日本財団と笹川保健財団が、グローバルな視点を持ってポストコロナ時代を支える人材の育成を目指して、看護師の「海外留学奨学金制度」を2021年7月に新設しました。
アメリカ・カナダの大学院で公衆衛生や生命科学・医療、疫学、保健政策、人口動態、看護学などを学ぶ看護師を対象に、奨学金を支援。年間1200万円を上限に、修士で2年、博士で3年間支給し、10年間で約100人の支援を目指しています。
10年間で看護職100人の海外留学支援を予定

「海外留学奨学金制度」が目指すのは、グローバルな視点とリーダーシップを持つ看護師の養成です。
アメリカ・カナダの大学の修士・博士課程で、看護学や公衆衛生学・保健科学分野などでの研修研究を行うことをサポートし、将来的に政策提言や施策の企画・実行を担うリーダーの育成を目指します。
新型コロナウイルスのパンデミックなどにより、これからの看護の役割を考える上で、地域だけではなくグローバルな視点を持った人材の育成が急務であることが浮き彫りになりました。
そこで、新たに創設される奨学金制度では、グローバルな視点を持った上で、
- エビデンスに基づく記録・分析・評価能力の習得
- 科学的論文の作成
- 多職種との学際的交流とリーダーシップの養成 などの能力を持つ人材を育成します。
奨学金の人数は、10年間で約100人(博士過程21人、修士課程79人)。修士・博士課程の重複も考えると、延べ人数221人程度になることを見込んでいます。
奨学金の希望者は「Sasakawa 看護フェロー」に認定されて留学準備
通常の奨学金と大きく異なるのは、奨学金の希望者は選考を経てから「Sasakawa 看護フェロー」に認定され、6か月~3年間、事前に笹川財団が行うさまざまなイベントに参加しながら留学準備をする点です。
イベント内容は、概ね月に1、2回程度、数時間のオンラインイベントや講義に参加するというもの。参加後は英語も含めた報告書を提出します。さらに審査員と複数回面談し、進学先の大学・学部なども審査員と相談しながら決定します。
■「Sasakawa 看護フェロー」への応募資格
- TOEFL iBT80又はIELTS6.0(TOEFL best scores/IELTSジェネラルは不可)
- 日本国内の看護師免許を取得済であること
■選考方法
- 小論文(英語)審査
- 国内外の審査員による面談などの審査
「進学先はアメリカ・カナダのトップ10大学が対象に
一例として、下記の大学が留学候補先として挙げられています。
■公衆衛生学分野
- ハーバード大学
- ジョンスホプキンス大学
- ワシントン大学
- ノースカロライナ大学 チャペルヒル校
- コロンビア大学 など
■生命科学・医学分野
- ハーバード大学
- スタンフォード大学
- ジョンスホプキンス大学
- マサチューセッツ工科大学
- カリフォルニア大学
- ワシントン大学 など
■看護学分野
- ペンシルベニア大学
- ジョンスホプキンス大学
- カリフォルニア大学 サンフランシスコ校
- トロント大学
- ワシントン大学
- イェール大学
- ノースカロライナ大学 チャペルヒル校 など
進学が決定したら、授業料、寮費、保険料などの費用を年間1200万円を上限とし、 修士2年間、博士3年間が支給されます。さらに、現地での生活費として月額10万円が支援されます。
フェローの募集は年に3回程度が予定されていて、第2回の応募締切は2021年12月17日となっています。(編集部注:第1回は2021年9月末で応募受付終了)
フェローの期間は6カ月~3年と幅広いため、どのようなスケジュールで留学するかはさまざまですが、一例として、最短で留学する場合は次のようなスケジュールになります。
- 9月末:申請書類〆切
- 10月中旬:面接審査
- 10月下旬:フェロー認定
- 11月~:フェローの活動スタート
- (活動スタート後は、フェローオリエンテーションの後にイベントや面談を月1~2回程度実施)
- 3月頃:大学合格通知を受理
- 7月頃:留学前オリエンテーション、学費・保険・寮費などを支給
- 9月~:留学
このほか、会見の質疑応答で交わされた主な質問は以下のようなものです。
- フェロー参加の際に、所属団体・病院からの承認や推薦状は不要
- 病院での勤務経験は必須ではないが、あると好ましい
- 日本の大学院を修了していても応募は可能
- 海外の学位取得者も応募可能だが、日本の看護師免許が必須
- 海外在住者も要件を満たせば応募可能
- 年齢制限はなし
笹川保健財団の喜多悦子会長は、制度の趣旨について「コロナ禍で明らかになったように、1つの病気を考えても国際的な視点が必要とされる時代になっています。
そのような時代で活躍できる看護師を養成するため、多様な国々の人と共に学べる機会を作りたいというのが趣旨です。また、看護の視点を持ち、幅広い分野で専門性を磨いた人材を育成したいと考えています」などと説明しました。
喜多会長「多様な人材を集めたい。ぜひチャレンジを」
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また、多様な視点を持つ人材を育成するために、進学する学部は看護学部に限っていない点なども説明しました。
さらに選考試験ではできるだけ間口を広げ、多様な人材が応募できるように配慮している点にも言及しています。
「選考試験は、入学試験のように点数で足きりするものではなく、事業にふさわしい人物かどうかを見極めるために行います。年間約10人を支援するといっても、初年度は博士が少ないことが見込まれるため、修士の人数が増える可能性もあります。真面目に臨んでいただきたいが、堅苦しく考えることはなく、ぜひチャレンジしていただきたいと思っています」
診療看護師やナースプラクティショナーの可能性に言及
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また、会見では笹川陽平日本財団会長、福井日本看護協会会長の双方から、「診療看護師」あるいは「ナースプラクティショナー」などについて言及がありました。
笹川会長はアメリカやカナダの診療看護師制度に触れ「診療看護師がいれば、受診すべきかどうかの判断もできるし、医師の負担軽減などにもつながる。ぜひとも日本でも診療看護師制度を作りたい」とコメント。
福井日本看護協会会長も「医師の指示を受けずに一定レベルの診断や治療ができる、看護師の新たな国家資格としてナースプラクティショナー(仮)の創設が必要」と応じました。
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海外留学を経験された現役看護師の時枝夏子さん(エモリー大学留学後、米 CDCにて勤務中)もオンラインで登壇し、「周囲でも資金面がネックでタイムリーな留学に踏み切れない看護職の皆さんが少なくない」とコメント。時枝さんご自身も、資金準備のため留学まで3年もの月日を要したそうです。
今後のキャリアアップや、これからの医療保険をリーダーシップを持って支えていきたい看護職の皆様は、ぜひ「Sasakawa看護フェロー」に応募してみてはいかがでしょうか?
詳細が気になる方は、笹川保健財団公式HPをぜひご確認ください。
※「Sasakawa 看護フェロー」プログラム申込・詳細はこちら
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取材・文/横井かずえ
写真/笹川保健財団提供
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