教職員の健康管理を行います。そして授業を行う担当の先生は、看護師や保健師の養成校で必要な科目を教えることが基本です。それぞれ働き方は異なるものの、一貫して「生徒たちに保健指導を行いたい」「生徒をまとめ、必要な勉強を教えてあげたい・成長させたい」という方におすすめの勤務先です。

なお、2019年度における教育機関で働く保健師数は、1,142人です。

※看護師等学校養成所・研究機関のみ
(出典:公益社団法人日本看護協会「看護統計資料」

介護施設

要介護認定者や高齢者に、必要な生活のサポートを行う介護施設も、保健師の勤務先の1つです。

介護施設で働く保健師の仕事内容は、主に施設利用者の健康管理や、施設利用者本人とその家族のカウンセリングです。また、施設利用者の状態が悪化した際は、看護師としてのスキルを活かし、看護業務も行います。高齢化が進む近年、要介護者や高齢者を支えたい・あらゆる専門職の関係者と連携して、地域住民の健康をサポートしたいという方に向いている勤務先といえます。

なお、2019年度における介護施設で働く保健師数は、2,213人です。
(出典:公益社団法人日本看護協会「看護統計資料」

保健師の給与・年収相場

保健師の給与・年収相場

保健師の給与相場は勤務場所・保有スキル・経験キャリアなどに応じて変化するものの、目安額を知っておくことにより、就職・転職の失敗を防止できます。2021年度の賃金構造基本統計調査における、保健師の平均年収・平均月収・平均賞与額は下表の通りです。

平均年収 平均月収 平均賞与
約481万円 約33.4万円 約80.7万円
(出典:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査 結果の概況」

保健師が平均年収以上の待遇で就職・転職するためには、大手医療法人や大手企業の求人を検討する方法があります。大手医療法人や大手企業の求人は通勤手当や住宅手当などの各種手当が充実していることも多く、安定性を重視した働き方を実現できる可能性が高いといえます。また、地域包括支援センターは比較的「未経験歓迎」の求人が多く、保健師免許を取得したての方も、内定を目指すことが可能です。

保健師の資格を取るメリット

保健師の資格を取るメリット

保健師の資格を取るメリットや仕事の魅力は、勤務場所に応じて変化します。たとえば行政保健師として働く場合は公務員として、安定的なキャリアの形成を図ることが可能です。学校保健師として働く場合は多感な時期の生徒に寄り添い、成長を見守れることに、大きなやりがいを感じるでしょう。

以下ではいずれの勤務場所を選択する場合にも共通する、保健師の資格を取る全般的なメリットを解説します。

活躍の場が広がる

保健師は人々の健康維持増進に関する仕事を担当するため、人間がいるあらゆる場所での需要が見込まれます。看護師などの医療専門職として働く方が保健師の資格を取ると活躍場所が広がり、習得したい知識やスキルに応じたキャリアプランの選択肢が増えるでしょう。

たとえば、高齢者の心身のケアに関心を持つ方の場合は資格を取った後に地域包括支援センターや介護施設に就職すると、介護予防や生活支援の知識を磨けます。地域住民の健康づくりに関心がある方は、行政保健師を目指すキャリアが選択肢の1つとなります。

理想のワークライフバランスを目指しやすい

保健師は土日祝日休みの職場で働くケースが多く、家庭と仕事を両立させやすい職種です。保健師の平均労働時間は比較的短く、残業も少ないため、帰宅後の時間を自分自身のスキルアップや家族との団らんなどにあてられます。

ただし、病院や介護施設では夜勤を含むシフト制勤務を任される可能性もあるため、「すべての職場で夜勤がない」とは限りません。なお、夜勤があって手当が充実している職場は、良い待遇の求人を探しやすく、年収アップを図りたい方に向いています。

予防医療に携われる

予防医療には一次予防から三次予防まで、3つの段階があります。保健師は一次予防の専門家として予防医療に携わり、人々の健康的な生活を助けることで、大きなやりがいを実感できる仕事です。

