• 2021年11月12日
  • 2023年10月12日

助産師になるには? 必要資格・学校・助産師国家試験の難易度を解説

 

出産の介助を行い、妊産婦や新生児のケアに努める助産師は、新たな生命が誕生する瞬間に欠かせない大切な存在です。妊娠中や出産後のお母さんに対するケアの重要性が認知されつつあることから、お産の場以外でも活躍し、頼りにされる存在でもあります。

この記事では、助産師となるために必要な資格や代表的なプロセス、助産師になるまでの年数・費用、助産師国家試験の難易度などを解説します。さらに、助産師の仕事内容や収入、需要などにも触れるため、助産師に興味がある方はぜひ参考にしてください。

助産師になるには? 必要な資格と代表的なプロセス

助産師とは、妊産婦および新生児・乳児の保健指導や健康相談に乗るなど、主に妊娠・出産に関わる問題に精通した専門家です。大多数が産婦人科のある医療機関や助産所などで勤務します。

保健師助産師看護師法で定められた助産師の定義は、下記の通りです。

保健師助産師看護師法 第三条

この法律において「助産師」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、助産又は妊婦、じよく婦若しくは新生児の保健指導を行うことを業とする女子をいう。

(引用:e-Gov法令検索「保健師助産師看護師法」

下記は、助産師となるために必要な条件・資格です。

  • 看護師免許
  • 助産師免許
  • 女性

助産師となるためには、毎年2月に行われる助産師国家試験に合格し、助産師免許を取得する必要があります。助産師国家試験を受験するためには、看護師免許を取得したうえで助産師課程を1年以上履修するか、厚生労働大臣が指定した助産師養成所を卒業しなければなりません。また、現時点において「女性」であることが日本で助産師免許を取得するための絶対条件となっています。

助産師を目指すためのルートは、主に下記の3つです。

  • 看護師課程・助産師課程を含む4年制大学から助産師を目指す
  • 看護大学・短期大学・専門学校から助産師を目指す
  • 看護師として働きながら助産師を目指す

助産師課程では、下記の科目・実習を行います。

○助産師課程の学習科目

  • 基礎助産学
  • 助産診断・技術学
  • 地域母子保健
  • 助産管理

○病院・助産所・周産期センターなどでの臨地実習

  • 妊娠期:妊娠検診・保健指導など
  • 分娩期:分娩介助実習・産婦や家族のケアなど
  • 分娩後:母子の支援実習など

○女性のライフサイクルに関わる実習

以下では、助産師になるまでの具体的なプロセスを、各ルート別に解説します。

看護師課程・助産師課程を含む4年制大学から目指す場合

看護師課程・助産師課程を含む4年制大学から助産師を目指すルートを選ぶと、最短で助産師資格を取得することが可能です。大学の最終学年で看護師国家試験と助産師国家試験をダブル受験し、双方をクリアできれば卒業してすぐに助産師として働けます。

看護系大学・助産師選択課程(4年)

看護師国家試験・助産師国家試験(ダブル受験)

看護師課程・助産師課程を含む4年制大学に通うと4年間で看護師課程と助産師課程を履修できるため、時間やお金に余裕がない方には効率がよい方法といえるでしょう。反面、短い期間で2つの国家試験対策を進めなければならず、高い自己管理能力と要領のよさが必要となります。

また、ダブル受験の場合、助産師国家試験に合格できても、看護師国家試験が不合格であった場合、助産師免許も取得できない点に注意が必要です。大学によっては助産師課程の定員に上限があるほか、成績上位者に優先権がある場合もあるため事前に確認しましょう。

看護大学・短期大学・専門学校から目指す場合

看護大学・短期大学・専門学校から助産師を目指すルートは、先に看護師免許を取得してから助産師課程のある教育機関で学び、助産師国家試験を受ける流れとなります。

看護大学(4年) 短期大学(3年) 専門学校(3年)

看護師国家試験

看護系大学院 (2年) 看護大学専攻科・別科(1年) 看護短期大学専攻科 (1年) 助産師養成所 (1年)

