• 2021年10月14日
  • 2021年11月16日

公認心理師とは? 受験資格の取得ルートや合格率を解説

 

「公認心理師はどんな仕事をするの? 」「臨床心理士と何が違うの? 」と、疑問に思う方も多いでしょう。国内初の心理系の国家資格を有する公認心理師は、心のケアが必要な人に対して助言や指導、援助を行っています。

この記事では、公認心理師の勤務先や年収、臨床心理士との違いを紹介。また、公認心理師国家試験の受験資格の取得方法も解説しているので、ぜひ参考にしてください。

公認心理師とは

公認心理師とは心理学に関する専門的な知識や技術を持ち、助言や指導、援助などを行う人のことです。

2015年9月9日に公認心理師法が成立し、2017年9月15日に同法律が施行。2018年9月に第1回公認心理師試験が実施されて、国内初の心理系の国家資格として公認心理師が誕生しました。

公認心理師の仕事内容

公認心理師は、「公認心理師法」において以下のように定義されています。

「公認心理師」とは、公認心理師登録簿への登録を受け、公認心理師の名称を用いて、保健医療、福祉、教育その他の分野において、心理学に関する専門的知識及び技術をもって、次に掲げる行為を行うことを業とする者をいう。

1.心理に関する支援を要する者の心理状態を観察し、その結果を分析すること
2.心理に関する支援を要する者に対し、その心理に関する相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うこと
3.心理に関する支援を要する者の関係者に対し、その相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うこと
4.心の健康に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供を行うこと

引用:公認心理師法 第二条

つまり、公認心理師は心理的な問題を抱えている人やその周囲の人の相談に乗り、助言や指導、援助を行うことを求められています。また、心の健康に関する知識の普及のために、教育や情報の提供を行うのも公認心理師の仕事のひとつです。

公認心理師の勤務先

公認心理師が活躍する分野は、大きく分けて「保健医療分野」「福祉分野」「教育分野」「司法・犯罪分野」「産業・労働分野」の5分野に分けられます。各分野の主な勤務先と占める割合は、以下のとおりです。

・保健医療分野
精神科病院:30.3%、一般病院:25.9%、精神科診療所:23.1%、保健所・保健センター:12.2%、一般診療所:6.0%、精神保健福祉センター:3.2%

・福祉分野
児童相談所:17.1%、児童発達支援センター:15.4%、障害児通所支援事業所・障害児相談支援事業所:11.1%、児童福祉施設・その他(認定こども園、保育所、児童館等):9.6%、障害者支援施設等:9.3%

・教育分野
幼小中高等学校スクールカウンセラー:56.4%、公立教育相談機関等:24.8%、大学等の学生相談室:21.8%

・司法・犯罪分野
法務省矯正局関係(少年鑑別所、少年院、刑事施設等):37.7%、警察関係:17.8%、裁判所関係(家庭裁判所等):16.9%、法務省保護局関係(保護観察所等):10.1%

・産業・労働分野
組織内の健康管理・相談室:50.5%、組織外の健康管理・相談機関:33.8%、ハローワーク等の就労支援機関:11.2%

公認心理師として働いている人の割合を分野別で見ると、保健医療分野が30.2%、教育分野が28.9%、福祉分野が21.3%、産業・労働分野が6.0%、司法・犯罪分野が3.8%でした。また、約45%の公認心理師は複数分野で働いていることから、「公認心理師は多様な分野で活躍する専門職」であることがわかります。

参照元
厚生労働省
公認心理師の活動状況等に関する調査

公認心理師の年収

厚生労働省の「公認心理師の活動状況等に関する調査」によると、2019年度の公認心理師の年収は300万円以上400万円未満の割合が最も多く、21.3%でした。以降、400万円以上500万円未満が17.7%、200万円以上300万円未満が16.4%、500万円以上600万円未満が11.1%と続きます。

分野別で見ると、保健医療分野、福祉分野、教育分野では300万円以上400万円未満、産業・労働分野では400万円以上500万円未満の割合が最も多くなっています。司法・犯罪分野においてはほかの分野よりも年収が高く、500万円以上600万円未満の割合が多い結果となりました。

