日勤よりも、業務タスクが激増する夜勤。タイムスケジュールを組むものの、イレギュラーの連続で思い通りにいかないことも。いったい、どんなスケジュールを組んでタイムマネジメントすれば円滑に夜勤業務を進められるのでしょうか?
タイムマネジメントの専門家・平土井俊先生に、効率的に働けるタイムスケジュールの組み方のコツについて伺いました。
夜勤のタイムスケジュールを組むときのポイントは?

夜勤のタイムスケジュールを組むときに大切なのは、タスクの抜けや漏れがないこと、分かりやすく書かれていることです。しかし、タスクが多すぎると整理するのも一苦労……。膨大なタスクを分かりやすくスケジューリングするためには、どうすればいいのでしょうか?
平土井さん: 分かりやすくスケジューリングできない原因は、情報をコンパクトにまとめられていないことがほとんどです。タイムスケジュールを組む目的は、頭の中で次にやるべき業務のことを考えないようにするためなので、パッと見て何をするべきかわかるようにしておく必要があります。
そこでおすすめなのが、タスクごとに番号を振る方法です。採血に①、バイタル測定に②と番号を振れば、「○○時、△△さん①」のように、やるべきタスクが簡略化された状態になり、すっきりしたタイムスケジュールになるでしょう。

また、振られた番号とタスクの内容がすぐ確認できるように、余ったスペースには対応表を作っておきましょう。一度テンプレを作ってしまえば、次の夜勤でも継続して活用できます。
[cta]同じ時間にタスクがいくつも重なったとき、優先順位はどう決める?

看護師の夜勤では、同時に複数のタスクが発生しがち。どのように優先順位を決めれば良いのでしょうか? 平土井先生から挙げられたのは「トーナメント形式」による決め方でした。
平井土さん:選ぶ基準は「どれくらい時間がかかるか」または「どれくらいの労力を要するか」のどちらかにしてみてください。時間がかかるタスクや労力が必要なタスクの優先順位が高くなるように選んでいきましょう。
もちろん、そのタスクの重要度を加味することも忘れてはいけません。
例えば、「重要度が高く時間が多くかかるもの」は1番先にやる必要があります。
次に選ぶのは、「重要度が高いが時間があまりかからないもの」です。これについては、重要度が高いので、サッと済ませられるのであれば、あえて先にやってしまうのも手でしょう。
そして、3番目は「重要度が低いけど、時間が多くかかるもの」、最後に「重要度が低く時間もあまりかからないもの」という順番になります。
①重要度が高く時間が多くかかるもの
②重要度が高いが時間があまりかからないもの
③重要度は低いが時間が多くかかるもの
④重要度が低く時間もあまりかからないもの
夜勤時のイレギュラーによるスケジュールの遅れを取り戻す、3つの準備

夜勤時にイレギュラーが発生し、予定していたタイムスケジュールが大きく変わることになることは多々あるもの。どんな準備をしておくとスケジュールの遅れを軽減できるのでしょうか?
準備① 別の時間に移動できるタスクを把握しておく
1つ目は、時間に融通が利くタスクの把握です。比較的自由に動かせるタスクが分かれば、イレギュラーが起きても別の時間に移動でき、対応の時間に割り当てられます。
平土井さん:同じ時間帯にタスクを詰め込まないようにすることも大切です。詰め込んでしまうと、1つの遅れやイレギュラーによってそれ以降のスケジュール全てが押してしまうためです。なるべく普段かかる時間の1.5倍(10分なら15分ほど)のバッファをみてタイムスケジュールを組みましょう。
準備② 「if-thenプランニング」を立てる
起こったイレギュラーに対して何をするべきなのか、イメージしておくことも大切。やるべきことが分かっていれば、行動に移すまでの時間も短くなり、スケジュールの遅れも取り戻せるかもしれません。
平土井さん: もしもの出来事を想定して計画を立てることを、専門用語で「if-thenプランニング」と呼びます。「こんなイレギュラーが起きたら、自分はこうやって動こう」と自分なりのルールを決めておくと良いでしょう。
職場にマニュアルがある場合は、それに従ってください。ちなみに「if-thenプランニング」は、いつも持ち歩いているメモ帳に書き出して、すぐ確認できるようにしておくと便利です。
準備③ 業務ごとにかかる時間を把握しておく
各業務にかかっている所要時間を計測したことはありますか? 業務ごとにかかる時間の目安が分かると、タイムスケジュールが立てやすくなるだけでなく、隙間時間も明確になり、イレギュラーが起こったときのタスクの入れ替えもスムーズになります。
平土井さん:この準備は、夜勤経験の浅い新人看護師さんにこそおすすめです。自分がどの業務にどれくらい時間をかけているのか、どの業務の効率を上げればいいのかが明確になり、改善のきっかけになるからです。
他にも、自分にとって効率の良い動き方、夜勤時の調子が安定する睡眠時間や起床時間、辛いときのモチベーションの上げ方などを把握して、仕事における自分用のトリセツを作ってみても良いでしょう。自分について知ることも、タイムマネジメント上達のコツの1つです。
タイムマネジメント力をあげて、夜勤の負担を軽減させよう!
〜まとめ〜
夜勤のタイムスケジュールを組むときのポイントは? 同じ時間にタスクがいくつも重なったとき、優先順位はどう決める? 夜勤時のイレギュラーによるスケジュールの遅れを取り戻すために準備しておくことは? ⇒準備① 別の時間に移動できるタスクを把握しておく |
夜勤をミスなく終えるためには、タイムマネジメントの上達が欠かせません。ぜひ、平土井さんのアドバイスを参考に、自身のタイムマネジメント力を向上させましょう!
<著者プロフィール>

「最幸の人生」を創り出すタイムマネジメントの専門家。
ブレイクスルー・タイムマネジメントコーチ。
35,800人以上に読まれたAmazonランキング1位の電子書籍「仕事も人生もすべてが思い通りになるタイムマネジメントノート®️」の著者。
https://time-creations.com/
企画・取材:内山直弥(TAC企画)、編集:藤田佳奈美(同)