助産師国家試験

看護師免許と助産師免許を別々に取る方法では、それぞれの学校が設けるカリキュラムにじっくりと取り組めます。看護の専門的な知識を深めたい方は専門学校、一般教養も学びたい方は看護大学や短期大学など、身につけたい知識の方向性によって進路先を選ぶとよいでしょう。

ただし、助産師養成所などは学校数・定員が少ないため競争率が高い点や、看護系大学院に入るためには大学卒業の学士が必要といった点に注意が必要です。このルートでは2回入試を受けなければならないうえ、在学年数も長くなることで経済的な負担が大きくなります。

すでに看護師として働いている場合

すでに看護師として働いている人が助産師を目指すルートは、看護大学などから助産師を目指すルートとほぼ同じです。

看護系大学院 (2年) 看護大学専攻科・別科(1年) 看護短期大学専攻科 (1年) 助産師養成所 (1年)

助産師国家試験

助産師に必須の看護師免許は取得済みのため、助産師養成所などで助産師としての必修科目を履修すれば、助産師国家試験の受験資格を得られます。このルートは、看護師として臨床経験を積むなかで助産師の仕事に魅力を覚えた方、何らかの理由で一度は夢を諦めたものの再挑戦する方が多い傾向です。

働きながらの入試対策や受験勉強は大きな困難が伴いますが、勤務先によっては進学休職制度などのバックアップ体制が整っている場合もあります。

助産師になるには最短で何年で何歳までになれる?

助産師になるには最短で何年で何歳までになれる?

助産師を目指している方のなかには、「助産師になるには最短で何年で、何歳までになれるか」が気になる学生の方も多いでしょう。

以下では助産師になるまでのルートを3つに分けて、それぞれのルートでは最短で何年・何歳までに助産師になれるかを説明します。

普通科高校などから4年制大学・4年制専門学校に進学する場合

普通科高校などから4年制大学・4年制専門学校に進学する場合は、助産師養成課程を選択します。助産師養成課程を修了し、4年制大学・4年制専門学校を卒業する年に看護師と助産師の国家試験を受験可能です。

一般的に、大学・専門学校へと入学するときの年齢は19歳であるため、4年制大学・4年制専門学校を卒業するときの年齢は22歳になります。

つまり、4年制大学・4年制専門学校に進学する場合は「最短で4年・22歳」で助産師になれます。
(出典:厚生労働省「助産師 – 職業詳細」
(出典:文部科学省「高等学校における看護教育」

普通科高校などから3年制短期大学・3年制専門学校に進学する場合

普通科高校などから3年制短期大学・3年制専門学校に進学する場合は、まず看護系の学校を選ぶ必要があります。看護系の3年制短期大学・3年制専門学校を卒業する年に、看護師国家試験を受験可能です。

看護師免許取得後は、助産師養成所などに1年間通うことで助産師国家試験を受けられます。助産師養成所とは、助産師になるための知識・技術を修得できる助産師養成機関です。助産師養成所を卒業する年に助産師国家試験を受験できます。

19歳で3年制短期大学・3年制専門学校に入学、21歳で卒業し、さらに助産師養成所を卒業するときの年齢は22歳です。以上をまとめると、3年制短期大学・3年制専門学校に進学する場合は「最短で4年・23歳」で助産師になれます。
(出典:厚生労働省「助産師 – 職業詳細」
(出典:文部科学省「高等学校における看護教育」

2-3. 中学校から高校の看護科などに進学する場合

中学校から高校の看護科などに進学する場合は、「5年一貫教育の高校・看護科」「3年教育の高校・衛生看護科」という2種類のルートがあります。

5年一貫教育の高校・看護科は、看護師養成課程を5年間の一貫教育で行う学校です。卒業後に看護師国家試験の受験資格が得られます。

もう1つの3年教育の高校・衛生看護科は、准看護師養成課程を3年間行い、高校卒業後に准看護師試験の受験資格が得られる学校です。准看護師の資格取得後は2年制の専攻科などに進学し、看護師を目指します。

どちらのルートも看護師免許取得後は、助産師養成所などに1年間通うことで助産師国家試験を受験できます。

16歳で高校に入学し、20歳で看護師免許取得、21歳で助産師免許取得という流れが最短です。まとめると、中学校から高校の看護科などに進学する場合は「最短で6年・22歳」で助産師になれます。
(出典:厚生労働省「助産師 – 職業詳細」
(出典:文部科学省「高等学校における看護教育」

