いま皆さんが抱えているストレスの原因はなんですか?ストレスには「良いストレス」と「悪いストレス」があります。質の悪いストレスばかり抱えていると、心や体に悪い影響が出てしまうかもしれません。
患者さんの命とかかわり、かつ多重課題に追われやすい看護師という仕事だからこそ溜まりやすいストレス。可能な限り上手に付き合っていきたいものです。
そこで今回は看護師でもある筆者が、メディアやラジオなど多方面で活躍中の精神科医Tomy先生に、良いストレスと悪いストレスの違いや、ストレスとの上手な付き合い方を教えてもらいました。
精神科医Tomy
精神保健指定医、日本精神神経学会専門医。X(旧Twitter)フォロワー38万人越え。クリニックに常勤医として勤務する傍ら、執筆やYouTube、Voicyなど多方面で活躍。著書に『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)、『精神科医Tomyの気にしない力』(大和書房)などを持つ。
「良いストレス」と「悪いストレス」の違い

ストレスと上手に付き合うためには、どのようなことを知っておくべきなのでしょうか?Tomy先生によると「良いストレスと悪いストレスの特徴を理解しておいた方がいい」とのこと。
筆者
「良いストレス」と「悪いストレス」には、具体的にどのような違いがあるのでしょうか?
Tomy
「良いストレス」は目的があるから生じるもので、「悪いストレス」は目的がなく生じるものです。何のためにそのストレスを抱えているのか、理由や目的を明確に言えると「良いストレス」と言えるでしょう。
例えば残業をする場合。残業そのものは、仕事の拘束時間が長くなるのでストレスになります。しかし「まだ習得できていない看護技術を学ぶため」など、自分の意思で目的を持って残業する場合に生じるストレスは、良いストレスに分類されます。
筆者
良いストレスは、自分の目的を達成する過程で生じるストレスのことを指すのですね。
Tomy
その通りです。誰かに強制されているのではなく、自分で目標を立てて頑張っているため、達成できたときはその人のモチベーションにもなるはずです。「残業代が出るから割り切れる」なども良いストレスに当てはまります。
筆者
では、悪いストレスは自分の意思ではどうにもならないときに感じるものなのでしょうか?
Tomy
そうですね。残業の例で言うと、明確な理由もなくダラダラと残業してしまったり、業務を終えられずに帰りたくても帰れなかったりする場合が、悪いストレスに該当するでしょう。精神的にもよくありませんし、そのような状態が続くと物事を合理的に時間内で解決する力が低下する恐れがあります。
筆者
悪いストレスを抱えていると業務効率も下がるのですね。ちなみに、ストレスの良し悪しが途中で変わったりすることはあるのでしょうか?
Tomy
ストレスの質が変わることはあります。例えば、「スキルアップしたい」という目的のもと勉強をしているうちは良いストレスですが、先輩看護師から「この勉強もしておいたほうがいい」と無理やり別の教材を押し付けられると、悪いストレスに変わってしまいます。いくら先輩からの好意でも、自分が納得できないと悪いストレスになるので、他者からのおすすめされたものを全て受け入れようとせず、一度自分の中で吟味した方が良いでしょう。
<良いストレスと悪いストレスの違い>
①良いストレスは、自分の意思があるときに生じる。理由や目的が明確にある。
②悪いストレスは、自分の意思と反している。理由や目的がない。
ストレスを感じないときほど危惧されるリスク

良いストレスと悪いストレスの違いについて理解したものの、中にはストレスを感じづらい人もいます。しかしTomy先生によると「多くの場合、その瞬間にストレスだと認識していないだけ」とのこと。
Tomy
ストレスを感じていないように見える人の多くは、遅れてストレスがやってくるパターンに分類されます。本当はストレスを感じているのに、本能的に防衛機制がはたらいて、瞬間的にストレスだと認識できないんですね。そのため、後から怒りが込み上げてきたり、ふとした拍子に思い出してストレスだったことに気付いたりするんです。
筆者
ストレスを感じづらい人が、ストレス耐性があるということではないんですね。そのような遅延性ストレスを感じてしまう人が心がけておくことはありますか?
Tomy
常に「後から悪いストレスになるかも……」と思いながら行動してみてください。あらかじめ認識できていれば、その前にストレス解消に向けた行動もとれますし、あれこれ引き受けたり手を出そうとしたりすることもなくなるはずです。
筆者
話を伺っていると、やっぱり「ストレスはないに越したことはない」ということでしょうか?
Tomy
そうとは言い切れません。なぜならストレスがない状態は、やる気や成長意欲を削ぐリスクがあるためです。やはり最適なのは、良いストレス環境に自分の身を置けている状態。つまり、ある程度自分の意思で多少の心理的負荷をかけている状態です。看護師としてのキャリアを長く築いていきたいのであれば、能動的に学べる環境に身を置いて、目的を持った負荷をかけることが大切でしょう。
<ストレスを感じない人の特徴とリスク>
①ストレスを感じづらい人の多くは、遅れてストレスがやってくる。
②ストレスが全くない環境も危険。良いストレスに身を置くことを心がけよう。
ストレスとうまく付き合っていく方法は?

良いストレスが必要でも、ストレスの質は変化するもの。悪いストレスに変えないためにも、ストレスをコントロールすることが重要なようです。
Tomy
良いストレスを保ち続ける上で大切なのは、自分でストレスマネージメントできるようになることです。そのためにはまず、「自分が許容できるストレスのボーダーライン」を引いてください。「業務内で引き受ける雑務は多くても〇件まで」「帰宅後の勉強はどんなに捗っていても約〇時間まで」「シフトを確認するときは、誰とシフトが一緒かは気にしない(苦手な先輩とシフトがかぶっているかどうかは確認しない)」といったように、ここまでなら負担にならないという明確な線引きをすると、仕事もプライベートも悪いストレスがなく過ごせるようになるはず。
筆者
良いストレスを保つ努力と同時に、ストレス発散の方法を知っておくことも大切かと思います。なにかおすすめのストレス発散方法はありますか?
Tomy
人によってストレス発散方法には向き不向きがあるから一概には言えません。たとえばストレス発散するために「ゆっくり過ごす」としても、家で何もしないでゴロゴロすることに罪悪感を抱く人もいます。かえって仕事のことばかり考えてしまう人もいるでしょう。そういう人の場合、温泉旅行などのアクティブな「ゆっくり過ごす」が向いているのかもしれません。
ほかにも、自分の意見を言うことでストレス発散できる人もいれば、自分の意見を言うことの方がストレスに感じる人もいますよね。どのような過ごし方や振る舞いが仕事のことを考えずにいられるのかを基準に、オンオフのメリハリがつくようなストレス発散方法を見つけてみてください。発散方法はたくさんあった方がいいですよ。
Tomy先生のアドバイス、いかがでしたか?ストレスとうまく付きあっていく、良い意味で活用していくことが、看護師の仕事を長く続けていくコツになるはず。ぜひ参考にしてみてください!
▶︎ミスを引きずると命取りに。看護師こそ重要な“気持ちの切り替え”を精神科医Tomyが伝授
取材:内山直弥(TAC企画)、企画・編集:藤田佳奈美(同)
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