一次予防 健康維持増進、病気の予防を目的とする活動
二次予防 定期健診や人間ドックなどによる病気の早期発見と早期処置を図る活動
三次予防 専門的な治療によって病気の進行を抑えて後遺症を予防しつつ、リハビリを通じて機能回復を図る活動

予防医療に関する仕事は社会貢献性が高く、保健師は自分自身の働きが世の中に役立っていることを実感しつつ、働くことが可能です。自分自身の働きかけによって地域住民の健康数値が改善され、活き活きと生活できるようになった相談者の様子を目にする時には、喜びを感じるでしょう。

保健師の資格を取るデメリット

保健師の資格を取るデメリット

保健師の資格を取ることに目立ったデメリットはないものの、人によっては就職・転職した後に「イメージした仕事と違う」などと感じることもあります。保健師国家試験の合格をこれから目指す方は以下の注意点を把握したうえで、本当に自分に合う仕事であるかを検証しましょう。

看護師よりも収入が低くなるケースがある

夜勤のある看護師の求人・夜勤のない保健師の求人を比較した場合、収入面のみを考えると、看護師として働くほうが有利になるケースもあります。ただし、看護師や保健師の給与水準は、職場の給与規則や各種手当の金額に応じて変化することが通常です。保健師の求人にも充実した夜勤手当を支給する職場はあるため、どちらが有利とは一概にいいきれません。

看護師から保健師に転職する場合は待遇面をよく確認し、納得のゆく職場を選択することで、後悔するリスクを軽減しましょう。また、転職活動を開始する前に「待遇面・仕事内容・ワークライフバランスのうち、何を重視するか」を検討し、より自分の理想に近い求人を探すことも大切です。

相談によってストレスを感じることがある

保健師は精神疾患を抱える方や児童虐待に悩む方から、精神的な負担がかかる内容を相談されるケースもあります。また、相談者によっては保健師のアドバイスを素直に聞かず、反発することもあるため、ストレスを感じる場面があるでしょう

人々の考え方や行動を変化させる仕事は簡単とはいえないものの、成果が出た際には、大きなやりがいを実感できます。保健師は、仕事の大変さやストレスを「自分自身を成長させるチャンス」と考え、前向きに行動できる方に向く仕事といえるでしょう。

看護スキルを習得する・活かす場面が減る

保健師は予防医療の専門家、看護師は医師・理学療法士・作業療法士などと連携して病気やけがの治療とリハビリを助ける看護分野の専門家です。それぞれの職業は役割が異なることから、保健師に転職すれば必然的に、既存の看護知識・技術を活かす機会は減ります。

予防医療に関する知識や経験と看護スキルをバランスよく磨くためには、保健師・看護師を兼務する求人を探す方法が一案です。より専門性の高いキャリアを希望する場合は数年間働いた後、自分自身の希望に応じた職場へとステップアップする方法があります。現段階で保健師としてのスペシャリストを目指す意向のある方は最初から希望に応じた職場を探し、予防医療の専門知識や経験を磨きましょう。

保健師に向いている人の特徴

保健師に向いている人の特徴

看護師資格を取得した後や看護師として一定期間働いた後、保健師になるキャリアを検討する方もいるでしょう。保健師に向いている方の特徴を以下で把握し、適性を見極める際の参考にしてください。

共感力のある人

保健師は健康状態や家庭環境に関する悩みを持つ相手の話を聞き、対応する必要があります。共感力がある方や相手の目線で物事を考えることが得意な方は、深刻な悩みを抱える人々とも信頼関係を構築しやすく、保健師向きの人物でしょう。

また、保健師は年齢や価値観が異なるさまざまな相手の支援にあたります。どのような立場の方に対しても平等な態度で接することが得意な方も、保健師に向いているといえるでしょう。

観察力のある人

保健師は予防医療の専門職にあたるため、接する相手の表情や仕草を観察し、健康課題を発見することが仕事です。観察力に自信があって些細な変化も敏感に感知できる方は、保健師に向いています。

