看護師として活躍している方のなかには、「診療看護師(NP)」という資格を聞いたことがある方もいるでしょう。医師の指示に基づく一定の診療行為が行える診療看護師は、チーム医療や地域包括ケアが推進される現代の医療現場において、今後さらに重要な役割を果たすと期待されています。
この記事では、診療看護師の概要やなり方、求められるスキルについて解説します。看護師としてのスキルアップや収入アップを目指す方は、ぜひご一読ください。
診療看護師(NP)とは
診療看護師(Nurse Practitioner:NP)とは、大学院修士課程において医学に関する知識や、特定の医療業務に関する実践を学んだ看護師のことを指します。診療看護師の制度はチーム医療の円滑化や地域包括ケアの促進を主な目的として導入され、現在では多くの診療看護師が全国各地で活躍しています。
診療看護師と一般的な看護師との主な違いは、「医師のような診療行為を行えるかどうか」という点にあります。一般的な看護師は看護ケアに従事しており、医師のような診療行為はできません。一方、診療看護師はより医師に近い視点から患者さんに関われ、医師の指示や手順書(指示書)のもと、一定の範囲内の診療行為(特定行為)を行えます。
このように、診療看護師は看護師としてのバックグラウンドを持ちながら、医師サイドの知識や技能も持ち合わせる、医師と看護師の中間に存在する職種です。チーム医療や地域包括ケアのなかでも他職種の医療従事者や介護従事者などとの「架け橋」の役割を果たすことで、より質の高い医療の提供に貢献することが期待されています。
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特定看護師とは? 役割・目指すメリット・なり方・向いている方の特徴
診療看護師の仕事内容
職場や診療科にもよりますが、診療看護師は一般の看護師が行う看護業務に加えて、次のような業務を行っています。
○問診・初期診療・検査といった相対的医行為
診療看護師は、医師の職域とされる医療行為のうち、厚生労働省が定める特定行為(21区分38行為)を行うことが可能です。担当患者の診察や気管内への挿管、検査の実施とデータ評価、薬剤の投与判断、手術助手など、さまざまな医療行為に携わります。
○クリニカルパスやリハビリプランなどの医療計画の作成
診療看護師は医師と相談のうえ、クリニカルパスやリハビリプランといった患者さんの治療に関連する各種医療計画の作成も行います。
○医師と看護師との連携役
診療看護師は、医師と看護師の中間的立場の存在です。そのため、医師からも看護師からも相談されやすい立ち位置にいます。このような特性から、診療看護師は看師と医師を結びつける中継役としての役割も担っています。
○看護職員の教育・人材育成
診療看護師は看護業務の経験が豊富で、医療行為に関する専門教育も受けています。そのため、看護職員など病院スタッフの教育・育成を行うことも珍しくありません。
診療看護師は看護師としての業務に加えて、相対的医行為も行える医療人材です。診療看護師は外来・救急・入院病棟などで多忙な日々を送っていますが、業務量や負担も多い一方、充実感ややりがいも大きい仕事といえるでしょう。
診療看護師によるメリット
診療看護師は、チーム医療の発展形となる「タスクシフト」「タスクシェア」をはじめとしたさまざまな役割が期待される存在です。これまで特定の職種が担っていた業務を他職種へシフトすることをタスクシフト、他職種と共有することをタスクシェアと呼びます。社会の高齢化により医療従事者が不足する中で、タスクシフトやタスクシェアによって負担を軽減しつつ、医療の質を保つ効果が期待されています。
(出典:日本看護協会「看護補助者の確保・定着に向けて|確保・定着に取り組む必要性」)
そのほか、診療看護師がいることによって患者さんや医療業界が得られる主なメリットは次の通りです。
- 受診にあたっての心理的、肉体的負担を軽減できる
- 病気の予防・早期発見や健康増進につながる
- 在宅医療を進めやすくなる
医療現場の多忙さが患者さんに伝わると、「こんなことで相談してもいいのだろうか」と患者さんが相談を躊躇しかねません。しかし診療看護師の活躍によって医師や看護師の負担が軽減されれば、患者さんが相談しやすい雰囲気づくりや診療待ち時間の短縮につながります。患者さんにとっての受診のハードルが下がれば、病気の早期発見や健康づくりにも役立つでしょう。
近年は、在宅看護や災害看護などの分野で活躍する診療看護師も増えています。診療看護師が訪問看護などを行うことで、医療と看護両方の視点から一人ひとりの患者さんをより細やかに、かつ効率よくケアできるでしょう。
