公認心理師とは、心理・メンタルに関する支援や指導、情報提供を行う比較的新たな国家資格です。公認心理師資格を取得するためには、国家試験に合格しなければなりません。2021年12月現在における国家試験の受験ルートには、区分A~Gまでの数ルートがあります。このうち区分D~Gは、経過措置のルートとなっています。
(参考:一般財団法人 日本心理研修センター「公認心理師試験について 3 受験資格取得ルート」)
Gルートの場合、受験要件を満たさない場合は、審査時点で落ちてしまう点に注意が必要です。当記事では、公認心理師国家試験のGルートにおける「審査落ち」について、確認方法から要因と対策まで徹底的に解説します。Gルートでの受験を検討している人は、ぜひ参考にしてください。
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公認心理師国家試験のGルート「審査落ち」とは?
公認心理師国家試験にはいくつかの受験区分があります。そのうち、「Gルート」は、週1日以上・5年以上の実務経験と現任者講習会の受講を経て、公認心理師試験を受けられる経過措置ルートです。その他の受験申込区分は、4年制大学や大学院で特定科目の履修・単位修得が必要となりますが、Gルートにおいては実務経験を主な要件とした区分であることから、「現任者ルート」とも呼ばれます。
週1日以上・5年以上の実務経験と現任者講習会の受講は、Gルートで公認心理師試験を受けるにあたって必須の要件となります。この要件を満たさない場合は、審査落ちしてしまうことに注意してください。加えて、実務経験の経過措置期間も定められており、たとえ5年以上の実務経験があったとしても、期間によっては審査落ちとなってしまうことも覚えておきましょう。
なお、審査落ちが判明するタイミングは、受験申込書を含む必要書類を郵送提出した後となります。願書の提出順に行うことが基本であるため、提出が遅れるとその分審査・連絡も遅れることに注意しましょう。
Gルートについてより詳しく知りたいという方は、下記の記事も参考にしてください。
審査に通るかどうかを確かめる方法
前述の通り、審査に通るか落ちるかは、実際に受験申込書やその他必要書類を提出したのちに判明します。自身がGルートでの国家試験の受験審査に通るかどうかは、自身で受験の手引や法令を読んで調べるほかありません。
指定試験機関の日本心理研修センターでは、審査に関する個別の質問を受け付けていません。公認心理師現任者講習会で質問することはできないため、審査に通るかどうかは事前に自身でよく調べておくようにしましょう。
公認心理師国家試験のGルートで審査落ちする主な要因と対策

国家試験のGルートで審査落ちする主な要因は、「必須要件を満たしていない」が挙げられます。しかし中には、実務経験証明書などに不備があり、審査落ちしてしまうケースも少なからずあります。
ここからは、Gルートの審査に通らない要因の代表例を3つ紹介します。とはいえ、審査落ちする要因はさまざまであり、これから紹介する内容はあくまで一例に過ぎないということに留意しておきましょう。審査落ちをなるべく防ぐためには、受験の手引をよく読み、必須要件を満たしたうえで必要書類を揃えることが重要です。
実務経験の証明に関する不備
Gルートで国家試験を受ける際は、実務経験証明書を提出する必要があります。実務経験証明書は、実務経験を「業」として行っていたことを証明するための書類です。
実際は必須要件を満たしているはずが、実務経験証明書に不備があり審査落ちするケースは決して珍しくありません。これには、法人として・個人事業主として・教員として心理業を行っていたのかによって証明書の記載方法や必要な書類が異なるという、やや複雑な点が理由として挙げられます。
また、法人・個人を問わず、実務経験証明書に押印する印鑑は、代表者印でなければなりません。そのうえで、開業届・登記簿謄本・確定申告書といった業を証明する書類や、代表者と心理業を行う者(試験申請者)が同一人物であることを証明する書類などが必要です。
また、教員の場合は勤務先の上司・上長から職印を押してもらえれば、Gルートの受験資格が与えられます。しかし、押印を依頼するとき、上司・上長から「どのような理由があってその資格を取得しようと考えているのか」と聞かれる場合もあります。
もしも理由を聞かれたら、取得したいと考えた理由や、取得したときにその資格を活かしてどのように活躍できるかを答えられるようにしておきましょう。
実務経験の期間
Gルートでの国家試験の受験資格を得るためには、5年以上の実務経験が必要と説明しました。しかし、単純に5年以上の実務経験があればよいというわけではありません。厚生労働省の、「公認心理師カリキュラム等検討会報告書」では、実務経験期間の具体的な期間の考え方を公開しています。
やや理解しづらい内容ではあるものの、例3.4.6.7のように実務経験の間が空いていても、法施行日である2017年9月15日以降に心理職の業務を行い、かつ5年以上の経験を有している場合は受験資格を得られます。しかし、例8のように2012年9月16日以前とずいぶん前に5年以上の実務経験があったり、例9のように2012年9月16日以前に数年間の実務経験があり、法施行日以降に1年の実務経験を行ったりしても、受験資格は得られないことに注意してください。
使用する文言
Gルートで出願する場合、勤務先の種類を示す「分野施設コード」を記載しなければなりません。国または地方自治体・公共団体が支援を実施する施設はG901で、私設の心理相談室などはG902となります。開業届を出している個人・法人の場合は、ほとんどがG902での出願となるでしょう。
G902の場合、開業届や登記簿謄本の提出が必須です。このとき、開業届や登記簿謄本で使用する文言には注意しなければなりません。過去の審査では、「登記簿謄本の事業概要に“~経営する”という文言が含まれている」「開業届や登記簿謄本に特定の文言が含まれていない」ことによる審査落ちが発生しました。特定の文言には、下記が挙げられます。
「心理」「メンタル」「精神」「こころの」「心理相談」「心理療法」「心理支援」
出願する際は、事業概要に「経営する」という文言が含まれていないか、また一般の人から見ても心理支援を行っていることがわかる文言が含まれているかをしっかり確認しましょう。
公認心理師国家試験のGルートは2022年で終了!

