• 2021年10月6日
  • 2021年11月8日

診療看護師(JNP)とは? 役割や受験方法・求められるスキルを紹介

 

看護師として活躍している方の中には、「診療看護師(JNP)」という資格を聞いたことがある方も多いでしょう。医師の指示に基づく一定の診療行為が行える診療看護師は、チーム医療や地域包括ケアが推進される現代の医療現場において、今後さらに重要な役割を果たすと期待されています。

この記事では、診療看護師の概要や資格を取得するメリット、診療看護師になる方法、診療看護師に求められるスキルについて解説します。診療看護師の資格を生かせる職場に就職・転職する際におすすめの求人サイトも確認し、看護師としてのスキルアップや収入アップを目指しましょう。

診療看護師(JNP)とは

診療看護師とは、大学院修士課程において医学に関する知識や、特定の医療業務に関する実践を学んだ看護師のことを指します。診療看護師の制度はチーム医療の円滑化や地域包括ケアの促進を主な目的として導入され、現在では多くの診療看護師が全国各地で活躍しています。

診療看護師と一般的な看護師との主な違いは、「医師のような診療行為を行えるかどうか」という点にあります。一般的な看護師は看護ケアに従事しており、医師のような診療行為はできません。一方、診療看護師はより医師に近い視点から患者に関わることができ、医師の指示や手順書(指示書)のもと、一定の範囲内の診療行為(特定行為)を行えます。

このように、診療看護師は看護師としてのバックグラウンドを持ちながら、医師サイドの知識や技能も持ち合わせる、医師と看護師の中間に存在する職種です。チーム医療や地域包括ケアの中でも他職種の医療従事者や介護従事者などとの「架け橋」の役割を果たすことで、より質の高い医療の提供に貢献することが期待されています。

診療看護師(JNP)の仕事内容

職場や診療科にもよりますが、診療看護師は一般の看護師が行う看護業務に加えて、次のような業務を行っています。

■診療看護師が携わる主な業務

○問診・初期診療・検査といった相対的医行為を行う
診療看護師は、医師の職域とされる医療行為のうち、厚生労働省が定める相対的医行為(21区分38行為)を行うことが可能です。担当患者の診察や気管内への挿管、検査の実施とデータ評価、薬剤の投与判断、手術助手など、さまざまな医療行為に携わります。

○クリニカルパスやリハビリプランなどの医療計画を作成する
診療看護師は医師と相談の上、クリニカルパスやリハビリプランといった患者の治療に関連する各種医療計画の作成も行います。

○医師と看護師との間を連携する
診療看護師は医師と看護師の中間の立場にあり、看護師からも医師からも相談されやすい立ち位置にいます。このような特性から、診療看護師は看護師と医師を結びつける中継としての役割も担っています。

○看護職員の教育・人材育成
診療看護師は看護業務の経験が豊富で、医療行為に関する専門教育も受けています。そのため、看護職員など病院スタッフの教育・育成を行うことも珍しくありません。

診療看護師は看護師としての業務に加えて、相対的医療行為も行える医療人材です。診療看護師は外来・救急・入院病棟などで多忙な日々を送っていますが、業務量や負担も多い一方、充実感ややりがいも大きい仕事といえるでしょう。

診療看護師(JNP)の主な勤務先

診療看護師が活躍できる職場は多岐にわたりますが、国公立病院や大学病院のような比較的規模が大きな病院に勤務している方が多いとされています。

一方、診療所や訪問看護ステーション、介護施設などの地域医療に欠かせない職場に勤務している方も少なくありません。診療看護師として働くことを考えている方は、これらの施設に勤務することを念頭に置いておきましょう。

