• 2021年11月12日
  • 2024年6月10日

看護師の免許申請の方法|必要書類や書き方・その他の免許手続きを紹介

 

看護師として働くには、国家資格である看護師免許を取得する必要があります。しかし、看護師国家試験に合格しただけでは、看護師免許を有したことにはなりません。看護師免許を取得するには、免許申請の手続きが必須です。

当記事では、看護師の免許申請方法のほか、更新申請や再交付申請について幅広く解説します。免許申請書の入手方法や必要書類についてもまとめているので、参考にしてスムーズに看護師免許証を手に入れましょう。

看護師になるまでの流れは?

看護師になるには、まずは看護師を目指せる大学、短期大学、専門学校などに通います。学校を卒業後、看護師国家試験に合格する必要があります。

看護師国家試験に合格したのち、看護師免許の申請を行うことで、晴れて看護師業務に従事できるようになります。

以下では、各ステップの詳細について解説します。

看護師国家試験を受験する

看護師国家試験は、保健師助産師看護師法に基づいて実施される国家試験です。看護師国家試験に合格しなければ、看護師として働くことはできません。

看護師国家試験の受験資格は、文部科学大臣または厚生労働大臣指定の4年制大学や、3年制の短大・専門学校、都道府県知事の指定した看護師養成所を卒業した者に与えられます。

看護師国家試験の試験時期と試験場所は、以下の通りです。

試験時期 毎年2月上旬に行われます。
試験場所 全国各地の大学や専門学校などで行われます。

例年、看護師国家試験の合格率は、90%前後で推移しています。看護師国家試験よりも合格率が低い国家試験は数多くあります。看護師国家試験は、しっかり対策して臨めば合格は難しくないでしょう。
(出典:厚生労働省「看護師国家試験の施行」

国家試験の合格発表を確認する

看護師国家試験を受けたのち、約1か月後(例:2024年度の場合は3月22日(金))に合格発表があります。

厚生労働省のホームページで確認でき、受験した都道府県ごとに合格した受験者の番号が掲載されます。インターネットにアクセスすれば閲覧できるので、パソコンからでもスマホからでもチェック可能です。発表直後は、アクセスが集中してウェブページが開きにくくなることがあるため、その場合は発表時間から少し時間をおいてアクセスしてみましょう。

また、合格発表の1週間以内に、受験者の自宅に郵送で合否通知が届きます。合否通知には、受験者の成績と合格証書(合格した場合)が入っており、合格しているかどうかを改めて確認できます。

看護師免許の申請を行う

看護師国家試験に合格したら、保健師助産師看護師法第7条に基づき、免許申請を行う必要があります。免許申請を行わず、登録される前に看護師業務に従事した場合、行政処分の対象となるので注意してください。

申請方法に関する詳しい内容は後述しますが、申請書類などを準備し、住所地の保健所(一部県については県庁)へ提出することが必要です。
(出典:e-Gov法令検索「保健師助産師看護師法」

看護師は免許申請が必要

看護師は免許申請が必要

看護師として働くには看護師免許が必要です。ただし、看護師国家試験に合格しただけでは、看護師免許を有したことにはなりません。看護師国家試験に合格後、免許申請の手続きを行う必要があります。

看護師の免許申請はいつまでにする?

看護師国家試験に合格したら、すぐに免許申請を行いましょう

たとえ看護師国家試験に合格していても、免許申請をして厚生労働省が管理する有資格者の籍簿に登録されていないと有資格者として認められません。もし免許申請を行わずに看護師の業務に従事した場合は、行政処分の対象となります。看護師として働く場合は、国家試験合格後に速やかに免許申請を行わなければなりません。

なお、看護師国家試験に合格してから免許申請までの期限は設けられていないものの、試験合格から1年以上経過して免許申請を行う場合は、「申立書」を作成したうえで免許申請を行う必要があります。
(出典:厚生労働省「保健師免許、助産師免許、看護師免許申請について 」