診療看護師ができること
診療看護師は手順書に基づいて、以下の21区分38行為の「特定行為」を行えます。
特定行為区分の名称 | 特定行為 |
---|---|
呼吸器(気道確保に係るもの)関連 | 経口用気管チューブ又は経鼻用気管チューブの位置の調整 |
呼吸器(人工呼吸療法に係るもの)関連 | 侵襲的陽圧換気の設定の変更 |
非侵襲的陽圧換気の設定の変更 | |
人工呼吸管理がなされている者に対する鎮静薬の投与量の調整 | |
人工呼吸器からの離脱 | |
呼吸器(長期呼吸療法に係るもの)関連 | 気管カニューレの交換 |
循環器関連 | 一時的ペースメーカの操作及び管理 |
一時的ペースメーカリードの抜去 | |
経皮的心肺補助装置の操作及び管理 | |
大動脈内バルーンパンピングからの離脱を行うときの補助の頻度の調整 | |
心嚢ドレーン管理関連 | 心嚢ドレーンの抜去 |
胸腔ドレーン管理関連 | 低圧胸腔内持続吸引器の吸引圧の設定及びその変更 |
胸腔ドレーンの抜去 | |
腹腔ドレーン管理関連 | 腹腔ドレーンの抜去(腹腔内に留置された 穿刺針の抜針を含む。) |
ろう孔管理関連 | 胃ろうカテーテル若しくは腸ろうカテーテル又は胃ろうボタンの交換 |
膀胱ろうカテーテルの交換 | |
栄養に係るカテーテル管理 (中心静脈カテーテル管理)関連 | 中心静脈カテーテルの抜去 |
栄養に係るカテーテル管理 (末梢留置型中心静脈注射用カテーテル管理)関連 | 末梢留置型中心静脈注射用カテーテルの挿入 |
創傷管理関連 | 褥瘡又は慢性創傷の治療における血流のない壊死組織の除去 |
創傷に対する陰圧閉鎖療法 | |
創部ドレーン管理関連 | 創部ドレーンの抜去 |
動脈血液ガス分析関連 | 直接動脈穿刺法による採血 |
橈骨動脈ラインの確保 | |
透析管理関連 | 急性血液浄化療法における血液透析器又は血液透析濾過器の操作及び管理 |
栄養及び水分管理に係る薬剤投与関連 | 持続点滴中の高カロリー輸液の投与量の調整 |
脱水症状に対する輸液による補正 | |
感染に係る薬剤投与関連 | 感染徴候がある者に対する薬剤の臨時の投与 |
血糖コントロールに係る薬剤投与関連 | インスリンの投与量の調整 |
術後疼痛管理関連 | 硬膜外カテーテルによる鎮痛剤の投与及び投与量の調整 |
循環動態に係る薬剤投与関連 | 持続点滴中のカテコラミンの投与量の調整 |
持続点滴中のナトリウム、カリウム又はクロールの投与量の調整 | |
持続点滴中の降圧剤の投与量の調整 | |
持続点滴中の糖質輸液又は電解質輸液の投与量の調整 | |
持続点滴中の利尿剤の投与量の調整 | |
精神及び神経症状に係る薬剤投与関連 | 抗けいれん剤の臨時の投与 |
抗精神病薬の臨時の投与 | |
抗不安薬の臨時の投与 | |
皮膚損傷に係る薬剤投与関連 | 抗癌剤その他の薬剤が血管外に漏出したときの ステロイド薬の局所注射及び投与量の調整 |
特定行為の21区分38行為には、呼吸器や循環器、腹腔、胸腔、創傷治癒、透析、インスリン、抗精神病薬など、急性期から慢性期まで幅広く含まれています。
そのため、特定行為を行うには実践的な理解力・思考力・判断力と、高度かつ専門的な知識・技能が必要とされています。
診療看護師(NP)と特定看護師の違い

診療看護師と業務内容が似ている部分があり、混同されやすい職種として「特定看護師」が挙げられます。
特定看護師とは、「特定行為に係る看護師の研修制度」を履修した看護師のことです。21区分38行為の特定行為を実施するうえで必要とされる、高度な知識・技能を有する看護師です。特定看護師になると、医師の作成した手順書に従う条件のもとで、自己の判断により特定行為を実施できます。
(出典:厚生労働省「特定行為に係る看護師の研修制度」)
診療看護師と特定看護師には、次のような違いがあります。
相違点 | 診療看護師 | 特定看護師 |
---|---|---|
従事できる医療行為 | 21区分38行為のすべて、または大部分 | 21区分38行為のうち、 特定行為研修を受けた3区分や5区分など限定的 |
必要な実務経験 | 5年以上 | 3~5年以上が想定されている (条件は特に定められていない) |
取得する民間資格 | 日本NP教育大学院協議会認定の資格 (5年更新制) | 必要となる民間資格はない |
学ぶ場所 | 大学院(修士課程) | 大学・大学院や病院など、 研修を受けられる教育機関 |
制度ができた時期 | 2008年(平成20年) | 2015年(平成27年) |