助産師になるためにかかる費用

助産師になるためにかかる費用

助産師免許を取得するまでには、下記の費用が必要となります。

  • 看護学校などの受験費用
  • 入学金
  • 授業料
  • 教科書代
  • 校外実習費用
  • 施設管理費
  • 実習衣など
  • 国家試験の受験費用

各費用の詳細は、「辿るルート」や「通う学校の種類」によって大きく異なるものの、一般的に国公立大学よりも私立大学・専門学校のほうが高額となる傾向にあります。

下記は、各看護系の学校で初年度に必要となる入学金・授業料の目安です。

公立大学 約66万~117万円
国立大学 約82万~93万円
私立学校 約115万~240万円
専門学校 約25万~156万円
短期大学 約120万~165万円

上記に加えて教科書代や実習費なども必要となります。4年制大学を選ばずに助産師養成所へ通う場合は、さらに下記の費用が必要です。

助産師養成所など 約35万~300万円

ルートによっては高額な学費が必要となるため、自分の経済状態も加味して進路を選びましょう。

奨学金・支援制度について調べることも重要

助産師を目指す場合、一般的な学生に対する奨学金制度以外にも、日本助産師会や病院、都道府県が設ける奨学金・支援制度を利用できる場合があります。ただし、病院や都道府県の制度を利用する場合は、卒業後の就業先が限定される点に注意が必要です。

日本助産師会が設ける奨学金制度では、貸与対象が助産師課程を専攻中など条件や期間が限られるものの、比較的自由に就職先を選べます。
(出典:日本助産師会「奨学金貸与制度(学生向け)」

返済義務や利子の有無など、支援元や制度によって諸条件が異なるため、卒業後の進路を考慮したうえで奨学金や支援制度を選ぶことが大切です。

助産師国家試験の概要と難易度

助産師国家試験の概要と難易度

下記は、助産師国家試験の概要となります。

試験期日 毎年2月
合格発表日・方法 3月下旬・厚生労働省のホームページで発表
試験科目
  • 基礎助産学
  • 助産診断・技術学
  • 地域母子保健
  • 助産管理
出題方法 マークシート
受験資格 文部科学大臣や都道府県知事の指定した学校・助産師養成所を卒業した者(卒業見込みの者も含む)など
必要書類
  • 受験願書
  • 証明写真
  • 返信用封筒
  • 看護師国家試験合格証書・免許証の写し・修業判定証明書など
必要書類の請求方法
  • 郵送
  • 助産師国家試験運営臨時事務所の窓口
  • 厚生労働省の受付窓口
書類受付期間 11月上旬~12月上旬
受験手数料 5,400円
試験地
  • 北海道
  • 青森県
  • 宮城県
  • 新潟県
  • 石川県
  • 東京都
  • 愛知県
  • 大阪府
  • 広島県
  • 香川県
  • 福岡県
  • 沖縄県
合格率(2023年度) 95.6%(うち新卒者:95.9%)

(出典:厚生労働省「助産師国家試験の施行」
(出典:厚生労働省「第109回保健師国家試験、第106回助産師国家試験及び第112回看護師国家試験の合格発表」

2023年度に実施された助産師国家試験の合格率は95.6%となっており、2011年度以降は95%以上が続くなど非常に高い数値です。稀に難問の出題はあるものの、養成課程で学ぶ学科と実習がしっかりと身についていれば、特別難易度が高いということはありません。
(出典:厚生労働省「保健師助産師看護師国家試験の現状について」

看護師国家試験・保健師国家試験との比較

下記は、2023年度に実施された各国家試験の受験者数・合格者数・合格率を比較した表です。

受験者数 合格者数 合格率
看護師国家試験 64,051人 58,152人 90.8%
保健師国家試験 8,085人 7,579人 93.7%
助産師国家試験 2,067人 1,977人 95.6%

いずれも国家試験合格率は90%を超えています。助産師国家試験の受験には看護師免許が必須であるものの、看護師国家試験に合格できる実力がある方は、助産師国家試験も合格できる可能性が高いでしょう。
(出典:厚生労働省「第109回保健師国家試験、第106回助産師国家試験及び第112回看護師国家試験の合格発表」

