• 2022年3月23日
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外来看護師とは? 仕事内容・給料相場・向いている方の特徴を紹介

 

「看護師」とひとくちにいっても、勤務場所や働き方によってあらゆる呼び方があります。その中でも、体調が悪くなったときにかかる病院(診療所・クリニックなど)で主に対応してくれる看護師は「外来看護師」といいます。

外来看護師の姿を見て、看護師という職業に憧れを持った方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、外来看護師の仕事内容や勤務場所から、給料相場、病棟看護師との違い、外来看護師に向いている人の特徴まで詳しく解説します。外来での仕事に興味のある看護師の方・看護師/准看護師を目指す方は、ぜひ参考にしてください。

外来看護師とは? 仕事内容を紹介

外来看護師とは、病院や診療所・クリニックの外来病棟で働く看護師のことです。そもそも外来とは、「通院して診察や治療を受けること」を指しています。つまり外来病棟とは、受付→診療・検査→治療を受けて最後に会計を行う病棟であり、外来看護師は通院患者さんと主に関わります。

入院設備のある病院では、「病棟看護師」と呼ばれる看護師も働いています。病棟看護師とは、入院病棟で入院患者さんに対するケアを主に行う看護師のことです。

外来看護師は、病棟看護師と共通するような仕事もあれば、病棟看護師は行わないような仕事もあります。ここからは、外来看護師が行う主な仕事内容について詳しく説明します。

医師による診療のサポート

保健師助産師看護師法において、看護師は「傷病者もしくは褥婦に対する療養上のお世話、または診療補助を行うことを業とする者」と規定されています。

■保健師助産師看護師法 第五条

この法律において「看護師」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、傷病者若しくはじよく婦に対する療養上の世話又は診療の補助を行うことを業とする者をいう。

(引用:e-Gov法令検索「保健師助産師看護師法」

加えて、原則的に看護師(保健師・助産師)以外は医師の診療サポートを行うことができません。これらのことから、医師の診察サポートは、外来看護師のメインとなる仕事の1つといえます。

医師が診察を行う前に状況を確認し、患者さんがスムーズに診察を受けられるよう必要な情報収集(主な病状・家族の既往症など)をしたり、誘導したりします。また、医師による診察中では医師がスムーズに診察を行えるよう、診察や検査に必要な物品を準備したり患者さんの介助を行ったりもします。その他にも、医師の指示に従ってバイタルサイン測定・採血・注射を行うことも外来看護師の重要な役割です。

また、医師による診療・検査・治療を受けた患者さんに対し、療養指導や何らかの不安点の相談にのることもあります。療養指導では主に、服薬や食事などの患者さんが自宅で過ごすときのアドバイスを行うことが基本です。患者さんが病院に訪れている間の短い時間で、いかに理解を深め、協力できるかが肝となります。

病棟との連絡・連携

外来患者さんの中には、病状が悪く緊急入院を要するケースもあります。そのため、入院設備のある病院では、入院病棟で働く医師や看護師、その他医療スタッフとの連絡や連携も外来看護師の重要な仕事です。

外来病棟に訪れた患者さんに入院が必要なことがわかったら、まず外来看護師は入院病棟にベッドの空き状況を問い合わせて、医師を含む医療スタッフと連携し、入院や治療、緊急手術の連絡を行います。またこの際、病棟看護師に患者さんの病状を細かく伝えたうえで患者さんを移送することも外来看護師ならではの役目であり、一時的に慌ただしくなることは避けられません。

入院病棟に効率よく患者さんを移送するためには、特に病棟看護師を含む各スタッフへの情報の引き継ぎが重要です。情報をわかりやすく伝えるための手段である「SBAR(エスバー)」を活用して、状況や背景、アセスメント、要望を具体的に伝えることを心がけましょう。

受付・事務

「地域のかかりつけ医」のようなイメージを持つ規模の小さい病院(診療所・クリニックなど)において、外来看護師は医療事務員が行うような受付・事務も主な仕事に含まれることがあります。具体的な業務は、下記の通りです。

●受付業務

受付に立つ場合は、訪れる患者さんの病状を伺ったり診察室まで誘導したりします。初診の患者さんが訪れたときは、診察券を発行したりカルテに基本情報を記入したりし、再診の患者さんが訪れたときは患者さんのカルテを引き出し、必要な情報を準備します。また、電話応対も受付に立つ外来看護師の重要な仕事です。

●クラーク業務

クラーク業務とは、医師・看護師と患者さんをつなぐ業務を指します。外来病棟でのクラーク業務は、主に問診表の記入依頼や診察案内、次回の診療予約などが挙げられます。

●会計業務・レセプト業務

医師による診察や処置が終わったあとは、カルテ内容から診療費を計算して患者さんから費用を受け取ります。また、患者さんから受け取る診療費は一部(原則3割)となっているため、残りの医療費は国民健康保険などの保険者に請求することが基本です。このとき、患者さんのレセプトと呼ばれる診療報酬明細書を作成し提出する必要があります。このレセプト業務も外来看護師の重要な仕事といえるでしょう。

