• 2022年2月4日
  • 2022年2月4日

公認心理師になるには実務経験が必要? 証明書の書き方も解説

 

公認心理師をめざす過程で、「実務経験が必要なの? 」「実務経験証明書の書き方がわからない」といった疑問を抱えている方もいるでしょう。公認心理師試験の受験資格を取得する方法は7つあり、実務経験が必要なのはそのうちの3つです。

この記事では、実務経験が必要な受験資格について解説。実務経験として認められる施設の一覧や証明書の書き方も紹介しています。公認心理師をめざす方は、ぜひ参考にしてください。

公認心理師とは

公認心理師とは、心理学に関する専門的な知識や技術を有する人のことです。心理系の資格としては国内初の国家資格で、2018年9月に第1回目公認心理師試験が実施されました。

仕事内容

公認心理師は、心理的に問題を抱えている人に対して助言や指導、援助などを行うのが主な仕事です。「公認心理師法」の第二条では、以下のように明記されています。

  1. 心理に関する支援を要する者の心理状態を観察し、その結果を分析すること
  2. 心理に関する支援を要する者に対し、その心理に関する相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うこと
  3. 心理に関する支援を要する者の関係者に対し、その相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うこと
  4. 心の健康に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供を行うこと

引用:公認心理師法 第二条

公認心理師は対象者へのカウンセリングだけでなく、対象者の関係者に対しても助言や指導、援助を行うこことされています。また、心の健康に関する知識の普及に向けて、教育や情報提供を行うことも仕事の一つです。

勤務先

公認心理師はおもに「保健医療分野」「福祉分野」「教育分野」「司法・犯罪分野」「産業・労働分野」の5分野で活躍しており、勤務先として挙げられるのは、病院や保健所、児童相談所、教育機関、少年院、家庭裁判所、企業などです。

厚生労働省の「公認心理師の活動状況等に関する調査」によると、働いている人の分野別の割合は、保健医療分野が30.2%、教育分野が28.9%、福祉分野が21.3%、産業・労働分野が6.0%、司法・犯罪分野が3.8%です。なお、公認心理師の約45%は一つの分野に囚われず、複数の分野で活躍しています。このことから、公認心理師は多分野で活躍できる専門職といえるでしょう。

【参照元】

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公認心理師試験を受験するには実務経験が必要?

実務経験がある公認心理師の女性

公認心理師試験を受験するために、必ずしも実務経験が必要というわけではありません。公認心理師試験の受験資格を取得する方法には、区分A~区分Gの7つのルートがあり、実務経験が必要なのはそのうちの3つのルートです。

以下では、公認心理師試験の受験資格を得る方法を、実務経験が必要なルートと不要なルートに分けて解説します。

実務経験が必要なルート

区分B・区分F・区分Gの3つのルートは、公認心理師試験の受験資格に実務経験を積むことが含まれています。それぞれの受験資格の取得方法は、以下のとおりです。

・区分B

4年制大学で指定科目を履修し、卒業後に指定の施設で2年以上の実務経験を積む

・区分F

公認心理師法が施行される2017年9月15日より前に、4年制大学で指定科目を履修済または履修中で、その後指定の施設で2年以上の実務経験を積む

・区分G

心理職として実務経験を5年間積んだのち、現任者講習会を修了する

区分Bと区分Fでは、実務経験を積む施設が指定されています。指定の施設以外では、実務経験として認められないため注意が必要です。

なお、区分Gは2022年に実施する第5回公認心理師試験までの特例措置であるため、現任者講習会は2021年7月から2022年2月末に開催される令和3年度分が最後となります。

【参照元】

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実務経験が不要なルート

区分A・区分C・区分D・区分Eの4つは、実務経験がなくても公認心理師をめざせるルートです。各ルートの受験資格の取得方法は、以下のとおりです。

・区分A

4年制大学で指定科目を履修後、大学院で指定科目を履修する

・区分C

外国の大学で心理科目を履修後、外国の大学院で心理科目を履修する

・区分D

公認心理師法が施行される2017年9月15日より前に、大学院で指定の科目を履修済または履修中である

・区分E

公認心理師法が施行される2017年9月15日より前に、4年制大学で指定科目を履修済または履修中で、施行後に大学院で指定科目を履修している

これから公認心理師をめざして大学進学をする方は、区分Aか区分Cのルートを進むことになるでしょう。いずれのルートも大学卒業後に、大学院へ進学して指定科目および心理科目の履修をします。

