• 2022年9月21日
  • 2024年8月27日

看護師800人が激白!「こんな患者さんに困ってます」ランキング第1位は?

 

看護師さんにとって避けては通れない患者さんとのコミュニケーション。関わり方や接し方に悩む看護師さんは多いのではないでしょうか?

患者さんとのコミュニケーションで何か困りごとはありますか?を示すグラフ

なんと8割以上の看護師さんが患者さんとの関係性で困っていることがあるようです。
そこで、現役看護師800人に「患者との関係や交流での困りごと」について、アンケートを実施現役看護師さんが実践する対処法もご紹介します。

9月以降、受け持つ患者さんの人数が増える、新人看護師さんも必見です!

患者さんとのコミュニケーションで困ること、アンケート結果を発表!

看護師さんは、患者さんとのコミュニケーションに関してどのようなことに困っているのでしょうか?さっそくアンケート結果をチェックしてみましょう!

患者さんとのコミュニケーションでどんなことに困っていますか?を示すグラフ

第3位「お使いを頼まれるなどの家政婦扱い」(11.5%)

「売店で○○買ってきて」「テレビのリモコン取って」など、患者さんから業務範囲外のことを頼まれて困るという回答が、第3位にランクイン。患者さんもどこまでを看護師さんにお願いしていいのか分からないのかも? とはいえ、「イオンに行くならついでに〇〇買ってきて」なんて強者もいるようです。看護師さんはお手伝いさんじゃないんですよ!

第2位「暴言を吐かれる・あたりがキツい」(29.9%)

約3割の看護師さんが、患者さんから暴言を吐かれた経験があることが分かりました。心身ともに弱っている患者さんは、余裕がなくなりがちで、つい感情が高ぶってしまうことも。とはいえ、当たり散らしていいわけではないですよね。新人や若手の看護師さんほど、患者さんから「もっとベテラン看護師に代わって!」「君が受け持ちじゃ安心して入院生活を送れない!」などと言われてしまいがち。

第1位「信頼関係の構築・意思疎通が難しい」(38.8%)

患者さんとのコミュニケーションで困ること第1位は「信頼関係の構築・意思疎通が難しい」という悩みでした。「入院中の患者さんにとって、看護師は身近で頼れる存在」と言われているものの、短い入院期間の中で患者さんに信頼してもらうのはなかなか難しいもの

人によってコミュニケーションの取り方も十人十色なので「信頼を得ようと歩み寄ったが逆に煙たがられてしまった」「良かれと思ってやっていたことが、患者さんにとって負担だったと判明した」といった経験もザラにあるようです。

現役看護師が実践!患者さんとの上手な関わり方

では、患者さんへの困りごとに看護師さんはどう対応するべきなのでしょうか? 第1〜3位の困りごとに対して、数々の苦難を乗り越えてきた現役看護師からのアドバイスをご紹介します。

患者さんにお使いを頼まれたらどう対応するべき?

看護師歴3年/血液内科勤務/Mさん

新人看護師として働き始めたばかりの頃に『いつも看護師さんに買ってきてもらってるから』と売店までお使いを頼まれたことがあります。先輩看護師の了解を得てからじゃないと動けなかったので『上司に確認してきますね!』と伝えたところ、『じゃあいいや』と患者さんから断わられる結果に。もし新人看護師さんで『断わりづらいな』と感じたなら『一度、上司に確認します』と伝えるのもアリだと思います」

看護師歴6年/泌尿器科勤務/Uさん

リハビリがてら一緒に行きましょうか?』と提案して、あえて付き添いました。ADL(日常生活動作)の評価も高く、むしろ退院に向けて積極的にリハビリしてほしい患者さんだったからです。もちろん、一度了承すると他の看護師にも頼むようになるかもしれないと思ったので、『やむを得ない事情でない限り、看護師はお使いに行けない』としっかり伝えました

看護師歴14年/整形外科勤務/Sさん

私の場合、他の患者さんに何かあったときに対応できなくなってしまうので、申し訳ありませんが買いに行くことはできません』と伝えますね」

患者さんからの暴言・あたりのキツさにはどう対応するべき?

