看護師として働く上で避けて通れない人間関係の悩み。自分だけ先輩からの態度が違うかも……と思ったことがある人も多いのでは?今回はそんなお悩みに対して、産業医の井上智介さん、作家のワタナベ薫さん、ロリータモデル兼看護師の青木美沙子さんらスペシャリスト3人がアドバイスします!
イラスト:菜々子
今回のお悩みに答えてくれるスペシャリストたち
私にだけ態度が違う先輩看護師。無視されることも…どう対応すればいい?
私は今の部署で一番下っ端です。
先輩と比べて仕事ができる方ではないせいか、先輩に挨拶しても無視されます。
業務的な内容で会話せざるを得ない時でも、明らかに声のトーンが下がり、他の看護師とは態度が違います。
正直、仕事しにくいです。先輩も私に対してストレスがあるのでしょうが、私だってこんなことが続くとストレスです。
何か悪いところがあるなら指摘してほしいですし、改善する努力をします。原因がわからないと対処できないのでつらいです。
先輩に直接聞いてみることも考えましたが、かえって溝を深めてしまったり、余計に立ち回りづらくなる気がして勇気が出ません。
もう挨拶しない方がいいでしょうか? 今更仲良くなりたいわけではないですが…。
幸いにも他の先輩方はそういう大人気ないことをしないので、その人以外とは関係性は良好です。
半分愚痴ですが、アドバイスお願いします。
スペシャリスト3人のアドバイスは?
このようなことをされて不快になるのは正当な心の反応なので、自分を責めなくて大丈夫。もし、あなたの仕事のスキルが相手の希望通りではなくても、攻撃的な態度をとっていい理由にはなりません。
いま何よりも大切なのは、相手のペースに巻き込まれないこと。
現場にいる以上は、社会人として、看護師として、プロ意識の欠けた行動は望ましくありません。それこそ、まさに相手と同じになってしまいます。
だからこそ、相談者さんは先輩へ挨拶を続けるなど、敬意を払った対応をしましょう。先輩だって無視を続けることは、実はかなりのエネルギーが必要なはず。あなたが元気いっぱいに挨拶を続けることが、ささやかな抵抗になるのです。
仲良くする必要もないし、ストレートに聞くのが怖いのなら無理はしないでください。先輩とシフトが被っても今のまま淡々と仕事をこなし、他の人との仲を深めるようにしましょう。本当に相談者さんに改善が必要なことがあれば、相手から話しかけてくるはずです。それが先輩の指導というものですから(by 井上智介さん)。
▶︎職場の派閥で板挟みに。「あなたはどっち派?」と聞かれたらどうするべき?
「自分に何か悪いところがあるなら指摘してほしいですし、改善する努力をします。原因がわからないと対処できないので、つらいです」とご質問にありましたが、それをもうちょっと言い方を変えて先輩に聞いてみてはいかがでしょうか?
伝え方は、「①いつもお世話になっていることへの感謝の言葉」「②自分の働きで迷惑を掛けていることがないかを聞く」「③改善する努力をするので教えてほしい旨を伝える」です。
患者の命を預かる現場(言わばチーム)で、和を乱し、人間関係のストレスや緊張があっては仕事にも支障が出てしまうという可能性を、深刻に受け止める必要があります。この先、この状況がずっと続くことを考えると、心身に負担がかかりますので、勇気を出して行動してみてはいかがでしょうか? それでも職場環境が変わらない場合は、上に相談することをおすすめいたします(by ワタナベ薫さん)。
▶︎前の職場と何もかも違いすぎてモヤモヤ。郷に入ったら郷に従うべき?
相談者さんも今のままの職場環境は本当に良くないし、このまま仕事を続けていくのもお互い良くないと思います。
無視する原因は仕事内容にあるのか、それとも本人の機嫌の問題なのか…。相談者さんが考えてもわからないことは、やはり本人と話してみないとわかりません。
とはいえ、「なんで挨拶を無視するんですか?」と直接は聞けないと思いますし、それだと角が立つので、業務内容などで質問したりして、何かしらでコミュニケーションを取っていくことが大事かもしれません。
先輩を避けてしまうのではなく、難しいかもしれませんが頼っていくことで距離を縮めるのはいかがでしょうか。あとは、他の先輩に相談して、解決策を考えるのも良いかと思います。
メンタル的にやられてしまうかもしれませんが、ぜひぜひ頑張ってください! 応援しています(by青木美沙子さん)。
三者三様のアドバイス、いかがでしたか? 無視をし返すのではなく、先輩へ敬意を示しつつ、原因と対策を聞き出してみるのが良さそうです。相談者さんのお悩み解決の一助になれていれば幸いです。それではまた次のお悩みでお会いしましょう。
企画・構成/藤田佳奈美(TAC企画)
井上智介さん
産業医/精神科医/yahoo!ニュース公式コメンテーター
島根大学医学部を卒業後、現在は産業医・精神科医・健診医の3つの役割を中心に活動している。産業医としては、毎月30社以上を訪問。著書に『職場での「自己肯定感」がグーンと上がる大全』(大和出版)など。
ワタナベ薫さん
株式会社WJプロダクツ代表取締役
メンタルコーチ、作家。国内最大級のオンラインサロン運営やコーチング養成スクール運営など。女性たちの悩みを解決すべく人生を謳歌する方法を発信している。自身がプロデュースした手帳『人生が変わる未来手帳』ほか、著書多数。
青木美沙子さん
ロリータファッションモデル / 看護師 / 日本ロリータ協会会長
雑誌『KERA』『姉ageha』でロリータモデルをしつつ正看護師としても働く。2009年、外務省任命カワイイ大使として25カ国45都市以上の国を歴訪。2013年、日本ロリータ協会を設立。ロリータファッションBOOKの発売やプロデュース業も行うなど、精力的に活動している。