外来看護師が勤務する場所

外来看護師が勤務する場所

外来看護師の主な勤務場所は、「大学病院」「一般病院」「診療所」の3つとなっています。下記に、それぞれどのような医療機関なのか特徴も含めて紹介します。

●大学病院

大学病院とは、先端的医療の推進・高度医療の提供に取り組む医療施設です。外来の診療科が細かく分けられており、ほかの病院にはない専門外来を設けているケースも多々あります。大学病院で働く外来看護師は、細分化された診療科を担当することが基本であり、特定の領域に特化したスキルを得られることが特徴です。

●一般病院

一般病院は、地域医療を担う医療施設であり、その種類も幅広いことが特徴です。基本的には入院設備のある総合病院が挙げられます。一般病院で働く外来看護師も特定の診療科を担当するものの、大学病院よりは細かに分けられていません。外来患者さんの病状・重症度によって幅広い看護業務を担うため、より多くの知識・スキル・経験が身につきます。

●クリニック・診療所

クリニック・診療所は、「地域のかかりつけ医院」というイメージをもつ、患者さんにとって最も身近な病院です。具体的には入院設備のない小規模な病院のことで、一人の医師と少人数の看護師・医療事務員で運営されていることも特徴といえるでしょう。クリニック・診療所で働く外来看護師は、受付業務や事務業務から医師による診療サポート、会計業務など基本的な業務をすべてこなすため、あらゆるスキルが身につきます。その反面、少人数体制であることから即戦力が求められることも特徴です。

看護師が勤務する外来の種類

ひとくちに「外来」といっても、さまざまなバリエーションがあります。明確な定義が定まっているわけではないものの、現在多くの病院では「一般外来」「専門外来」「救急外来」に区分されています。それぞれの詳細は、下記の通りです。

●一般外来

一般外来とは、消極的な定義となるものの、専門外来でも救急外来でもない一般的な診療科目による外来を指します。主に初診もしくはしばらく通院のなかった患者さんや、不調や痛みの原因がわからない患者さんを対象とした種類です。

●専門外来

専門外来とは、特定の疾患や症状を専門的に扱っている外来を指します。一般外来での診療で専門的な治療が必要だと診断された患者さんや、ほかの病院・クリニックからの紹介状をもっている患者さんを対象とした種類です。

●救急外来

救急外来とは、緊急手術や入院を要する可能性がある重症度の高い患者さんを主に受け入れる外来を指します。救急車による搬送の受け入れ先や休日・夜間に病状が悪化した患者さんの受け入れ先として機能する種類です。

また、これまで曖昧であった一般外来と専門外来の千疋屋、複雑化する専門外来の在り方については、厚生労働省を中心に見直しに関する議論が進められていることが実情です。将来的には、外来の種類が明確に定義付けされ、外来機能・かかりつけ医機能がより強化される可能性もあるでしょう。
(出典:厚生労働省「2020年2月28日 第18回医療計画の見直し等に関する検討会」

外来看護師の給料相場

外来看護師の給料相場

看護師全体の給料相場については、厚生労働省が発表している賃金構造基本統計調査にて公表されています。また、外来看護師に限定した公的な資料は存在しないものの、看護師専門の求人サイトからおおよその給料相場や傾向を把握することも可能です。

下記は、賃金構造基本統計調査で公表されている看護師全体の給料相場と、看護師専門の求人サイト「マイナビ看護師」記載の求人情報から算出した外来看護師の給料相場を比較した表です。外来看護師の給料相場はあくまで求人情報にもとづいた額となっており、実際には勤務する病院・診療所で異なることに注意してください。

■看護師の給料相場(全国)

看護師全体(※1) 約492万円
外来看護師(※2) 約365万~516万円
(出典※1:厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」
(出典※2:マイナビ看護師「外来の看護師求人・転職・募集一覧」

基本的には、病棟看護師に比べて外来看護師のほうが給料相場は低い傾向にあります。病棟看護師は基本給に夜勤手当や残業手当が付くため、給与全体としては高くなりやすいことも特徴です。一方で外来看護師は夜勤がなく残業も少ない傾向にあるため、各種手当がつく可能性は少ないといえるでしょう。仕事よりもプライベートを優先したい方・給料のよさよりも働きやすさを重視する方は、外来看護師として働くほうがおすすめです。

ただし、外来でも管理職求人や専門外来を持つような専門性の高い病院については、病棟看護師よりも高い給料となっている場合もあります。特別なスキル・経験などを持っている看護師の方は、それらを活かして、就職・転職活動を行うことがおすすめです。特に「専門看護師」「認定看護師」の認定資格の保有は、さらなるスキルアップ・キャリアアップの近道となり、結果として基本給アップや手当の支給も期待できるでしょう。