助産師の仕事内容や収入

助産師の仕事内容や収入

助産師という職業柄、資格を十分に活かせる・伸ばせる就業場所はある程度限られます。これから助産師を目指す方は、助産師免許の取得後にどのような働き方をするか、あらかじめ把握しておくことが大切です。

ここでは、助産師の仕事内容や収入について解説します。

助産師の仕事内容

助産師の主な就業先や仕事内容は下記の通りです。

【助産師の就業先】

  • 病院
  • 診療所
  • 助産所
  • 保健所
  • 母子保健センター
  • 産後ケアセンター
  • 不妊治療専門クリニック

【助産師の仕事内容】

  • 出産介助
  • 妊産婦・新生児の健康診査・健康教育
  • 授乳の介助
  • 新生児のケア
  • 妊産婦の相談
  • 母親・父親学級の実施
  • 母子の保健指導
  • 育児指導
  • 不妊治療
  • 性および生殖に関する相談
  • 思春期・更年期に関する相談・支援

「助産師」という名称から、助産師の働く場所は助産所というイメージが強いものの、実際には病院や診療所で働く助産師が多い傾向にあります。助産所はベッド数が9床以下の小規模な施設のためスタッフが少なく、勤務する助産師の半数以上が開業者本人であることが理由の1つです。

医師免許を持たない助産師が単独で介助できるお産には限度があり、また常駐の産科医がいない助産所では一切の医療行為が行えません。そのため、帝王切開などの異常分娩や無痛分娩を希望する妊産婦の対応は、病院に勤務する助産師が産科医と連携しながら行うことになります。病院では院内助産や助産外来など、助産師が中心となって妊産婦のケアを担当する形も少なくありません。

助産師が病院に勤務する場合は、看護師と同じように2交替・3交替制のシフトを組むことが一般的です。助産所に勤務する場合の勤務時間は、開業時間が基本となるものの、お産が始まれば時間に関係なく対応します。行政機関に勤務する場合は、保健師などと連携して地域の保健指導にあたる仕事が中心となります。

助産師の平均給与

厚生労働省が公表した2022年度の助産師の平均給与は、約584万円です。看護師の平均給与は約508万円、保健師の平均給与は約481万円となっています。
(出典:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」

助産師の仕事は、夜勤や休日出勤、緊急の呼び出しなどが発生しやすい仕事です。各種手当に加えて出産ごとに分娩手当が支払われる場合もあり、看護系の職種のなかでも比較的給与が多くなる傾向にあります。また、看護師や保健師よりも高度な医療に携わる機会も多く、初めから給与が高く設定されているケースも珍しくありません。自ら助産所を開業する場合は、自分で金額や勤務スタイルを設定できます。

助産師の求人例

2023年8月時点のマイナビ看護師では、助産師に対して下記のような求人が出されています。

施設形態
  • 病院:269件
  • クリニック・診療所:205件
  • 美容クリニック:7件
  • 福祉施設:3件
  • 訪問看護ステーション:34件
  • 一般企業:30件
  • 治験関連企業:2件
  • 保育施設:10件
勤務形態
  • 2交替制:293件
  • 3交替制:82件
  • 夜勤なし:208件
  • 夜勤専従:16件
雇用形態
  • 正社員:534件
  • 契約社員:18件
  • パート・アルバイト:142件
  • 業務委託:5件
担当業務
  • 病棟:190件
  • 外来:62件
  • 手術室:40件
  • 内視鏡室:9件
  • ICU:24件
  • 透析:16件
  • 救急外来:17件

病院やクリニック、診療所から正社員としての求人が多いものの、医療機関以外に専門学校の教員や講師を募集する求人、保育施設などからの求人もあります。

また、なかには夜勤なしや夜勤専従、オンコールなしといった求人もあるため、自分のライフスタイルに合わせた職場を選ぶことも可能です。未経験を歓迎する職場や、各種手当や休暇をはじめ福利厚生が充実した魅力的な職場も珍しくありません。