なお、月給で見ると、保健医療分野、福祉分野、教育分野では20万円以上25万円未満で、司法・犯罪分野、産業・労働分野は30万円以上35万円未満が最も多い割合となっています。

厚生労働省
公認心理師の活動状況等に関する調査

公認心理師に向いている人の3つの特徴

公認心理師の女性

公認心理師は、人の気持ちに寄り添って助言や指導、援助を行うのが仕事です。そのため、観察力やコミュニケーション能力が欠かせません。ここでは、公認心理師に向いている人の特徴を3つ紹介します。

1.観察力がある人

公認心理師は相手が話す内容だけでなく、その人のちょっとした表情や仕草から気持ちの変化を察知することが大切です。

言葉では「大丈夫」というような発言をしていても、表情や行動から不安が読み取れる場合があります。相手の不安を解消できないと問題解決にはつながりません。

そのため、公認心理師には些細な変化に気づける観察力が必要といえます。

2.コミュニケーション能力が高い人

相談者と話をする公認心理師にとって、コミュニケーション能力は必要不可欠です。

コミュニケーションを取るといっても、公認心理師が一方的に質問をして話をしてもらえれば良いというわけではありません。適度に相槌を挟みながら、話を深堀りできるような聞き方をすることが大切です。

その場の空気を読み取りながら、本音を聞き出すために粘り強く話すコミュニケーション能力が求められます。

3.他者の気持ちに寄り添える人

公認心理師は、心に問題を抱える方のカウンセリングを行います。そのため、相手の気持ちに寄り添う姿勢が重要です。

中には、理解できない価値観の方もいるでしょう。理解できないと拒絶してしまうと、悩みを解決に導きづらくなります。また、逆に感情移入しすぎると、物事を客観的に考えることが難しくなります。

公認心理師には一人ひとりの気持ちを受け入れて、誠実に向き合う姿勢が求められるのです。

公認心理師と臨床心理士の違い

公認心理師と臨床心理士

公認心理師の資格ができるまで、心理系の資格としては臨床心理士がメジャーでした。厚生労働省の「公認心理師の活動状況等に関する調査」によると、公認心理師の約71%が臨床心理士の資格を有しています。

公認心理師と臨床心理士の仕事内容に大きな違いはないとされています。両者の主な違いは公認心理師は国家資格で、臨床心理士は日本臨床心理士資格認定協会が認定している民間資格であるということです。国家資格である公認心理師に更新制度はありませんが、民間資格である臨床心理士は5年ごとに所定の研修や学会をに参加して資格の更新を行わなければなりません。

厚生労働省
公認心理師の活動状況等に関する調査

公認心理師になるには?

公認心理師の試験勉強をしている様子

公認心理師になるには、国家資格の取得が必要です。国家試験を受けるには受験資格を得なければならず、その受験資格を得るためのルートは2021時点で7ルートあります。以下では、受験資格を得るための7ルートを紹介。なお、2022年からは6ルートに変更になるため、その旨もあわせて解説します。※当記事の情報は2021年10月時点の情報となります。最新の情報は以下の参照元URLからご確認ください

受験資格を得るためのルート(A~Cルート)

公認心理師の受験資格を得るためのルートには、通常ルートとして以下の3つがあります。
・Aルート
4年制大学で指定科目を履修してから、大学院で指定科目を履修する

・Bルート
4年制大学で指定科目を履修してから、卒業後に指定の施設で2年以上の実務経験を積む

・Cルート
外国の大学で心理に関する科目を修めて、外国の大学院で心理に関する科目を修了する

大学または大学院で履修が必要な指定科目は、以下のとおりです。

<大学>
1. 公認心理師の職責、2. 心理学概論、3. 臨床心理学概論、4. 心理学研究法、5. 心理学統計法、6. 心理学実験、7. 知覚・認知心理学、8. 学習・言語心理学、9. 感情・人格心理学、10. 神経・性心理学、11. 社会・集団・家族心理学、12. 発達心理学、13. 障害者・障害児心理学、14. 心理的アセスメント、15. 心理学的支援法、16. 健康・医療心理学、17. 福祉心理学、18. 教育・学校心理学、19. 司法・犯罪心理学、20. 産業・組織心理学、21. 人体の構造と機能及び疾病、22. 精神疾患とその治療、23. 関係行政論、24. 心理演習、25. 心理実習

