• 2022年5月6日
  • 2023年8月22日

宿直とはどのような勤務? 当直や日直・夜勤との違いも解説

 

「宿直はどのような勤務のことを指すの? 」「夜勤や当直と一緒? 」など、宿直勤務についてよく知らない方もいるでしょう。宿直は通常業務は行わない夜間の待機要員としての位置づけで、電話があった際の対応や定期巡回などを行います。

この記事では、宿直の役割や業務内容、夜勤・当直との違いを解説します。宿直勤務のある仕事やアルバイトのほか、宿直がきついといわれる理由も具体的に紹介しているため、ぜひご一読ください。

宿直とは?

宿直とは、夜間に勤務先に泊まり込みで勤務することです。ただし、通常業務を行う夜勤とは異なり、緊急事態が発生したときに対処する要員としての位置づけとなります。

基本的な業務は、電話があった際の対応や定期巡回などです。非常事態が発生した際には、適宜担当者へ連絡します。

また、宿直を行う事業所は、労働基準監督署長の許可を取る必要があります。許可を得られると、労働基準法で定められた以下の規定の適用が除外されます。

■労働基準法 第三十二条

使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。

(引用:e-Gov法令検索「労働基準法」

■労働基準法 第三十四条

使用者は、労働時間が六時間を超える場合においては少くとも四十五分、八時間を超える場合においては少くとも一時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。

(引用:e-Gov法令検索「労働基準法」

■労働基準法 第三十五条

使用者は、労働者に対して、毎週少くとも一回の休日を与えなければならない。

(引用:e-Gov法令検索「労働基準法」

なお、上記の規定の適用が除外されることで、「時間外・休日労働に関する協定届(36協定届)」の届出は不要です。雇用主は、割増賃金の支払いをする必要がありません。

当直や夜勤とはどう違う?

宿直と当直・夜勤の働き方は似ていますが、役割や仕事内容には明確な違いがあります。

●当直とは

当直は、勤務時間外にシフト交代制・当番制で働く勤務形態のことです。

当直というと「夜勤」を想像する方もいますが、「夜勤」とは働き方が異なります。当直は法定労働時間に含まれず、通常業務を行いません。なお、当直のなかでも日中に働く場合を「日直」、夜間に働く場合を「宿直」といいます。

「日直」と「宿直」は働く時間が日中か夜間かというだけで、業務内容は変わりません。いずれも待機要員として、電話があった際の対応や定期巡回などを行います。

●夜勤とは

夜勤は、夜間に勤務先に泊まり込みで働く勤務形態のことです。待機要員として電話対応や定期巡回だけを行う「宿直」とは異なり、「夜勤」では通常勤務と同様の業務を行います。

労働基準法が適用されるため、労働時間は日勤と合わせて週40時間以内です。そして、基本賃金額に割増賃金額を加算した夜勤手当が支給されます。

なお、労働基準法32条で「週に40時間以上・1日8時間以上の労働をさせてはならない」と定められていますが、看護師の3交代制などでは1回の夜勤が16時間程度になることもあります。これは、「変形労働時間制」を採用しているためです。

「変形労働時間制」を採用することで、一定期間を平均し、1週間当たりの労働時間が法定の労働時間を超えない範囲内において、特定の日または週に法定労働時間を超えた労働が可能です。
(出典:厚生労働省「変形労働時間制の概要」

【関連リンク】当直とはどんな勤務のこと? 夜勤や宿直との違いも解説

宿直と夜勤のルールの違い

宿直と夜勤のルールの違い

企業や施設が宿直を置く際には、所轄労働基準監督署長から許可を得る必要があります。許可を得るには、勤務内容・宿直手当の金額・宿直回数・睡眠設備などの許可基準を満たし、必要書類を提出しなければなりません。

ここでは、宿直と夜勤それぞれに定められているルールを解説します。

行う業務

宿直と夜勤は夜間勤務を行うという点では同じですが、従事してもよい業務内容に大きな違いがあります。

宿直者は、基本的に緊急時の対応業務を担当するための待機要員です。非常事態が発生した場合に迅速に対処できるようにするのが主目的であり、通常労働は許可されていません。宿直の業務として許可されるのは、定期的な巡視、緊急の文書や外来者、電話への対応などです。必要に応じて即座に行動できる状態を保つことを前提に、軽度の業務が許可されています。
(出典:厚生労働省「断続的な宿直又は日直勤務に従事する者の労働時間等に関する規定の適用除外許可申請について」