特定看護師は、診療看護師よりも経験が少ないうちからチャレンジできます。特定看護師の勉強をしながら、将来的に診療看護師を目指すのもよいでしょう。
以下では、診療看護師と特定看護師の相違点について詳しく解説します。
従事できる医療行為
特定看護師は、厚生労働省が認定している特定行為について、該当の研修を修了したのちに実施できます。
一方で、診療看護師は包括的指示による特定行為だけでなく、医師からの直接的指示による「相対的医行為」の実施も可能です。多くの場合で、診療看護師の取得の過程で複数、ないしはすべての特定行為を取得するようなカリキュラムが組まれます。
必要な実務経験
診療看護師になるには、5年以上の看護師経験が必要です。5年以上の経験を経たのち、日本NP教育大学院協議会が認定する大学院修士課程での医学教育を修了すると、NP資格認定試験の受験資格が得られます。NP資格認定試験に合格することで、診療看護師になれます。
(出典:独立行政法人国立病院機構 東京医療センター「診療看護師」)
一方で、特定看護師の研修を受けるための経験年数は規定されていませんが、おおむね3~5年以上の実務経験を有する看護師の受講が想定されています。具体的な年数は「医療現場の状況によるため一律に示すことは難しい」とされているものの、下記のような人物像が厚生労働省の資料に記載されています。
【おおむね3~5年以上の実務経験を有する看護師の人物像】
- 所属する職場において日常的に行う看護実践を、根拠に基づく知識と実践的経験を応用し、自律的に行える者
- チーム医療のキーパーソンとして機能できる者
(出典:厚生労働省「特定行為研修について」)
取得する民間資格
診療看護師には、NP認定試験を受験して合格する必要があります。診療看護師の質の標準化を図ることを目的として、5年ごとの更新制です。たとえば、2024年の更新対象者は 2019年度のNP資格認定試験に合格した方となります。
一方で特定看護師は、特定行為研修を受講し修了すれば、手順書による特定行為ができるようになります。そのため、特定の資格取得などはありません。
学ぶ場所
診療看護師は、日本NP教育大学院協議会が認めるNP教育課程を修了しなくてはならないため、看護系大学の大学院に通わなくてはなりません。そのため、診療看護師になる過程で修士の学位を得られます。
日本NP教育大学院協議会のホームページに会員校として記載されている学校は、NP教育課程を有している学校です。取得を考えている方はぜひ参考にしてみてください。
【参考】日本NP教育大学院協議会:会員校紹介
特定看護師の場合は、大学院に通う必要はなく、厚生労働省が指定した特定行為研修を行う学校・病院で研修を行います。指定研修機関は厚生労働省のホームページで確認できます。各研修機関で、取得できる特定行為は異なるので、取得したい特定行為の研修を行っている研修機関を探すようにしましょう。
【参考】厚生労働省:【特定行為に係る看護師の研修制度】指定研修機関について
制度ができた時期
診療看護師は、2008年に大分県立看護科学大学院にNPコースが開設されたことが始まりです。その後、2011年に厚生労働省特定看護師(仮称)業務試行事業が開始され、大分県立看護科学大学院の修了生が特定看護師(仮称)として活動するようになりました。
(出典:大分県立看護科学大学「NPコース」)
その後、2015年に「特定行為に係る看護師の研修制度」が、保健師助産師看護師法に位置付けられた研修制度として、開始されました。
(出典:日本看護協会「特定行為研修」)
アメリカのナースプラクティショナーとの違い

日本の診療看護師は、医師の指示に基づいて一部の医療行為を実践できます。
一方、アメリカのナースプラクティショナーは、診断や薬の処方・投薬などの医学的業務を行える職業を指します。ナースプラクティショナーが初期医療を担っている地域もあり、州によっては診療所の開設が可能です。アメリカのナースプラクティショナーは、日本の診療看護師よりも裁量が大きいといえるでしょう。
診療看護師の主な勤務先機関

日本NP教育大学院協議会は、診療看護師の勤務先機関について次のように発表しています。
【診療看護師の主な勤務先機関(所属)の割合】
勤務先機関(所属) | 割合 |
---|---|
病院(看護部) | 46% |
病院(診療部) | 35% |
病院(その他) | 6% |
訪問介護ステーション | 3% |
診療所 | 4% |
教育機関 | 2% |
その他 | 4% |
診療看護師は主に一般病院の外来や訪問看護ステーション、そして地域の介護施設や医療機関などで活躍しています。
(出典:厚生労働省「診療看護師とは?(NP:ナースプラクティショナー)」)
