患者の権利に関する法律や宣言について、知識を深めたい方は多いのではないでしょうか。また、看護をするうえで、患者の権利や尊厳、プライバシーについて考えたことのある看護師もいるでしょう。
世界には患者の権利に関する法律や宣言が数多くあります。この記事では、リスボン宣言や患者の権利章典などを詳しく解説します。看護の現場における患者の権利擁護についても説明しているので、ぜひご一読ください。
患者の権利とは
患者の権利とは、主に医療を受ける人の権利のことです。患者の権利には、法律で定められたものもあれば、拘束力のない宣言もあります。 患者の権利に関して明記したものは、アメリカの「患者の権利章典」、イギリスの「患者の権利憲章」などが有名です。
患者の権利に関する歴史

世界では、1940年代から患者の権利の確立に向けた動きがありました。以下では、患者の権利に関する宣言を時系列に沿って紹介します。
●1947年:ニュルンベルグ綱領
人間を被験者とする研究(人体実験)に関する一連の倫理原則をまとめたものです。
第二次世界大戦後、戦争犯罪の責任を問うために行われたニュルンベルク裁判の一環として、「医者裁判」が開かれました。「医者裁判」では、戦争中に非倫理的な人体実験を行ったドイツの医師たちが裁かれています。ニュルンベルグ綱領は、この「医者裁判」をもとに生まれました。
●1948年:ジュネーブ宣言
1948年9月の世界医師会総会で採択された医師の倫理に関する宣言のことです。
医師の職業倫理について書かれている「ヒポクラテスの誓い」を現代化しています。ジュネーブ宣言は1968年、1984年、1994年、2005年、2006年、2017年と、時代にあわせて何度も改訂されています。
(出典:日本医師会「WMAジュネーブ宣言」)
●1964年:ヘルシンキ宣言
ニュルンベルク綱領の明文化を受けて、1964年の世界医師会総会で作成されました。
正式名称は「人間を対象とする医学研究の倫理的原則」です。
(出典:日本医師会「ヘルシンキ宣言」)
●1973年:患者の権利章典
1973年にアメリカ病院協会(AHA)が採択した文書です。患者の権利章典によって、「インフォームド・コンセント」 という言葉が大きく知られることとなりました。2003年には患者の権利章典(Patient’s Bill of Rights)を、治療におけるパートナーシップ(The Patient Care Partnership)に置き換えています。
(出典:厚生労働省「米国病院協会 患者の権利章典(1992 年版)」)
●1975年:東京宣言
1975年10月の世界医師会総会で採択された宣言で、正式名称は「東京宣言―拘留および監禁に関連した拷問およびその他の残酷、非人道的または品位を落とす扱いまたは処罰に関する医師のための指針」です。
●1981年:患者の権利に関するリスボン宣言
世界医師会が患者の権利に関して宣言したものです。詳細は次項で解説しています。
●1991年:患者の権利憲章
イギリス政府による患者の権利に関する公式文書です。
患者の権利憲章はのちにNHS憲章に置き換えられています。NHSとは、イギリスの国営医療サービス事業である国民保健サービスのことです。
●2017年:ジュネーブ宣言が更新
アメリカのシカゴで開かれた世界医師会総会によって、6回目の改訂が行われました。
「患者の自己決定権や尊厳を尊重する」といった患者の権利や、「患者の健康とウェルビーイングを第一に考慮する」といったことが明記されています。
患者の権利に関するリスボン宣言

患者の権利に関して、世界医師会(World Medical Association:WMA)が宣言したものが「患者の権利に関するリスボン宣言」です。日本では患者の権利に関するリスボン宣言のことを、「患者の権利宣言」と呼ぶこともあります。
患者の権利に関するリスボン宣言は、1981年9月/10月にポルトガルのリスボンにおける第34回WMA総会で採択されました。その後、1995年9月にインドネシアのバリ島における第47回WMA総会で修正され、2005年10月にチリのサンティアゴにおける第171回WMA理事会で編集上修正。そして、2015年4月にノルウェーのオスローにおける第200回WMA理事会で再確認されています。
患者の権利に関するリスボン宣言では、医師は自らの良心に従って患者の最善の利益のために行動すべきであると述べられています。また、それと同時に患者の自己決定権と正義を保証するためにも、それと同等の努力を払わねばならないとしています。
患者の権利に関するリスボン宣言における11原則は、以下の通りです。
リスボン宣言における11原則
(1)良質の医療を受ける権利
- すべての人は差別されることなく適切な医療を受ける権利を有する
- すべての患者は、いかなる外部干渉も受けていない医師からの治療を受ける権利を有する
- 患者が受ける治療は、一般的に認められた医療である
- 医師は、医療の質の擁護者たる責任を担うべきである
- 供給の限られた特定の医療に関して、患者は公平な選択手続きを受ける権利がある
- 患者は、医療を継続して受ける権利を有する
