• 2023年2月20日
  • 2023年3月2日

保健師の仕事が辛いと感じる理由は? 対処法や向いている人の特徴

 

保健師は、乳幼児・妊産婦・高齢者・障害者など幅広い地域住民の健康を支える職業です。保健所や保健センターといった公的機関で地方公務員として働けるほか、医療施設や企業、学校などでも活躍できる社会貢献度の高い専門職といえます。

保健師として働くことには多くのメリットや魅力がある一方で、人によっては辛いと感じるケースもあるでしょう。そこで今回は、保健師の仕事が辛いと感じる理由から、保健師に向いている人・向いていない人の特徴、さらに保健師の仕事が辛いと感じたときの対処法までを詳しく紹介します。

保健師の仕事が辛いと感じる理由

保健師は、保健指導を通じて地域住民をはじめとした対象者の健康維持に貢献する専門職です。保健師として働くためには国家資格である保健師資格が必要で、保健師国家試験を受けるためには看護師資格の取得に加えて保健師養成課程の修了も必須となっています。

少子高齢化が急速に進み、地域包括ケアシステムの構築などが推進されている近年、地域住民の健康をサポートする保健師は今後ますます需要の高まる存在です。しかし、保健師の仕事に憧れをもって国家試験に合格し職に就いたものの、日々の仕事に辛さを感じて離職を選ぶ人も少なくありません。

保健師の仕事が辛いと感じたときは、たとえ保健師として働き続ける場合でも、離職を検討する場合であっても、辛さを感じる理由を明確にすることが大切です。

そこでまずは、保健師の仕事が辛いと感じる主な理由4つをそれぞれ詳しく説明します。

保健師の仕事にやりがいを感じられない

保健師としての仕事に対して特にやりがいを感じられないことが原因で、日々の仕事内容に辛さを感じる保健師は少なくありません。実際に、2018年に日本看護協会が実施した「保健師の活動基盤に関する基礎調査」では、保健師としてのやりがいがないことが離職理由の上位にランクインしていることが分かります。
(出典:公益社団法人 日本看護協会「自治体保健師の人材確保ガイド」

看護師は、患者さんの病気の治療や看護を行いながら患者さんの回復を目の当たりにできる一方で、保健師は病気予防が主な業務内容となるため、自分の仕事の成果を実感しにくいことも事実です。したがって、大きなやりがいを感じられることは少なく、「自分は何もできていないのではないか」と後ろ向きな気持ちを抱える可能性もあるでしょう。

専門性の高い健康指導において精神的負担を感じやすい

保健師は、年齢・立場の大きく異なる幅広い対象者に健康指導やサポートを行う立場となります。健康指導においては専門性の高い知識が求められ、幅広い年齢の対象者に指導するうえでさまざまな知識が必要になることから、大きなストレスを感じる保健師も少なくありません。

日本看護協会が実施した保健師の離職理由調査においても、業務に関する精神的負担の大きさが原因で離職を決意した保健師は全体のうち12.3%と、比較的多いことも分かっています。
(出典:公益社団法人 日本看護協会「自治体保健師の人材確保ガイド」

職場によっては1人あたりの業務量が多くなりやすい

保健師の就業状況は自治体が全体の約6割を占めており、事業場は1割もありません。また、小規模の地方公共団体・企業などにおいては保健師の配置数が少なく、保健師1人あたりの業務量が多くなりやすいのも実情です。

比較的小規模な企業で働く産業保健師や公的機関で働く行政保健師は、保健師としての仕事に加えて一般社員のように電話対応や書類作成・管理といった事務作業を頼まれることも多くあります。また、看護師の少ない医療機関で働く病院保健師の場合、看護業務をサポートするケースもあるでしょう。

このように、「職場によっては保健業務に集中できない」という点は、保健師としての志が高い方・着実にキャリアアップを目指したい方にとって大きな悩みの種となるでしょう。

勤める自治体によっては長時間労働になりやすい

前述の通り、小規模の地方公共団体・企業などにおいては保健師の配置数が少ないため、保健師1人あたりの仕事量が増加する傾向にあります。これにより長時間労働になりやすく、大きな身体的負担を感じる要因となります。また、残業代が発生するかどうかも勤務先によって大きく異なるのが実情です。