5年以上の実務経験と現任者講習会の受講を経て、公認心理師試験を受けられるGルートは、2017年から2022年までの5年間の特例措置となっています。そのため、Gルートでの受験応募は、2022年7月ごろに実施が予定されている第5回公認心理師国家試験がラストになります。
第5回公認心理師試験 令和4年(2022年)4月頃
法附則第2条第2項(区分G:いわゆる現任者)に該当する方が受験できる最後の年。現任者講習会を受講した上で、特例措置が有効である令和4年9月14日までに5年の実務経験を満たす見込みの方が受験可能となる予定
(引用:厚生労働省「今後の公認心理師試験のスケジュールについて」)
また、第5回公認心理師国家試験における詳細や受験の手引は、2021年12月現在まだ発表されていません。最新情報が確定され次第、日本心理研修センターの公式サイトにて発表されるため、随時チェックすることをおすすめします。
(参考:一般財団法人 日本心理研修センター「公認心理師試験について」)
受験を検討する人はすぐに準備を
第5回公認心理師国家試験までは期間が限られているため、国家試験に向けた勉強はもちろん、下記の項目についてもなるべく早めに準備することがおすすめです。
- 公認心理師現任者講習会の申し込み・受講
- 情報が発表され次第「受験の手引」を請求する
- 必要書類の準備
特に、必要書類にはあらゆる種類の書類が必要となり、中には書類準備に時間がかかるものもあります。前例を参考に、あらかじめどのような書類が必要となるのかをチェックし、前もって準備しておくようにしましょう。
なお、2022年の詳細な受験日程や手引はまだ発表されていないものの、現任者講習会の受付や開催は始まっています。まだ講習会を受講していない人は、すぐに申し込みましょう。
特例措置がなくなるとどうなる?
Gルートでの特例措置がなくなると、現任者の受験難易度は大幅に高まると想定されます。心理職として夢を叶えたい・キャリアアップがしたいという人は、ラストチャンスである2022年度の国家試験の合格を目指しましょう。
しかし、万が一審査に落ちたり、試験不合格となってしまったりしたときに備え、ほかのキャリアアップ方法も視野に入れておくことをおすすめします。ほかのキャリアアップ例には、下記の資格取得が挙げられます。
- 認定心理士
- 応用心理士
- 認定メンタル心理カウンセラー
- 産業カウンセラー
- 教育カウンセラー
上記の資格はいずれも民間資格となりますが、受験要件も国家試験に比べて緩く、現任者として働きながら資格取得を目指すことが可能です。中でも産業カウンセラーや教育カウンセラーは特定種類の現場で活躍できるため、「働く人のサポートがしたい」「子どもたちのメンタルを支えたい」など、特定の対象者に対するサポートに力を入れたい人におすすめといえるでしょう。
まとめ
公認心理師の受験区分のうち、「現任者ルート」とも呼ばれる「Gルート」は週1日以上・5年以上の実務経験と現任者講習会の受講を経て、公認心理師試験を受けられる経過措置ルートです。
Gルートは要件がやや複雑であり、過去には要件を満たしているはずが何らかの不備によって審査落ちとなってしまうケースも発生しました。2022年の第5回公認心理師国家試験は、Gルートで出願できる最後のチャンスとなるため、審査落ちとならないよう徹底した事前準備を行いましょう。
また、万が一審査落ちをしてしまったときは、ほかのキャリアアップ方法を視野に入れることも重要です。ほかの役立つ資格を取得することはもちろん、思い切って転職するのもよいでしょう。マイナビ看護師では、病院をはじめとした、心理師が活躍できる施設での求人を豊富に掲載しています。ここまでの内容を参考に、ほかのキャリアアップ方法も視野に入れている人は、ぜひマイナビ看護師をご利用ください。
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