看護師の免許申請の方法

看護師の免許申請の方法

ここでは、看護師の免許申請の方法を分かりやすく紹介します。看護師国家試験に合格した方は、下記を参考にして速やかに免許申請を行いましょう。

健康診断を受ける

看護師の免許申請をする前に、健康診断を受けて所定の診断書を用意しましょう。免許申請には、発行から1か月以内の診断書を添付します。

必要書類を準備して提出する

健康診断を受けたら、免許申請に必要な書類を準備して提出します。

必要書類

看護師の免許申請に必要な書類は以下の通りです。

必要書類 補足・注意点
看護師免許申請書 所定の免許申請書に、本籍や住所・氏名などの必要事項を記入する
診断書 健康診断を受けたのち、所定の診断書に必要事項を記入してもらう。診断書は、発行日から1か月以内のもののみ使用可能
住民票の写しまたは戸籍抄本(戸籍謄本) 本籍(外国籍の方は国籍)が記載されており、個人番号が記載されていないものに限る。コピーは不可。発行から6か月以内のものを添付する
収入印紙 9,000円分 免許申請書の収入印紙欄に貼る
登録済証明書用はがき(※希望者のみ) 所定の登録済証明書用はがきを使用する。表面には確実に受取可能な住所と受取人氏名、裏面には氏名のみ記入し、必ず63円分の切手を添付する。診断書裏面にクリップでとめて提出する

免許申請から実際に免許証が発行されるまでには、2~3か月の期間を要します。登録済証明書を希望する方は、登録済証明書用はがきも忘れずに提出しましょう。

登録済証明書用はがきは、保健所で入手可能です。また、2022年からはオンラインでの発行も可能になりました。
(出典:厚生労働省「医師等免許登録確認システム」

看護師免許申請書の書き方

該当する不動文字を◯で囲み、数字は右に詰めて書きましょう。

生年月日は日本国籍の方は元号、外国籍の方は西暦で書きます。氏名欄は住民票の写しまたは戸籍抄本(戸籍謄本)を参照して書いてください。

なお、申請年月日は日本国籍・外国籍に関わらず、元号で記入する必要があります。

提出先

上から、免許申請書・診断書・住民票の写しまたは戸籍抄(謄)本の順にし、右上をホチキスでとめて住所地を管轄する保健所に提出します。

保健所窓口に免許証を受け取りに行く

免許申請をして2~4か月ほどで、保健所から免許証交付通知はがきが郵送されるので、保健所窓口に免許証を受け取りに行きます。
(出典:厚生労働省「看護師免許申請書」

看護師の登録済証明書とは?

看護師の登録済証明書とは?

看護師免許証が届くまで、2~3か月程度かかるため、厚生労働省では必要に応じて「登録済証明書」を発行してくれます。

登録済証明書は職場から提出を求められるケースもあるので、発行方法を念のため理解しておくとよいでしょう。はがきでの申請と、オンラインでの申請の2通りがあります。

はがきでの申請方法

登録済証明書は、登録日から一両日中に発行してくれます。はがきを使用して申請する場合は、以下の内容に留意してください。

はがきの種類 公式に指定された登録済証明書用のはがきを使用してください。
はがきの表面 はがきの表面には、確実に受け取り可能な住所と受取人の氏名を明記してください。
はがきの裏面 はがきの裏面には氏名欄のみを記入し、ほかの情報の記入は避けてください。
切手 郵便料金として、少なくとも63円分の切手を貼付する必要があります。もし急ぎで証明書が必要な場合は、通常の63円の切手に加えて、速達料金として260円分の切手を追加で貼り、「速達」と朱書きで明記してください。
提出方法 診断書の裏面にはがきをクリップでとめて提出してください。
(出典:厚生労働省「免許申請にかかる留意事項について」

オンラインでの申請方法

2022年2月21日から、登録済証明書をオンラインで発行できるようになりました。切手代もかからないので、基本的にはオンラインで申請するのがスムーズでしょう。

1 医師等免許登録確認システムへアクセス
最初に、厚生労働省の「医師等免許登録確認システム」のウェブページにアクセスし、「登録済証明書発行申請(新規申請)」を選びます。
2 仮登録の実施
新規申請を選択後、必要な情報を入力して仮登録を行います。仮登録後、登録したメールアドレスに仮登録完了の通知メールが送られてきます。仮登録完了メールには、次のステップで使用する仮パスワードとURLが記載されています。
3 本登録の実施
仮登録完了メールに記載されたURLにアクセスし、仮パスワードを用いて本登録を行います。本登録が完了すると、再びメールで通知がきます。このメールには、登録済証明書の発行手続きを進めるためのIDとパスワードが記載されています。
4 登録済証明書の発行
本登録完了メールに記載されたIDとパスワードを使用して、指定されたURLからログインし、登録済証明書を発行します。

