• 2024年9月11日
  • 2024年9月9日

「放射線療法」と「化学療法」、副作用が全身に起こりやすいのは?

 

がんの治療法として有名な「放射線療法」と「化学療法」。医療従事者はそれぞれの違いを知っているものの、一般的には2つの治療法の特徴や違いを明確に知られてはいないはず。そこで今回は「放射線療法」と「化学療法」の違いをわかりやすくまとめました!看護師さんは、2つの治療の違いを説明できるようにしておきましょう!

「放射線療法」は、がん細胞に局所的なダメージを与える治療法

「放射線療法」とは、がん細胞内にあるDNAに局所的に放射線をあてて、細胞そのものにダメージを与えて治療する方法のことです。

治療用に使用される放射線には、X線の他に陽子線、重粒子線、アルファ線、ベータ線、ガンマ線などが用いられ、がんの種類によって使い分けられています。治療時間は多くの場合30分前後。治療中の痛みはありませんが、副作用として照射部位の局所的な皮膚の乾燥、かゆみ、発赤などがあります。

また頭部へ照射した場合は脱毛、胸部では息苦しさ、腹部では下痢などの副作用が起こる可能性もあるので、看護師さんは日々照射部位の観察を行うようにしましょう。

<放射線療法の特徴>
・がん細胞内にあるDNAに放射線で局所的なダメージを与えて治療する
・副作用は照射部位の皮膚の乾燥、かゆみ、発赤など局所的
・看護師は、皮膚症状などを毎日観察することが大切

「化学療法」は「細胞障害性抗がん薬」を血液に流す、全身療法

「化学療法」は「ホルモン療法」「分子標的療法」と並ぶ「薬物療法」の1つで、「細胞障害性抗がん薬」を用いた治療法です。

増殖するがん細胞に傷害をきたす薬剤を血液に流し、がん細胞を死滅させます。治療時間や期間は、がんの種類によって異なりますが、局所的な放射線療法とは異なり、時間をゆっくりかけながら全身に薬剤をめぐらせるのが特徴。

そのため、副作用も全身のあらゆる臓器に起こりやすく、悪心、嘔吐、口内炎、下痢といった消化器障害の他に、脱毛を中心とした皮膚障害、肺障害、腎障害、神経障害などが挙げられます。

また薬剤注入中は、点滴路からの漏れや注射針挿入部位の腫れなども必ず確認する必要があります。

<化学療法の特徴>
・薬剤を血液に流し、がん細胞を死滅させる治療法
・副作用は消化器障害、皮膚障害、肺障害、腎障害。神経障害など全身にわたる
・看護師は、点滴路からの漏れや注射針挿入部位の張れなどを必ず確認

「放射線療法」「化学療法」はどちらもがんに対する治療法ですが、がん細胞に対する攻撃の仕組み弥副作用の範囲が異なります。また、がんの種類によっては放射線療法と化学療法を併用することも。それぞれの副作用や違いをしっか理解しておきましょう。

制作:TAC企画

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