• 2022年8月5日
  • 2024年8月22日

訪問看護が「きつい」といわれる理由は? 5つのメリットも紹介

 

訪問看護で働く看護師(訪問看護師)は、利用者さんやご家族が思い通りの在宅療養生活を実現できるように支援する重要な人材です。訪問看護の重要性や需要が高まっている一方で、訪問看護の仕事はときに「きつい」「大変」といわれることがあります。

当記事では、訪問看護の仕事がきついといわれる理由や、きついと感じるときの対処法などを紹介します。訪問看護で働く看護師の仕事内容から、メリットとデメリットまでを把握して、当記事を職場選びの参考にしてください。

目次

訪問看護の仕事はきつい? 大変といわれる11の理由

訪問看護とは、在宅療養が必要な方の自宅を訪問し、療養上の世話又は必要な診療の補助を行うことです。訪問看護で働く看護師は訪問看護ステーション・保険医療機関(介護保険法のみなし指定訪問看護事業所)・民間企業などに所属し、訪問看護サービスを提供します。

要介護・要支援に認定されている高齢者などに対しては、原則的に介護保険の給付により、訪問看護サービスの提供が可能です。要支援・要介護に認定されていない高齢者は医師が必要性を認めた場合、医療保険の給付による訪問看護を受けられます。
(出典:厚生労働省「訪問看護について」

看護師は訪問看護において幅広い仕事を担当します。下記は、訪問看護で看護師が担当する仕事の代表例です。

  • 体温、血圧、血糖値などの測定
  • 健康状態の確認
  • 在宅酸素、呼吸器の管理
  • 点滴、服薬管理
  • 日常生活のサポート
  • リハビリテーション
  • 療養生活相談対応、支援
  • 療養環境の調整、支援

訪問看護では、一般的な看護師と異なる仕事・特殊な働き方が求められるケースもあるため、大変さを感じることがあるでしょう。以下では、訪問看護が「きつい」「大変」といわれる理由をより具体的に紹介します。

身体的な負担が大きいため

訪問看護では、病院ほど看護に適した設備のない環境で働くことがあります。介助用の手すりのない環境で入浴介助を行い、段差の多い自宅で移動介助を実施すると、「きつい」と感じる方が多いでしょう。

また、訪問看護はクリニックや病院での勤務とは異なり、自分自身で利用者さんの自宅からほかの利用者さんの自宅に移動する必要があります。悪天候の日に自転車・自動車を運転し、体力を消耗することもあるでしょう。

オンコール対応が必要なため

訪問看護の看護師は、一般的に当番制でオンコール対応を行います。オンコール対応とは、営業時間外や休日の緊急呼び出しに備えるために専用の携帯電話を持ち、自宅で待機することです。当番日には常に電話を意識する必要があり、気が休まらないと感じる人もいます。

また、一部の訪問看護ステーションは所定の時間内に利用者さんの自宅へ訪問できる体制を整える目的で、看護師の居住エリアを一定の範囲に制限します。オン・オフを明確に区別したい看護師にとっては、居住エリアの制限がストレスを感じる要素の1つになるでしょう。

1人で判断をする場面があるため

訪問看護では原則、看護師1人で利用者さんの自宅に行き、必要な処置やケアを提供します。医学的な専門知識が必要な仕事を自身のみで進めることに慣れないうちは、不安やつらさを感じるでしょう。

ただし、一部の訪問看護ステーションでは看護師に連絡用の携帯電話を支給し、責任者や同僚などに判断をあおげる体制を取っています。また、利用者さんの容態が急変した際は医師の指示・判断をあおげるケースが多いため、重要な判断をすべて自身のみで担当するとは限りません。

むしろ、気が引けて連絡しにくいということがないように、迷ったら1人では判断しないことをルールとして徹底しているところもあります。その場の対応が必要なときのフォローだけでなく、複数の看護師でケアの手順書や看護計画を作成・共有することなどは病棟と同じです。

人間関係の構築が難しいため

利用者さんのなかには訪問看護を受けることに対し、嫌悪感を直接示す方もいます。看護師が訪問して、身体に触れることを拒否された場合には、対応の難しさを感じるでしょう。