長時間労働や残業が増えるとプライベートの時間を確保しにくく、結果として身体的負担だけでなく精神的な負担感も増加し、離職を決意する保健師もいます。

保健師に向いている人・向いていない人

保健師に向いている人・向いていない人

人にはそれぞれ仕事への向き・不向きがあり、かつそれぞれに理想の働き方があります。保健師の仕事が辛いと感じている方は、「保健師としてのスキルを身につけられていない」のではなく、「保健師の仕事が向いていない可能性がある」ということも考えておきましょう。

保健師に向いている人・向いていない人それぞれの特徴は、下記の通りです。

保健師に向いている人
  • 社交的でコミュニケーション能力が高い
  • 柔軟に対応できる
  • 学ぶことに抵抗がない

保健師にさまざまな相談をする対象者は、置かれている状況が一人ひとり異なります。相談内容が違えば、適切な指導やアドバイスの内容も変わるでしょう。そのため、ある程度のコミュニケーション能力を有しており、人間関係を築き上げることが得意な人は特に向いています。加えて、状況を判断して柔軟に対応できる人や新たな経験を積むことに抵抗のない人も保健師の仕事が向いているといえます。

保健師に向いていない人
  • 人に説明するのが苦手
  • 周囲の意見に流されやすい、あるいは頑固
  • 1人での作業が好き

保健師は対象者とコミュニケーションをとりながら、適切なサポートを実施する必要があります。対象者の悩みに対して指導やアドバイスをする際は、対象者が納得したうえで生活改善に向けて行動できるよう、保健師が導かなければなりません。そのため、人に説明することが苦手な人や、周囲の意見に流されやすい人、頑固な人、1人作業が好きな人は、保健師の仕事に辛さを感じることが多い傾向です。

ただし、保健師に向いていない人の特徴に1つでも当てはまったすべての人が向いていないわけではありません。たとえ向いていない人の特徴に当てはまっていたとしても、考え方や工夫次第では周囲から頼られる保健師として十分に活躍できます。

保健師の仕事が辛いと感じたときの対処法

保健師の仕事が辛いと感じたときの対処法

保健師の仕事が辛く「やめたい」と思っても、勢いで離職を決意することはおすすめしません。勢いで離職すると、次の転職先を見つけるまでに長い期間を要する可能性があるためです。

仕事をやめたいと思ったときは、一度落ち着いたうえで、仕事が辛いと感じる理由と仕事のやりがいの双方を整理してから今後の選択を検討しましょう。職場環境が原因の場合は転職したほうがよいケースも当然ありますが、原因によっては転職での解決が難しい可能性があることにも注意が必要です。

最後に、保健師の仕事が辛いと感じたときの対処法を2つ紹介します。

保健師の仕事のやりがいを改めて考え整理する

保健師の仕事が辛いと感じたときは、まず仕事のやりがいを改めて考えてみましょう。日々の辛さだけに焦点を当てず、どのようなやりがいを感じられているかを洗い出すことで、「仕事をやめるリスク」が明確になります。

仕事のやりがいを考えず勢いで離職すると、後悔するおそれがあります。離職を後悔しても、元の職場に戻ることはできません。仕事の辛さとやりがいを比較し、やりがいのほうが少しでも多くあった場合は、一度離職を踏みとどまることも一案です。

保健師の仕事がどうしても辛い場合は転職も視野に入れる

日々の仕事の辛さとやりがいを比較しても辛さが勝る場合は、保健師の仕事そのものをやめるのではなく転職を視野に入れてみましょう。特に、仕事の辛さの原因が職場環境にある場合は、勤務先を変えるだけで解決できる可能性が高いといえます。

よりよい職場に転職するためには、仕事の辛さの原因をより掘り下げることも大切です。例えば、「業務量の多さ」が主な辛さの原因となっている場合は、保健師の配置数が少ないことが背景として考えられます。保健師の配置数が充実した職場に絞り込んで転職すれば、業務量の多さに悩むことなく、保健師として快適に働き続けられるでしょう。

まとめ

日々の仕事に辛さを感じ、離職を決意する保健師は一定数います。保健師が仕事に辛さを感じる主な原因には、「やりがいの少なさ」「専門的業務による精神的負担」「業務量の多さや長時間労働による身体的負担」などが挙げられます。

保健師の仕事が辛いと感じたときは、まず仕事が辛いと感じる理由と仕事のやりがいの双方を整理してから今後の選択を検討しましょう。仕事がどうしても辛い場合は、保健師の仕事そのものをやめるのではなく、転職をして勤務先を変えてみることも1つの手段です。

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※当記事は2023年1月時点の情報をもとに作成しています。

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