• 2022年4月7日
  • 2022年12月15日

NICUとは? 仕事内容や働く看護師の適性についても解説

 

看護師としての勤務先に産婦人科や小児科を希望する場合、NICUという言葉を耳にすることもあるでしょう。NICUはリスクやハンデを持って産まれた新生児を、集中的に治療・看護する入院施設です。

この記事では、NICUの概要から、入院対象となる新生児の基準、NICUで働く看護師の仕事内容、NICUで働くために取得しておきたい資格まで徹底的に解説します。NICUで働くメリット・デメリットや向いている看護師の傾向も紹介するため、新生児医療に興味がある看護師の方はぜひ参考にしてください。

NICUとは?

NICUとは、新生児専門の集中治療室のことです。「Neonatal Intensive Care Unit」の略称であり、日本語では「新生児集中治療管理室」や「新生児集中治療室」と訳されます。

ハイリスクな状態で産まれた病的新生児への集中ケアに特化しており、成人向けのICUよりも厳重な管理のもとで治療・看護が行われる施設です。保育器に入った新生児一人ひとりの呼吸・心拍・体温を監視・管理する機器や医療設備が整えられ、24時間体制で対応に当たります。

そのため、NICUには常勤する医師や看護師の人数をはじめ、常備すべき機器や建物の構造などに厳しい基準が設けられています。しかし一般的に、最低限の病棟スタッフが確保されたうえで高度な医療機器を備えており、新生児の入院を専門的に扱っている施設であればNICUと呼んでいます。

NICUとMFICUの違い

MFICUとは、ハイリスク分娩の可能性がある妊婦や、早産・疾患が想定される胎児の治療とケアを24時間体制で行う施設です。「Maternal Fetal Intensive Care Unit」の略称であり、日本語では「母体胎児集中治療室」と訳されます。

NICUは出産後、もしくは出産直前にリスクやハンデありと診断された新生児や、早産児への対応に特化している施設です。一方、MFICUでは、妊娠中から何らかのリスクが予想され、治療や経過観察が必要な妊婦や胎児への対応に特化しています。

MFICUは、NICUやGCUと緊密な連携が望まれることから、同じ医療機関内に設置されることが少なくありません。事前に重篤な疾患などが判明している場合は、妊娠中にMFICUに入院し、出産後はNICUへ引継ぎ、退院に向けてGCUで過ごすといった流れになります。

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NICUとGCUの違い

GCUとは、NICUで集中治療を行った後、状態が安定した新生児や子どもに対して引き続きケアを行うための病棟です。「Growing Care Unit」の略称であり、日本語では「新生児回復治療室」と訳されます。

前述の通り、NICUはリスクやハンデのある新生児・早産児から治療を要する妊婦・胎児までの集中治療に特化した施設である一方で、GCUは退院に向けて必要な看護ケア・母子関係の構築といった対応に特化しています。

NICUでの治療が必要となった場合、通常とは異なり、出生後すぐに母子分離を余儀なくされます。治療中は、母子が長い時間をともに過ごしながら十分な触れ合いをすることができません。GCUスタッフは、さまざまな精神的ストレスが発生している母子のケアをはじめとした支援を提供します。

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NICUの入院対象となる新生児の基準

NICUの入院対象となる新生児の基準

NICUの多くは、一度も退院していない新生児すべてが入院の対象です。基本的に、いかなる疾患を持って産まれた新生児でも、除外対象とはなりません。具体的には、下記の状態にある新生児はNICUへの入院が望ましいといえます。

  • 低出生体重児
  • 早産児
  • 新生児仮死
  • 痙攣が認められる
  • 呼吸障害がある
  • 先天性心疾患が疑われる
  • 心不全症状が見られる
  • 出血傾向が見られる
  • 黄疸などにより交換輸血を要する
  • 外科的手術を要する
  • 重症感染症の疑いがある
  • 重度・多発性の奇形が見られる
  • 嘔吐・哺乳不良など、軽微でも異常性が認められる

