• 2022年1月18日
  • 2023年2月13日

看護助手に資格はいらない? 役立つ資格の種類と取得するメリットを紹介

 

看護助手をめざす人のなかには、「看護助手に資格は必要? 」「役立つ資格はあるの? 」と疑問に思っている方もいるでしょう。看護助手は資格のいらない仕事で、看護師が不足している医療現場において活躍が期待されています。

この記事では、看護助手の仕事に役立つ資格を3つ紹介します。また、看護助手が資格を取得するメリットも解説しているので、ぜひ参考にしてください。

看護助手は資格がいらない

看護助手になるために、資格は必要ありません
応募先の求人条件さえ満たしていれば働けるため、看護師や准看護師に比べて、医療現場で働くハードルは低いといえるでしょう。ただし、看護助手は看護に関する資格を保有していないので、医療行為は行えません。

看護助手とは

看護助手とは

看護助手とは、看護師の補助業務を行う職種のことです。看護補助者やナースエイドとも呼ばれ、主に患者さんの身体ケアや身の回りのお世話、環境整備などを行います。

看護師・准看護師との違い

看護助手と看護師・准看護師との違いは、下記のとおりです。

必要な資格 医療行為の可否
看護助手 なし ×
看護師 看護師免許(国家資格/厚生労働大臣が発行)
准看護師 准看護師免許(都道府県知事が発行)

看護師や准看護師として働くには、看護師免許または准看護師免許が必要です。大学や看護師養成所、准看護師養成所を卒業したあとに、資格試験を受けて免許を取得します。看護師と准看護師は免許を保有しているため、医療行為を行うことが可能です。

一方、看護助手は看護に関する資格を保有していないため、医療行為は行えません。しかし、多忙な看護師をサポートする存在としてニーズの高い職種です。

看護助手の仕事内容

看護助手は主に看護師のサポートや患者さんの身の回りのケアのほか、院内の環境整備を行っています。

看護師のサポート

看護助手は看護師のサポート役として、カルテや備品の整理、書類の作成、患者さんの誘導、医師へ検査結果の伝達などを行います。看護師が看護に専念できるよう、医療行為以外のサポートをするのが看護助手の仕事です。

患者さんの身の回りのケア

看護助手は看護師の指示に従い、患者さんの食事介助や入浴介助、排泄介助、移乗介助といった介助全般を行います。また、患者さんやその家族と話をして心のサポートをするのも大事な仕事です。患者さんにとって、看護助手は看護師同様、とても身近な存在といえます。

院内の環境整備

看護助手はベッドメイキングやリネン交換、病室の清掃、医療器具の準備・片付け・消毒といった院内の環境整備も行います。医療従事者が医療に専念できるようにサポートしたり、患者さんが過ごしやすい環境を整えたりするのも大事な仕事です。

看護助手の平均給料

厚生労働省の「令和3年賃金構造基本統計調査 結果の概況」によると、看護助手の平均給料は21万6,100円です。

なお、看護助手と看護師、准看護師では、給料・ボーナス・年収に大きな差があります。

給与 ボーナス 年収
看護助手 21万6,100円 44万9,800円 304万3,000円
看護師 34万4,300円 85万4,600円 498万6,200円
准看護師 28万6,700円 62万6,800円 406万7,200円

看護助手と看護師とでは、給料に約13万円もの差がありました。年収では約194万円の差です。
資格保有者である看護師と准看護師は、医療や看護に関する豊富な知識・技術を有しています。無資格で従事可能な看護助手とは行う業務が異なるため、得られる給料に大きな差があります。

参照元:厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査 結果の概況」

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看護助手の仕事に役立つ資格の種類

看護助手は資格がなくてもなれるものの、働くうえで持っていると役立つ関連資格がいくつかあります。

メディカルケアワーカー®

「メディカルケアワーカー®」は、医療福祉情報実務能力協会が認定する民間資格です。資格を取得すると、福祉介護業務の知識やスキルを持っていることを証明できます。

試験概要

メディカルケアワーカー®の試験概要は、以下のとおりです。

2級 1級
受験資格 以下のいずれかに該当する人
●医療福祉情報実務能力協会が認める実務経験が1年以上ある人
●医療福祉情報実務能力協会が指定する機関でメディカルケアワーカー®講座を受講修了した人
メディカルケアワーカー®検定試験2級に合格した人
試験内容・範囲 【学科】
(1)病院環境衛生学
看護助手論、看護マナー、消毒学
(2)医科薬科学
医科病理学群、薬理学群

