• 2021年9月14日
  • 2023年7月14日

当直とはどんな勤務のこと? 言葉の意味や夜勤との違いを解説

 

医療業界や介護業界は24時間体制で勤務することが一般的で、早番・日勤・夜勤・当直などさまざまなシフトが存在します。なかでも、「当直がどういった勤務を指すのかわからない」「当直・夜勤・宿直の違いは? 」など、当直勤務についてよく知らない方もいるでしょう。

この記事では、当直とはどういった勤務を指し、どのような業務を行うのか解説。また、当直と夜勤の違いのほか、医師・看護師に認められている当直時の業務についてまとめています。当直や夜勤など、夜間帯の勤務がある看護師の方はぜひご一読ください。

「当直」とは

当直とは、通常の勤務時間外にシフト交代制・当番制で働く勤務形態のことです。当直は法定労働時間である週40時間に含まれない勤務であり、通常業務は行いません。日中に行う当直を「日直」、夜間に行う当直を「宿直」といい、あわせて「宿日直」とも呼ばれています。

当直勤務で定められているルール

事業所が従業員に当直をさせる際は、労働基準監督署長の許可を得る必要があります。当直の許可を得る際に定められているルールは、以下のとおりです。

通常業務は行わない

当直では、通常業務を行えません
ほとんど労働をする必要のない勤務のみが認められており、できる業務は「定期的巡視・緊急の文書又は電話の収受・非常事態に備えての待機等を目的とするもの」と限定されています。また、通常勤務から連続して当直を行う場合も、通常業務を継続して行うことはできません。

賃金の3分の1以上の宿日直手当を支払う

当直を行う際に支払われる当直手当には、最低金額が定められています。
当直1回あたりに支払われる手当の最低額は、宿日直につくことの予定されている同種の労働者に対して支払われる1日平均賃金額の3分の1です。

宿直は週1回・日直は月1回まで

当直は行える回数が決まっており、宿直は週1回、日直は月1回までです。
ただし、事業所に勤務する18歳以上の全従業員が宿直や日直をしても人材不足の場合は、週1回以上の宿直、および月1回以上の日直が許可される場合があります。

睡眠設備を設置する

当直を行う事業所は、睡眠設備の設置が義務付けられています。仮眠室や宿直室といった睡眠設備を設置し、設備の概要が分かる見取図や写真などを提出しなければなりません。

参照元:厚生労働省「断続的な宿直又は日直勤務に従事する者の労働時間等に関する規定の適用除外許可申請について」

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当直と夜勤の違い

夜勤は当直と混同されやすい勤務形態です。職場によっては、夜勤シフトのことを当直と呼ぶところもあります。

夜勤も当直(宿直)と同様、夜間から朝方までにかけて勤務施設に一泊することを想定した働き方です。しかし、軽微な業務しか行えない当直(宿直)とは異なり、夜勤では通常勤務と同様の業務を行います。

届出

事業所が従業員に当直をさせる際は、労働基準監督署長へ「断続的な宿直又は日直勤務許可申請書」を提出して、許可を得る必要があります。

一方、事業所が従業員に夜勤をさせる際に届出をする必要はありません。

労働時間

当直(宿直)は法定労働時間外ですが、夜勤は法定労働時間である週40時間に含まれます。

労働基準法では「週に40時間以上・1日8時間以上の労働をさせてはならない」と定められていますが、変形労働時間制を採用することで、特定の日または週に法定労働時間を超えた働き方ができます。看護師の2交代制の夜勤で16時間ほどの長時間労働があるのは、変形労働時間制のためです。

上限回数

夜間に働く宿直の上限回数は、週1回までです。例外として、事業所に勤務する18歳以上の全従業員が宿直をしても人材不足の場合は、週1回以上の宿直が許可されることがあります。

一方、夜勤に上限回数などはありません。法定労働時間である週40時間を超えない範囲で働けます。

手当

当直をする人には当直手当、夜勤をする人には夜勤手当が支払われます。
当直手当の金額は、事業場で当直勤務に就く労働者の1日の平均賃金の3分の1以上です。

一方、夜勤手当は各事業所が任意に設定するため、最低金額などは決まっていません。ただし、労働基準法第37条で22時〜翌朝5時の勤務した場合は、通常の賃金に対して割増率25%以上の深夜手当を支給することが義務付けられています。

参照元:e-Gov法令検索「労働基準法」

医師や看護師は当直勤務で何をする?

当直職員は緊急事態が発生したときに対処する待機要員のため、基本的に通常業務を行うことは認められていません。ただし、医師や看護師は、特殊な措置を必要としない軽度な処置や短時間の業務に限って、通常業務を許可されています。該当する業務は、以下のとおりです。

医師が許可されている当直業務

  • 要注意患者の状態の変動に対応するために、問診などによる診察を行うこと。また、看護師に対する指示や確認を行うこと
  • 外来患者の来院が想定されない休日・夜間に、軽症の外来患者やかかりつけ患者の状態の変動に対応するために、問診等による診察を行うこと。また、看護師に対する指示や確認を行うこと

看護師が許可されている当直業務

  • 外来患者の来院が想定されない休日・夜間に、外来患者やかかりつけ患者の状態の変動に対応するために問診などを行うこと。また、医師に対する報告を行うこと
  • 病室の定時巡回や要注意患者の定時検脈・検温を行うこと。また、患者の状態の変動を医師へ報告すること

なお、上記の場合でも許可されているのは少数の患者だけです。通常の勤務時間と同様の人数の対応をすることは認められていません。

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当直を行う職業

当直を行うのは、医師や看護師だけではありません。以下の職業も当直業務があります。

  • 薬剤師
  • 介護職員
  • 警察官
  • 消防士
  • 警備員
  • 報道機関の職員
  • 電気・ガス会社の職員

24時間年中無休で患者対応を行っている医療機関では、医師や看護師のほかに薬剤師も当直勤務があります。また、入所者のいる社会福祉施設では介護職員が当直を行うことも。介護職員も医師や看護師同様、一般的な当直業務以外に、入所者に対して行う夜尿起こし・おむつの取替え・検温などの軽度かつ短時間で済む介助作業を行うことが認められています。

当直者は基本的には軽微な業務しか行えませんが、緊急事態が発生した際に対応する者として重要な役割を担っています。

まとめ

当直とは、通常の勤務時間外にシフト交代制・当番制で働く勤務形態のことです。通常業務は行わず、緊急事態が発生したときに対処する待機要員として定期的な見回りや電話対応を行います。当直と夜勤は似て非なるもののため、夜間帯に働く看護師の方は違いを知っておきましょう。

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