ある医療センターでは、危機的状況の患者さんに医療ケアを行うクリティカルケア支援室で多くの認定看護師が活躍しています。また、救命科や麻酔科、総合内科などに所属する診療看護師も少なくありません。このほか、初期研修医や看護師への教育指導や大学院での講義などにも携わっています。
(出典:独立行政法人国立病院機構東京医療センター「診療看護師」)
別の病院では、研修医のための教育システムを活かして診療看護師向けの研修プログラムを構築しています。現在は1名の診療看護師が心臓血管外科に勤務しており、今後は救急や外科・内科系病棟でも経験を積む予定です。
(出典:淀川キリスト教病院「当院の診療看護師(以下:NP)紹介」)
診療看護師の勤務形態

診療看護師の勤務形態の特徴として、一般的な看護師に多い交代制の夜勤と比べて当直やオンコールが多いことが挙げられます。診療看護師の働き方について日本NP教育大学院協議会が行った調査の結果は、次の通りです。
【診療看護師の働き方に対するアンケート結果】
回答項目 | 回答割合 |
---|---|
日勤のみ | 58% |
2交代制 | 11% |
3交代制 | 4% |
日勤と必要に応じて当直 | 13% |
日勤と夜勤オンコールあり | 10% |
その他 | 4% |
調査結果から、診療看護師の6割近くが日勤のみで働いていることが明らかになりました。
また、当直ありとオンコールありは合わせて23%、2交代制と3交代制は合わせて15%でした。
多くの診療看護師が活躍するクリティカル領域では、夜間や休日の緊急対応を求められることもしばしばです。そのため、医師と同じく当直やオンコールありの診療看護師へのニーズが高まっています。オンコールありでも、「夜間オンコールは電話対応のみ」「深夜のオンコールは医師が対応」などのように比較的負担が軽いケースもあります。
診療看護師(NP)の給料事情

厚生労働省の発表によると、2023年における看護師の全国平均年収は508万円でした。また、看護師の男女別平均収入は次のような結果となっています。
【看護師の月収・年収】
月収 | 年収 | |
---|---|---|
男女計 | 約35万2千円 | 約508万円 |
男性 | 約36万5千円 | 約526万円 |
女性 | 約35万1千円 | 約506万円 |
このデータはすべて、手取り額ではなく、所得税や社会保険料などを控除する前の「きまって支給する現金給与額」のデータで計算しています。また、診療看護師の場合は資格手当が支給される可能性があります。日本NP教育大学院協議会が診療看護師資格認定者に対して行ったアンケートは、次のような結果となりました。
【診療看護師の給料に対するアンケート結果】
回答項目 | 回答割合 |
---|---|
看護師基本給と同等 | 22% |
看護師基本給プラス診療看護師としての手当がある | 66% |
看護師と別の俸給表 | 9% |
その他 | 3% |
アンケートでは、約7割の診療看護師が「看護師基本給プラス診療看護師としての手当がある」と回答しました。この結果から、診療看護師の平均給与は一般的な看護師より高いと考えられます。
また、約1割の診療看護師は「看護師と別の俸給表がある」と回答しました。診療看護師のみを対象とした俸給表に関するデータは公表されていないものの、一般的な看護師と比べて給与水準は高めであると予想されます。
診療看護師(NP)を目指すメリット

診療看護師には、資格手当がつきやすく給与が高くなりやすいことや専門性の高いスキルを習得できることなどのメリットがあります。さらに、診療看護師を目指すにあたっては次のようなポイントも大きな魅力です。
- タイムリーな処置ができるようになる
診療看護師は、自身の判断に基づく一定の医療行為が可能です。夜間などで当直医がすぐ現場へ到着できない場合や医師不在の訪問看護などで患者さんの容態が急変した場合も、医師の指示を待たずタイムリーな処置で患者さんの命を救える確率が上がります。 - 昇進だけでなく、転職も含めて多様なキャリアを選択しやすくなる
診療看護師としての転職はもちろん一般的な看護師として転職することも可能であり、診療看護師資格を持っていることでより好待遇で転職できる可能性が上がります。また、医療関係の研究機関や民間団体・企業なども診療看護師としての強みを活かしやすい転職先です。 - 資格更新のためにも継続的な学習ができる
診療看護師として活躍し続けるためには、5年ごとに資格更新のための審査を受ける必要があります。資格更新に向けて最新の情報やスキルを絶え間なく学び続けることで、おのずとスキル向上につながるでしょう。
診療看護師(NP)になるには?