(2)選択の自由の権利
- 患者は担当の医師や病院などを自由に選択および変更できる
- いかなる治療段階においても、ほかの医師に相談して意見を求める権利がある
(3)自己決定の権利
- 患者は医師から説明を受け、自分で治療方針を決定する権利を有する
- 精神的に判断能力のある成人患者は、手続きや治療に関して同意または差し控える権利を有する
- 患者は医学研究や医学教育への参加を拒絶する権利を有する
(4)意識のない患者
- 意思を表明できない患者の場合は、法律上の権限を有する代理人から、可能な限りインフォームド・コンセントを得なければならない
- 法律上の権限を有する代理人がおらず、医学的措置に急を要する場合には、患者の事前の確固たる意思表示あるいは信念に基づいて同意があるものと推定する
- 自殺企図により意識を失っている患者の場合は、医師は生命を救うよう努力すべきである
(5)法的無能力の患者
- 患者が未成年者または法的無能力の場合、法律上の権限を有する代理人の同意が必要。ただし、患者の能力が許す限り、患者は意思決定に関与しなければならない
- 法的無能力な患者が合理的な判断をしうる場合、その意思決定は尊重されねばならない。法律上の権限を有する代理人に対して、情報の開示を禁止する権利を有する
- 患者の代理人または患者から権限を与えられた者が、患者の最善の利益となる治療を禁止する場合、医師はその決定に対して異議を申し立てるべきである。救急を要する場合、医師は患者の最善の利益に即して行動する
(6)患者の意思に反する処置
- 患者の意思に反する処置または治療は、特別に法律が認めるか医の倫理の諸原則に合致する場合には、例外的な事例としてのみ行える
(7)情報に対する権利
- 患者は、医療上の記録や症状について十分な説明を受ける権利を有する
- 患者自身の生命や健康に著しい危険をもたらす恐れがある情報は与えなくてもよい
- 患者が理解できる方法で情報を伝えなければならない
- 他人の生命の保護に必要とされていない場合に限り、情報を知らされない権利を有する
- 患者は、必要があれば自分に代わって情報を受ける人を選択する権利を有する
(8)守秘義務に対する権利
- 患者に関するすべての情報は、患者の死後も秘密が守られなければならない
- 秘密情報は、患者が明確に同意するか法律に明確に規定されている場合に限り開示が可能
- 個人を特定しうるあらゆる患者のデータは保護されねばならない
(9)健康教育を受ける権利
- すべての人は、情報を与えられたうえでの選択が可能となるような健康教育を受ける権利がある。医師は教育的努力に積極的に関わっていく義務がある。
(10)尊厳に対する権利
- 患者の文化や価値観は、医療と医学教育の場において尊重されるものとする
- 患者は、最新の医学知識に基づき苦痛を緩和される権利を有する
- 患者は、人間的な終末期ケアを受ける権利を有する。また、できる限り尊厳を保ち、かつ安楽に死を迎えるためのあらゆる助力を与えられる権利を有する
(11)宗教的支援に対する権利
- 患者は信仰する宗教の聖職者による支援を含む、精神的、道徳的慰問を受けるか受けないかを決める権利を有する
日本には上記のリスボン宣言の内容をもとに、患者の権利に関して明言している医療機関が数多くあります。
(出典:日本医師会「患者の権利に関するWMAリスボン宣言」)
患者の医療における基本権利7つ

海外には患者の権利に関する法律を定めている国もありますが、日本には患者の権利に関する法律がありません。そのため、患者の権利に関して明記をする「医療基本法」の法制化を目指す動きがあります。
患者の権利に関する法律の制定へ向けた動きは、1984年に患者の権利宣言全国起草委員会が出した「患者の権利宣言案」が始まりです。患者の権利宣言案には、患者に認められる基本的な権利についてまとめられています。
そして、1991年には市民団体である「患者の権利法をつくる会」が、「患者の諸権利を定める法律案要綱(略:患者の権利法)」を発表しました。患者の権利法では、患者の医療における基本権利を7つ明言しています。
その後、1992年に日本弁護士連合会が「患者の権利の確立に関する宣言」を発表しました。2011年10月の第54回人権擁護大会では、「患者の権利に関する法律の制定を求める決議」が満場一致で採択され、翌年の2012年10月に「患者の権利に関する法律大綱案の提言」を厚生労働省に提出しています。
また、2012年3月には日本医師会が医事法関係検討委員会を開き、「医療基本法」の制定に向けた具体的提言を行っています。
2022年10月時点で、患者の権利に関する法律の制定はされていません。今後さらに話し合いが行われ、法制化へ向けた動きが進んでいくでしょう。なお、もし法制化が進むとすれば、1991年に発表された患者の権利法における基本権利がベースになると想定できます。
ここからは、患者の医療における7つの基本権利をそれぞれ具体的に説明します。
(出典:日本弁護士連合会「患者の権利の確立に関する宣言」)
(出典:日本弁護士連合会「患者の権利に関する法律大綱案の提言」)
