• 2018年8月24日
  • 2022年5月24日

復職前にもう一度確認したいスキル~静脈注射の成功のコツ~

 

復職前にもう一度確認したいスキル~静脈注射の成功のコツ~

復職前にもっとも苦手意識を抱きやすい「注射」ですが、1回で成功させるコツがあることをご存じでしょうか? 今回は復職前に知っておきたい静脈注射のコツをご紹介します。

事前の準備が肝心!

注射の事前準備は必要物品をそろえるだけではありません。患者さんや看護師側の姿勢を固定するために環境を整えることも準備の1つです。

たとえば患者さんがベッドで臥床している場合は、ベッド柵を外し、患者さんとの距離を考えながらベッドの高さを調整するなど、実施しやすい配置に整えるとスムーズです。的確に注射技術を行うためにも、事前の準備をしっかりと行っていきましょう。

「私はベテラン!」と自分に魔法をかける!

「注射のうまい看護師」=「できる看護師」と考える患者さんは少なくありません。とくに血管の出にくい高齢者の方は、注射スキルだけでジャッジすることがほとんど。「あの看護師さんは注射がうまいから」と指名されることもあるほどです。患者さん側から見れば、新人であろうがベテランであろうが看護師に変わりありません。

看護師があたふたしていれば患者さんの不安をあおり、たじろいでいればイライラさせてしまうこともあります。まずは安心してもらうために、正々堂々と「私はベテランですよ」という態度で挑むことが大切です。たとえ失敗したとしても、そのときはすぐに先輩看護師にフォローしてもらえば良いのですから、自分の緊張感が患者さんに伝わらないように心がけましょう。

注射の成功は「血管の探し方」

注射をスムーズに行うポイントは、第一に成功率が高い血管を探し出すことです。慣れない場合は患者さんの両腕を片方ずつ駆血して、静脈の怒張を確認していきます。確認は目で見るだけでなく、きちんと触れながら血管の弾力や、蛇行のないまっすぐな部位を確認していきます。

青紫色に浮き出ていても硬い血管だったり、細かったり、弾力性がなく針を挿入したと同時に破けてしまったりすることがあります。また、血管をしっかり怒張させようと駆血を強くする人がいますが、きつくしすぎると動脈まで圧迫してしまい、余計に血管が探しにくくなってしまいます。駆血の痛みを患者さんに与えないよう、橈骨動脈がふれる程度で行いましょう。

穿刺した際、患者さんが痛みやしびれを訴えた場合は、速やかに針を抜きます。静脈注射で選択される血管は、前腕の肘正中皮静脈、尺骨皮静脈、橈骨皮静脈が多いですが、とくに手関節部分の橈骨皮静脈は、橈骨神経浅枝が橈骨神経に近いため注意が必要です。 また、血管が出にくい患者さんや逃げてしまう患者さんに注射を行う場合には、以下の点も抑えておきましょう。

血管が出にくい患者さんの対策
・腕を心臓よりも下の位置に下げ、血管の怒張を促す
・蒸しタオルなどで静脈付近を温めることで、血管を拡張させる  
血管が逃げてしまう患者さんの対策
・注射器もしくは留置針を持つ反対側の手で、穿刺を定めた位置より数センチ離れた部位を少し引っ張ると血管が逃げにくくなる
・血管が分岐してY字になっている部位は血管が逃げにくい

患者さんから情報を聞くのもスキルのひとつ!

血管の出にくい患者さんの場合、「普段はどこで採っていますか?」と思いきって聞いてみましょう。血管が細く、駆血しても血管が浮き出てこない患者さんには注射を失敗した経験がある方も多いので、ベストな穿刺部位を把握していることがあります。いつも採血や点滴を行う位置を最初に聞いてしまうのも、スムーズな注射を行うための大切な情報収集です。

また、迷って穿刺をためらうと、針先がブレて患者さんに苦痛を与えてしまったり、血管を突き破ってしまったりすることもあります。「ここに穿刺する!」と決めたら迷わずに行いましょう。素早く穿刺することは、痛みの軽減にもつながりますよ。

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