コラム 坂口千絵の幸せ看護師のつくりかた

高齢者への接し方、あなたは大丈夫ですか?

第12回目

日本はすでに超高齢社会に突入しており、看護師さんが高齢者と接する機会もますます増えていきます。とくに新人看護師さんは経験が浅いぶん、高齢者にどのように接したらよいのかわからず、困っている方も多いのでは。

高齢者と良好なコミュニケーションを取るための方法に、「大きく低い声でゆっくりと話す」「目線の高さを合わせる」「伝わりやすいように簡潔な言葉で話す」などがあります。それに加え、「言動をむやみに否定しない」ということも大事なポイントです。

しかし、日ごろから気をつけていても、いつの間にか「否定的な発言」をしている場合があります。それは、どんな場面でしょうか。

思わず「否定的な言葉を使ってしまう場面」って、どこ?

例えば、認知症のある高齢者が「誰かが私の部屋のなかに入って、財布を盗んでいった!」と言っているとします。このとき、「部屋には誰も入っていませんよ。財布もご家族の方が預かっているのでご安心くださいね」というような返答をした経験はありませんか?

こう返答して、ますます興奮してしまった高齢者の方に対し、どのように接すればいいかわからずオロオロした記憶が蘇った方もいらっしゃるかもしれませんね。

私がまだ若かったころ、認知症による幻覚や妄想で興奮状態となっている方に「安心してもらいたい」という思いから、このような「否定」の言葉を使ってしまったことがありました。

落ち着かせるためとはいえ、相手が信じ込んでいることに対して否定的な言葉を使うと、相手は「自分の意見を否定された」と感じ、かえって興奮が強くなることがあります。

どのように対応すればいいの?

この場合は、「お財布が盗まれたのは、つらいですよね。責任者にきちんと報告しておきます」と共感し、「周りのスタッフ全員でまずは探してみますね」など、協力的な態度で接すると良いでしょう。

また、高齢の方と向き合って話をすることは大切ですが、もしも怒りの矛先が自分に向けられた場合は、一時的に退室し、間をおくことで興奮が落ち着く場合もあります。離れる際には、「急用ができたので、一度、退室させていただきますね。また、あとでお伺いします」など伝え、退室理由をきちんと相手に説明するようにしましょう。

年齢や性格、病態など一人ひとりにさまざまな違いがある高齢の方に対し、「こう接すれば絶対にうまくいく」というコミュニケーションの取り方はありません。接し方の「基本」を守りつつ、状況に合わせながら臨機応変に対応し、信頼関係を築いていきましょう。

坂口 千絵(さかぐち ちえ)

プロフィール

坂口 千絵(さかぐち ちえ)

看護師/カウンセラー/ライフコーチ/セミナー講師/WEBライター

看護師歴20年。新人教育のリーダーとして数多くの新人を育てた経験をもとに、カウンセリング、コーチングなど、さまざまな資格を活かして看護師さんの悩みに寄り添い、問題解決へと導く個人セッションを行っている。コーチング、カウンセリングの枠にとらわれない、「相手の思いを否定せず、ひとりでは考えつかない解決方法の提案」がクライアントから好評を博す。

HP:http://infinity-space.jimdo.com/
ブログ:http://ameblo.jp/counselor-chisa/

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