外来看護師と病棟看護師の3つの違い

外来看護師と病棟看護師の違い

外来看護師は外来病棟で働く看護師、病棟看護師は入院病棟で働く看護師であることを説明しましたが、具体的な違いについてはよくわかっていないという方も多いでしょう。外来看護師と病棟看護師には、大きな違いが3つあります。

●患者さん・家族との関係

病棟看護師は、入院している患者さんに対する看護ケアのほか、その家族に対するケアも重要な仕事となります。そのため、患者さんとその家族と深い関わりをもつことが特徴です。

一方で、外来看護師は通院する患者さんのみと関わります。短い診療時間内で一つひとつの外来看護業務をスムーズにこなさなければならないことを踏まえると、外来看護師は患者さんとの関係性が浅くなりやすいといえるでしょう。

●夜勤・休日出勤が必要となる日数

患者さんが入院したときは、24時間体制で看護ケア・サポートを行わなければなりません。加えて、担当患者さんの病状が悪化したときはより丁寧なケアを行わなければならず、一時的に慌ただしくなるケースもあります。そのため、病棟看護師は夜勤・休日出勤が多いことが特徴です。基本的には、2交代制勤務もしくは3交代制勤務となっています。

一方で、外来看護師は病院の診療受付時間終了に伴い、医師・看護師も終業します。入院患者さんが存在しないため夜勤や休日出勤もほとんどなく、ワークライフバランスを保ちながら働くことが可能です。

●肉体労働の多さ

病棟看護師は、入院している患者さんの見回りのために院内を走り回るうえ、体の不自由な患者さんの介護(身の回りのお世話や生活介助)もメインの仕事となります。特に患者さんの介護は肉体労働ともいえ、身体的にとどまらず精神的な疲労につながるおそれもあります。

一方で、外来看護師は比較的肉体労働が少ないことが特徴です。もちろん、外来看護師も立ち仕事であり業務をこなすためには常に動いている必要があるものの、病棟看護師のように患者さんの身の回りのお世話や生活介助を行うことはほとんどありません。

外来勤務に向いている看護師とは?

外来勤務に向いている看護師

外来勤務に興味があるものの、自分に合っているのか不安に感じる方も多いでしょう。病棟看護師と外来看護師とで働き方が大きく異なることもあり、同じ看護師でも外来勤務には向いている方と向いていない方が存在することは事実です。

では、どのような方が外来看護師として働くことに向いているのでしょうか。最後に、外来勤務に向いている看護師の特徴を紹介します。

コミュニケーション能力の高い方

外来には、あらゆる患者さんが訪れます。初診(初対面)の患者さん、個性の強い患者さんなど、その特徴も十人十色です。短い時間の中で、このような患者さんたちと上手にコミュニケーションをとりながら診療に必要な情報を得ることは、外来看護師の必須スキルといっても過言ではありません。

また、患者さんに対してだけでなく医師やほかの医療スタッフとの連携も必要です。外来看護師は患者さんやその家族との関わりが浅くなる反面、医師との関わりが深くなります。そのため、多方面で上手にコミュニケーションをとれる能力のある方・人と関わることが好きな方はさらに活躍できるでしょう。

テキパキと仕事を進められる方

外来病棟では、限られた診療時間内で多くの患者さんに対応しなければなりません。多くの患者さんが訪れる病院の場合、仕事量はさらに多くなりあらゆるタスクを同時進行で進める必要もあります。

そのため、テキパキと仕事を進められる看護師の方は特に向いているといえるでしょう。しかしこれは、すべての業務を即座に終わらせられるだけのスキルではありません。

たとえすべての業務をスピーディーにこなすことはできなくても、慌てずにマルチタスクをこなせるスキル・ミスなく臨機応変に仕事をこなせるスキルさえあれば、医師やほかの看護師からも頼られる外来看護師となれます。

ワークライフバランスを重視したい方

外来看護師は病棟看護師に比べて、肉体労働や夜勤・休日出勤が少ないことが特徴です。その反面、給料相場は低い傾向にあるものの、診療時間は朝9時から夕方18時であることがほとんどで、日々安定して働けます。ある程度決まった勤務日程と勤務時間で働けるという点は、人によっては給料の低さを払拭できる魅力となるのではないでしょうか。

「仕事内容や給料よりも、ワークライフバランスが実現できるかどうかを重視している」

「家庭と仕事を無理なく両立させたい」

「時間に余裕をもった生活・過ごし方がしたい」

上記のように考える看護師の方は、外来看護師が向いています。

まとめ

病院や診療所・クリニックの外来病棟で働く看護師のことを、外来看護師といいます。外来看護師の主な仕事内容は、医師による診療のサポート・病棟との連絡・連携・受付や事務業務が挙げられ、短い診療時間内でいかに効率的に外来業務をこなせるかが重要です。また、外来にはあらゆる患者さんが訪れるため、コミュニケーション能力も自ずと身につくでしょう。

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