診療看護師(JNP)と特定看護師の違い

診療看護師と業務内容が似ている部分があり、混同されやすい職種として「特定看護師」が挙げられます。診療看護師と特定看護師には、次のような違いがあります。

■診療看護師と特定看護師の相違点

相違点 診療看護師 特定看護師
従事できる医療行為 21区分38行為のすべて、または大部分 21区分38行為のうち、特定行為研修を受けた3区分や5区分など限定的
必要な実務経験 5年以上 3~5年以上が想定されている
(条件は特に定められていない)
民間資格 日本NP教育大学院協議会認定の資格取得が必要
(5年更新制)
必要となる民間資格はない
学ぶ場所 大学院(修士課程) 大学・大学院や病院など、研修を受けられる教育機関

特定看護師は、診療看護師よりも経験が少ないうちからチャレンジできます。特定看護師の勉強をしながら、将来的に診療看護師を目指すこともおすすめです。

診療看護師(JNP)とナースプラクティショナーの違い

診療看護師は日本における看護師の職位であり、医師の指示に基づいて一部の医療行為を実践することができます。

一方、ナースプラクティショナー(NP)はアメリカにおける看護師の職位であり、診断や薬の処方・投薬などの医学的業務を行える職業を指します。地域によってはナースプラクティショナーが初期医療を担っている場合があり、州によってはナースプラクティショナーが診療所を開設可能です。ナースプラクティショナーは、日本の診療看護師よりも裁量が大きいといえるでしょう。

■参照
日本看護協会 – ナース・プラクティショナー(仮称)制度の構築

診療看護師(JNP)を取得するメリット

診療看護師 (jnp)を取得した女性

看護師が診療看護師の資格を取得することには、主に次のようなメリットがあります。

■診療看護師を取得するメリット

(1)診療行為が行えるようになる
(2)チーム医療の架け橋になれる
(3)医師の考え・治療の方針を深く理解できる
(4)収入アップを期待できる
(5)就職・転職を有利に進められる

ここでは、診療看護師を取得する主なメリットについて5つ紹介します。メリットについてよく確認し、診療看護師が自分に合っているか検討してみましょう。

診療行為が行えるようになる

診療看護師の最大のメリットの1つとして、医師の指示に基づいて一定の診療行為が行えるようになることが挙げられます。患者の診察や必要な検査、診療看護師として実践できる範囲の処置から後の看護ケアも行えるため、より患者に寄り添った医療ケア・看護ケアができるようになるでしょう。

チーム医療の架け橋になれる

診療看護師は看護師として看護の知識やスキルを保持しながら、医師と共通した医療に関する知識・スキルも合わせ持っています。他の医療職との共通言語も習得しているため、さまざまな職種とのスムーズな連携・協働が必要とされるチーム医療や在宅医療において、架け橋のような存在になれるでしょう。

医師の考え・治療の方針を深く理解できる

診療看護師は、医師サイドに近い医療知識・手技を持っているため、医師の考えや治療の方針をより深く理解できるという強みがあります。治療方針や治療内容・治療計画を正確に把握した上で看護計画を作成できるため、より患者の状況・状態に合ったプランを立てることができるでしょう。

また、医師の考えや治療方針を深く理解できることで、患者や患者家族に対し、検査の必要性や治療の内容、ベネフィット・リスクについてわかりやすく説明することができます。患者や患者家族が安心してケアを受けられる態勢を整えられる点も、診療看護師として働く魅力です。

収入アップを期待できる

診療看護師は、一般の看護師よりも実践可能な業務が多いため、診療看護師の資格を取得する前よりも収入がアップすることが期待できます。職場や勤続年数などにもよりますが、例えば国立病院機構の場合、診療看護師の資格手当の金額は約6万円です。

診療看護師の資格手当がある職場も多く存在しますが、なかには資格手当の金額が明記されていない職場や、診療看護師の資格手当がない職場も存在します。就職・転職時には、手当の有無や金額を事前に確認しておきましょう。

就職・転職を有利に進められる

診療看護師は、一般の看護師と医師の間をつなぐ架け橋のような存在であり、医療と看護の両面において豊富な知識や専門性の高いスキルを保有しています。そのため、規模の大きな病院だけでなく、クリニックや訪問看護といった地域に根ざした医療を提供する職場への就職・転職を有利に進められる可能性が高いでしょう。

また、診療看護師の資格を取得するためには、看護師としての経験年数や診療看護師の業務を学べる大学院の修了など、複数の条件があります。本人の努力や集中力、計画性がなければ取得できない資格でもあるため、医療や看護に対する真剣さや熱意をアピールすることもできるでしょう。

診療看護師(JNP)になるためには?