【文章作成】
記述問題(約800文字)

【学科】
(1)基礎心理学
看護と心理学、人間の間隔と心理、人間の欲求と心理、初級カウンセリング技法、実技緒論
(2)実技緒論
看護助手の行う看護補助業務についての実技知識、ベッドメイキング、罨法、身体の清潔、人体環境保持、病床環境の調整、安楽な体位、褥創の予防、歩行介助、身体介助、車椅子での移動、消毒法

【文章作成】
記述問題(約800文字)

合格率 72.7% 75.8%
受験料 7,700円 8,700円

医療福祉情報実務能力協会が指定する機関でメディカルケアワーカー®講座を受講した方は、1級と2級の併願も可能です。試験は1級が年1回、2級が年2回行われています。

公式テキストなどは販売されていないため、勉強する際は指定教育機関でメディカルケアワーカー®講座を受講したり、通信講座などで勉強したりすると良いでしょう。

参照元:医療福祉情報実務能力協会 「メディカルケアワーカー®(看護助手)検定試験」

看護助手認定実務者試験

全国医療福祉教育協会が認定する「看護助手認定実務者試験」は、医療現場で即戦力として働くための知識や技能が備わっていることを証明できる資格です。試験制度の見直しにより、2020年度から名称が「看護助手実務能力認定試験」から「看護助手認定実務者試験」へと変更されました。

試験概要

看護助手認定実務者試験の概要は、以下のとおりです。

受験資格 なし
受験料 一般受験:5,000円
認定機関に通学している場合:4,500円
試験形式 学科問題(マークシート):35問
試験内容・範囲 【学科】
●看護助手業務と役割の理解:10問
●患者の理解:10問
●看護助手業務を遂行するための基本技術:15問
合格基準 正答率6割以上
合格率 60~80%

看護助手認定実務者試験は誰でも受験できるため、挑戦しやすい資格といえるでしょう。公式テキストが販売されているので、独学で勉強して受験することも可能です。

参照元:全国医療福祉教育協会- 看護助手認定実務者試験

介護職員初任者研修

「介護職員初任者研修」とは、介護職として業務を行ううえで最低限の知識や技術、介護を実践する際の考え方を身につけられる研修のことです。かつては、ホームヘルパー2級と呼ばれていましたが、2013年4月の介護保険法施行規則改正により介護職員初任者研修に変更されました。

研修概要

介護職員初任者研修の概要は、以下のとおりです。

受験資格 なし
研修科目と研修時間 ●職務の理解:6時間
●介護における尊厳の保持・自立支援 :9時間
●介護の基本:6時間
●介護・福祉サービスの理解と医療との連携:9時間
●介護におけるコミュニケーション技術:6時間
●老化の理解:6時間
●認知症の理解:6時間
●障害の理解:3時間
●こころとからだのしくみと生活支援技術:75時間
●振り返り:4時間
合計130時間
研修が行われる場所 都道府県知事が適当と認める高齢者・障害者施設など
受講費用 4万円~10万円ほど
試験の有無 受講機関によって終了試験がある

介護職員初任者研修を受講するのに受験資格や要件はなく、誰でも受けられます。ただし、受講する機関によって費用はさまざまです。受講機関によって2倍ほどの金額差になる場合もあるので、受ける際は事前に調べておくと良いでしょう。

参照元:厚生労働省 – 介護職員・介護支援専門員

看護助手が資格を取得する5つのメリット

看護助手は無資格でも働けますが、資格を取得することで得られるメリットがあります。

1.知識や技術が身につく

資格を取得することで、仕事をする際に必要な知識や技術が身に付きます。
医療現場では、医療用語や医療機器の名前が飛び交います。何も知らない状態だと、業務の説明をされても分からないことだらけで戸惑ってしまうでしょう。しかし、資格を取得することで予備知識が身に付くので、業務について理解しやすくなりスムーズに働けるでしょう。

2.自信を持って仕事を行える

勉強で得た知識や技術はもちろん、資格を取得するために努力したことは大きな自信に繋がります。初めて看護助手として働くときには不安もありますが、蓄えた知識や技術が糧となり自信をもって仕事に臨めるでしょう。

