• 2023年2月25日
  • 2024年12月20日

公認心理師の受験資格を徹底解説! 区分別要件や最短ルートも

 

心理学に関心があり、これから公認心理師をめざす方は多いでしょう。公認心理士になるには、まずは受験資格を取得するためのルートをしっかり理解することが重要です。

この記事では、公認心理師試験の受験資格について、区分A~Fの各ルートを詳しく解説します。また、試験の概要やスケジュール、合格率もまとめているので、心理職への第一歩を踏み出したい方はぜひ参考にしてください。

公認心理師になるには

公認心理師になるには、所定の受験資格を満たして公認心理師試験に合格する必要があります。

公認心理師は、医療、福祉、教育、司法・犯罪、産業などの分野で、心理的支援を必要とする人々に対して専門的なケアを提供する職種です。心理的支援を行う専門家として、幅広い知識とスキルが求められます。

公認心理師試験では、心理学に関する理論や技術、支援方法などの知識が問われます。試験に合格した後は公認心理師登録をすることで、正式に公認心理師として活動できるようになります。

なお、公認心理師試験を受けるためには、「大学や大学院で指定された教育課程を修了する」あるいは「必要な実務経験を積む」など、受験資格を得るための条件を満たさなければなりません。

■関連記事
公認心理師とは? 受験資格・年収・臨床心理士との違いを解説

公認心理師の受験資格

(引用:厚生労働省「公認心理師の資格取得方法について」

上記の表を見てわかるとおり、公認心理師試験の受験資格を得るまでのルートには、区分A~Fの7つがあります。

区分A~Cは、これから新たに大学や大学院に進学して公認心理師資格を目指す方のルートです。一方、区分D~Fは「公認心理師法施行前から心理職として働いている方」や「心理職を目指して大学や大学院に通学している方」に用意された特例措置のルートです。

なお、「所定の施設で実務経験を5年以上積み、現任者講習会を修了した人」への特例措置として設けられていた区分Gは、2022年7月17日に終了しました。

以下では、受験資格の取得方法を区分A~Fに分けて、それぞれ詳しく解説します。

区分A

公認心理師を目指す人にとって、最も一般的なルートが「区分A」です。

4年制大学で指定科目を履修 + 大学院で指定科目を履修する

区分Aでは、まず4年制大学で心理学に関連する指定科目25科目を履修します。そして、卒業後に大学院へ進学。保健医療や福祉、教育、司法・犯罪、産業・労働などの10科目を履修します。

上記の教育課程を修了することで、公認心理士試験の受験資格が得られます。

区分B

区分Bは、4年制大学で指定された25科目を履修し卒業した後、実務経験を積むことで受験資格を取得するルートです。

4年制大学で指定科目を履修 + 指定の施設で2年以上の実務経験を積む

実務経験は、厚生労働省が認定する「プログラム施設」で2年以上行うことが条件です。プログラム施設では、公認心理師としての実務に必要な知識やスキルを身につけます。

区分C

区分Cは、「海外の教育機関を卒業した方」や「国内の教育機関で必要な科目が一部不足している方」を対象としています。詳細は以下のとおりです。

  • 日本の大学で指定科目を履修 + 外国の大学院で心理学を履修する
  • 外国の大学で心理学を履修 + 大学院で指定科目を履修する
  • 外国の大学で心理学を履修 + 指定の施設で2年以上の実務経験を積む
  • 外国の大学で心理学を履修 + 外国の大学院で心理学を履修する
  • 外国の大学院で心理学を履修 + 外国の心理職資格を有する
  • 過去に日本の大学で履修科目が一部不足していた方(※令和4年度より新たに追加された対象区分)

区分Cの対象者は、日本国内の大学や大学院のカリキュラムと同等の内容を履修していること証明するために書類審査を受けます。そして、文部科学大臣・厚生労働大臣から受験資格の認定を得るのです。