また、訪問看護をスムーズに進めるためには、ご家族との人間関係を構築することも重要です。利用者さんを最初に訪問してからしばらくは対応を監視されているように思い、気まずさを感じる可能性があります。

多職種との連携が必要になるため

訪問看護の看護師はケアマネジャー・訪問介護員などと連携し、利用者さんの生活を支えます。職種ごとに思考パターンや価値観が異なることから、意見が衝突することもあります。看護師が「よかれ」と思って行ったことをほかの職種の方から否定されると、ストレスを感じる場合もあるでしょう。

また、訪問看護では病院の医師や看護師との連携も必要です。面識のない医師や看護師とのコミュニケーションに慣れるまでは、「きつい」と感じることがあります。

しかし、多職種連携で仕事にあたれる環境だからこそ「利用者さんの安全につながりやすい」「自身のスキルアップにもつながる」といったメリットもあります。

訪問先の環境が過酷な場合があるため

訪問先の環境がさまざまであることも、訪問看護が大変といわれる理由の1つです。たとえば、訪問先にエアコンがないと熱中症になるリスクを感じつつ、必要な処置やケアを行います。著しく不衛生な環境の訪問先では看護師への汚染を防止するため、靴下カバーや上着を使用することもあります。

ただし、過剰な身支度によって利用者さんを不快にさせると関係性が悪化するケースもあるため、一定の気遣いが必要です。場合によっては最低限の身支度で利用者さんと接し、訪問後に着替える対処を取る必要もあります。

介護業務を手伝う場合があるため

訪問看護ステーションの体制によっては、看護師が介護業務を手伝うことがあります。下記は、看護師が手伝う可能性のある介護業務の例です。

  • 食事の介助
  • トイレへの移動介助、オムツ交換
  • 体位変換
  • 口腔内の清潔ケア
  • 入浴介助
  • 利用者さんやご家族の精神的ケア

経験不足の看護師は介護業務に慣れるまでコツを掴めず、苦労することがあります。訪問看護の現場で活躍するためには、医療分野・介護分野両方の知識や技能が必要であることを理解しておきましょう。

利用者さんの疾患・年齢が多様であるため

訪問看護の利用者さんはそれぞれ異なる疾患を抱えており、年齢もさまざまです。看護経験が少ない疾患を抱える利用者さんを受け持つ可能性もあります。受け持つ利用者さんの疾患・年齢が多様である点は、専門の診療科が分かれている病院勤務との大きな相違点です。

利用者さんの容態が急変した際など、緊急時の対応が医療機関によって異なることもあり、個々の利用者さんに関する事細かな情報の収集や整理も欠かせません。多様な利用者さんの情報を扱う業務も、仕事のきつさにつながっています。

また、訪問看護は比較的状態の落ち着いた利用者さんが多く、高度な医療処置が必要な場面は多くありません。

難病や末期がんの方など、医療依存度の高い利用者さんもいますが、訪問看護師は療養上の世話の方が比重が高くなるため、処置スキルを向上しづらいというデメリットを感じるかもしれません。

人手不足で業務が忙しいため

訪問看護は現在、人手不足という課題に直面しています。十分な人員を確保していない訪問看護ステーションでは、1人ひとりに任される業務は増えます。業務が増えれば、訪問看護の仕事がきついと感じるのも自然なことです。

訪問看護の人手不足を解消するため、地域によっては地方自治体が訪問看護ステーションなどと連携し、人材確保やキャリア支援などの取り組みを行っています。最新のデジタル技術などを活用し、事業の効率化を図り、スタッフの負担を軽減しているケースもあります。

就職や転職の候補である職場がいかに人材不足に対応し、働きやすい環境を整えているかを調べることが大切です。
(出典:厚生労働省「看護師等(看護職員)の確保を巡る状況に関する参考資料」

移動の負担が大きいため

訪問看護には移動が欠かせません。狭いエリアに密集する利用者さんの家を訪問する場合もあれば、広いエリアに点在する利用者さんの家を訪問する場合もあり、巡回には自動車や自転車での移動が不可欠です。