3.周囲からの信頼度が増す

資格取得で得た知識や技術を活かして働くことで、一緒に働く人たちからの信頼を得られます。医療や看護に関する知識を持っていることで、看護師から受ける指示の意図を読み取ることが可能です。そのため、連携がスムーズにいき的確に動けるでしょう。

4.採用で有利になる

資格を持っていると知識や技術があることの証明になるため、採用で有利に働くでしょう。看護助手は資格が無くても働ける職種ですが、知識や技術がある資格保有者のほうが即戦力になると判断されます。また、看護助手になるために資格を取ったモチベーションも評価される可能性が高いです。

5.活躍の場が広がる

看護助手が活躍できる場所は、医療機関だけではありません。看護師の随行者として在宅医療を行っている患者宅へ訪問することもあります。

また、超高齢社会の日本では、看護職だけでなく介護職のニーズも高まっています。そのため、介護職員初任者研修など介護関連の資格を取得していると、介護施設でも活躍できるでしょう。

看護助手の仕事のやりがい

看護助手の仕事のやりがい

看護助手は医療行為ができないとはいえ、患者さんや医療従事者の役に立っていることを実感できる場面が多い仕事です。看護助手の仕事のやりがいには、以下のようなものが挙げられます。

患者さんや家族の支えになれる

看護助手は患者さんの身の回りのケアをする際に、悩みを聞いたり相談に乗ったりします。ときには、患者さんのご家族とお話をすることもあるでしょう。患者さんやそのご家族にとって、看護助手は看護師同様身近な存在です。患者さんが笑顔になったりご家族に感謝されたりしたときは、やりがいだけでなく喜びも感じられるでしょう。

医療従事者のサポートができる

看護助手は医療に関する資格を有していませんが、医師や看護師のサポートとして医療に携われます。看護助手の仕事内容は、カルテや備品の整理、書類の作成、患者さんの誘導などさまざまです。どれも多忙な医師や看護師を手助けできる仕事で、臨機応変にサポートできたときには大きなやりがいを感じられるでしょう。

看護・介護の知識が身につく

看護助手は医療行為を行うことはありませんが、医療現場で働くうちに自然と医療や看護、介護に関する知識が身に付くでしょう。看護助手の仕事によって得られた看護・介護の知識や技術は、自身の子育てや親の介護の場面で役に立つはずです。また、働きながら経験を積んで、看護師や介護職をめざすこともできます。

看護助手に向いている人とは

看護助手に向いている人

看護助手は看護師と同様で体力が必要なうえ、患者さんやそのご家族と関わることが多いため、高いコミュニケーション能力が必要です。また、サポート役として気配りも必要とされます。
以下では、看護助手に向いている人の特徴を3つ紹介します。

コミュニケーション能力が高い人

看護助手は患者さんやその家族、看護師、医師など、多くの人と接する仕事なので、コミュニケーション能力が必要不可欠です。コミュニケーションが上手くとれないと看護師や医師とすれ違いが起きてしまい、患者さんに質の高いケアを行なえない可能性があります。積極的に患者さんに話しかけて情報収集をしたり、医師や看護師と連携できたりする方は看護助手に向いているでしょう。

体力がある人

看護助手の仕事には、患者さんの体位変換や入浴介助、移乗介助など、力が必要な業務が多々あります。また、基本的に立ち仕事なうえ、清掃や食事の配膳などで病院内を動き回っているため、体力が必要です。

気配りができる人

看護助手は患者さんの療養や看護師の仕事をサポートする仕事のため、つねに周りに気を配って動ける人が向いているといえます。患者さんの気持ちを理解して言葉を発したり、看護師が次に行う処置を見越して器具を準備したりなど、的確なサポートができる方が重宝されるでしょう。

まとめ

看護助手は看護師や准看護師とは異なり、働くために特別な資格は必要ありません。

ただし、医療現場でより活躍するには、「メディカルケアワーカー®」「看護助手認定実務者試験」「介護職員初任者研修」などの資格を取得するのがおすすめです。看護関係の仕事で活躍したい方は、ステップアップにつながる資格取得をめざしましょう。
看護関係の仕事に挑戦したいと考えている方は、マイナビ看護師にご相談ください。
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