新生児が一度でも退院した場合、感染症対策などの観点からNICUでの再入院を受け入れていない病院もあります。

低出生体重児

低出生体重児とは、体重が2500gに満たない、身体の発育が未熟な状態で産まれた新生児のことです。以前は未熟児と呼ばれていました。体重に応じてかかりやすい疾患が異なり、さらに下記の3種類に分類されます。

名称 出生時の体重
低出生体重児 2,500g未満
極低出生体重児 1,500g未満
超低出生体重児 1,000g未満

2017年の時点で、日本全国で1年間に産まれた新生児のうち、およそ9.4%が低出生体重児に、およそ0.7%は極低出生体重児・超低出生体重児に該当しました。以前は年々増加傾向にありましたが、低出生体重児は2005年以降、極低出生体重児・超低出生体重児は2000年以降ほぼ横ばいの状態です。

低出生体重児となる原因は一概にいえないものの、下記の要因が挙げられています。

  • 22週以上妊娠37週未満での出産(早産)
  • 子宮内での発育不全
  • 妊娠高血圧症候群
  • 常位胎盤早期剥離
  • 子宮頸管無力症
  • 前置胎盤
  • 絨毛膜羊膜炎
  • 双胎・多胎妊娠
  • 羊水過多・過少症
  • ダウン症候群
  • 染色体異常
  • 遺伝子異常
  • 風疹症候群
  • 母親の喫煙・受動喫煙による影響

ほかにも、新生児の出生体重には母親の年齢との関係が示唆されており、10代の若年妊婦と40代以降の高齢妊婦に低出生体重児を出産する割合が高い傾向です。

また、胎児の段階で判明した疾患の種類によっては、早期出産に踏み切り治療へ移る判断が下されます。そのため、意図的な要因で低出生体重児となることも珍しくありません。

低出生体重児の症状には個人差が大きく、特別な疾患もなく順調に成長発達することもあれば、重い後遺症を残すこともあります。短期間で激しく症状が変化することも多いため、状態に応じた適切な治療を施すとともに、慎重な経過観察が必要です。
(出典:厚生労働省-平成30年度子ども・子育て支援推進調査研究事業「低出生体重児-保健指導マニュアル

NICU・新生児医療の歴史

NICU・新生児医療の歴史

医療技術の進化とともに、新生児医療も日々進歩を続けています。高度な医療機器の開発・普及や、専門的な知識と医療スキルを持った人材の育成・増加に伴い、日本の新生児救命率は世界でも非常に高い水準を保てるようになりました。

リスクやハンデを負った新生児の生存率が上がるにつれ目下の課題となっているのは、「退院後の子どもがどのような人生を送れるか」です。人生における過程や道程は一人ひとり異なるものの、共通する目標として「納税可能な社会人として生きる」ことが挙げられています。

新生児医療において、子どもが成長し社会人として堂々と生きていくために必要な「後遺症なき生存(インタクトサバイバル)」は、重要な目標の1つです。

NICU・新生児医療の普及

リスクやハンデを持って誕生する新生児に対する医療は、1800年代のフランスで始まりました。その後はドイツやヨーロッパからアメリカへと広がり、日本に伝わります。

日本に初めて保育器が輸入されたのは1901年、東京大学が早産児保育に取り組み始めたのは1921年のことです。1940年代も後半にさしかかると、日本でも早産児医療に取り組む機関が増えてきます。1950~1960年代には、新生児専門の未熟児室や医療センターが日本全国に普及しました。

1970年になると新生児治療への積極性も増し、NICUの設置が始まります。以降、周産期母子センターや母子総合医療センターの開設などが続き、地域ごとの新生児医療の発展が進んでいます。さらに、2000年代に入ってからは、周産期医療体制や搬送体制の整備が進みます。2021年4月時点の認定済み施設数は、総合周産期母子医療センター112か所、地域周産期母子医療センター296か所です。

