• 2024年12月28日
  • 2024年12月23日

気管支とは? 喘息や気管支炎などの病気の症状や原因・対処法を解説

 

「呼吸器疾患」と聞くと、漠然としたイメージしかわかない方も多いのではないでしょうか。気管支やその周辺の病気は、症状が似ているケースや原因が複雑なケースなど、人によっては理解を深めるのが難しい場合も少なくありません。

当記事では、主に看護師や看護学生の方に向けて、気管支について詳しく解説します。気管支がどのような器官か、また喘息や気管支炎といった代表的な病気の症状や原因、患者さんへの適切なケアについて、分かりやすく説明します。

気管支とは?

気管支は、気管の下端から左右に分かれ、両肺に分岐する細い管を指します。

気管の延長として縦隔内に位置し、呼吸におけるガス交換を行う肺胞へと空気を送ります。気管と同様に、管状の形状を保つために軟骨が存在し、内側は平滑筋で囲まれ、粘膜によって覆われています。気管支は気管から左右に分かれ、それぞれの肺に向かいますが、右の気管支は短くて太く、異物が入りやすい構造です。そのため、気管支には気道を浄化する役割もあり、気管支内の粘膜は外部からの異物を捉え、体外へ排出します。

気管支や気管に異物が詰まると、特に乳幼児においては急を要する救急医療が必要となる場合もあります。
(出典:J-STAGE「異物摘出に必要な気管・気管支の構造と機能」

気管支にかかわる病気の原因と主な症状

気管支にかかわる病気の原因と主な症状

気管支は、さまざまな呼吸器疾患の病巣となることが多く、臨床的にも重要な器官です。

気管支に関連する病気として、喘息や気管支炎などが挙げられます。以下では、喘息や気管支炎の主な原因と症状について紹介します。

喘息(気管支喘息)

気管支喘息(喘息)は、気道が慢性的に炎症を起こし、特定の刺激により気管支が狭くなることで発作的な症状を引き起こす病気です。主な原因としては、アレルギー反応や遺伝的要因が挙げられ、ホコリ、花粉、ペットの毛、冷気などが発作を誘発します。また、ストレスや運動も症状を悪化させることがあります。

喘息発作時には、呼吸困難や咳、喘鳴(ゼーゼーとした呼吸音)が見られ、特に夜間から早朝にかけて悪化しやすくなります。一時的に自然に治まることもありますが、治療が必要な場合も多くあります。
(出典:独立行政法人 国立病院機構 近畿中央呼吸器センター「気管支喘息(喘息)」

気管支炎

気管支炎は、気道(気管や気管支)がウイルスや細菌の感染、有害物質などによって炎症を起こす疾患です。風邪に続いて発症しやすく、インフルエンザウイルスやRSウイルスが主な原因として挙げられます。喫煙や空気中の汚染物質も発症リスクを高めますが、特に喫煙は要注意です。

気管支に炎症が起こることで咳や痰が発生し、体内に侵入した病原体を排出しようとする反応が引き起こされます。主な症状としては、発熱、咳、痰、鼻水といった風邪に似た症状が見られます。

急性気管支炎
急性気管支炎は、風邪などのウイルス感染によって発症し、数日後に強い咳や痰が現れるのが特徴です。

最初は乾いた咳が出ますが、次第に痰を伴う湿った咳に変わり、呼吸時に喘鳴が聞こえることもあります。急性気管支炎は通常、1~3週間で自然に回復するため、主な治療は対症療法です。

慢性気管支炎
慢性気管支炎は、長期間にわたり気管支に炎症が続く状態で、1年のうち3か月以上咳や痰が持続し、かつ2年以上にわたって続く場合に診断されます。主な原因は喫煙や長期間にわたる有害物質の吸入であり、大気汚染や職場での化学物質の曝露もリスク要因です。