【参照元】

公認心理師の実務経験として認められる施設一覧

公認心理師の実務経験として認められる施設

実務経験として認められる施設には、区分によって定めがあります。以下では、区分ごとの対象施設を紹介します。

区分B・区分F

2022年1月時点で、区分Bと区分Fで実務経験として認められる施設は以下の9施設です。

  1. 少年鑑別所及び刑事施設
  2. 一般財団法人愛成会 弘前愛成会病院
  3. 裁判所職員総合研修所及び家庭裁判所
  4. 医療法人社団至空会 メンタルクリニック・ダダ
  5. 医療法人社団心劇会 さっぽろ駅前クリニック
  6. 学校法人川崎学園 川崎医科大学附属病院
  7. 学校法人川崎学園 川崎医科大学総合医療センター
  8. 社会福祉法人風と虹 筑後いずみ園
  9. 社会福祉法人楡の会

今後、実務経験として認められる施設が増えるかは未定です。2022年1月時点では公認心理師法が施行されてから5年弱しか経過していないため、今後さらに公認心理師をめざす人が増えれば、認定施設が増えることも考えられるでしょう。

【参照元】

区分G

区分Gのルートでは、主要5分野の施設が実務経験になると定められています。施設の詳細は、以下のとおりです。

・保健医療分野

病院、診療所、介護療養型医療施設、介護老人保健施設、地域包括支援センター、保健所、市町村保健センター、精神保健福祉センターなど

・福祉分野

基幹相談支援センター、障害者支援施設、地域活動支援センター、福祉ホーム、障害児通所支援事業・障害児相談支援事業を行う施設、児童福祉施設、児童相談所、認定こども園、老人福祉施設、婦人保護施設、発達障害者支援センター、市町村社会福祉協議会、知的障害者更生相談所、子ども・若者総合相談センターなど

・教育分野

学校教育法に規定する学校

・司法・犯罪分野

裁判所、刑務所、少年刑務所、拘置所、少年院、少年鑑別所、更生保護施設など

・産業・労働分野

広域障害者職業センター、地域障害者職業センターなど

上記の施設で5年以上勤務すると、現任者として認められます。現任者講習会の受講をしたのち、公認心理師試験の受験が可能です。

なお、実務経験は職種で判断されません。

一般財団法人日本心理研修センターによると、勤務先の代表者が公認心理師法第2条の第1号から第3号までの内容の業務があると判断して実務経験証明書で証明した場合、職種によらず現任者として認められる可能性があるとのことです。

つまり、教員・ケアマネージャー・社会福祉士・保育士・介護福祉士・看護師など、勤務先での職種は問いません。また、ボランティアを実務経験として認めることも差し支えないようです。

【参照元】

公認心理師試験を受験する際の実務経験証明書の書き方

公認心理師試験を受験する際の実務経験証明書の書き方

区分Gのルートに該当する方は、公認心理師試験の受験申し込みの際に実務経験証明書を提出する必要があります。

受験者が書くのは、受験申込者本人記入欄にある署名と用紙の枚数の項目のみです。そのほかの項目は実務経験を行った施設の代表者が記入します。施設の代表者が記入をする項目には法人等の名称・所在地・連絡先などのほかに、受験者の氏名や生年月日もあります。受験者の氏名や生年月日だからといって、受験者自身が書くことのないように注意しましょう。

また、分野施設コードを記入する項目があります。分野施設コードは、「受験の手引」に記載があるため、確認のうえ記載してもらいましょう。

もしも誤って記載した場合は、代表者の職印を押して訂正します。修正液を使用すると、無効となるので注意しましょう。

なお、異なる複数の施設で並行して業務を行っていた方は、その事業所ごとに実務経験証明書を書く必要があります。実務経験証明書は一般財団法人日本心理研修センターのホームページでダウンロードが可能なため、両面印刷をして必要枚数を用意しましょう。

【参照元】

まとめ

公認心理師試験の受験資格を取得するには7つの方法があり、そのうち実務経験が必要なのは3つです。実務経験を経て公認心理師をめざす方は、対象の施設を確認しておきましょう。

なお、看護師がスキルアップやキャリアアップとして公認心理師の資格を取得することも可能です。看護師と公認心理師の2つの資格を有している人材は、保健医療分野での活躍が期待されています。患者に対して心理的なケアも行いたいと考えている看護師の方は、資格取得を目指してみてはいかがでしょうか。

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