<大学院>
1.保健医療分野に関する理論と支援の展開、2. 福祉分野に関する理論と支援の展開、3. 教育分野に関する理論と支援の展開、4. 司法・犯罪分野に関する理論と支援の展開、5. 産業・労働分野に関する理論と支援の展開、6. 心理的アセスメントに関する理論と実践、7. 心理支援に関する理論と実践、8. 家族関係・集団・地域社会における理論と実践、9. 心の健康教育に関する理論と実践、10. 心理実践実習

実務経験として認められる施設は、以下の9施設です。
1.少年鑑別所及び刑事施設
2.一般財団法人愛成会 弘前愛成会病院
3.裁判所職員総合研修所及び家庭裁判所
4.医療法人社団至空会 メンタルクリニック・ダダ
5.医療法人社団心劇会 さっぽろ駅前クリニック
6.学校法人川崎学園 川崎医科大学附属病院
7.学校法人川崎学園 川崎医科大学総合医療センター
8.社会福祉法人風と虹 筑後いずみ園
9.社会福祉法人楡の会

参照元
厚生労働省
公認心理師法第7条第3号に基づく受験資格認定
公認心理師法第7条第2号に規定する認定施設

経過措置ルート(D~Gルート)

すでに大学や大学院で指定の科目を履修している方や心理系の仕事に就いている方へ向けて、特例措置のルートがあります。

公認心理師法が施行される2017年9月15日以前に、以下のD~Fルートのいずれかを履修済または履修している場合は、公認心理士試験の受験が可能です。また、心理職として実務経験がある方はGルートで受験資格を得られます。

・Dルート
施行前に大学院で「指定の科目」を履修済または履修中である

・Eルート
施行前に4年制大学で「指定の科目」を履修済または履修中で、施行後に大学院で指定の科目を履修している

・Fルート
施行前に4年制大学で「指定の科目」を履修済または履修中で、その後特定の施設で2年以上の実務経験を積む

・Gルート
心理職として5年間の実務経験を積み、現任者講習会を修了する
※2017年9月15日以後5年間に限る

Gルートの現任者講習会に参加できる対象者は、以下のとおりです。

働いている場所:実務経験として認められる主要5分野の施設 保健医療分野:病院、診療所、介護療養型医療施設、保健所、精神保健福祉センター 等福祉分野:障害者支援施設、児童福祉施設、認定こども園、老人福祉施、発達障害者支援センター 等教育分野:学校司法・犯罪分野:裁判所、刑務所、少年院、更生保護施設 等産業:労働分野:広域障害者職業センター、地域障害者就業・生活支援センター 等
実務期間 週1日以上の勤務を5年以上
業務内容 公認心理師の仕事内容 1~3の業務

参照元
厚生労働省
公認心理師に関する「現任者講習会」の開催(最終)の御案内について

※なお、現任者講習会は2022年に実施する第5回公認心理師試験までの特例措置です。受験資格を得るための講習会は、2021年度(2021年10月14日)の受講が最後の機会となりました。

公認心理師試験に合格したら資格登録が必要

公認心理師になるには、公認心理師試験に合格したあとに資格登録をする必要があります。公認心理師法の第28条にも、「公認心理師となるには、公認心理師登録簿に、氏名、生年月日その他文部科学省令・厚生労働省令で定める事項の登録を受けなければならない」と記載があるため、忘れずに行いましょう。
公認心理師の資格登録の流れは、以下のとおりです。

1.公認心理師の国家試験に合格する
2.一般財団法人日本心理研修センターから発送される登録申請書類を受領する
3.登録申請書類および必要書類を一般財団法人日本心理研修センターに提出する
4.一般財団法人日本心理研修センターで登録申請受付および審査が行われる
5.一般財団法人日本心理研修センターが公認心理師登録簿に所定事項を登録する
6.一般財団法人日本心理研修センターが登録証を交付する
7.登録証を受領することで公認心理師を名乗れる

