• 2022年2月14日
  • 2022年9月14日

1年目の看護師がすぐ辞める。新人の芽を潰すリーダーを改善させるには?

 

仕事はデキるけど意地悪で当たりが強いリーダーに標的にされ、次々やめていく新人看護師……。おかげで職場は慢性的な人手不足に。

このお悩みに対して作家のワーママはるさん、スポーツメンタルコーチの鈴木さん、マイナビキャリアアドバイザーの3人のスペシャリストがアドバイスします!

イラスト:菜々子

今回のお悩みに答えてくれるスペシャリストたち

oishi haru/尾石晴さん
作家・Voicyトップパーソナリティ・兼業大学院生・オンラインヨガ『ポスパム』代表と、さまざまな顔を持つ二児のママ。

鈴木颯人さん
一般社団法人日本スポーツメンタルコーチ協会代表理事

マイナビCA
看護師領域担当のマイナビキャリアアドバイザー

1年目の看護師がすぐ辞める。新人の芽を潰すリーダーを改善させるには?

質問者

新人さんが入ってきても、すぐに自分と同じ能力を求めるリーダーに困っています。

出来ないと文句を言い、仕事が遅いと仕事をさせません。仕事を教えるわけでもなく、見て覚えろ的な感じです。
裏でほかのスタッフが教えたりフォローしたりしていますが、新人さんはその意地悪なスタッフが原因で辞めていきます。

その意地悪なスタッフはリーダーなので誰も逆らえません。上司もリーダーをあてにしているので、頼りになりません。

人が足りてなくキツキツの状態ですが、こんな職場で働くのがイヤになりました。何か改善させる方法はあるのでしょうか……。

出典:マイナビ看護師

スペシャリスト3人のアドバイスは?

作家
oishi haru/尾石晴さん

それは困りましたね。そのリーダーは新人さんに意地悪しても、別に見返りはないはずです。
では、なぜ新人潰しをするのか。

おそらく「自分の能力や地位を保つ」「若さへの嫉妬心」などが原因で新人さんに強く当たるのでしょう。なんならリーダー本人は「仕事ができないなら辞めて当然」と、自分は全く悪くないと思っていそう!

しかし現実問題として、新人が退職すると他のスタッフにしわ寄せがきて困りますよね。本来、これは上司の監督不行き届き問題です。

そのため、相談者さんたちができることは2つです。
①新人に意地悪されたら必ず相談者さんたちに報告してもらい、事実のみ(〇月〇日、仕事をさせてもらえないなど)を記帳する。ある程度たまったら、スタッフ一同で上司に記載内容を見せて若手育成が進まず困っていることを伝える。
②リーダーに直接指摘するのがしんどいなら、仕事として割り切るか転職する
の2択になります。

懸念点は、①は上司やリーダーを怒らせる可能性があり、②は自分たちが我慢し続けることになる。
相談者さんは選ぶことができます。私はその選択を応援しています。

スポーツメンタルコーチ
鈴木颯人さん

リーダーとはどんな役割を担っている存在だと思いますか?

その上でリーダーに求められている仕事と、みなさんが求められている仕事に少しズレがあるのかもしれません。 そもそも新人看護師さんに教えることが、リーダーの仕事なのでしょうか?

その点が曖昧になっていたとしたらリーダーも大変ですし、フォロワーである相談者さんやほかのスタッフの人も大変ですよね。

もしかしたら、教える役割はリーダーではなく別の役職を作ってあげて対応した方が、チームとしてはいい運営ができると思います。リーダーを変えずにそのことを上司に提案するのはいかがでしょうか。とはいえ、リーダーの高圧的な態度は問題だと思いますので、上司に困っているという内容も伝えてみましょう。

マイナビCA

上司があてにならないなんて、なかなか厳しい環境だとお察しします。この状態が続けば、病院に対しての不信感につながりますよね。

その困ったリーダーの方が師長なのか、はたまた病院を統括している看護師部長なのか。ポジションによりますが、後者であればその上の部長や事務長に相談してみてはいかがでしょうか。

相談するときのポイントは、ふたつ。

①告げ口のように話さないこと
②相談相手から原因を聞き出してもらう形で話を運ぶこと

まず①ですが、リーダーのことを悪く言うと、たとえ事実でも告げ口をしているという印象になる可能性がありますので、あくまでもご相談という形で「離職が多くて困っているんです」と伝えてみてください。

そうすると、相談された側は「何が原因なの? 心当たりはある?」と聞いてくれると思いますので、そこではじめて②の原因をお話しされてみてはいかがでしょうか。相手から原因を聞き出してもらう形でアプローチすれば、悪い印象を与えずに相談できるかと思います。

また、同じ不満を持っている看護師さんが職場に多いということは、仲間が多いということなので、お互い戦友的に支え合うとよいのかなと思いました。みなさんで新人さんをフォローしつつ、結束力を高めて割り切るというのもひとつの手段かもしれません。

三者三様のアドバイス、いかがでしたか?

リーダーを変えることはなかなか難しいですが、リーダーが新人看護師さんへのマネジメントをしなくていいフローを確立させるなど、やりようはあるようです。いずれにしても、上長に相談してみるといいかもしれませんね。相談者さんのお悩み解決の一助になれていれば幸いです。それではまた次のお悩みでお会いしましょう。

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oishi haru/尾石晴さん
作家/Voicyトップパーソナリティ/元子持ち女性管理職
外資系メーカーに16年勤務。子持ち管理職経験を持つ。ワンオペ育児の合間に、発信業・不動産賃貸業・ヨガインストラクター・ライフオーガナイザーなど、会社員以外での収入経路を複数確保。2020年4月退職。音声メディア「Voicy」では1,500万回再生超えのトップパーソナリティとして活躍中。SNSの総フォロワー数は7万人超え。現在は雑誌「レタスクラブ」での連載など文筆活動の傍ら、2020年ヨガスタジオ「ポスパムfukuokaスタジオ」を立ち上げ、代表を務める。2児の母。『ワーママはるのライフシフト習慣術』など。

 

Twitter:https://twitter.com/wa_mamaharu

鈴木颯人さん
一般社団法人日本スポーツメンタルコーチ協会代表理事
1983年、イギリス生まれの東京育ち。脳と心の仕組みを学びながら、勝負所で力を発揮させるメソッドを構築。金メダリストから学生アスリートまで、野球、サッカー、水泳、柔道、サーフィン、競輪、卓球など、競技・プロアマ・有名無名を問わず、そのコーチングによってパフォーマンスを激変させるアスリート、チームを輩出。著書に『モチベーションを劇的に引き出す究極のメンタルコーチ術』(KADOKAWA)、『一流を目指すメンタル術』(三五館)など。

 Twitter:https://twitter.com/HayatoSuzuki11

マイナビCA
株式会社マイナビのキャリアアドバイザー。看護師領域を担当して7年目、これまで1,000人以上のキャリアカウンセリングの実績を持つ。病院まで直接足を運んでいるからこそ、職場の雰囲気や人間関係などの求人票には載っていない情報を提供できるのが強み。看護師ひとり一人の価値観を尊重し、理想のキャリアへ導くことを心がけている。

企画・構成:藤田佳奈美(TAC企画)

著者プロフィール