• 2020年1月10日
  • 2022年5月17日

冷罨法・温罨法のマナー

 

患部を温めたり冷やしたりすることで症状軽減が期待できる、罨法(あんぽう)。今回は、冷罨法・温罨法を実施する際の注意点についてアドバイスします。

冷罨法

冷罨法は体温下降や局所の疼痛緩和、炎症抑制などさまざまな目的で使われます。 日常においては解熱を目的として使用する場面が多いのですが、その際は頸動脈・腋窩動脈・大腿動脈が走行している部分を冷却することで効率的な体温下降が期待できます。 また、保冷剤を使用した際は、室温との温度差により結露が生じやすく、タオルなどが湿潤することで患者さんに不快感を与える場合があります。保冷剤の溶け具合を確認しながらこまめに交換しましょう。

温罨法

温罨法は、保温による血管拡張により循環の改善や疼痛緩和、消化管の活動亢進、リラックスの効果などがある反面、低温熱傷、脱水、出血助長などのリスクがあります。湯たんぽを使用する場合は、適正な温度(約60度)のお湯を入れ、患者さんの身体には直接当てず、10cm程度離すことで低温熱傷を防ぐことができます。 電子レンジで温めるゲル状タイプの湯たんぽは保温完了後に過剰加熱していないか確認してから使用しましょう。

冷罨法・温罨法は、患者さんの安静・安楽のために効果的な方法ですが、いずれも同一部位に長時間刺激を与え続けると患者さんの苦痛が助長されるだけではなく、さまざまなリスクを伴う危険性があります。 特に意識障害・体動困難・知覚鈍麻・浮腫のある患者さんの場合、異常の発見が遅れることもあるため、注意深い観察を行いましょう。

文:看護師/カウンセラー 坂口千絵

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