(出典:厚生労働省「「医療基本法」の制定に向けた具体的提言」)
医療に対する参加権
医療政権の立案・医療提供の現場などさまざまな医療場面において、すべての人が参加できる権利を指します。「患者は単純に医療の客体ではなく、医療を実現する主体」として、医療参加の権利保有を定める規定です。
知る権利と学習権
すべての人が自らの健康や命にかかわる状況を十分理解し、最善の選択を行うために必要な情報を学習する権利を指します。日本国憲法では「自ら学び、成長する権利」が保障されているなか、医療に関しても同様にすべてを知り、学ぶ権利を保障するための規定です。
最善の医療を受ける権利
経済的能力に関係なく、すべての人が必要に応じて最善の医療を受けられる権利を指します。「健康で文化的な生活」を医療場面において具現化するための規定であり、最善の医療の具体的なレベルは、その時代における医療水準をベースに患者さんの状況を総合して判断されることが特徴です。
安全な医療を受ける権利
安全な医療を、すべての人が受けられる権利を指します。あらゆるリスクを伴う医療において、可能な限り安定性を確保しながら治療目的を達成するための規定です。個々の医療行為の安全確保体制はもちろん、インシデントから学ぶ・改善するという基盤整備も求められます。
平等な医療を受ける権利
社会的・政治的地位や人種(国籍)、宗教、性別、年齢に関係なく、すべての人が最善の医療を平等に受けられる権利を指します。あらゆる理由による差別を禁ずるため、そして医療権利の実質的な保障を実現するための規定です。
医療における自己決定権
すべての人が十分な情報提供・説明を受け理解したうえで、自らの意志のもと、提供される医療行為に同意・選択・拒否できる権利を指します。「医療における決定権は、治療を受ける患者さん自身に帰属するもの」として保障するための規定です。
病気及び障害による差別を受けない権利
「疾病や障がいの種類による差別的な扱い」を受けない権利を指します。日本国憲法や国際人権規約では不合理な差別的扱いを禁じており、医療も例外ではありません。ハンセン病やエイズに対して不合理な隔離を行った歴史のある日本では、同様の過ちを繰り返さないためにも当権利が規定されました。
患者の知る権利と自己決定権

日本に患者の権利に関する法律はありませんが、「患者の知る権利」と「自己決定権」を尊重する考え方があります。それが、「インフォームド・コンセント」です。
インフォームド・コンセントとは
インフォームド・コンセントとは、医師が病状や治療について十分に説明し、患者が理解・納得して同意したうえで医療方針(治療)を決めるプロセスのことです。
インフォームド・コンセントは1964年のヘルシンキ宣言で提唱され、1973年のアメリカの患者の権利章典によって言葉が広く知られるようになりました。
日本医師会は1990年にインフォームド・コンセントのことを「説明と同意」と表現し、患者の自己決定権を保障するものであると説明しています。そして、1997年には医療法が改正され、インフォームド・コンセントの努力義務規定が整備されたのです。
(出典:日本医師会「インフォームド・コンセントの誕生と成長」)
■医療法 第一条の四
医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の医療の担い手は、医療を提供するに当たり、適切な説明を行い、医療を受ける者の理解を得るよう努めなければならない。
(引用:e-Gov法令検索「医療法」)
インフォームド・コンセントを行う理由
インフォームド・コンセントは、患者の自己決定権を尊重するために行います。
医師の説明を受けたうえで患者は治療を拒否することが可能で、医師は患者の意思を尊重しなければなりません。なお、患者は治療に同意した後であっても、いつでもその同意を取り消せます。
また、インフォームド・コンセントを行うのには、患者の選択肢を増やす意味もあります。
インフォームド・コンセントが難しいケース
治療を行う際は事前にインフォームド・コンセントを行うことが基本ですが、患者の年齢・容体・状況によっては実施が難しいケースもあります。インフォームド・コンセントが難しいケースは、下記の通りです。
- 未成年患者の場合
- 意思の疎通ができない患者の場合
- 精神疾患のある患者の場合
- 救急患者の場合
未成年の患者や精神疾患のある患者など、自身で判断できない場合や同意・拒否することが難しい場合は、やむを得ず家族や代理人の意思で方針を決めます。
また、生命の危機に瀕していて時間的余裕がない場合は、治療後に説明を行うことがあります。
患者の責務の違反に関する内容

患者の責務は病院によって異なり、明確な規則モデルがありません。そのため、責務の内容は具体的かつ患者さんから協力を得やすいものにすることが大切です。
患者の責務の違反に関する内容には、次のような項目を含めることが一般的となっています。
違反行為が発生した場合は診療を中止する
すべての患者さんが適切かつ快適な医療環境で治療できるようにするためには、個々の患者さんの協力が不可欠です。違反行為や迷惑行為を行った場合は、ほかの患者さんに影響を及ぼさないためにも診療・検査を中止する可能性があるという旨を記載しておきましょう。
