大部屋での共同生活や入院によるストレスが原因で、患者さん同士のトラブルが発生することがあります。特に多いのは、テレビや話し声、物音など、騒音に関する内容です。トラブルを穏やかに収束させるための仲介のポイントについてお伝えします。
相手の言葉を否定せず受け止める
患者さんの訴えに対し、「おっしゃることはわかりますが、大部屋なのである程度は我慢していただけないでしょうか」などの否定形で返してしまうと、「つらい気持ちをわかってもらえない」と感じ、不満が募りやすくなります。「そのように感じていらっしゃるのですね」と相手の思いを受け止めたうえで、「上の者と相談します」など、具体的にどうするのかを提示するようにしましょう。
双方の言い分をしっかりと聞く
どちらか一方の話だけを聞くのではなく、注意された側も含めて双方の患者さんの言い分にしっかりと耳を傾けることも重要です。一方の話のみでは、どうしても意見が偏ってしまい、真実が見えず余計にこじれる場合があります。双方の言い分を聞き、「○○さんは、どうしてそう感じたのですか?」など、自分の思いを口にできるように声をかけてあげるとよいでしょう。
トラブル鎮静化のカギは、肯定・否定をすることではなく、相手の気持ちを受け止めること。じっくりと話を聞いてあげることで、患者さんも少しずつ落ち着きを取り戻すはずですよ。
文:看護師/カウンセラー 坂口千絵