乳児死亡の動向

新生児医療が日本全国に普及するにつれ、乳児の死亡率も大幅に下がっています。かつての日本では、乳児の死亡率が70%を超えており、諸外国と比較しても非常に高い数値でした。しかし、新生児医療が普及し始めた1940年代後半以降、乳児の死亡率は急激に低下し、1980年代には10%を下回ります。

2016年時点での乳児死亡率は2%と、世界でも乳児の生存率が非常に高い国となりました。緩やかではあるものの、近年でも日本の乳児死亡率は低下傾向を見せています。
(出典:厚生労働省「平成30年-我が国の人口動態」

NICUに用意されている入院環境と医療機器

NICUに用意されている入院環境と医療機器

NICUは、特別な医療的処置を必要とする新生児を治療するための空間です。そのため、一般的な入院病棟や新生児室とは異なる環境や設備が用意されています。ここでは、NICUで用意される環境について、詳しく解説します。

ディベロップメンタルケア

NICUでは、できるだけ胎内の環境に近づけるよう、保育器にカバーをかけたり照明を落としたりして環境音調整や照度調整を行います。本来であれば、暗く静かな子宮の中で過ごすはずの時期に産まれた新生児は、外界に対応し切れる身体機能が備わっていません。

日常的な光や音であっても新生児には大きなストレスとなり、エネルギーを消費しすぎることや成長が阻害されることがあります。外的ストレスを最小限に抑え、新生児が安心して過ごせる環境を整えるのがディベロップメンタルケアです。

ポジショニング

新生児は、子宮の中にいるときと同じく、少し丸まった状態でいるほうが体勢が安定し、リラックスして過ごせます。しかし、産まれて間もない新生児は筋力が弱く、自力で姿勢を保てません。そのため、看護師たちがリネンやタオルなどを使って新生児の身体を包み、保育器の中で安心して過ごせるよう体勢を整えます。

感染対策

抵抗力の低い新生児を感染から守るために、治療や看護の際は医師と看護師の手洗い・消毒・手袋着用が原則です。また、NICUは、外部より高い気圧を保つことで外気やホコリ・ゴミの侵入を防止できる、バイオクリーンルームであることが義務づけられています。

以下では、NICUで用意されている主な医療機器について紹介します。

保育器

保育器は、新生児が過ごす空間を母親の胎内に近づけるなど、個人の状態に合わせて適切な温度・湿度に保つための機器です。

新生児は、成人と比べて体温を調節する機能がうまく働きません。わずかな気温の変化で大きな影響を受けやすく、体温維持にエネルギーを使いすぎると体調を崩したり成長が阻害されたりします。保育器で温度と湿度を一定に保つことで、新生児が消費するエネルギーを最小限に抑え、正常な成長を促すことが可能となります。

また、肺が未発達な新生児が必要とする、高い酸素濃度を保つ機能もあります。保育器はほぼ密閉状態にあり、送り込まれる空気をフィルターでろ過することで、ほこりや細菌の侵入を防ぐ効果も期待できます。

各種モニター

NICUで使用する保育器には、下記に代表される機器に対応したモニターが併設され、一目で新生児の状態が把握できるようになっています。

  • 換気モニタ・カプノメーター
    新生児の呼吸状態、人工呼吸器の稼働状況を把握する
  • 呼吸・心拍モニタ
    部に張りつけた3つのセンサーから、呼吸数・呼吸深度・心拍数を把握する
  • SpO2モニタ(パルスオキシメーター)
    手足に巻きつけたセンサーから、脈拍と血液中の酸素飽和度を把握する
  • 観血的血圧モニタ
    動脈に挿入した点滴ラインから血圧を把握する
  • 非観血的血圧モニタ
    四肢に巻きつけたセンサーから血圧を把握する
  • 経皮酸素炭酸ガス分圧モニタ(TcPO2・TcPCO2)
    表皮に貼りつけたセンサーから、血液中の酸素・炭酸ガスの濃度を把握する
  • 体温プローベ
    皮膚の表面から体温を把握する