受験申込時には、「公認心理師試験受験資格認定書の写し」または「公認心理師試験受験資格認定証明書の原本」を添付します。 

参照元:厚生労働省「公認心理師法第7条第3号(区分C)に基づく受験資格認定(外国大学等のご出身の方、過去に大学で履修科目が一部不足していた方)」

区分D

区分Dは、公認心理師法の施行前に大学院を修了した方が対象となる特例措置ルートです。

  • 2017年9月15日より前に、大学院で指定科目を履修済(区分D1)
  • 2017年9月15日より前に大学院に入学し、その後に指定科目を履修済(区分D2)

具体的には、「公認心理師法が施行される2017年9月15日より前に大学院を修了し、その時点で公認心理師に必要な科目を修めていた方(区分D1)」または「公認心理師法が施行される2017年9月15日より前に大学院に入学し、公認心理師法の施行後に必要な科目を履修して大学院を修了した方(区分D2)」が対象です。

区分E

区分Eは、公認心理師法の施行前(2017年9月15日より前)に4年制大学に入学し、特定の科目を履修した方を対象とする特例措置ルートです。

公認心理師として必要な追加の専門知識と技術を、大学院で修得することで受験資格を得られます。

公認心理師法が施行される2017年9月15日以前に4年制大学で指定科目を履修済または履修中
→大学院に入学し、指定の科目を履修する

なお、大学院で履修が必要なのは10科目です。

区分F

区分Fも区分Eと同様、公認心理師法の施行前(2017年9月15日より前)に4年制大学に入学し、特定の科目を履修した方を対象とする特例措置ルートです。区分Fでは2年の実務経験が必要です。

公認心理師法が施行される2017年9月15日以前に4年制大学で指定科目を履修済または履修中
→指定の施設で2年以上の実務経験を積む

実務経験を積む施設は、区分Bと同じ厚生労働省が認定する「プログラム施設」です。

公認心理師試験について

公認心理師試験は、基本的に毎年1回行われています。ここでは、公認心理師試験の概要とスケジュール、合格率について紹介します。

公認心理師試験の概要【2025年】

以下は、2025年に開催される第8回公認心理師試験の概要およびスケジュールです。

試験概要とスケジュール

受験申込受付期間 2024年12月2日(月)~2024年12月27日(金)まで
受験票交付  2025年2月12日(水)
試験日  2025年3月2日(日)
試験地 東京都、大阪府
受験手数料 28,700円
合格発表 2025年3月28日(金)

試験について

試験範囲 公認心理師として必要な知識及び技能
試験時間 午前120分、午後120分の計240分
出題形式 全問マークシート方
合格基準 合格基準は総得点の60%程度以上を基準とし、
問題の難易度で補正するという考え方を基に決定する

公認心理師資格試験では、公認心理師としての知識や技能・技術が業務に必要なレベルに到達しているかを確認する問題が、全問マークシート方式で出題されます。出題割合はブループリントで確認可能です。

参照元:一般財団法人 公認心理士試験研修センター「公認心理師試験」

合格率

直近の2024年3月3日に実施された第7回公認心理師試験の受験者数は2,089人、合格者は1,592人で合格率は76.2%でした。なお、第6回から受験者数が激減しているのは、主に区分Gの廃止が理由です。

これまでに行われた公認心理師試験の合格率は、以下のとおりです。

実施年 受験者数 合格者数 合格率
2018年(第1回) 36,103人 28,574人 79.1%
2019年(第2回) 16,949人 7,864人 46.4%
2020年(第3回) 13,629人 7,282人 53.4%
2021年(第4回) 21,055人 12,329人 58.6%
2022年(第5回) 33,296人 16,084人 48.3%
2023年(第6回) 2,020人 1,491人 73.8%
2024年(第7回) 2,089人 1,592人 76.2%