一方、夜勤で行われるのは、日勤と同様の業務です。そもそも夜勤とは、勤務時間が午後10時から午前5時までの深夜時間に当たる場合を指します。日勤か夜勤かは勤務時間帯の違いであり、職務内容や役職によるものではありません。時間帯によって必要とされる内容に差はあるものの、法による縛りはなく、まったく同じ業務を担当できます。

宿直は急なトラブルに備えるための勤務体制であり、夜勤は通常の業務を24時間体制で行うための勤務形態です。

手当の金額

宿直と夜勤では、受け取れる手当の金額や計算方法に違いがあります。

宿直の場合、手当の最低額は宿直に就く労働者の給料(労働基準法第37条の割増賃金の基礎となる賃金に限る)の1人1日平均額の3分の1以上と定められています。ただし、1回の宿直で支給される手当のうち非課税となるのは4,000円までであり、それを超えると課税対象です。
(出典:厚生労働省「断続的な宿直又は日直勤務に従事する者の労働時間等に関する規定の適用除外許可申請について」
(出典:国税庁「法第28条《給与所得》関係」

一方、夜勤については、深夜労働に対する深夜手当と事業者が任意に設定する夜勤手当の2つが存在します。深夜手当に関しては法律で基準が定められており、深夜22時から翌朝5時までの労働に対して、通常賃金に25%以上の割増が義務づけられています。対して夜勤手当は事業者が任意に設定するものであり、支給義務や金額には法的な規定が存在しません。そのため、職場によっては夜勤手当相当の金額が時給や基本給に含まれていることもあります。
(出典:厚生労働省 愛媛労働局「時間外、休日及び深夜の割増賃金(第37条) 事業場外労働のみなし労働時間制(第38条の2)」

回数制限

宿直と夜勤では、その回数に関する規定にも違いがあります。

宿直の勤務回数は、原則として週1回までです。また、日直の場合は月1回までの制限があります。ただし、担当可能な職員全員が宿日直を行い、かつ一定時間内の業務量が少ない場合、週2回以上の宿直、または月2回以上の日直が可能です(18歳以上限定)。なお、通常勤務と宿直勤務の連続は認められており、宿直勤務の翌日が休日である必要はありません。
(出典:厚生労働省「断続的な宿直又は日直勤務に従事する者の労働時間等に関する規定の適用除外許可申請について」

一方、夜勤の回数制限は存在せず、法定労働時間(週40時間)を超えない範囲であれば、自由に調整できます。夜勤から日勤へのシフトが連続しても法的には問題なく、深夜0時以降の夜勤は「始業時刻が属する日の労働」と扱われるため、時間外労働には数えられません。ただし、日勤から夜勤への連続勤務は同日扱いとなり、法定労働時間を超えると残業代や割増賃金の支払い対象です。

なお、夜勤の多さは健康・安全・生活におけるリスクの高さが指摘されており、夜勤専従者であれば月の夜勤の上限を144時間にすべきとの提言がなされています。
(出典:公益社団法人 日本看護協会「夜勤専従者の「過重負担」を防ぎましょう!」

睡眠設備

宿直と夜勤では、睡眠設備に関するルールも異なります。

宿直の許可を得るには、仮眠室や宿直室といった睡眠設備の存在が必須です。会議室のソファなどではなく、ベッドのように宿直スタッフの睡眠を目的とした設備が求められます。許可を申請する際には睡眠場所の見取図や写真など、設備の概要を示す資料の提出が必要です。
(出典:厚生労働省「断続的な宿直又は日直勤務に従事する者の労働時間等に関する規定の適用除外許可申請について」

一方、夜勤については労働基準法で仮眠についての具体的な規定はなく、休憩時間とは別の仮眠時間を設ける義務もありません。仮眠時間は休憩時間に含まれると解釈する企業も存在します。ただし、1日の拘束時間が18時間を超えるといった、特定の条件に当てはまる勤務者は別です。たとえば、待機時間の長いタクシーやバスの運転手などには、「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」により、夜間4時間以上の仮眠時間確保が求められています。また、仮眠時間中も実際に業務を行う必要がある場合は、労働時間とみなされることがあります。
(出典:厚生労働省「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(改善基準告示)」

宿直で許可される業務

宿直で許可される業務

宿直では通常の労働の継続は許可されていませんが、医師や看護師は人の命に関わる可能性があるため、一部業務が許可されています。また、社会福祉施設の場合も同様です。

ここでは、宿直で許可される医師・看護師の業務と、社会福祉施設の業務を紹介します。

医師・看護師の場合

医師・看護師の場合も、宿直は「通常の勤務時間の拘束から完全に解放されたもの」としています。ただし、一般的な宿直業務以外に、特殊な措置を必要としない軽度または短時間の業務に限って許可されています。