診療看護師 (jnp)になるために勉強をしている様子

診療看護師になるためには、まず看護師としての実務を5年以上経験し、診療看護師養成課程(NP養成課程)のある大学院の入学試験に合格する必要があります。それでは、大学院入学後はどのような過程を経て診療看護師の資格を取得できるのでしょうか。

ここでは、診療看護師の受験資格や受験領域・科目、提出書類について解説します。

受験資格

診療看護師になるためには、次のような過程を経ながらNP認定試験の合格を目指す必要があります。

■診療看護師になるための流れ

(1)看護師として5年以上の実務経験を積む
(2)NP教育課程がある大学院(修士課程)に進学して2年間履修し、大学院卒業を果たす
(3)日本NP教育大学院協議会が管轄する「NP資格認定試験」を受験し合格する
(4)国立病院機構による診療看護師の認定を受ける

なお、診療看護師の資格は5年ごとの更新制です。診療看護師の認定を受けた後も、継続的な学びが必要となるでしょう。

受験領域・出題科目

診療看護師になるために合格する必要がある「NP資格認定試験」には、受験可能な試験領域が定められています。大学院修士課程のNP教育課程で専攻した領域のうち、次の3つの中から1つ選び、以下の出題科目・出題割合を参考にして筆記試験に臨みましょう。

■受験領域

  • プライマリ・ケア(成人・老年)
  • プライマリ・ケア(小児)
  • クリティカル

■出題科目および出題割合

科目 出題割合
NP(診療看護師論) 5%
疾病予防・健康増進 2%
医療倫理 3%
医療安全・関係法規 5%
病態機能学 15%
臨床薬理学 10%
クリニカルアセスメント 30%
クリニカルマネジメント 30%

(出典:一般社団法人日本NP教育大学院協議会「令和2年度 第11回NP資格認定試験 受験者用」

審査の合格基準は、当該年度の評価委員会が審議し決定します。万が一不合格であっても、NP教育課程の単位を取得し卒業していれば翌年以降も受験できるため、次回以降の試験に再チャレンジしましょう。

提出書類

NP資格認定試験の受験申し込みを行う際には、いくつか提出しなければならない書類があります。受験予定の試験要項を確認した上で、漏れのないようすべて揃えて締め切りまでに提出するようにしましょう。

■NP資格認定試験の受験申し込みに必要な提出書類

  • 履歴書
  • 写真票・受験票
  • 入学試験検定料振込(本人控え)の写し
  • 各大学院が発行する修了証明書(修了見込証明書)
  • 合否通知郵送用封筒
  • 認定証郵送用封筒

「合否通知郵送用封筒」「認定証郵送用封筒」の両方には、指定された料金分の切手を貼付した上で提出します。履歴書が2枚にわたる場合は、片面印刷したものの左上をホッチキスで止めて提出してください。

診療看護師(JNP)に求められる7つのスキル

診療看護師 (jnp)の女性

診療看護師の資格は就職や転職の際に有利に働くと考えられますが、診療看護師に求められるスキルをきちんと身につけておくことで、さらに就職や転職がスムーズに進みます。

■診療看護師に求められる7つのスキル

(1)包括的な健康アセスメント能力
(2)医療的処置マネジメント能力
(3)熟練した看護実践能力
(4)看護管理能力
(5)チームワーク・協働能力
(6)医療・保健・福祉システムの活用・開発能力
(7)倫理的意思決定能力

ここでは、上記の7つのスキルについて詳しく解説します。

包括的な健康アセスメント能力

看護における「アセスメント」とは、対象の患者から得られる「主観的情報」と、医療職の観察の結果得られた「客観的情報」をもとに、看護上の課題を分析することを指します。