助産師の需要や将来性

助産師の需要や将来性

出生率の低下や少子化が重大問題として取り上げられる昨今、助産師を目指す方にとってはこの先も仕事として継続できるかどうかが気になるところでしょう。確かにお産の数自体は減っていますが、助産師は十分な需要や将来性が期待できる職業です。

ここでは、助産師の需要や将来性について解説します。

助産師の有効求人倍率

2022年度における助産師の有効求人倍率は、およそ1.48倍です。看護師の有効求人倍率はおよそ2.53倍、保健師はおよそ1.21倍となっており、看護師に比べて助産師の有効求人倍率は低いものの、十分に需要があります。
(出典:職業情報提供サイト(日本版O-NET)「助産師」
(出典:職業情報提供サイト(日本版O-NET)「看護師」
(出典:職業情報提供サイト(日本版O-NET)「保健師」

2015年に日本看護協会が算出した、お産に関わる助産師の必要人数は38,938人です。この計算には助産所の開業者や職員、助産教員などは含まれていないため、実際にはさらに多くの助産師が必要といえるでしょう。
(出典:日本看護協会「助産師必要人数算出に関する提案」

また、2019年時点で病院・診療所・助産所に就業している助産師は36,987人となっています。都道府県別で助産師の就業者数を比較すると、人口10万人に対し15.7~32.4人と大きな開きのあることが実情です。地域によっては必要な数の助産師が確保できないケースも少なくありません。
(出典:日本看護協会「周産期医療の現状・課題」
(出典:日本看護協会「看護統計資料」

助産師が必要とされる背景

近年は少子化が進んでいるため、お産の数自体は減っています。しかし、日本で子どもが産まれ続ける限り、助産師という仕事の需要がなくなる可能性はありません。新たな助産師免許の取得者が年間に2,000人程度であるなか、現役を退く助産師もいることを考えると、しばらくは助産師の需要は下がらないでしょう。

全国的に問題となっている産科医不足を補うため、助産師が妊婦検診を行う助産師外来を設ける病院も増えています。助産師外来は妊婦が「リラックスしやすい」「じっくりと相談しやすい」といったメリットもあるため、ニーズが高まりつつある診察形態です。さらに産前・産後に行う母子のケアの重要性が世間でも認知されるにつれ、母子ケアのプロである助産師への注目度も高まっています。

お産そのものに関わる仕事以外に、不妊治療や性に関する相談事など、助産師の知識や経験が必要とされるサービスはさまざまな分野で増加している状態です。また、免許取得に看護師免許が必須となる助産師は、看護師としての役割を果たすこともできるため、将来的な選択肢が多い資格といえます。

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助産師のやりがい

助産師のやりがい

助産師にとってもっとも大きなやりがいは「新しい命の誕生」に深く関われることでしょう。助産師は看護師とは異なり、正常分娩であれば医師の指示がなくても助産介助を行えます。直接赤ちゃんを取り上げることは大きな感動と達成感を得られる行為です。

また、妊娠中から見守り、二人三脚で分娩まで漕ぎ着けた妊婦が無事に出産を終えて母子ともに笑顔で退院する姿は、何物にも代えがたい喜びを分けてくれます。2人目3人目と出産を担当するほか、時には数代にわたりお世話する助産師も少なくありません。

助産師に向いている人

助産師に向いている人

助産師として活躍できる人、助産に大きなやりがいを感じられる人には、いくつかの共通する特徴があります。

最後に、助産師に向いている人の特徴を8つ紹介します。

赤ちゃんが好きな人

助産師は新生児・乳児と関わりをもつ仕事です。「家族や友人の赤ちゃんをかわいいと感じる」「赤ちゃんのお世話を楽しくできた経験がある」といった方は、助産師に向いています。

赤ちゃんが好きであることは、妊産婦のケアをするときにも重要な資質です。妊娠中や産後の女性は精神的に不安定になることが多く、助産師は妊産婦の心のケアも行います。「赤ちゃんが好き」という思いを行動や態度から伝えられれば、「赤ちゃんを大切にしてくれる人」として妊産婦から信頼してもらえるでしょう。