担当エリアの利用者さんを巡回する移動は、大きな負担やストレスにつながりがちです。こうした負担を軽減するため、できるだけ少ない移動で効率的に業務できるような対策を取っている訪問看護ステーションもあります。

たとえば、マンションや高齢者向け住宅など、同じ建物内に暮らす複数の利用者さんに対応するスケジュールを組み、移動回数を減らすといった対策です。

教育体制の整っていない職場があるため

職場の教育体制が整っておらず、仕事をつらく感じる方は少なくありません。より良い看護を提供するには、各種講座・研修の受講や資格取得を通して看護スキルや知識を高め、幅広い業務に対応できる能力を身に付ける必要があるためです。

看護スキルや知識などを習得できる教育体制や支援体制が整っていない職場があるのは事実です。一方で、スタッフが自身の看護スキルや知識に自信を持って働けるよう、教育体制の充実に努めている職場は少なからずあります。

働き始めてから後悔しないためにも、教育体制の有無を調べ、就職先や転職先を決めることがポイントです。

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訪問看護の仕事がきついと感じるときは何をすればいい?

訪問看護の仕事がきついと感じるときは何をすればいい?

訪問看護の仕事が「きつい」と感じる場合は、自身に合う対処法を探して状況を改善しましょう。主な対処法には下記の4つがあります。

  • 職場に相談する
  • 休日にリフレッシュを図る
  • 勤務しているステーションを変える
  • 訪問看護以外の職場を検討する

以下では、訪問看護の仕事が「きつい」と感じるときの対処法について、それぞれ詳しく解説します。

職場に相談する

身体的な負担や人間関係の悩みによって「きつい」と感じる場合は、職場に相談してみましょう。訪問看護ステーションによっては、訪問件数の調整・シフト変更などの対処を取ってもらえる可能性があります。移動に伴う身体的な負担は直行直帰スタイルに切り替えてもらうことにより、負担軽減につながります。

また人間関係の悩みがあった場合も、相談すると、状況に応じて訪問先を変更してもらえる可能性があります。

しかし、人員不足が深刻な職場では訪問先を変更できない場合があり、「希望が必ず通る」とはいえません。

休日にリフレッシュを図る

休日は仕事から解放されて、心身をリフレッシュすることも1つの方法です。翌日以降のエネルギーを蓄えるためにもオンとオフを明確に区別し、意識的なリフレッシュを図りましょう。リフレッシュ方法の例は下記の通りです。

  • ウォーキングやジョギングで汗を流す
  • マッサージで癒やされる
  • 映画鑑賞や読書に没頭する
  • 郊外までドライブする

最適なリフレッシュ方法は個人によって異なります。さまざまな選択肢のなかから自分に合うリフレッシュ方法を探し、休日に実践しましょう。

勤務しているステーションを変える

訪問看護の仕事がきついと感じたときは、勤務しているステーションを変えるという方法もあります。人間関係や待遇など、現在の職場に抱いている悩みや不満が解消され、新しい職場で心機一転、訪問看護の仕事をスタートできるでしょう。

訪問看護の業界では人手不足が常態化しており、多くのステーションが求人募集をしています。現職よりも良い待遇の職場を見つけられる可能性は大いにあります。情報収集を行い、自身の希望に見合うステーションを探してください。

訪問看護以外の職場を検討する

対処法を実践しても状況が改善できない場合には、訪問看護以外の職場を検討してみましょう。下記は、看護師免許を活かして転職できる職場の例です。

  • 病院、クリニック
  • 介護施設
  • 保育園、幼稚園
  • 一般企業
  • 献血ルーム、検診センター

しかし、看護師がやりがいを持って長く働くためには、自身の希望するキャリアプランに合う職場を探す必要があります。訪問看護の仕事に大きな魅力を感じている方の場合、ほかの職場に転職することが最善の選択肢とはいえないケースもあるでしょう。

業務のきつさ・大変さはステーションによって異なる

業務のきつさ・大変さはステーションによって異なる

訪問看護における業務のきつさ・大変さはステーションの業務形態によって異なります。以下では、「在宅訪問看護」と「施設への訪問看護」の業務形態について、それぞれの特徴を説明します。