診療看護師になるには、5年以上の看護師経験と大学院修士課程の修了、そして資格認定試験への合格が必要です。最終学歴が大学・大学院卒業か専門学校卒業か、あるいは海外でNP資格を取得したかによって、資格取得ルートが若干異なります。次に、診療看護師になるための基本的な流れおよび認定資格試験について解説します。
診療看護師を取得するまでの流れ
専門学校卒業の場合、指定の大学院へ出願する前に出願資格審査を受ける必要があります。出願資格審査に合格すれば学士と同等の学力があると見なされ、大学院への出願が認められます。このほかの過程は、大学・大学院卒業の場合と同じです。
日本の保健師・助産師および看護師のいずれかの免許を有し、かつ海外でNP資格を取得した場合、協議会に事前連絡をしたうえでNP認定資格試験を受験できます。
診療看護師になるには、次のような過程を経ながらNP認定試験の合格を目指す必要があります。
1.看護師として5年以上の実務経験を積む
看護師として5年以上の実務経験を積んだのち、指定の大学院へ進学します。
2.NP教育課程がある大学院(修士課程)に進学して2年間履修し、大学院卒業を果たす
2年間で必要な単位を取得したのち、修士論文の審査や試験の合格を経て卒業します。修士(看護学)の学位を得ることで、NP資格認定試験の受験資格を得られます。
なお、2024年時点で日本NP教育大学院協議会が認定するNP教育課程の大学院は、以下の18校です。
- 北海道医療大学大学院
- 国立大学法人 秋田大学大学院
- 東北文化学園大学大学院
- 国立大学法人 山形大学大学院
- 東京医療保健大学大学院看護学研究科
- 国際医療福祉大学大学院
- 佐久大学大学院
- 藤田医科大学大学院
- 愛知医科大学大学院
- 公立大学法人 島根県立大学大学院
- 公立大学法人 大分県立看護科学大学大学院
- 国立大学法人 富山大学大学院
- 森ノ宮医療大学大学院
- 東京医療保健大学大学院医療保健学研究科
- 令和健康科学大学
- 国立大学法人 大阪大学大学院
- 聖隷クリストファー大学大学院
- 公立大学法人 名古屋市立大学大学院
(出典:日本NP教育大学院協議会「会員校紹介」)
3.日本NP教育大学院協議会が管轄する「NP資格認定試験」を受験する
NP資格認定試験を受験して、合格します。
4.国立病院機構による診療看護師の認定を受ける
国立病院機構に診療看護師として認定されることで、各医療機関での勤務が可能になります。
認定資格試験の受験領域・出題科目・合格率
診療看護師になるための「NP資格認定試験」には、受験可能な試験領域が定められています。大学院修士課程のNP教育課程で専攻した領域のうち、次の3つの中から1つを選び、以下の出題科目・出題割合を参考にして筆記試験に臨みましょう。
受験領域
- プライマリ・ケア(成人・老年)
- プライマリ・ケア(小児)
- クリティカル
出題科目および出題割合
科目 | 出題割合 |
---|---|
NP(診療看護師論) | 5% |
疾病予防・健康増進 | 2% |
医療倫理 | 3% |
医療安全・関係法規 | 5% |
病態機能学 | 15% |
臨床薬理学 | 10% |
クリニカルアセスメント | 30% |
クリニカルマネジメント | 30% |
審査の合格基準は、当該年度の評価委員会が審議し決定します。万が一不合格であっても、NP教育課程の単位を取得し卒業していれば翌年以降も受験可能です。
※なお、認定資格試験の合格率は公表されていません。
認定資格試験を受ける場合の提出書類
NP資格認定試験の受験申し込みを行う際には、いくつか提出しなければならない書類があります。受験予定の試験要項を確認したうえで、すべての書類を揃えて締め切りまでに提出するようにしましょう。
NP資格認定試験の受験申し込みに必要な提出書類は、以下の通りです。
- 履歴書
- 写真票・受験票
- 入学試験検定料振込(本人控え)の写し
- 各大学院が発行する修了証明書(修了見込証明書)
- 合否通知郵送用封筒
- 認定証郵送用封筒
「合否通知郵送用封筒」「認定証郵送用封筒」の両方に、指定された料金分の切手を貼付したうえで提出します。履歴書が2枚にわたる場合は、左上をホッチキスで止めて提出してください。