また、おしめの重量変化を察知して尿量を測定する機器などもあります。

人工呼吸器

人工呼吸器は、自力での呼吸が困難な新生児や、酸素と二酸化炭素のガス交換がうまくいかない新生児に使用する機器です。

NICUに入院する新生児は、呼吸するための筋肉が未発達で弱く、思うように空気が取り込めないことや、呼吸を休んでしまうことが珍しくありません。人工呼吸器で濃度の高い酸素や陽圧のガスなどを送り込むことで、新生児の呼吸を助けます。

人工呼吸器の装着方法は、鼻マスクやチューブ、鼻カニューレなど、新生児の状態によってさまざまです。非常に状態の悪い新生児には、ECMOが使用されることもあります。

NICUが不足している原因とは?

NICUが不足している原因とは?

日本全体で見れば、周産期医療体制の整備が進んだことで新生児の死亡率も下がり、NICUの病床数は安定しているように思われます。しかし、実際にはNICUの不足を訴える地域が少なくありません。
(出典:厚生労働省-平成30年度子ども・子育て支援推進調査研究事業「低出生体重児-保健指導マニュアル」

現在、NICUが不足している原因には、主に下記の3つが挙げられます。

  • 新生児がハイリスクで産まれる確率が高くなり、需要が増加したため
  • 長期入院する新生児が増えたことで、NICUの利用効率が低下しているため
  • 病床はあるものの、未稼働状態にあるため

上記の中で、特に大きな原因となっているのが、ハイリスク新生児の増加です。これには、妊娠・出産に至る母親の高齢化が要因の1つに挙げられるでしょう。また、退院後の在宅医療が困難な家庭が多いことや、医師・看護師の不足で病床が稼働できないことも、NICUの不足に拍車をかけています。

新生児医療の改善策として、NICU運営のバックアップや地域での役割分担、医師の確保なども検討されているものの、未だ不足の解消まで至っていないのが現状です。
(出典:厚生労働省「NICUが不足する理由」

NICUで働く看護師の仕事内容

NICUで働く看護師の仕事内容

NICUで働く看護師の主な役割は、大きく「新生児の治療・ケア」と「ご両親へのケア・対応」の2つがあります。具体的には、下記のような業務をこなすことになります。

  • 赤ちゃんの健康管理
  • 医療的ケア
  • 急変時の対応
  • ご両親の精神的ケア

ここからは、各項目に分けてそれぞれの仕事内容を詳しく紹介します。

赤ちゃんの健康管理

NICUに入院する赤ちゃんの健康管理は、NICUで働く看護師の重要な仕事です。モニター画面を確認しながらバイタルチェックを行ったり検温を行ったりすることは、日々欠かせない業務となります。

また、NICUに入院する赤ちゃんは、一般的な子どもや大人と比較して抵抗力が著しく低いため、わずかな変化も見逃せません。万が一何らかの異変や変化が見られた場合は、すぐに医師に報告して指示を仰ぐ必要があります。

健康管理においては、母親の代わりにミルクを与えたりおむつを交換したりなど、赤ちゃんの日常生活のサポート欠かせない業務といえるでしょう。

医療的ケア

NICUで働く看護師は、輸血や注射などの医療的ケアも日々行います。医療的ケアは一般病棟でも看護師の専門領域となりますが、一般病棟と大きく異なる点が「使う薬の量には、より注意しなければならない」という点です。

NICUに入院する赤ちゃんは抵抗力が低いだけでなく、体のサイズが非常に小さいことも特徴となっています。そのため、薬の量を1mlでも間違えると、赤ちゃんの体に大きな影響を及ぼす可能性が高まるでしょう。

特に新生児はすべての器官が繊細となるため、看護師が単独で処置を施すケースはさほどありません。基本的に医師の指示を受けて作業をするものの、NICUで働くからには1mlの誤差も起きないような丁寧さや専門的な知識が求められることも特徴です。

