看護師として働いているものの、よりスキルアップしたいと考える方のなかには、「小児プライマリケア認定看護師」の資格について気になる方もいるのではないでしょうか。より高水準なスキルが求められる資格である一方、取得できれば活躍する場所が増えるなど、さまざまなメリットを持つ資格です。
当記事では、小児プライマリケア認定看護師の概要について、活躍する場所や担う役割などを解説します。資格取得のメリット・条件なども紹介するので、資格取得を考えている方も参考にしてください。
小児プライマリケア認定看護師とは?
小児プライマリケア認定看護師とは、新生児〜小児期の子どもと、子どもを取り巻く方々を対象に、プライマリケアの場を中心とした医療を提供する看護師です。以前までは「小児救急看護認定看護師」として、救急外来を受ける子どもに対して活躍していました。
現在は、特定の病気や緊急の場面を診る専門医療のみならず、幅広い子どもの健康問題に対応するべく名称が変更されています。
小児プライマリケア認定看護師が活躍する場所
小児プライマリケア認定看護師は、総合病院やNICUなどで活躍しています。
小児科や小児科病棟のある総合病院では、一般的に新生児から15歳くらいまでの子どもを診察します。喘息やアレルギーなどの慢性的な病気を持ち、大人になってからも受診を続ける方は少なくありません。総合病院のなかでも小児科は人気が高く、希望通りの配属が難しいケースもあるでしょう。
NICU(新生児集中治療室)とは、早産児や低出生体重児、疾患や障がいを持つ新生児を集中的に治療・管理する施設のことです。容態が変化しやすいため、24時間体制で新生児の治療や処置を行います。重篤な疾患によって亡くなる新生児もいることから、保護者への精神的ケアやサポートが必要です。
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小児プライマリケア認定看護師の役割
小児プライマリケア認定看護師が担う役割は、主に以下の4つです。
子どもの身体機能障害に対して、迅速かつ適切な看護ケアを行う |
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小児プライマリケア認定看護師は、急性発症ならびに重篤な状況にある子どもを多く担当します。幅広い知識や技術を活かし、自ら的確なアセスメントを行って現場を担当できるため、責任のある仕事ができるでしょう。 |
不適切な養育または虐待を予防し、早期発見および適切に援助する |
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子どもの成長発達や家族の状況をしっかり観察することも、小児プライマリケア認定看護師が担う役割の1つです。家庭内の小さな変化やトラブルを的確に捉え、支援・指導することも必要になるでしょう。 |
他職種と連携して、質の高いチーム医療を提供する |
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小児プライマリケア認定看護師は、緊急性の高い疾患から日常的にみられる病気まで幅広く診療します。しかし、自身ですべてを解決できるわけではなく、他職種との連携が必要になる場面も多々出てくる立場です。チーム医療を行ううえで、小児プライマリケア認定看護師はキーパーソンとしての役割を求められます。 |
看護職への指導・相談を担当する |
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子どもや家族の看護ケアに携わることはもちろん、看護職やスタッフへの指導を担当することも大切な役割の1つです。看護職に対してコンサルテーションを実施するなど、重要な役割を担いつつ、やりがいを持って働けます。 |
(出典:日本看護協会「認定看護師教育基準カリキュラム(特定行為研修を組み込んでいる教育課程:B課程教育機関)分野:小児プライマリケア」)
小児プライマリケア認定看護師に求められる技術
小児プライマリケア認定看護師には、以下のような技術が求められます。
リスクを予測しながら重症化を予防できる | 重篤な状態にある子どもに対して、急激な変化や発達によるリスクを予測し、重篤化を予防できる知識・技術が求められます。 |
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緊急度や重症度などを踏まえたトリアージができる | 小児プライマリケア認定看護師は、さまざまな視点で優先順位を決定し、幅広い治療・ケアを行う能力が必要です。。する必要があります。 |
家庭看護力・育児向上に向けたホームケア指導ができる | 病院やクリニックで看護ケアしきれない面は、子どもや親による在宅ケアが必要になるため、セルフケア支援のための知識・技術が求められます。 |
生活の場における子どもの事故防止ができる | 不適切な養育や虐待を防ぐことはもちろん、生活において子どもの安全を確保するための環境づくりができる知識や技術も必要です。 |
気管カニューレの状態を病態判断・交換が行える | 身体所見および気管カニューレの状態を病態判断し、気管カニューレの交換が行える知識・技術を求められます。 |
小児プライマリケア認定看護師を取得するメリット

小児プライマリケア認定看護師の資格を取得すると、自身のスキルアップや待遇の向上にもつながります。メリットの詳細は以下の通りです。
※メリットの内容は小児プライマリケア認定看護師に限らず、すべての認定看護師に当てはまるものです。
・キャリアアップにつながる
小児プライマリケア認定看護師を取得することで、もともと自分が配属されていた部署のみならず、別の部署やほかの病院などで活躍の場を広げることができます。自身の知識・技術を活かして任される仕事が増えたり、組織のトップとして指揮を取ったりなど、キャリアアップにつながる点が魅力です。
・待遇がよくなる
資格保持者に対する手当を受け取れる病院もあるため、待遇の向上が望めます。また、組織のマネジメントや教育に関与する場合も多く、管理職などに昇進することで給与アップが期待できるでしょう。
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小児プライマリケア認定看護師になるには?