診療看護師(NP)の大学院で学ぶこと

診療看護師養成コース(NP養成コース)の大学院修士課程では、実際にどのようなことを学ぶのでしょうか。
ここでは「島根県立大学 大学院 看護学研究科(博士前期課程 高度実践者養成コース診療看護師(NP)プライマリ・ケア領域)」のケースを取り上げて解説します。
カリキュラムポリシー |
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|
(出典:島根県立大学「博士前期課程 高度実践者養成コース診療看護師(NP)プライマリ・ケア領域」)
島根県立大学院では、プライマリ・ケアの分野で求められる特定行為研修として21区分38行為のうち、8区分12行為の研修を実施しています。
このように、NP養成コースでは必ずしもすべての特定行為研修を行うのではなく、各大学院によってどの特定行為研修を実施しているかが異なります。
大学院の受験資格・入試科目
NP養成コースのある大学院に入学するためには、出願資格が必要です。
◆受験資格
まずは、医療機関で看護師としての実務経験を5年以上有する者でなければなりません。そのほかの条件は大学院によって異なるので、各大学院の募集要項を確認しましょう。
たとえば5年以上の臨床経験に加えて、教員との事前面接が求められる場合もあります。また、大学院によっては「地域枠」として地元の医療機関で勤務している人のための枠もあり、勤務する施設の施設長から推薦を得る必要があります。
(出典:愛知医科大学「看護学研究科 募集案内」)
◆入試科目
入試科目も大学院によって異なりますが、書類審査ののち、小論文と面接を実施する大学院が一般的です。なかには、筆記試験を課している大学院もあります。筆記試験の内容については、看護師国家試験に準じた内容の場合もあれば、関連領域の病態生理学が内容となっている場合もあるなど、形式はさまざまです。
(出典:愛知医科大学「看護学研究科 募集案内」)
大学院によっては、受験対策のセミナー(小論文対策など)も開催している場合があります。
(出典:愛知医科大学「受験対策セミナー」)
診療看護師(NP)に求められる7つのスキル

診療看護師の資格は就職や転職の際に有利に働くと考えられますが、診療看護師に求められるスキルをきちんと身につけておくことで、さらに就職や転職がスムーズに進みます。
ここでは、診療看護師に求められる7つのスキルについて詳しく解説します。
包括的な健康アセスメント能力
看護における「アセスメント」とは、対象の患者さんから得られる「主観的情報」と、医療職の観察の結果得られた「客観的情報」をもとに、看護上の課題を分析することを指します。
診療看護師は特定の医療行為も行える看護師であるため、一般の看護師よりも包括的なアセスメント能力が求められます。適切な医療ケア・看護ケアに迅速につなげるためにも、必要な情報を効率よく収集できるスキルを身につけましょう。
医療的処置マネジメント能力
診療看護師は医師の指示のもと、一定の範囲の医療的処置を患者さんに行うことが可能です。そのため、医師がいない場で複数の患者さんに対する医療的な判断を迫られるケースも少なくありません。時間や場所、病状、患者さんを問わず、効果的で公平な医療的処置をタイムリーに行えるよう、医療的処置マネジメント能力を高める必要があるでしょう。
熟練した看護実践能力
診療看護師として活躍するには、論理的な考え方と正確な看護スキルに基づく熟練した看護実践能力を身につける必要があるでしょう。
日本看護協会によると、看護実践能力の核となるスキルには「ニーズをとらえる力」「ケアする力」「協働する力」「意思決定を支える力」の4つが存在します。診療看護師は医師に近い立場で医療的処置も行うため、幅広い視野を持って患者さんにとって最適な手段を選び、QOLを高める看護を実践する能力が求められます。
【参照元】日本看護協会 看護実践能力
看護管理能力
診療看護師は一般の看護師よりも裁量があり、高度な知識・スキルを持ち合わせていることから、一般の看護師の指導スタッフとして管理業務を任されることもあります。また、医師や看護師、薬剤師などといったほかの医療職とスムーズに連携するための架け橋としても機能することから、チーム医療をマネジメントする立場も務めなければなりません。