急変時の対応

NICUに入院する赤ちゃんが急変したときに適切な対応をとることも、NICUで働く看護師の重要な役割です。NICUはいわゆる集中治療室となるため、赤ちゃんの急変が起こりやすくなっています。

時には、不測の事態に対応しなければならないことも多々あるでしょう。NICUで働く看護師は、このように逼迫した状況であっても、冷静に、かつ適切に対応しなければなりません。そのため、蘇生に関するスキルをはじめとしたさまざまな知識を得ておくことが大切です。

ご両親の精神的ケア

生まれたばかりの子どもをNICUに入院させるといった状況は、ご両親にとって非常につらいものとなります。大きな不安から、精神的に不安定となってしまうケースも珍しくありません。NICUで働く看護師は、不安を抱えたご両親の精神的ケア・医療サポートを実施することも大切な業務です。

ご両親が悲しみやショックを乗り越えて、退院後も赤ちゃんとよい親子関係を築き上げられ、ストレスなく育児をできるようにするためにも、NICUで働く看護師は常にご両親に寄り添ってあげることが重要です。面会時間中はママ・パパと一緒に赤ちゃんの体を拭いてあげる・おむつ交換をするなどして、家族の絆を育むサポートを行いましょう。場合によっては、育児支援・育児指導を行うケースもあります。

看護師がNICUで働くメリット・デメリット

看護師がNICUで働くメリット・デメリット

NICUで働くことを検討する際は、NICUならではのメリット・デメリットを理解したうえで選択しましょう。看護師がNICUで働く場合の主なメリットとデメリットは、以下の通りです。

メリット

NICUは、新生児の治療・看護に特化した医療施設です。そのため、一般病棟よりも最新の医療機器を取りそろえていたり、珍しい症例の看護を担当したりすることも少なくありません。業務で自然と高度かつ専門的な医療知識と看護スキルが身につくため、将来的に新生児看護や小児看護を専門にしたい方にとって、実務経験を積む絶好の環境となるでしょう。

また、産まれたときは弱弱しかった新生児が次第に回復する姿は、何物にも代えがたい喜びを与えてくれます。不安にさいなまれていたご家族も徐々に元気を取り戻し、ともに笑顔で退院を迎えられた日の達成感は、看護師が誇りとやりがいを実感できる瞬間です。

デメリット

NICUに入院する新生児は、微細な数値の変化や対応の遅延が命の危機に直結するため、看護師たちは常に神経を尖らせた状態で働きます。また、どれほど手を尽くしたとしても、すべての新生児が無事に退院の日を迎えられるわけではありません。勤務時間が不規則になりやすいこともあり、精神面・体力面で大きな負担がかかる仕事です。

NICUでの勤務に向いている方とは?

NICUでの勤務に向いている方とは?

新生児の看護に携わりたいと考えている方の中には、「厳しい現場で役割を果たし切れるのか」を気にする方もいるでしょう。

ここから紹介するような特徴をもっている方は、NICUでの勤務に向いています。なお、すべて当てはまっていなければNICU勤務が難しいというわけではありません。

几帳面で細かいことに気がつく方

自らの症状を言葉で説明できず、声すら上げられないこともある新生児の看護では、わずかな様子の変化や数値の差から異常を感知しなければなりません。そして、少しでも新生児の負担を減らすためには、細部まで気を抜かず丁寧なケアを継続できる几帳面さが求められます。

コミュニケーションが得意な方

NICUに入院する新生児のご家族は、精神的に不安定で神経質になりやすい傾向です。やり場のない気持ちを看護師にぶつけたり、不確かな情報に惑わされたりすることも少なくありません。そのようなときにも、相手の気持ちに寄り添いながら精神的ケアに努め、協力関係を築き上げられる高いコミュニケーション能力が必要です。

精神力が強い方

NICUに入院する新生児は重症の子も多く、中には治療の甲斐なく亡くなってしまうこともあります。失われた命を惜しむ気持ちは大切ですが、いつまでも感情を引きずってほかの新生児に影響が出る事態は避けなければなりません。節目で自分自身の気持ちを切り替えて仕事に臨める性質の方は、NICUでの勤務に向いています。

また、上記の条件に当てはまらなくても、NICUに向いていないわけではありません。最も重要なのは、赤ちゃんへ愛情を持てることと、長時間接しても苦にならないことです。「新生児看護に携わりたい」と考えられる方は、ぜひNICUでの勤務を検討してみましょう。

NICUで働くために取得するとよい資格は?