体力・精神力がある人

助産師が行う出産介助や妊産婦と新生児のケアは、体力・精神力が求められる仕事です。

出産時には、産気づいた妊婦に付き添って何時間も介助を行います。タイミングによっては複数件のお産が立て続けに起こることもあります。

また、助産師の仕事では流産・死産といった悲しい場面に立ち会うケースもあります。悲しみに暮れる産婦や家族を支えながら、ほかの業務は的確に対処できるだけの精神的な強さも、助産師に求められる資質です。

観察力・問題解決能力がある人

妊娠中や出産・産後にある女性の身体は、通常とは異なる状態となっています。助産師は専門家として妊産婦を支え、体調やメンタルヘルスに異常がないかを把握する必要があります。

観察力・問題解決能力がある方は、妊産婦の身体や心の問題をいち早く発見でき、適切な対処法も提案できるでしょう。

助産師に求められる観察力・問題解決能力は、看護師にも必要な能力です。今は観察力・問題解決能力が自分には足りないと感じている方も、看護師として実務経験を積むことにより能力を伸ばせます。

社会への関心がある人

助産師は助産行為や妊産婦・新生児のケアを行うだけではなく、女性の健康や教育にも関わりをもつ仕事です。

特に自治体の保険センターや教育機関に勤務する助産師は、地域に居住する女性からの健康相談への対応、学校での性教育・生活指導などを担当します。社会への関心がある方は、女性の健康や教育に関わる仕事も熱意をもって行えるでしょう。

ニュースや社会の変化に興味をもち、なかでも女性を取り巻く問題について把握しておくことが重要です。

コミュニケーション力のある人

助産師は妊産婦や家族の方だけではなく、医師や看護師といった専門職の方とも関わりをもって働きます。助産所や病院で行う出産介助ではチーム医療の中心を担うこともあるため、コミュニケーション力は大切な資質です。

コミュニケーション力のある方は、チーム内での報告・連絡が正確にできて、相談も緊密に行えます。医療スタッフ同士が円滑に連携することで、妊産婦へのサポートの質を向上できるでしょう。

思いやり・共感力がある人

妊娠中や産後の女性は、自分の身体や精神に現れる変化に不安を抱えやすい傾向があります。思いやり・共感力がある方は、妊産婦が抱える不安や悩みを理解し、解消するサポートができるでしょう。

妊産婦のなかには、自分の不安や悩みをはっきりと伝えられず、心のなかで抱え続ける方もいます。妊産婦の表情や言動から気持ちを察して、問題がないかを聞き出すことも助産師の重要な仕事です。

相手の心情に寄り添える助産師は、妊産婦に安心感を与えられ、信頼関係を築きやすくなります。

向上心のある人

医療は日々進歩しており、分娩などにおける技術研究やケアのあり方も変化しています。助産師は妊娠や出産に関わる専門家として、新しい知識や助産技術の勉強を続ける向上心をもつことが大切です。

助産師として働き始めた後も「アドバンス助産師」や「産後ケア実務助産師研修」など、助産師の仕事に役立つ資格・研修はいくつも存在します。向上心のある方は積極的に資格取得や研修受講を行い、自身の助産師としてのスキルを高められるでしょう。

責任感がある人

助産師は出産介助の医療現場において、チームの中心となって働きます。看護師や医療系技師などの医療スタッフに指示を出す場面もあるため、責任感がある方に向いている仕事です。

出産の状況によっては、正常な分娩が難しいケースもあるでしょう。助産師は専門家の視点で出産の状況や母子の健康状態を把握して、適切な出産方法を選択することが求められます。

自分一人ですべてを決断するのではなく、当事者である妊産婦の意見を尊重し、医師の意見や指示を求める臨機応変さも必要です。

まとめ

助産師となるためには、看護師資格に加えて、助産師の国家資格も取得しなければなりません。助産師国家試験を受験する3つのルートにはそれぞれ利点と欠点があるため、自分自身の学力や経済状況を考慮し、無理のない道を選びましょう。

助産師の職場は産科のある病院などが主流です。しかし、学校の教員をはじめ、保健所や不妊治療クリニックなど、助産師が働ける場所は広がりを見せています。助産師として自分に合った職場を探したい方は、プロのキャリアアドバイザーのサポートが受けられる「マイナビ看護師」へ、ぜひご相談ください。

※当記事は2023年8月時点の情報をもとに作成しています

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