このように、診療看護師は同じ病棟・病院の看護師や医療チーム全体を、責任を持ってマネジメントする能力が求められます。看護師の業務や研修などを通して問題解決能力やコミュニケーション能力を高め、マネジメント能力を鍛えましょう。
チームワーク・協働能力
診療看護師は医師と看護師との間の架け橋となる存在であり、チーム医療においてはほかの医療関係の職種やケアマネジャーなどとの連携をスムーズにする役割を果たす職種です。患者さんのQOL向上を目指した対応を迅速に行うためにも、他職種と効果的に連携し、協力し合う関係を構築するチームワーク・協働能力が求められます。
医療・保健・福祉システムの活用・開発能力
近年では医療機関もICT化が進み、電子カルテや診療報酬の請求業務のためのシステムを導入している病院・クリニックは少なくありません。医療・保健・福祉に関するシステムを活用する能力は、個人情報・検査データなどの適切な管理やこまめな情報収集が欠かせない診療看護師にとって、必須のスキルといえます。
また、より効果的・効率的に診療看護師の業務を行うには、適切なシステムを自身で考案・開発することも重要です。普段の業務の中でICT化できるポイントを探すことも、システム活用能力・開発能力を伸ばすことにつながるでしょう。
倫理的意思決定能力
看護師として働くうえで、「治療方法の選択に悩む患者さんやその家族をどのように支えるか」「その人らしい最期とは何か」などの倫理的な課題は避けて通れません。臨床看護における倫理では、患者さんや家族、医療・看護や介護などに関わる専門職の意見を集め、折り合いをつけながら患者さんにとってのベストを目指して課題解決に取り組みます。 診療看護師はチーム医療の中心的役割を担うこともあるため、倫理的課題を最善のゴールに導くための高い判断力(倫理的意思決定能力)が必要となります。倫理的課題を考える際のアプローチや考え方を理解し、倫理的課題を抱えるケースについて自分で考えてみるなどのトレーニングを日頃から行うことを心がけましょう。
診療看護師(NP)の今後

総務省統計局によると、日本の高齢者人口の割合は2024年時点で29.1%であり、2040年には約35%になると見込まれています。高齢者人口が増えるにつれ、療養医療のニーズは高まるでしょう。
(出典:内閣府「高齢化の状況」)
(出典:厚生労働省「我が国の人口について」)
日本看護協会は「看護の将来ビジョン」において、「ケアの領域の多くは看護職の裁量で実施されてきたが、暮らしの場での療養においては、医療的な判断や実施が適時的確になされることが、人々の安全・安心に直結する。将来的には、地域において人々が安全に安心して療養できることを目指し、常に人々の傍らで活動する看護職の、医療的な判断や実施における裁量の拡大を進める」としています。
そのため、今後は日本でもアメリカのナースプラクティショナーのような資格を持つ看護師が必要となるでしょう。そこで、2020年9月にはアメリカのナースプラクティショナーを参考にしたNP教育の課程認定を行っている日本看護系大学協議会と日本NP教育大学院協議会、日本看護協会の三団体で協議。同年9月23日に、自民党看護問題小委員会宛に三団体連名で「ナースプラクティショナー(仮称)制度の創設に関する要望書」を提出しています。
2023年時点では、ナースプラクティショナー(仮称)制度の創設は決まっていません。しかし、時代のニーズに反映して、診療看護師の需要はさらに高まりを見せていくでしょう。
【参照元】
日本看護協会 看護の将来ビジョン
まとめ
医師の包括的指示のもと一定の範囲の医療行為を行える診療看護師は、大規模病院からクリニック、訪問看護など幅広い職場で活躍しています。診療看護師になるには5年以上の実務経験や大学院の修了、NP資格認定試験の合格など複数の条件があり、高度なスキルも求められることに留意しましょう。
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※当記事は2024年8月時点の情報をもとに作成しています
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