
人間関係の悩みはいろいろとありますが、なかでも多いのは「聞くだけで不愉快になる」「自分も言われているかと思うと怖い」という陰口や悪口に対する不快感です。今回は、陰口や悪口がイヤで仕事を辞めたくなっているあなたへメッセージをお届けします。
陰口や悪口を言う側・言われる側の心理を理解する
実際に陰口や悪口を言われたことがある方、あるいは他者の悪口を聞かされて「私も陰でいろいろと言われているんじゃないか…」と、イヤな思いをしている方はたくさんいらっしゃると思います。
私も25年以上看護師として働くなかで、陰口や悪口を言われたことがありますし、そのたびに怒りや悲しみ、恐れを幾度となく味わってきました。
今でも、人に何を言われているかが気になることもありますが、陰口や悪口を言う側、そして言われる側の心理が理解できてからは、過剰に反応したり恐れたりすることは極端に減りました。
言う側の無意識の心理として「同意してくれる仲間が欲しい」という承認欲求や仲間意識があります。また、自分が上に立ちたいという思いが強い場合、悪口を言うことで誰かを見下し、一時的に欲求を満たすことができます。
そういった欲求を持つ人は、自分で自分を満たすことができないので、常に第三者を巻き込もうとします。言い換えると自分の欲求を自分で上手に満たすことができないぶん、心の根底には欠乏感や不足感がいっぱいであることを理解しましょう。
一方で、言われる側には、「自分が何か気に障ることをしたのではないか」「もっとちゃんとしなきゃ」など、相手の反応の領域にまで無意識に責任を背負おうとする心理が働きます。自分の存在を否定されるのが怖いからです。この場合、根底には自己肯定感の低さがあり、自分自身にもの足りなさを感じていると言えます。
つまり、言う側・言われる側双方に心の内面に共通しているのは「不足感」や「欠乏感」なのです。
相手を俯瞰で見る習慣を
あなたの思考が誰にもコントロールできないのと同じように、相手が何を思うかもコントロールすることはできません。どんなに相手の顔色をうかがい、悪口を言われないように気をつけていたとしても、言われるときは言われるのです。
それは「あなた」に問題があるというより、「言う相手」の問題です。「どこに焦点をあて、何に反応しているのか」という相手の思考のクセだとも言えます。悪口や陰口に対し、過度に反応してしまう場合、不安や恐怖の感情と一体化し、客観視しにくい状態になっています。
そのことを理解したうえで、「承認欲求が強い人なんだな……」「相手は何に反応しているからそういう発言になるんだろう……」など、冷静に観察する習慣をつけましょう。陰口や悪口に対する不安感や嫌悪感はしだいに薄らいでいくことでしょう。
陰口や悪口は、どこに行っても大なり小なりついて回る可能性が高いです。イヤになって仕事を辞めることもひとつの選択肢ですが、今の職場でどのように受け止めれば良いのか、訓練をすることで解決するほうが早いと言えます。
目先の問題を解決することだけに意識を向けるのではなく、自分の未来を全般的に良くしていくためのひとつの「取り組み」として位置づけることをおすすめします。
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