注意点としては、年度当初は新規免許申請の繁忙期となるため、本登録完了のメールが届くまでに2か月程度の時間を要する場合があります。

また、本登録完了メールが届かない場合は、申請した情報に誤りがあるケースも考えられます。その場合は、オンライン申請サイトのお問い合わせフォームから相談してみてください。
(出典:厚生労働省「保健師・助産師・看護師の皆様へ」

本籍地や氏名が変わる場合は看護師免許の更新申請が必要

本籍地や氏名が変わる場合は看護師免許の更新申請が必要

看護師免許は、自身の環境に変化がない限り更新する必要はありません。しかし、結婚・離婚などで氏名が変わったときや、何らかの理由で本籍地を変更したときは、看護師免許の更新(訂正・書き換え)が必要です。

看護師免許の更新を行うときは、「籍(名簿)訂正・免許証書換え交付申請書」が必須です。申請書は保健所でもらうか、厚生労働省のホームページ上から様式(PDFファイル)をダウンロードしましょう。

看護師免許の更新に必要な書類は以下の通りです。

必要書類 補足・注意点
籍(名簿)訂正・免許証書換え交付申請書 所定の申請書に、登録番号や登録年月日、変更事項などを記入する
変更事項を証する戸籍抄本(戸籍謄本) コピーは不可。発行から6か月以内のものを添付する。免許証の氏名に旧姓の併記を希望する場合は、必ず氏名の変更経過が確認できる戸籍抄本(戸籍謄本)を添付する
免許証の原本 表面が外側になるように中央で二つ折りにし、「看護師免許証」と記載のある面を上にして添付する
遅延理由書(※提出期限を過ぎている場合) 変更が生じた日の翌日から30日以内を過ぎている場合は、遅延理由書を記入して添付する
収入印紙 1,000円分 登録免許税納付のための1,000円分の収入印紙を、申請書の収入印紙欄に貼る

必要書類をすべて揃えたら、保健所に提出します。

なお、看護師免許の訂正・書き換え手続きは本籍地や氏名変更の30日以内に行います。期限を過ぎた場合も申請はできますが、遅延理由書が必要となるため速やかに更新しましょう。

厚生労働省「保健師籍、助産師籍、看護師籍の訂正と免許証書換え申請手続について」
厚生労働省「籍(名簿)訂正・免許証書換え交付申請書」

看護師免許証の再交付申請手続きとは?

看護師免許証の再交付申請手続きとは?

看護師免許証を紛失した場合やうっかり破損させた場合は、保健所で再発行申請手続きを行うことで新たな看護師免許証の発行ができます。就業中の場合は勤務地の管轄保健所で、未就業の場合は住所地の管轄保健所で手続きを行いましょう。

看護師免許証を再発行する場合は、免許証再交付申請書が必要です。申請書は保健所でもらうか、厚生労働省のホームページ上からダウンロードしましょう。

看護師免許証の再交付申請に必要な書類は以下の通りです。

必要書類 補足・注意点
免許証再交付申請書 所定の申請書に、登録番号や登録年月日、免許取得資格などを記入する
住民票の写しまたは戸籍抄本(戸籍謄本) 本籍(外国籍の方は国籍)が記載されており、個人番号が記載されていないものに限る。コピーは不可。発行から6か月以内のものを添付する
免許証の原本 ※き損の場合のみ
収入印紙 3,100円分 手数料納付のための3,100円分の収入印紙を、申請書の収入印紙欄に貼る

再発行手続きを行ってから新しい免許証が届くまでには約4か月の期間を要します。新たな免許証が届くまでに就職先などで免許証が必要となった場合は、再発行の申請証明書や登録済証明書用はがきを使用しましょう。
(出典:厚生労働省「保健師免許証、助産師免許証、看護師免許証の再交付申請手続について」
(出典:厚生労働省「免許証再交付申請書」

看護師免許は再発行できる? 手続き方法や必要書類について解説

看護師免許の登録抹消手続きとは?

看護師免許の登録抹消手続きとは?