暴言・暴力行為が発生した場合は警察署に通報する
違反行為の発生により診療を中止した際、暴言・暴力行為を伴うトラブルに発展する可能性もゼロではありません。状況が深刻化したケースを想定し、警察署への通報も宣明しておく必要があります。
これらの内容は、病院案内パンフレットなどに「当院からのお願い」といった名目で記載し、患者さんはもちろん、その家族にもしっかり認識してもらうようにしましょう。
看護師は患者の権利擁護者

看護の現場において、患者が自身の権利を守るための自己決定権をサポートすることを「アドボカシー(advocacy)」といいます。アドボカシーは「擁護」「代弁」「支援」の意味を持ちます。
看護師は患者のアドボケート(権利擁護者・代弁者)として、患者の権利を擁護し、患者の考え方や信念に沿った決定ができるように援助しなければなりません。また、患者の尊厳やプライバシーを保護することも、患者のアドボケートとしての重要な役割です。
(出典:国立研究開発法人科学技術振興機構 J-STAGE「アドボカシーは看護者の役割か」)
患者に看護を提供する際に守られるべき価値や義務については、「看護者の倫理綱領」に明記されています。ここからは、看護者の倫理綱領に記載された16項目をそれぞれ詳しく紹介します。
(1)看護職は、人間の生命・人間としての尊厳および権利を尊重する |
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いかなる場でも患者さんに対して常に高い倫理観をもち、患者さんの尊厳・権利や生命を尊重します。看護職は、常に温かい人間的配慮をもち、その人らしい生活の実現をサポートする必要があります。 |
(2)看護職は、対象となるすべての人に平等な看護を提供する |
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多様化・複雑化した看護へのニーズに対応すべく、豊かな感性をもったうえで、すべての患者さんに対して平等に看護を提供します。単純に同様の看護を提供するのではなく、一人ひとりの特性やニーズに最大限応じた看護を提供することが重要です。 |
(3)看護職は、対象となるすべての人と信頼関係を構築し、信頼関係にもとづいた看護を提供する |
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適切な看護は、患者さんとの間で構築される信頼関係を基盤として成立します。看護職は、看護の専門職であることを自覚し、対象となるすべての人と信頼関係を築き、かつ発展させるよう務める必要があります。 |
(4)看護職は、人々の権利を尊重し、自らの意向・価値観に沿った選択ができるよう支援する |
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患者さんは、医療方針について知る権利・自己決定権利を有しています。そのため、看護職は十分な情報を提供したうえでこれらの権利を尊重し、一人ひとりの意思決定を支援することが大切です。 |
(5)看護職は、対象となるすべての人の秘密を保持し、個人情報を適正に取り扱う |
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個々のニーズに適した看護を実践する看護師は、患者さんの秘密に触れる機会が多く、守秘義務が定められています。正当な理由なく、業務上で得た患者さんの個人情報を含む秘密を口外してはなりません。そのため、情報共有・発信においても細心の注意をはらう必要があります。 |
(6)看護職は、対象となるすべての人に不利益や危害が生じているとき、人々を保護して安全を確保する |
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家庭内暴力や児童虐待といった人々の生命や人権を脅かす行為もれっきとした看護対象です。これらの行為・事実が見られたとき、看護職は対象者を保護できるよう働きかけ、安全を確保する必要があります。 |
(7)看護職は、自己の責任・能力を把握し、実施した看護についても個人としての責任をもつ |
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看護職は、自身の責任と能力を常に正しく把握したうえで、これらに応じた看護実践を行う・実践結果に関する責任を負う必要があります。自身の能力を超えた看護が必要となった場合は、より高度な能力を有する看護師への支援を求めなければなりません。 |
(8)看護職は、個人の責任として常に継続学習による能力維持・向上・開発に努める |
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看護職は、患者さんに質の高い看護ケアを提供できるよう、業務上指示された学会・研修の参加にとどまらず、自主的に学習を継続するなどして、常にスキルを磨く必要があります。継続学習による能力維持・向上・開発は、看護職の責務といえるでしょう。 |