看護師歴11年/耳鼻咽喉科勤務/Iさん

もし可能なら、患者さんと関係性が構築できている先輩に助けを求めるのも一つの手段だと思います。患者さんの中には『この看護師になら何でも話せる』と全幅の信頼を置いている人もいるので。特に新人看護師さんは、自分は悪くないのに反射的に謝ってしまいがち。困ったら必ず先輩を頼りましょう。先輩達も嫌がらずに、一緒に対応してあげてください

看護師歴11年/腫瘍内科勤務/Hさん

長期間入院している患者さんほど、ストレスからイライラしやすくなり、あたりもきつくなりがちに。でもそんな時こそ、患者さんの話を聞き続けることが大切だと思います。

特に、化学療法や放射線療法など長期の治療に望んでいる人は、その患者さんにしか分からない苦しさがあるので、むやみに『お気持ちは分かります』など言わないようにしましょう。自分にできることがあるか』を常に考えつつ、患者の辛さに寄り添ってあげてください」

看護師歴9年/呼吸器外科勤務/Oさん

私が出会った患者さんは、『若手看護師の根性を見るために、わざとあたりをきつくしている』という方でした。このようなタイプの患者さんには、無理な要求・クレームは『そうなんですね』と傾聴しつつ受け流し、筋が通っていることにはしっかり耳を傾けるようにしてバランスを取ることが大事だと思います

患者さんと信頼関係を構築するにはどう対応すべき?

看護師歴12年/神経内科勤務/Eさん

「私が新人看護師時代に先輩から教えてもらったのは、どんなに小さなことでも、患者さんとの約束は必ず守ることが信頼につながる』ということ。清拭や簡単な処置など時間を変更しても問題がなさそうなことでも、患者さんにとっては重要です。やむを得ず時間変更が必要な場合は、なるべく早く患者さんに伝えてください」

看護師歴18年/消化器内科勤務/Wさん

「医療制度の改革などで、入院期間が徐々に短くなっているので患者さんとの信頼関係を築いたり意思疎通を図ったりするのは、昔より難しくなりつつあると思います。だからこそ挨拶する時は『○○さん、おはようございます』と必ず名前を呼ぶ』、『数分でもいいから会話を心がける』など小さな出来事を積み重ねていくことが大事だと思います」

看護師歴9年/整形外科勤務/Tさん

患者さんの些細な変化に気づき、その都度声をかけるのも大事だと思います。今日のリハビリは調子良さそうですね』『歩ける距離が増えましたね』といった声掛けは、患者さんのモチベーションアップにもつながるはず。試してみてください」

たま〜に出くわす「連絡先をもらった時どうすれば……」へのアドバイス

アンケートのTOP3にはランクインしなかったものの、ちょこちょこ聞くのが「患者さんから連絡先を聞かれる」というお悩み。患者さんとの良い関係を維持しつつ、後腐れなく断わる方法をご紹介します。

看護師歴10年/呼吸器内科勤務/Kさん

私の病棟では、連絡先を渡されたときのマニュアルにありがとうございます、お気持ちだけ受け取ります』と断わるようにすると書いてありました。まずはマニュアルが病棟にあるのか確認してください」

看護師歴3年/循環器内科勤務/Nさん

「適切な行動ではないかもしれませんが、『ここに連絡先を書いて』と言われたときは外来に繋がる電話番号を書きました。また、それを渡す際も何か体調のことで困ったことがあったら、ここの番号に電話してくださいね』と伝えたと思います。それでも何度も聞かれたら、いきさつを話して師長や上司から患者さんにお断りしてもらってください

患者さんと程良い距離感で上手に関われるようになろう

患者さんとの関係は、個々のタイプを見極めながらコツコツ積み重ねていくことが大切。少しずつ慣れて、いろいろな患者さんと良い関係が築けるようになりましょう!


取材:内山直弥(TAC企画)、編集:藤田佳奈美(同)

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