在宅訪問看護

在宅訪問看護の場合、利用者さんの家を訪問して看護を行います。1人で複数の利用者さんを受け持ち、自動車や自転車などで家々を移動することが一般的です。雨の日や暑い日など、どのような天候であっても移動は欠かせず、体力を消耗しがちです。

ステーションによっては、移動時間を勤務時間から除外しているケースもあります。在宅訪問看護においては移動も業務の一部であり、移動時間が給料に反映されない場合、業務のきつさ・大変さにもつながります。

1件あたりの訪問時間は30~90分が基本で、60分の訪問が最も一般的です。利用者さんの状況に合わせて、看護ケアを行います。

施設への訪問看護

施設への訪問看護は、移動時間が少ないという特徴があります。1つの施設で生活している複数の利用者さんに対して訪問看護を行うためです。複数の施設を担当すれば、移動する必要はあるものの、在宅訪問看護と比べると移動回数が大幅に少なくなります。

看護に関わる設備が整っている点も、施設への訪問看護ならではです。設備を活用することで、看護を効率的に行えます。加えて、利用者さんのご家族と接する機会が少なく、看護のみに専念しやすいというメリットもあります。

訪問看護ステーションの看護師求人・転職・募集おすすめ一覧 – マイナビ看護師・公式

働く訪問看護ステーションはどう選ぶ? 5つのチェックポイント

働く訪問看護ステーションはどう選ぶ? 5つのチェックポイント

訪問看護の仕事が大変かどうかは、働く場所・環境に大きく影響されます。仕事が「きつい」と感じる状況を事前に回避するためには、働きやすい訪問看護ステーションを選ぶことが重要です。

以下では、働きやすい訪問看護ステーションを選ぶためのチェックポイントを紹介します。

オンコール対応の有無

働きやすい訪問看護ステーションを選ぶポイントとして、オンコール対応の有無をチェックすることが挙げられます。オンコール対応がない環境では、身体的な負担を軽減して働くことが可能です。

オンコール対応がある訪問看護ステーションを選ぶ場合は、頻度と手当の金額を確認しましょう。日本看護協会の調査によると、オンコール対応頻度の平均は1か月に5~9回です。フルタイムの正職員がオンコール対応する際には、平日1,718円・休日2,696円程度の手当が支給されます。
(出典:日本看護協会「2014年訪問看護実態調査報告書」

手当の金額が平均を超える訪問看護ステーションを選ぶと、労力に見合った見返りを得られる可能性が上がります。

1日のおおよその訪問件数

身体的な負担の少ない職場を選ぶためには、訪問件数の目安を聞くことも大切です。1日あたりの訪問件数は平均4~6件程度であるため、4件以下であれば「負担の少ない訪問看護ステーション」と判断できます。

ただし、地方部では訪問件数が少ない代わりに移動時間が長くなることもあるため、「自身にとって何が負担か」を明確化したうえで職場を選びましょう。「移動の負担をなるべく軽減したい」と考える方は、訪問件数が多くても担当エリアの範囲が狭い訪問看護ステーションを選ぶことが一案です。

年間休日の日数

年間休日の日数には、訪問看護ステーションの経営方針が反映されます。年間休日が120日以上あれば、ワークライフバランスに考慮している職場といえます。また、「週休二日制」「完全週休二日制」などもチェックしておきましょう。

より念入りに働きやすさを見極めるためには、有休消化率の確認も重要です。年間休日の日数が多くても有給消化率が低ければ、働きやすい環境とはいえない可能性があります。

利用者さんの特徴

訪問看護ステーションの利用者さんの特徴は、施設ごとに異なります。自分自身の経験やスキルが活かせる訪問看護ステーションを選ぶと、負担を軽減できるでしょう。下記は、訪問看護ステーションごとに異なる特徴の具体例です。