登録申請時には、登録免許税のほかに登録手数料として7,200円の支払いが必要です。なお、登録申請の受付から登録証が交付されるまでは、通常2カ月ほどかかります。

参照元
厚生労働省
公認心理師法 第28条

一般財団法人 日本心理研修センター
資格登録について

公認心理師の国家試験の概要・合格率

公認心理師の国家試験を受ける女性

公認心理師の国家試験が初めて行われたのは2018年9月で、以降は年に1回実施されています。ここでは、公認心理師国家試験の概要やスケジュールを紹介します。

公認心理師の国家試験の概要

公認心理師国家試験のスケジュールや試験地、合格発表日は以下のとおりです。

・国家試験の実施スケジュール
公認心理師の国家試験は、2018年から毎年実施されています。
第1回は2018年9月9日と12月16日、第2回は2019年8月4日、第3回は2020年12月20日、第4回は2021年9月19日に実施されました。以降は2022年7月頃、2023年5月頃、2024年3月頃と、2、3カ月ずつ前倒しで行われる予定です。
2022年はGルートの該当者が受験できる最後の年で、2024年はAルートおよびBルートの該当者が受験できる最初の年となっています。

・試験地
試験が行われるのは北海道、宮城県、東京都、愛知県、大阪府、岡山県、福岡県の7都道府県です。
2018年の第1回のみ、神奈川県と兵庫県でも実施されました。なお、第5回以降の試験地はまだ公表されていません。

・第4回公認心理師国家試験の合格発表日
2021年9月19日に行われた第4回公認心理師国家試験の合格発表日は、2021年10月29日です。一般財団法人日本心理研修センターのホームページに、合格者の受験番号が掲載されます。

参照元
厚生労働省
今後の公認心理師試験のスケジュール(予定)

ブループリントとは?

ブループリントとは、公認心理師試験出題基準の大項目の出題割合を示したものです。公認心理師試験設計表とも呼ばれています。

毎年一般財団法人日本心理研修センターが「公認心理師試験出題基準・ブループリント」を公表しています。資料には大項目の出題割合を示したブループリントに続き、公認心理師試験出題基準の大項目、中項目、小項目(キーワードの例)が記載されています。

ブループリントで出題割合を把握し、公認心理師試験出題基準の各項目を確認して勉強をするのが、試験勉強を効率的に行うコツといえるでしょう。

参照元
一般財団法人日本心理研修センター
令和3年版 公認心理師試験出題基準・ブループリント

公認心理師の国家試験の合格率

公認心理師の国家試験では、60%以上の正答率が合格基準とされています。過去に行われた第1回、第2回、第3回の試験では、総得点230点に対し138点以上を取った方が合格となっています。

第1回、第2回、第3回の試験の合格率は、以下のとおりです。

受験者数 合格者数 合格率
第1回 35,020人 27,876人 79.6%
第1回(追加試験分) 1,083人 698人 64.5%
第2回 16,949人 7,864人 46.4%
第3回 13,629人 7,282人 53.4%

第1回目の初回試験では80%近い合格率ですが、以降は50%前後の合格率となっています。このことから、公認心理師の国家試験は難しい試験であるといえるでしょう。

参照元
厚生労働省
第1回公認心理師試験(平成30年9月9日実施分)合格発表について
第1回公認心理師試験(追加試験)合格発表について
第2回公認心理師試験(令和元年8月4日実施)合格発表について
第3回公認心理師試験(令和2年12月20日実施)合格発表について

まとめ

公認心理師は、心理系としては国内初の国家資格です。近年は心の問題を抱える人も多いため、今後さらに公認心理師のニーズは高くなると予想されます。

キャリアアップとして、看護師が公認心理師の資格を取得することは可能です。現に公認心理師と看護師、2つの資格を保有している人も多数います。公認心理師は保健医療分野での活躍も期待されているため、興味のある看護師の方は資格取得を目指してみてはいかがでしょうか。

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