NICUで働くために取得するとよい資格は?

NICUは、生まれたばかりの赤ちゃんという状態の不安定な患者さんがいる病棟・施設となるため、高度な技術やスキルが求められる傾向にあります。しかし、基本的には看護師資格さえ取得していればNICUで働くことは可能です。

しかし、業務に役立つその他の資格を取得すれば、より幅広い分野で活躍できるようになります。特におすすめの資格が、「新生児集中ケア認定看護師」と「助産師」の2つです。ここからは、それぞれの資格について概要・取得方法を解説します。

新生児集中ケア認定看護師

新生児集中ケア認定看護師とは、生まれた直後から何らかの疾患が発見され入院治療が必要となった新生児たちや、ハイリスク状態となった赤ちゃんたちを対象に適切かつ専門的な看護ケアを実施できる看護師に与えられる認定資格です。

新生児集中ケア認定看護師の資格取得で学べる内容には、下記が挙げられます。

  • ハイリスク新生児の容態変化までも予測した重篤化予防
  • 赤ちゃんの生理学的安定・発育促進に向けた看護ケア
  • 親子関係の形成支援 など

上記の専門スキルを得ることで、NICUでは責任あるポストを目指せます。時には、周囲の看護師に質の高い看護を提供できるよう働きかけながら、教育・指導にあたるケースもあるでしょう。

新生児集中ケア認定看護師資格を取得するためには、看護師資格の保有が大前提です。その上で、下記の条件を満たす必要があります。

  • 通算5年以上の実務研修を行う(うち3年以上は新生児集中ケア部門)
  • 特定行為研修が組み込まれた認定看護師教育課程を修了する
  • ハイリスク新生児における生後1週間以内の看護ケア・家族看護実績を5例以上(うち1例以上はハイリスク新生児の退院支援)を有する

これらの条件を満たして初めて新生児集中ケア認定看護師の認定審査資格が与えられます。筆記試験を含む認定審査に合格すると、晴れて新生児集中ケア認定看護師の資格を取得できます。
(出典:公益社団法人 日本看護協会「専門看護師・認定看護師・認定看護管理者」

助産師

助産師とは、妊娠から出産におけるケアはもちろん、産後も母子の健康を支えるためのケアを実施する「助産行為の専門職」です。看護師と同様に国家資格となっていますが、助産師資格を取得するためには看護師資格の保有が条件となっており、より高度かつ専門的な知識の保有を証明できる資格といえるでしょう。

助産師の資格を保有すれば、助産所や産院などさまざまなフィールドで活躍することが可能です。NICUで働く助産師も比較的多く、その高度な知識から重宝されるでしょう。分娩介助は助産師ならではの業務となるため、助産師が不足する病院の場合はNICUだけでなく産科で活躍するケースもあります。

前述の通り、助産師になるためには看護師資格の保有が大前提です。その上で、1年以上必要な学科(短大・専門学校・大学院助産師課程)を修了し、助産師国家試験に合格することで助産師資格を取得できます。
(出典:公益社団法人 全国助産師教育協議会「助産師を目指す方へ」

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まとめ

NICUは、リスクやハンデを持った新生児を集中的に治療・看護する部門です。精神面・体力面での強さが必要ではあるものの、やりがいを感じられたり最新の医療知識・スキルを身につけられたりするメリットもあります。新生児医療に興味がある方は、NICUでの勤務も候補に入れるとよいでしょう。

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※当記事は2022年10月時点の情報をもとに作成しています

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