  • 難病や重症の利用者さんが多い
  • 精神疾患を持つ利用者さんが多い
  • 要介護度の低い高齢者が多い
  • がんのターミナルケアを主に提供している

難病や重症の利用者さんが多い訪問看護ステーションでは高度な看護スキルを要求されるケースも多く、看護師業務に慣れない方が「きつい」と感じるリスクがあります。就職・転職活動中の面接では担当者に利用者さんの特徴を質問し、知識の習熟度とのマッチングを確認しましょう。

教育体制の充実度

訪問看護未経験の方が働く場合は、教育体制の充実度が重要です。教育体制の充実度を測るためにチェックしたい項目は下記の通りです。

  • 先輩の同行訪問をどの程度の期間受けられるか
  • 未経験者向けの基礎研修はあるか
  • 専門資格の取得支援制度はあるか

一般的には大規模な訪問看護ステーションほど、充実した教育体制を取っている可能性が高いといえます。ただし、近年では規模を問わずに教育体制の充実に注力している職場もあるため、「小規模な訪問看護ステーションは働きにくい」とはいい切れません。

訪問看護はきついことだけではなくメリットも多い

訪問看護はきついことだけではなくメリットも多い

訪問看護の仕事は「きつい」といわれることもある一方、スキルアップにつながるなどのメリットも多くあります。訪問看護で働くキャリアを検討する際には、大変さとメリットを考慮しつつ、自分に合う仕事かどうかを判断しましょう。

以下では、訪問看護の仕事に関する5つのメリットを紹介します。

利用者さんと密に関われる

訪問看護で担当する利用者さんの人数は、多くても1日あたり6人程度です。病棟看護師や外来看護師と比較して担当する利用者さんの人数が少ないことから、ひとり一人と密に関わって信頼関係を構築できます。

また、訪問看護は年単位でひとりの利用者さんを担当することも多く、長期的な変化を見守ることが可能です。自身が関わったことで回復していく利用者さんの様子を見ることは、看護師としての自信につながります。

訪問看護の現場では利用者さんやご家族から感謝される機会も多いため、モチベーションを高く維持しやすいでしょう。「(看護師のおかげで)体調が改善された」などの言葉を聞けたときは、仕事の苦労が報われたように感じるのではないでしょうか。

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自分のペースで働ける

訪問看護で働く看護師は1人で行動する時間が長く、ほかの看護関連の職種よりも自分のペースで働きやすいことが特徴です。移動時間に余裕があれば、「コンビニで買い物する」「ランチ休憩を取る」といったことも可能です。

また、訪問看護は利用者さんの意見を尊重し、柔軟な対応が求められる仕事です。病院のルールに縛られすぎず、本当の意味で利用者さんに貢献できる接し方を探せる点は訪問看護の魅力といえます。

土日祝日は休める

多くの訪問看護ステーションは土日祝日が休みであるため、一般的な会社員に近い働き方を実現でき、家族や友人との時間を確保しやすくなります。

土日祝日がオンコール当番日にあたる場合は呼び出しに備える必要があるものの、手当による金銭的な見返りを得られます。職場と相談すれば、予定のある土日祝日以外の日にオンコール当番を受けることもできるでしょう。

なお、土日祝日にオンコール当番を担当しても、電話による口頭の説明で対応できるケースがあります。そのため、実際に職場まで駆けつける可能性は低いといえます。

夜勤がない

多くの訪問看護ステーションは日中訪問中心の職場であるため、夜勤なしでも働けます。夜勤なしの職場で働くことの代表的なメリットは、下記の通りです。

  • 規則正しい生活リズムを維持しやすい
  • 育児と仕事を両立しやすい
  • 帰宅後の時間を有効に活用しやすい

夜勤なしの職場では帰宅後に家事の時間を確保し、育児と仕事の両立を図れます。帰宅後の時間を自身のために活用すれば、専門資格の取得に向けた準備を進めることも可能です。

なお、日中訪問中心の職場であっても、月に数日、平日夜間のオンコール当番は発生します。家庭の都合で夜勤をまったくできない方は、「オンコールなし」「夜勤なし」の条件で訪問看護の求人を検索しましょう。