観察力は乳幼児など、自分の感情を言葉で表現できない相手の支援にあたる際にも活かせるスキルの1つです。言語機能に障害を持つ相手や認知機能の低下した高齢者の支援にあたる際にも、観察力が役立つでしょう。

企画力のある人

病気になる前の相手に健康維持の重要性を伝えるためには定期的にイベントを企画し、参加してもらうことが必要です。柔軟な思考をもとに魅力的なイベントを企画し、組織に提案できる方は、保健師としての活躍が期待されます。

企画したイベントを成功させるためには、関係者と協力し合って計画的に準備することも欠かせません。周囲を巻き込んで物事に取り組むことが得意な方は、保健師向きといえるでしょう。

コミュニケーション力のある人

保健師の業務の大半は、人間と関わる仕事です。コミュニケーション力がある方は初対面の相手に対しても明るく接し、信頼関係を構築しやすいことから、保健師としての活躍が期待されます。

また、保健師は地域包括ケアシステムの一員として医師やケアマネジャーなどと連携し、支援を必要とする人々をサポートすることもある職業です。コミュニケーション力のある方は専門分野が異なる相手との連携をスムーズに行えるので、現場で重宝されるでしょう。

論理的思考力のある人

保健師は統計データをもとに健康課題の背景にある事象を分析し、解決策を提案する仕事も担当します。そのため、保健師として働くうえでは、統計データを正確に読み取る力や分析力が欠かせません。統計データをもとに健康課題への解決策を検討する際には、論理的思考力が役立つでしょう。

また、地域住民の健康課題や背景にある事象は、一定ではありません。過去の経験にとらわれずに柔軟な思考を行える方や新しい環境への適応力がある方も、保健師に向いている人物です。
(出典:厚生労働省「これからの社会に求められる保健師活動の実践能力―「想定外」を想定する―」

勉強熱心で向上心のある人

医療や保健分野の施策や制度は、日々変化しています。保健師として働くうえでは保健師免許の取得後も自主的に勉強し、最新情報の収集に努めることが必要です。勉強熱心で向上心があり、常に知識の習得を図れる方は、保健師として活躍するチャンスがあります。

保健師としての専門性を高めるためには、養護教員免許や産業カウンセラーなど、キャリアアップにつながる資格取得を目指すのもよいでしょう。資格を取得した後にはより一層、保健師としての活躍が期待されます。

保健師の将来性

保健師の将来性

2020年末時点において就業している保健師の人数は55,595人、看護師の人数は1,280,911人です。就業している保健師の人数は看護師と比較して圧倒的に少ないことから、希少な存在といえるでしょう。
(出典:厚生労働省「令和2年_衛生行政報告例_就業医療関係者_概況」

近年では、多くの企業や教育機関がメンタルヘルス対策の重要性を見直し、注力しています。従業員・児童・生徒の心の健康状態を維持・増進するためには、悩みの相談窓口を担当する保健師の存在が欠かせません。

さらに保健師は社会的な関心が高まる以下の問題の解決を図るうえで、重要な役割を果たす仕事です。

  • アルコール、薬物依存
  • 児童虐待
  • 生活習慣病
  • 新興感染症(新型コロナウイルス感染症など)
  • 再興感染症(結核など)

取り組む問題が多様化する中で保健師業界でも、各分野の専門知識を備えたスペシャリストを育成する動きがあります。専門知識を備えた保健師は各種機関で重宝され、より一層の活躍が期待されるでしょう。

まとめ

保健師になるためには、保健師資格が必要です。保健師資格を取得するためには看護師資格を取得していることが条件となります。保健師資格・看護師資格のダブル取得を目指すなら、「総合カリキュラムのある4年制大学・専門学校」もしくは「看護系の3年制短大・専門学校→保健師養成学校」などのルートがおすすめです。

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※当記事は2023年12月時点の情報をもとに作成しています

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