保健師助産師看護師法に基づき、看護師免許の登録抹消手続きは、看護師が死亡または失踪宣告を受けた場合に必要とされます。

手続きは、看護師の死亡日または失踪宣告を受けた日の翌日から30日以内に行う必要があります。この期間を過ぎる場合は、遅延の理由を説明する書類の提出が求められます。

申請書類を提出する場所は、住所地を管轄する保健所(一部県においては県庁)です。必要な書類に関しては、以下の通りです。

籍(名簿)登録抹消(削除)申請書
  • 保健所の窓口で配布しています。
  • 厚生労働省のホームページからダウンロードできます。
免許証
  • 所持していた免許証を添付します。原則コピーは不可です。
戸籍抄(謄)本、 死亡診断書(死体検案書)、 または失踪宣告書
  • いずれかが必要です(発行日から6か月以内のもの)。
  • 死亡診断書・死体検案書に関しては、写しでも可能です。
  • 戸籍抄(謄)本や失踪宣告書は原本が必要です。
遅延理由書
  • 事実の発生後30日を過ぎた場合は、申請書の裏面にある遅延理由書欄に記入が必要です。

なお、手続き自体に手数料はかかりません。
(出典:厚生労働省「○保健師、助産師、看護師の死亡、失踪宣告による保健師籍登録、助産師籍登録、看護師籍登録の抹消申請手続について」
(出典:厚生労働省「籍(名簿)登録抹消(削除)申請書」

看護師は2年に1度「業務従事者届」の提出が必要

看護師は2年に1度「業務従事者届」の提出が必要

看護師免許の定期的な更新は必要ありませんが、業務に従事している看護師の場合は、2年に1度、「業務従事者届」を提出する必要があります

保健師助産師看護師法 第三十三条

業務に従事する保健師、助産師、看護師又は准看護師は、厚生労働省令で定める二年ごとの年の十二月三十一日現在における氏名、住所その他厚生労働省令で定める事項を、当該年の翌年一月十五日までに、その就業地の都道府県知事に届け出なければならない。

(引用:e-GOV「保健師助産師看護師法」

業務従事者届とは、看護師の数を国が正確に把握するために必要となる届け出のことです。保健師助産師看護師法第33条に基づいて、業務に従事する看護師含む医療従事者は2年に1度、業務従事者届を勤務地の所轄保健所に提出し、都道府県知事に届け出ることが義務付けられています。

業務従事者届の提出期限は年度によって提出日が異なる可能性があるものの、基本的に翌年1月15日です。業務従事者届を提出しなかった場合や提出が遅れた場合は、50万円以下の罰金を受けるため、必ず期限日までに提出するようにしましょう。

届出対象者 提出日の前年12月31日時点で、看護師として働いていた人
提出期限 翌年の1月15日まで
提出先 勤務地の所轄保健所
(出典:厚生労働省「医療従事者による2年に一度の届出(三師届・業務従事者届)について」

看護師の免許申請に関するQ&A

看護師の免許申請に関するQ&A

ここでは、看護師の免許申請に関する疑問をQ&A形式で紹介します。疑問を解消して、スムーズに免許申請を行いましょう。

看護師免許申請書はどこでもらえる?

看護師免許申請書は、以下で取得可能です。

  • 厚生労働省のホームページ
  • 各都道府県の保健所や県庁
  • 各学校で配布

(出典:厚生労働省「看護師免許申請書」

看護師の免許申請はどこの保健所に提出したらいい?

看護師の免許申請は、住居地を管轄する保健所に提出します。

なお、「免許証書換え交付申請書」および「免許証再交付申請書」は、就業地を管轄する保健所に提出します。

看護師の免許申請に必要な健康診断はどこで受ける?

健康診断は、かかりつけの病院やクリニックで受診します。所定の診断書を持参するのを忘れないようにしましょう。

看護師免許の番号を忘れた場合はどうしたらいい?

看護師免許の番号は、登録済証明書用はがきで確認できます。また、日本看護協会のホームページに会員登録をしている方は、ユーザーIDが登録免許番号となります。登録番号が分からない方は、日本看護協会に登録されているユーザーIDを確認しましょう。

なお、国家資格である看護師資格は厚生労働省が厳重に個人情報の管理を行っているため、本人からの問い合わせであっても登録名簿や免許証の番号、登録年月日を照会してもらうことは不可能です。あらかじめ登録番号や発行年月日を控える、日本看護協会の会員登録を済ませるなどの対策をしておきましょう。

まとめ

看護師国家試験に合格した時点で、看護師資格を有したことにはなりません。看護師として働くためには、免許申請を行ったのち看護師免許証を発行してもらう必要があります。

申請から免許発行までには数か月間かかるので、看護師国家試験に合格した後はなるべく速やかに免許申請を行いましょう。

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※当記事は2024年5月時点の情報をもとに作成しています

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