高収入を期待できる

訪問看護は施設介護、訪問介護に関わる仕事のなかで、高収入を期待できる仕事です。施設介護や訪問介護に関わる職場ごとの常勤看護師の給料水準は、下記の通りです。

訪問看護 440,368円
介護老人福祉施設 422,652円
介護老人保健施設 448,962円
介護療養型医療施設 437,297円
訪問入浴介護 373,434円
訪問リハビリテーション 437,296円
通所介護施設 354,319円
(出典:厚生労働省「令和2年度介護事業経営実態調査結果」

介護老人保健施設とは、要介護1以上の高齢者が病院から退院した後、在宅復帰を目指す際に利用する施設です。介護老人保健施設と比較して介護度が低い利用者さんを担当することが多く、夜勤なしでも働ける訪問看護は、身体的な負担を軽減しつつ高収入を得たい看護師に向いています。

訪問看護の仕事に向いている人・向いていない人の特徴

訪問看護の仕事に向いている人・向いていない人の特徴

訪問看護の仕事には、だれもが向いているわけではありません。病院やクリニックといった施設における勤務とは異なる業務も多く行うため、向いている人と向いていない人がいます。以下では、両者の特徴について解説します。

向いている人の特徴

訪問看護に向いているのは、体力や判断力などに自信があり、あらゆる事態に直面しても主体的に行動でき、利用者さんに寄り添った看護を行える人です。具体的な特徴は、次の通りです。

コミュニケーションを得意としている人
利用者さんのみならず、利用者さんのご家族や医師、ケアマネジャーなどさまざまな人との円滑なコミュニケーションが必須です。

体力や気力に自信がある人
利用者さんの家々を移動し、看護するという業務を1人で行うため、十分な体力や気力が必要となります。

キャリアアップの意欲がある人
訪問看護に伴う業務でさまざまな経験を積め、キャリアアップに活かせます。

緊急事態に直面しても主体的に適切な対応ができる人
利用者さんの容態が急変するなどの緊急事態が起きた場合も、適切な処置を自分で考え、行動に移せる対応力が欠かせません。冷静に落ち着いて判断できる、高いフィジカルアセスメント力があるといいでしょう。

利用者さんの生活に寄り添った看護の提供を理想としている人
訪問看護では、利用者さんが自宅でいかに自分らしい生活を送れるかを尊重し、寄り添う看護を行うことが大切です。

上記に挙げた特徴の持ち主は、訪問看護の仕事にやりがいを感じ、利用者さんに寄り添う看護を提供できるでしょう。

向いていない人の特徴

訪問看護に向いていないのは、最先端医療に従事できるチームの一員として働くことを強く希望し、仕事とプライベートの区別をはっきりと分けたい人です。具体的な特徴は次の通りです。

最先端医療に取り組む現場で働きたい人
訪問看護では最先端医療に触れる機会はあまりありません。そのため、最先端医療に携わりたいと希望している方は、訪問看護の仕事に向いているとはいいにくいでしょう。

責任者の指示に従って行動したい人
医師や先輩看護師からの指示を受け、確実に処置を行いたいという方は、仕事が難しいと感じる可能性があります。

仕事とプライベートを分けたい人
訪問看護の仕事に就いていると、休日であっても呼び出しやオンコールに対応する必要があり、仕事とプライベートを明確に分けることが困難です。

上記で挙げた特徴のある方は、訪問看護の仕事よりも病院やクリニックなど施設での勤務が向いています。しかし、自分自身の希望をできる限り満たす職場を選べば、訪問看護の仕事に充実感を得られる可能性は大いにあります。

まとめ

訪問看護は業務に関わる身体的な負担・人間関係や精神的な負担などを理由に、「きつい」といわれることがあります。ただし、訪問看護の仕事のきつさは、職場の選び方を工夫して適切に対処することで、軽減を図ることが可能です。

マイナビ看護師では、看護師の就職・転職に精通したキャリアアドバイザーが、満足度の高い職場探しをサポートいたします。無理なく働ける訪問看護の職場を探したい方は、ぜひマイナビ看護師までご相談ください。

※当記事は2024年5月時点の情報をもとに作成しています

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