慢性気管支炎は特に冬場に症状が悪化しやすく、進行すると呼吸困難を引き起こすこともあります。

喘息や気管支炎の対処法

喘息や気管支炎の対処法

喘息や気管支炎の対処法は、それぞれの病気の性質や重症度によって異なります。自分の判断で対処せず、必ず医師の指示に従うようにしましょう。

そのうえで、一般的な対処法について参考までに紹介します。

喘息の対処法

喘息発作時の治療法は、症状の緩和と気道の炎症抑制を目的として行われ、治療には、気管支拡張薬と抗炎症薬が使われます。

気管支拡張剤には、β2刺激薬やテオフィリン製剤があります。β2刺激薬やテオフィリン製剤は気道を広げる効果があり、呼吸を楽にします。ただし、動悸や手の震えなどの副作用に注意が必要です。抗炎症薬の中心は吸入ステロイド剤です。気道の炎症を抑え、長期的な症状コントロールに効果的です。

軽症の場合、抗アレルギー薬も選択肢となりますが、効果は吸入ステロイド剤よりも弱くなります。重症の場合では、IgEの働きを抑える抗体療法が考慮されることもあります。

治療は、複数の薬を組み合わせて行うのが通常です。症状が安定した後は、2~3か月の経過を見てから慎重に薬を減らします。自己判断での中断は避け、副作用が現れた場合は必ず医師に相談しましょう。
(出典:独立行政法人 国立病院機構 近畿中央呼吸器センター「気管支喘息(喘息)」

気管支炎の対処法

急性気管支炎の場合、主に安静と対症療法が基本です。症状に応じて解熱剤、鎮咳薬、鎮痛剤などを使用し、症状の緩和を図ります。多くの場合ウイルス性であるため、抗生物質は使用しませんが、細菌感染が疑われる際には適切な抗菌薬が処方されるケースもあります。十分な水分摂取と栄養補給で免疫力を高めることも重要です。

一方、慢性気管支炎の治療は長期的な管理が必要です。最も重要なのは禁煙です。喫煙は症状を悪化させるため、禁煙外来の利用も検討しましょう。薬物療法としては、去痰薬や気管支拡張薬の吸入薬が中心となります。

症状が重度の場合、呼吸機能の改善や日常生活の質向上のために、在宅酸素療法や呼吸リハビリテーションが導入されることもあります。また、慢性気管支炎はCOPDに進展するおそれがあり、早期発見と適切な治療が大切です。生活習慣の改善、定期的な運動、感染予防なども治療の一環として重視されます。

気管支の健康を保つために普段の生活で意識すべきポイント

気管支の健康を保つために普段の生活で意識すべきポイント

気管支の健康を維持するためには、日々の生活習慣や食事に気を配ることが大切です。

栄養バランスの取れた食事を心がける
気管支の健康には、適切な栄養摂取が欠かせません。特にビタミンA、C、Eなどの抗酸化物質は、気道の健康維持に役立ちます。緑黄色野菜や果物を積極的に摂取しましょう。

また、オメガ3脂肪酸を含む魚類も炎症を抑える働きがあるため、週に2~3回は魚料理を取り入れることが望ましいです。

ストレスを溜め込みすぎないようにする
慢性的なストレスは免疫系に悪影響を与え、気管支の健康を損なう可能性があります。適度な運動や趣味の時間を持つ、瞑想やストレッチをするなど、自分に合ったストレス解消法を見つけることが大切です。

十分な睡眠も重要で、7~8時間の質の良い睡眠を取るようにしましょう。また、社会的なつながりを持つことでストレス耐性が高まるため、家族や友人との交流も大切にしてください。

喫煙者の場合はタバコをやめる
喫煙は気管支に悪影響を与える主な要因の1つです。タバコの煙は気道を直接刺激し、慢性的な炎症を引き起こします。また、気管支の粘液の状態や線毛機能を低下させ、有害物質の排出を妨げます。

禁煙は簡単ではないので、専門医のサポートを受けながら段階的に進めるようにしましょう。

これらのポイントを意識し、日々の生活に取り入れることで、気管支の健康維持につながります。また、定期的な健康診断や、症状がある場合の早めの受診も大切です。

まとめ

気管支は、気道の一部であり、肺に酸素を運ぶ重要な役割があります。気管から分岐し、さらに細かく枝分かれして肺の内部に広がりますが、この部分に炎症や狭窄が生じると、咳や呼吸困難などの症状が現れることがあります。気管支に関連する代表的な病気として、喘息と気管支炎が挙げられます。

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※当記事は2024年10月時点の情報をもとに作成しています

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