• 2018年7月13日
  • 2022年5月13日

こんな考えかたは事故につながる!

 

こんな考えかたは事故につながる!

医療事故は、ときに患者の生命に重大な危険を及ぼす危険も。インシデント・アクシデントを起こしやすい人の「考えかた」にはある共通点があります。今回は事故につながりやすい考えかたについてご紹介します。

「憶測」や「決めつけ」が事故を呼ぶ

インシデント・アクシデントのおもな原因として不注意や確認不足、思い込みなどが挙げられます。ヒューマンエラーの厄介なところは、事故を起こす瞬間まで、自分の誤りに気づかないことです。私自身も、インシデント・アクシデントを起こして初めて「そんなこと疑問にも思わなかった……」「間違った判断をしているなんてまったく自覚していなかった……」と愕然とすることが少なくありませんでした。しかし、そのときの自分の思考をあとで振り返ると、そこには事故につながりやすい「考えかた」のパターンがいくつかあることに気づいたのです。それは、「きっと」「たぶん」などの「憶測」と、「~であるに違いない」「間違いない」などの「決めつけ」でした。 それでは、これらの考えかたがどのような事故を引き起こす可能性があるのか、よくある例を挙げてご紹介します。

【「憶測」によるアクシデントの事例】 看護師Aは、トイレ介助が必要な患者さんの見守りをしていたが、ナースコールを押す患者さんが多くPHSが鳴りやまない状況に遭遇した。「最近は座位だけでなく、立位保持もできて安定しているから、少しの間だけならその場を離れてもたぶん大丈夫だろう」と思い、患者さんに一人で動かないよう説明し、その場を離れた。しかし数分後にトイレへ戻ると、患者さんは床にずり落ちていた。
【「決めつけ」によるアクシデントの事例】 看護師Bは、頭痛を訴えている患者さんに対し、鎮痛剤を与薬することにした。以前から医師の約束指示として「疼痛時ボルタレン(25mg)1錠内服」が出ており、先日も内服していたことを思い出したため、「前にも内服していたから、ボルタレンで間違いないと判断し、服用してもらった。しかし、実際には、数日前に医師の指示で、鎮痛剤の種類が別の薬剤に変更となっていた。

確実性の追求が事故を防ぐ

医療事故を防ぐためには、憶測や決めつけをせず、不確かな事柄に対してはその都度、確認する習慣をつけることが大切です。医師から指示を受けるときや看護業務を行うときには、「本当にこれで合っているのか?」という疑問を常に持ち、確実性を追求するように努めましょう。 また、インシデント・アクシデントを起こした際、「次からは気をつけよう」と前向きになることも大切ですが、何が原因なのかを振り返ることが必須です。また、「この失敗から得られることはなんだろう」「この経験をどのように活かしていこう」などのように、たくさんの気づきを得られそうな問いかけを自分自身にしていくことも忘れないようにしましょう。

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