小児プライマリケア認定看護師になるための条件は、下記の通りです。
・認定看護師の条件
- 日本国の看護師免許を有すること
- 看護師免許取得後、実務研修が通算5年以上あること
(うち3年以上は認定看護分野の実務研修) - 認定看護師教育機関入学・修了
- 認定看護師認定審査の通過
- 認定看護師認定証交付・登録
(引用:日本看護協会「認定看護師になるには」)
また、小児救急看護のカリキュラムは下記の通りです。
教科目名 | 必修/選択 | 時間数 | |||
---|---|---|---|---|---|
共通科目 | 1.医療安全学:医療倫理 2.医療安全学:医療安全管理 3.医療安全学:看護管理 4.チーム医療論(特定行為実践) 5.相談(特定行為実践) 6.臨床薬理学:薬理作用 7.指導 |
必修 必修 必修 必修 必修 必修 必修 |
15 15 15 15 15 15 15 |
小計105 | 105(+305) |
8.特定行為実践 9.臨床薬理学:薬物動態 10.臨床薬理学:薬物治療・管理 11.臨床病態生理学 12.臨床推論 13.臨床推論:医療面接 14.フィジカルアセスメント:基礎 15.フィジカルアセスメント:応用 16.疾病・臨床病態概論 17.疾病・臨床病態概論:状況別 18.医療情報論 19.対人関係 |
選択 選択 選択 選択 選択 選択 選択 選択 選択 選択 選択 選択 |
15 15 30 40 45 15 30 30 40 15 15 15 |
小計305 | ||
専門基礎科目 | 1.小児救急看護概論 2.子どもの権利と社会資源 3.子どもの成長発達 4.小児救急における薬の知識 5.子どもと家族への接近法 6.子どもの虐待 |
必修 必修 必修 必修 必修 必修 |
15 15 30 15 15 30 |
小計120 | 285 |
専門科目 | 1.小児救急における病態と看護技術 2.小児救急におけるトリアージ 3.子どもの事故と予防 4.小児救急における家族への看護 5.病気の予防とホームケア 6.救命技術指導 7.災害における子どもへの看護 |
必修 必修 必修 必修 必修 必修 必修 |
60 15 30 15 15 15 15 |
小計165 | |
学内演習・臨地実習 | 学内演習 | 必修 | 60 | 小計240 | 240 |
臨地実習 | 必修 | 180 | |||
総時間数 | 630(+305) |
(引用:日本看護協会「認定看護師教育基準カリキュラム(特定行為研修を組み込んでいない教育課程:A課程教育機関)分野:小児救急看護」)
次に、小児プライマリケアのカリキュラムは以下の通りです。
教科目名 | 時間数 | |||
---|---|---|---|---|
共通科目 | 1.臨床病態生理学 2.臨床推論 3.臨床推論:医療面接 4.フィジカルアセスメント:基礎 5.フィジカルアセスメント:応用 6.臨床薬理学:薬物動態 7.臨床薬理学:薬理作用 8.臨床薬理学:薬物治療・管理 9.疾病・臨床病態概論 10.疾病・臨床病態概論:状況別 11.医療安全学:医療倫理 12.医療安全学:医療安全管理 13.チーム医療論(特定行為実践) 14.特定行為実践 15.指導 16.相談 17.看護管理 |
40 45 15 30 30 15 15 30 40 15 15 15 15 15 15 15 15 |
380 | |
専門科目 | 認定看護分野専門科目 | 1.子どもの権利(小児領域共通学習内容) 2.子どもの成長・発達(小児領域共通学習内容) 3.子どもと家族の理解(小児領域共通学習内容) 4.社会資源と多職種連携(小児領域共通学習内容) 5.小児プライマリケア概論 6.小児プライマリケア領域の子どもの特徴と病態生理 7.小児プライマリケア領域における看護 8.子どもとその家族への支援 9.医療的ケア児への看護 10.ケア調整と社会資源の活用 |
15 15 15 15 15 30 45 15 30 15 |
210 |
特定行為研修区分別科目 | 1.栄養及び水分管理に係る薬剤投与関連 2.呼吸器(長期呼吸療法に係るもの)関連 |
22 11 |
33 | |
演習・実習 | 学内演習 | 15 | 165 | |
臨地実習 | 150 | |||
合計時間数 | 788 |
(引用:日本看護協会「認定看護師教育基準カリキュラム(特定行為研修を組み込んでいる教育課程:B課程教育機関)分野:小児プライマリケア」)
小児プライマリケア認定看護師以外でおすすめの資格2つ

小児プライマリケア認定看護師と関連性のある資格には、「新生児集中ケア認定看護師」「小児看護専門看護師」の2つがあります。それぞれの詳細は以下の通りです。
新生児集中ケア認定看護師
新生児集中ケア認定看護師は、主にNICU(新生児集中治療室)で働く際に役立つ資格です。重篤な状態にある新生児の全身管理などといった医療ケアや、家族形成支援など両親に目を向けた看護ケアを行います。資格を取得するためには、「看護師経験が5年以上、そのうち3年以上は認定分野での実務研修」という条件を満たす必要があります。
小児看護専門看護師
小児科全般の看護師として働きたい方は、小児看護専門看護師の取得も適しています。小児看護専門看護師は、子どもたちの療養生活を支援し、ほかの医療スタッフと連携しながらレべルの高い看護を提供する看護師です。
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まとめ
子どもの心身に寄り添い、看護師として高いスキルを活かしたいと考えている方は、小児プライマリケア認定看護師の取得を検討してみてはいかがでしょうか。子どもへの幅広い医療ケアを提供できるほか、管理職へのキャリアアップや昇進も望めるなど、看護師にとってメリットが多い資格です。
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