• 2017年11月6日
  • 2022年5月13日

【看護師の悩み】微熱でクーリングすることに疑問

 

【質問】微熱でクーリングすることに疑問

患者さんが熱を出すと、37.2℃とかでもクーリングするスタッフがいます。また、頭や背中にクーリングをする人もいて、本当に効果的な解熱をしているとは思えません。

背中にあてるなんて、患者さんが苦痛なだけではないでしょうか……。(岩手県在住 看護師歴9年目 31歳)

【回答】解熱ではなく安楽を目的に

有効性が明らかな疾患はわずか

微熱もしくは高熱がある患者さんには、基本的にクーリングするものだと信じ、個々の疾患を考慮せず、頭部、腋窩、鼠径部など数カ所に保冷剤をあてている看護師をよく見かけます。

しかし、クーリングの効果が確実に実証されているのは、熱射病などの「うつ熱」や心因性による発熱のみです。肺炎などの感染症や、脳梗塞・脳出血などの脳血管障害、悪性腫瘍などの病的要因によって起こる発熱の場合、クーリングの有効性は明らかになっていません。

以下のクーリングのリスクも十分考慮したうえで、患者さんの状況に応じた対応が必要です。

クーリングのリスク
・体温上昇時にクーリングを行うことで、寒気や悪寒、四肢冷感が引き起こされる
・同一部位に長時間行うと凍傷の恐れがある
・自然治癒力を妨げ、回復が遅れる可能性がある

「発熱=クーリング」ではない

クーリングは、体表温度を下げる効果がありますが、深部体温を下げる効果については不明なため、積極的に解熱を図るというよりは、安楽を目的にするによいでしょう。患者さんが心地よいと感じる部位をクーリングすることで、苦痛を軽減することができます。

また、クーリングする際は体温上昇時ではなく、解熱時に行うのが基本です。
「発熱=クーリング」と考える看護師が多く、指導しても理解を得られなかったり、反対にクーリングしないことを否定されたりすることもあるかもしれません。そのような場合は、ほかのスタッフの理解を深めるため、勉強会の開催や看護会議などで提案してみることをおすすめします。

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