(9)看護職は、他職種で協働しながら、よりよい保険・医療・福祉を実現する |
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看護職は、医療の受け手であるすべての人に対してより質の高いケアを提供すべく、看護職のみならず医師や薬剤師、介護職員などのあらゆる医療・福祉関係者と協力・連携し、各々が最大限に能力を発揮できる環境をつくる必要があります。 |
(10)看護職は、より質の高い看護を行うため、自らの職務に関する行動基準を設定し、行動基準にもとづき行動する |
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看護職は、より質の高い看護の提供を目的に、行動基準の設定・基準にもとづいた行動が求められます。また、行動基準は組織単位で作成し、グループ・個々の評価基準としても活用することが基本です。 |
(11)看護職は、研究・実践を通し、専門的な知識や技術の創造・開発に努め、看護学発展に寄与する |
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看護職は、最新の研究・実践を通して自らの看護に取り入れるだけでなく、日々行っている看護を通して新たな知識やスキルを培い、看護学の発展に最善を尽くすことが大切です。 |
(12)看護職は、より質の高い看護を行うため、自身のウェルビーイングの向上に努める |
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看護職がすべての患者さんに対してよりよい看護を提供するためには、看護職自身が心身ともに良好な状態であることが不可欠とされています。自身のウェルビーイング向上のためには、ワークライフバランスの維持・メンタルケアの実施が有効です。 |
(13)看護職は、品位を常に保持し、社会の人々による看護職への信頼を高めるよう努める |
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医療水準の維持・向上には、人々の信頼が大切です。看護職は、社会的な常識や信頼への誠実さを身につけ、専門職としての誇りをもちながら看護職への信頼向上に努める必要があります。 |
(14)看護職は、人々の生命と健康を守るため、社会正義の考え方をもちながらあらゆる問題について社会と責任を共有する |
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生命や健康に深くかかわるあらゆる差別や格差、貧困、権利に関する社会問題は、看護師も知識を得るべき問題です。これらの問題の潜在的な要因や予防について、多職種と連携しつつ看護職として適切な対応をとる必要があります。 |
(15)看護職は、専門的組織に所属し、看護の質を高める活動に参画しながら、よりよい社会づくりに貢献する |
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看護職は、どの時代においても質の高い看護を提供できるよう、あらゆる活動に参画し、積極的に制度の改善・制作の決定・新たな社会資源の創出に取り組む必要があります。これらの取り組みは、よりよい社会づくりの貢献にも役立ちます。 |
(16)看護職は、さまざまな災害支援の担い手と協働しながら、災害によって影響を受けたすべての人々の健康、生命、生活を守ることに最善を尽くす |
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看護職は、看護の専門職として専門的知識・技術にもとづき各種ケアを提供しながら、災害リスクの低減に努める必要があります。さまざまな災害支援の担い手とともに、各々の機能を最大限に発揮できるよう努めることも、看護職の重要な役割です。 |
看護師はこれらの価値や義務を遵守して、看護を行わなければなりません。看護業務を行うなかで患者の権利に対する倫理的な問題に直面したときは、患者さんを優先し、患者さんにとって何が最善かを考えて行動するようにしましょう。
(出典:公益社団法人 日本看護協会「看護職の倫理綱領」)
まとめ
患者の権利に関する宣言では、世界医師会の「患者の権利に関するリスボン宣言」や、アメリカの「患者の権利章典」が有名です。日本にはこれらの宣言や法律をもとにして、患者の権利について明言している医療機関が数多くあります。
患者と近い関係にある主治医や看護師は、患者の権利を守るために自己決定権をサポートする役割を担っています。看護師は患者の尊厳やプライバシーの保護を考えて、看護を行うようにしましょう。
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※当記事は2022年10月時点の情報をもとに作成しています
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