先天性の病気「口唇口蓋裂(こうしんこうがいれつ)」を持って生まれ、幼少期から8回もの手術を経験してきた、お笑いコンビパーパーのほしのディスコさん。
口唇口蓋裂とは、胎児がお腹の中で成長する過程で唇から鼻にかけての癒合ができず、顔に裂け目がある状態で生まれてくる病気です。
毎年11月1日はいい医療の日。当時の闘病生活を振り返りながら、治療と向き合う苦悩や、その過程でお世話になった医療従事者のみなさんに思うことなど伺いました。
口唇口蓋裂で生まれ、手術を8回も繰り返し……

母は看護師なので、医療人としてプロの知識があり、僕の病気についても小さな頃から丁寧に説明してくれました。だから納得感を持って治療にのぞめたし、母を頼れる安心感がありました。ですが、病気を治すために何度も何度も手術を繰り返しても、一向に良くなっているようには思えなかったんです。
僕はもともと「手術をしたら、完全に普通の見た目になるのかな?」と思っていたんですが、術後に抜系をしても、全然普通の見た目ではなくて、鏡を見るたびに毎回ショックで……。5回目の手術の後もそんな感じだったので、小学校の頃は「一生治らないし、ずっと笑われる人生なんだろうな」と絶望してました。
毎回、手術する前には先生から「今回はこういうことをします」「鼻や唇の形も良くなります」と説明がありました。でも僕は「完璧な普通」を求めていたので、そうならない状況に「これ以上、手術する必要はあるのかな?」「治療しても意味がないんじゃないかな」と考えるようになってしまいました。
「自分の話し方がおかしい」とショックを受けた僕を勇気づけてくれた母

治療だけでなく、発音の練習のために毎週通院もしていました。口唇口蓋裂を持つ人は、顔に穴が空いているから、鼻から空気が抜けてしまって、うまく発音や発声ができないんです。
母は「一緒に頑張っていこうね」と元気づけてくれたし「なぜ病院に行かなきゃいけないのか」「なんのためにこの訓練をやっているのか」をしっかりと教えてくれました。おかげで、めげずに治療へ向き合うことができました。
だからこそ、小学生の頃に合唱コンクールや運動会のビデオを見て、衝撃を受けました。自分の話している様子が、周りの子と全然違ったんです。ショックでしたね。
「病院には通っているし、昔より良くなっている、ちゃんと喋れている」と思っていたんですが……。「さ行」と「か行」、「ざ行」が全然話せていなくて。自分の名前「ほしのかずなり」の「し」と「ず」さえも上手く言えていなかった。恥ずかしかったです。
それまでぼんやりとしていた「いじめられていた理由」もはっきりと自覚することになりました。もちろん、それがいじめていい正当な理由にはならないですが、子どもにとって僕の発音の違和感は、残酷ですが受け止めきれなかったんだと思います。
それからは、母と一緒に発音の特訓をしました。母は僕を思ってか「すごく良くなってきているよ!」と勇気づけてくれました。本当はもしかしたら、まだ全然ダメだったのかもしれないけれど、でもその母の前向きな姿勢に救われました。
通院の際、待ち時間が結構長いのですが、看護師さんが本を持ってきてくれました。僕はそれを小さな声に出して読んでいました。病院での発音の訓練は、僕にとっての大きな発表会だと思っていて、その本を繰り返し読んで練習して待っていました。
闘病中に出会った看護師さんへの感謝

手術のために入院していると、病院にはいろんな症状の方や、コミュニケーションが難しそうな患者さんがいるんだなと思いました。でも、看護師さんは誰に対してでもとにかく優しく接しているのがとても印象的で。みなさん疲れているそぶりを一切見せたことがなかったです。看護師さんは患者さんを選べないですが、どんな状況でも患者さんのために寄り添って対応する姿勢がかっこいいし、本当に尊敬しています。
手術前は不安で眠れないこともあるんですけど、そんな時は察してくれたのか、いつもより細やかに見回りに来てくださって。看護師のみなさんが「明日、頑張ってね」と声をかけてくださるのがうれしかったです。
術後、自分からは「手術頑張ったよ!」なんてアピールはしないし、痛みと辛さにじっと耐えていました。そんな時も看護師さんから「すごいね、頑張ったね」と声をかけてもらえて。なんてことない一言なんですが、とても救われて。看護師さんに褒められる自分でいよう、と思いました。
ピース又吉「医療従事者の皆さん、頑張ってください」は違う。看護師の母を見て僕が思うこと
看護師さんを志したことも……芸人になった今も看護師さんを尊敬しています
母が休みの日に、同じ職場の看護師さんと一緒にBBQをしたことがあったんです。病院の外で素の看護師さんたちを目にして驚きました。看護師さんのはしゃいでいた姿を見てると「みんな、普通の人なんだな」と思いました。
普通の人が人命のために全力を尽くす、なんて尊い職業なんだろう。看護師さんと接していくうちにそう痛感した僕は、「自分も誰かの役にたてたら」と考えるようになりました。「せっかく生きていくなら、人のためになる仕事をしよう」と、看護学校のパンフレットを取り寄せたこともありました。
僕は小さな頃から整形外科の看護師さんとしか接点がなかったので、他にどんな仕事があるのか調べていくうちに、リハビリ科に憧れましたね。患者さんと前に進んでいくのが、自分のよろこびにもなりそうだなと思ったんです。

今は一番の夢だった芸人になりましたが、たまに病院に行くと「看護師さんの優しさだけで傷が癒えそう」と思えるくらい、フィジカルだけでなくメンタルまでケアしてもらっていると改めて感じます。だから僕は営業に行く時、看護師さんを見習って、どんなお客さんにも笑顔で接するようにしているんです。
撮影:小原聡太
取材・構成:ピース株式会社
企画・編集:藤田佳奈美(TAC企画)
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ほしのディスコ
1989年10月23日生まれ、群馬県出身。マセキ芸能社所属。男女お笑いコンビ「パーパー」のメンバー。闘病生活のことも綴った自伝的エッセイ『星屑物語』(文藝春秋)発売中。趣味はカラオケ。
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