医師・看護師が許可される軽度または短時間の業務は、下記の通りです。

<医師>

  • 少数の要注意患者の状態の変動に対応するため、問診などによる診察等(軽度の措置を含む)や看護師への指示・確認
  • 外来患者の来院が通常想定されない休日・夜間に、少数の軽症の外来患者やかかりつけ患者の状態の変動に対応するため、問診等による診察等や看護師への指示・確認

<看護師>

  • 外来患者の来院が通常想定されない休日・夜間に、少数の外来患者やかかりつけ患者の状態の変動に対応するため、問診等を行うことや医師への報告
  • 病室の提示巡回や患者の状態の変動の医師への報告、少数の要注意患者の定時検脈・検温

(出典:厚生労働省「断続的な宿直又は日直勤務に従事する者の労働時間等に関する規定の適用除外許可申請について」

なお、「担当する患者の人数」や「夜間・休日に来院する急病患者の発生率」から考えて、通常の勤務時間と同等の業務をするであろうと判断されれば、宿直自体の許可がされません。

社会福祉施設の場合

社会福祉施設の場合、一般的な宿直業務のほかに、少数の入所児童や入所者に対して行う夜尿起こし・おむつの取替え・検温等の介助作業が許可されます。
(出典:厚生労働省「断続的な宿直又は日直勤務に従事する者の労働時間等に関する規定の適用除外許可申請について」

ただし、軽度の作業に限ってのみです。夜尿起こしやおむつの取替えの際に要介護者を抱きかかえるといった身体に負担がかかる作業は含まれません。また、1回の作業における所要時間は10分程度の短時間とされています。作業回数は1回ないし2回が限度です。

なお、夜間における入所児童の生活指導や起床後の着衣指導といった、通常の労働と同態様の業務は許可されていません。

宿直勤務のある仕事・アルバイト

宿直勤務のある仕事・アルバイト

「医療・介護・福祉業界で働くなら、どの職場においても宿直勤務を行わなければならない」と考える方も多くいるでしょう。しかし、実際には宿直勤務があるかどうかは会社や仕事によっても異なります。

宿直勤務のある仕事やアルバイト・パートには、下記が挙げられます。それぞれ、主な仕事内容とあわせて紹介します。

学校

学校の宿直勤務では、主に学外からの電話対応や校内の警備・清掃業務、その他緊急時の対応業務を行います。学生寮の場合、学寮内の宿直教員の補助業務・寮生トラブルの対応業務なども対応します。

ビル

ビルの宿直勤務では、主にビルメンテナンス業務を行います。職員が退館した後の施錠(戸締り)から、清掃管理・衛生管理・設備管理といった管理業務、さらに点検維持・警報発動時の緊急対応まで幅広い仕事を担うこととなります。

病院

病院の宿直業務では、主に入院患者さんの病室の定期巡回や、要注意患者さんの定期検脈、その他緊急対応などを行います。救急対応を行う病院の場合、搬送された患者さんの受け入れやケアも提供することが基本です。

介護施設

介護施設の宿直業務では、主に利用者さんの部屋の定期巡回から、寝返り・起床介助、排せつ介助、さらに電話対応・緊急対応まで行います。利用者さんの状態や要介護レベルによっては、夜間の安否確認も重要な業務です。

児童養護施設

児童養護施設の宿直業務では、施設を利用する子どもたちの就寝支援・確認や、安全管理が主な業務です。見回りはもちろん、眠れない子どもや情緒が不安定となった子どもたちの対応のほか、昼にできなかった事務作業も行います。

市役所

市役所によっては、夜間にも電話を受けているところや、婚姻届・出生届・死亡届の届出を受け付けているところがあります。このような市役所では、戸籍届出等の受領や職員への緊急連絡の取り次ぎなどを宿直業務として行います。

なお、アルバイト・パートで働く場合は、正社員と違って時給または日給となります。アルバイト・パートでも宿直手当や深夜手当は支給されるものの、その手当額は企業や勤務内容によっても細かく異なることを覚えておきましょう。

医師・看護師の宿直基準

医師・看護師の宿直基準

医師や看護師の宿直基準は、宿直中に行える業務範囲や手当の計算、宿直勤務許可条件において、一般的な基準とは少々異なります。それぞれの差は以下の通りです。

宿直中の業務範囲

医師や看護師は、宿直業務中でも患者さんが少数であることを前提に、特定の軽易な作業程度であれば行ってもよいとされています。以下は、従事可能な業務の例です。

  • 患者さんの状態の変動に対応するための問診
  • 看護師への指示や確認
  • 病室の定時巡回
  • 患者さんの状態の変動の医師への報告
  • 要注意な患者さんの定時検脈・検温