診療看護師は特定の医療行為も行える看護師であるため、一般の看護師よりも包括的なアセスメント能力が求められます。適切な医療ケア・看護ケアに迅速につなげるためにも、必要な情報を効率よく収集できるスキルを身につけましょう。

医療的処置マネジメント能力

診療看護師は医師の指示のもと、一定の範囲の医療的処置を患者に行うことが可能であり、医師がいない場で複数の患者に対する医療的な判断を迫られるケースも少なくありません。時間・場所や病状、患者を問わず、効果的で公平な医療的処置をタイムリーに行えるよう、医療的処置マネジメント能力を高める必要があるでしょう。

熟練した看護実践能力

診療看護師として活躍するためには、論理的な考え方と正確な看護スキルに基づく熟練した看護実践能力を身につける必要があるでしょう。

日本看護協会によると、看護実践能力の核となるスキルには「ニーズをとらえる力」「ケアする力」「協働する力」「意思決定を支える力」の4つが存在します。診療看護師は医師に近い立場で医療的処置も行うため、幅広い視野を持って患者にとって最適な手段を選び、QOLを高める看護を実践する能力が求められます。

(出典:公益財団法人 日本看護協会「「看護師のクリニカルラダー(日本看護協会版)」活用のための手引き」

看護管理能力

診療看護師は一般の看護師よりも裁量があり、高度な知識・スキルを持ち合わせていることから、一般の看護師の指導スタッフとして管理業務を任されることもあります。また、医師や看護師、薬剤師などといった他の医療職とスムーズに連携するための架け橋としても機能することから、チーム医療をマネジメントする立場も務めなければなりません。

このように、診療看護師は同じ病棟・病院の看護師や医療チーム全体を、責任を持ってマネジメントする能力が求められます。看護師の業務や研修などを通して問題解決能力やコミュニケーション能力を高め、マネジメント能力を鍛えましょう。

チームワーク・協働能力

診療看護師は、医師と看護師との間の架け橋となる存在であり、チーム医療において他の医療関係の職種やケアマネジャーなどとの連携をスムーズにする役割を果たす職種です。患者さんのQOL向上を目指した対応を迅速に行うためにも、他職種と効果的に連携し、協力し合う関係を構築するチームワーク・協働能力が求められると考えられます。

医療・保健・福祉システムの活用・開発能力

近年では医療機関もICT化が進み、電子カルテや診療報酬の請求業務のためのシステムを導入している病院・クリニックも少なくありません。医療・保健・福祉に関するシステムを活用する能力は、個人情報・検査データなどの適切な管理や、こまめな情報収集が欠かせない診療看護師にとって必須のスキルといえます。

また、より効果的・効率的に診療看護師の業務を行うためには、適切なシステムを自身で考案・開発することも重要です。普段の業務の中でICT化できるポイントを探すことも、システム活用能力・開発能力を伸ばすことにつながるでしょう。

倫理的意思決定能力

看護師として働く上で、「治療方法の選択に悩む患者本人や家族をどのように支えるか」「その人らしい最期とは何か」などの倫理的な課題は避けて通れません。臨床看護における倫理では、患者や家族、医療・看護や介護などに関わる専門職の意見を集め、折り合いをつけながら患者にとってのベストを目指して課題解決に取り組みます。

診療看護師はチーム医療の中心的役割を担うこともあるため、倫理的課題を最善のゴールに導くための高い判断力(倫理的意思決定能力)が必要となります。倫理的課題を考える際のアプローチや考え方を理解し、倫理的課題を抱えるケースについて自分で考えてみるなどのトレーニングを日頃から行うことを心がけましょう。

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まとめ

診療看護師は、医師の包括的指示のもと一定の範囲の医療行為を行える看護師であり、大規模病院からクリニック、訪問看護など幅広い職場で活躍しています。診療看護師になるためには5年以上の実務経験や大学院の修了、NP資格認定試験の合格など複数の条件があり、高度なスキルも求められることに留意しましょう。

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