第2回~第5回の合格率は50%前後を推移していましたが、区分Gが廃止されて以降の第6回以降は合格率が70%台となっています。

参照元:
厚生労働省「第1回公認心理師試験(平成30年9月9日実施分)合格発表について」
厚生労働省「第1回公認心理師試験(追加試験)合格発表について」
厚生労働省「第2回公認心理師試験(令和元年8月4日実施)合格発表について」
厚生労働省「第3回公認心理師試験(令和2年12月20日実施)合格発表について」
厚生労働省「第4回公認心理師試験(令和3年9月19日実施)合格発表について」
厚生労働省「第5回公認心理師試験(令和4年7月17日実施)合格発表について」
厚生労働省「第6回公認心理師試験(令和5年5月14日実施)合格発表について」
厚生労働省「第7回公認心理師国家試験(令和6年3月3日実施)合格発表について」

公認心理師試験に関する疑問

ここでは、公認心理師試験に関する疑問をQ&A形式で紹介します。不明点を解消して、公認心理師試験に挑みましょう。

公認心理師になる最短ルートは?

公認心理師をめざして1から勉強する場合は、区分Aの「4年制大学で指定科目を履修 + 大学院で指定科目を履修する」が最短ルートです。4年制大学で必要な25科目を履修し、その後に大学院で2年間かけて10科目を修了します。最短ルートである区分Aでも、通算6年かかります。

公認心理士になるには実務経験が必要?

実務経験が必要かどうかは、受験資格を得るルートによって異なります

たとえば、区分Aでは4年制大学と大学院で定められた科目を修了すれば実務経験は求められません。一方、区分Bでは大学卒業後に2年以上の実務経験が必要です。ほかにも、区分Fでも実務経験が求められます。

実務経験を積むことで、公認心理師として必要な実践的なスキルや知識を深められます。自身のキャリアプランに合わせて最適なルートを選ぶと良いでしょう。

■関連記事
公認心理師になるには実務経験が必要? 証明書の書き方も解説

社会人が公認心理師になるには?

社会人が公認心理師になるには、現在の状況や学歴に応じて最適なルートを選択することが重要です。主なルートとして、以下の2つが挙げられます。

区分A:4年制大学で指定科目を履修 + 大学院で指定科目を履修する
区分B:4年制大学で指定科目を履修 + 指定の施設で2年以上の実務経験を積む

働きながら公認心理師をめざす場合は、通信制大学で学ぶと良いでしょう。ただし、通信制であっても、80時間以上の実習を受ける必要があります。また、区分Bで大学院に進学した場合には、さらに450時間以上の実習の受講が必要です。

公認心理士になるには、最短ルートでも6年はかかります。国家資格ということもあり、簡単ではありません。社会人として働きながらめざす方は、自分の生活スタイルや現在の仕事との両立を考慮して、無理のない計画を立てることが大切です。

参照元:厚生労働省「公認心理師カリキュラム等検討会報告書」

公認心理士の受験資格「Gルート」って何?

公認心理師国家試験のGルートとは、2017年の公認心理師法施行に伴う特例措置として設けられたルートです。5年間限定の経過措置であり、Gルートで出願できたのは2022年に実施された第5回公認心理師試験まででした。

Gルートの対象者は、公認心理師法が施行する前から心理職として業務に従事していた人です。心理職として5年間の実務経験を積み、現任者講習会を修了することで受験資格を得られました。

■関連記事
公認心理師国家試験のGルートとは? 審査・難易度・合格へのポイント

まとめ

公認心理師試験の受験資格を得るためのルートには区分A~Fがあり、自身の状況に合わせた選択が可能です。また、社会人が働きながら受験資格を得ることもできます。

公認心理師になるには資格取得後のキャリアを明確にし、長期的な計画を立てることが重要です。無理をせずに取得できるルートを確認し、確実にステップを踏んでいきましょう。

看護師としてキャリアアップをめざす方は、マイナビ看護師にご相談ください。

マイナビ看護師では専任のキャリアアドバイザーがご希望をお伺いし、スキルアップやキャリアアップをめざせる求人をご案内いたします。職場の雰囲気や考え方なども熟知しているため、詳しい情報を知ったうえでのご応募が可能です。まずはお気軽にお問い合わせください。

著者プロフィール