宿直手当の計算
医師や看護師のように、賃金に大きな差がある職種における宿直手当は、責任度や職務内容に応じて計算されます。宿直に当たる予定のある医師ごと、看護師ごとにそれぞれ計算し、1人1日の平均額の3分の1が基準です。

宿直許可基準
宿直中に通常の勤務時間と同様の業務が発生しても、それが常態化せず、十分な睡眠時間が確保できていれば問題ありません。ただし、通常業務を行った時間に関しては時間外労働としての手続きが行われ、割増手当が支払われます。

宿直医師の数や患者さんの数、急病患者の発生率などから宿直中に行われる通常の業務が常態にあると判断される場合には、宿直許可が下りません。宿直の許可は、1つの病院や診療所内において一部の職種・時間帯・業務の種類などを指定して得ることも可能です。

また、小規模の病院や診療所などで住み込みで働く医師や看護師さんの場合、宿直とは見なす必要はありません。通常の勤務時間と同様の業務に従事する際は、時間外労働としての手続きを行い、残業手当や割増手当も発生します。

医療法によって夜間対応を必要とする医療機関の管理者は、施設に宿直の医師を置く責任が定められているのも、一般的な企業や会社における宿直基準とは異なる点です。
(出典:厚生労働省「医師、看護師等の宿日直許可基準について」
(出典:大阪労働局労働基準部監督課「医療従事者の宿日直許可基準等について」

宿直はきつい?

宿直はきつい?

宿直はやることが少なく「楽な仕事」と考える人がいる一方で、「きつい」「つらい」と感じる人もいます。「きつい」「つらい」といわれるのには、以下のような理由が挙げられます。

  • 勤務時間が長い傾向にある
  • 気が抜けず、気疲れする
  • 仮眠時間があっても眠れない
  • 緊急事態が発生したときは忙しい

勤務する職場にもよりますが、宿直は夜8時から翌朝の8時までというように勤務時間が長い傾向にあります。行う業務が少ないとはいえ、トラブル等に備えて長時間待機しなければならないため、気疲れする人もいます。また、暇な時間が多いと時間の経過が遅く感じるため、うまく時間を潰せないときついでしょう。

なお、宿直勤務は基本的に一人です。トラブルが発生した際には自分一人で対応しなければならず、多忙を極める場合もあります。一人で業務を行うことに不安を覚える方にとって、宿直はつらい勤務といっても過言ではありません。

宿直勤務をするメリット

宿直勤務をするメリット

宿直勤務をすることの代表的なメリットには、下記3点が挙げられます。

●宿直手当がつく

どのような業種においても夜勤には夜勤手当がつくように、夜間に働くこととなる宿直勤務にも「宿直手当」がつきます。そのため、日勤のみで働く方と同じ労働時間であっても、総合的な収入は高くなる点は大きな魅力といえるでしょう。

●空き時間を自由に使える

宿直勤務は、日勤時と比べて基本的に慌ただしく動くことがありません。定期巡回や電話対応がメイン業務となるため、空き時間が発生するケースもしばしばあります。空き時間は自由に過ごせるため、資格取得に向けた勉強をするなど時間を有効に使えます。

●宿直明けが非番になる職場もある

基本的に、宿直の翌日(宿直明けの日)は非番、つまり休みとなります。宿直明けの日が平日の場合は、人が少ない朝から銀行・病院に行くなどの用事を済ませられるため、人によっては大きなメリットを感じられるでしょう。

宿直中にしっかり仮眠を取るためのポイント

宿直中にしっかり仮眠を取るためのポイント

勤務中の睡眠は許されないもの、というイメージも強くありますが、宿直中に限っては仮眠を取ることが大切とされています。宿直中の仮眠は、普段の睡眠時間と同様の時間帯に睡眠を取ることとなり、効率的な疲労回復につながるためです。加えて、生活リズムの乱れも防いでくれるでしょう。

健康的な生活を送るためにも、宿直中は2時間程度の仮眠をしっかりと取らなければなりません。
(出典:公益社団法人 日本看護協会「夜勤中の仮眠を取ろう~医療安全の確保とあなた自身の健康のために~」

しかし、宿直中は普段の寝床と異なる環境となるため、睡眠を取りにくい方も多くいるでしょう。ここからは、宿直中にしっかり仮眠を取るポイントを4つ紹介します。

食事は軽めにしておく

宿直中にしっかり仮眠を取るためには、「軽めの食事を取る」ことを重視しましょう。

睡眠と食事は、密接な関係となっています。摂取した食べ物を消化しているとき、胃や腸は活発に動きます。胃腸が活発に働いている際は、眠りづらくなることが特徴です。また、食べ物を消化するには約3時間かかるといわれています。よく眠るには、仮眠の3時間以上前に軽めの食事を取るとよいでしょう。

食べ物を消化しきってから仮眠を取るためには、消化のよい食材を選ぶこともポイントです。

十分な睡眠環境を準備する

仮眠の質を高めるためには、睡眠環境をしっかり整えることが大切です。

仮眠場所としては、最低でも寝返りのできるスペースが確保された個室が理想的です。睡眠の邪魔となることのないよう、ナースコール子機は持ち込まず、静かな環境づくりに徹底することも大切です。

宿直のある職場では、基本的に仮眠室や宿直室が備えられています。効率的に疲労を回復させるためにも、必ず十分な環境の整った仮眠室で睡眠を取るようにしましょう。

2時間のサイクルで睡眠を取る

短時間でも仮眠を取ることは、非常に有効です。睡眠に入るまでの時間から、覚醒(起床)に向けた時間までのことを「睡眠サイクル」といい、睡眠サイクルは1サイクルあたり2時間とされています。そのため、2時間を目安に仮眠を取りましょう。

睡眠の1サイクルのうち、90~120分の間は「レム睡眠」が維持されます。起きる時間をレム睡眠中に設定することですっきりと目覚められ、起床時の眠気や倦怠感を抑えられるでしょう。すっきりと目覚めることですぐに業務に取り掛かれます。
(出典:e-ヘルスネット「眠りのメカニズム」

寝過ごさない工夫をしておく

仮眠は、仕事による疲れを感じたまま睡眠を取ることとなるため、設定した時間に起きられず寝過ごす可能性もあります。うっかり寝過ごさないためにも、あらゆる工夫を取り入れて、設定時間に目を覚ませるよう努める必要があります。

仮眠中に寝過ごさないために、多くの看護師が行っている方法が、「スマートフォンのアラーム機能の活用」です。簡単に設定できるだけでなく、スヌーズ機能も設定できるため、日頃から使用している方も多いでしょう。

しかし、スマートフォンのアラーム機能だけでは不安という方も少なからず存在します。このような場合は、目覚まし時計・目覚まし機能付きスマートウォッチを併用するとよいでしょう。

また、二度寝を防ぐためには「起きてすぐにガムを噛む」ことも有効です。ガムを噛むことで脳内神経伝達物質セロトニンが分泌され、脳が活性化しやすくなります。このように、あらゆる工夫を取り入れて、寝過ごさないようにしましょう。

どうしても宿直をしたくないときは?

どうしても宿直をしたくないときは?

看護師の仕事内容に、宿直や夜勤の担当が含まれる職場は珍しくありません。宿直や夜勤は、患者さんの命や健康状態を維持するために重要な役割を果たす業務です。しかし、体調や家庭環境、ライフスタイルなどの理由から、宿直や夜勤を負担と感じる方も多くいます。

宿直や夜勤が生き方に合わないと判断したときには、勤務先を変えるのも解決策の1つです。宿直や夜勤のない職場としては、以下のような例が挙げられます。

  • クリニック
    入院設備がなく外来のみのクリニックであれば、夜間の対応はありません。宿直や夜勤を避けたいのであれば、無床のクリニックを選ぶとよいでしょう。
  • 美容クリニック
    美容クリニックの多くは、診療時間が日中に限られています。美容皮膚科であれば手術による入院もなく、宿直や夜勤も発生しません。
  • 企業
    企業内の健康相談や診療案内、医薬品の販売員など、病院外でも看護師の需要はあります。通常の企業の営業時間内に働くため、夜勤や宿直が発生しません。
  • 訪問看護・デイケア
    日中のみの看護を提供する訪問看護やデイサービスといった介護施設も、日勤が主となります。

上記のような職場では、看護師としてのスキルや経験を活かしつつ、自分自身の生活リズムにも配慮した働き方を選択できる可能性があります。宿直や夜勤が負担に感じられる場合には、転職を視野に入れてみてはいかがでしょうか。

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まとめ

宿直と夜勤はどちらも夜間帯に勤務しますが、役割や行う業務が異なります。夜勤は日中と同じように通常業務を行えますが、宿直では通常業務を行うことを認められていません。夜間勤務の仕事を行いたい方は、違いを理解しておきましょう。

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※当記事は2023年6月時点の情報をもとに作成しています

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