AIケアプラン・介護記録ソフト「CareViewer」(日本KAIGOソフト株式会社)は、2019年からチャットツールの「Chatwork」(Chatwork株式会社)との連携をスタートさせましたが、2020年5月にさらなる進化を遂げました。介護業界の新しい働き方を提案する両者のコラボレーションについて、現場も声も含めてご紹介します。
記録のあり方を変えるCareViewerとは?
CareViewerは、介護現場のペーパーレス化を主眼に開発された介護ソフトです。使い方はとても簡単。
「食事」「排泄」「移動」などの作業について、タブで詳細を選択したり、チェックを入れたりするだけで、簡単に記録が付けられる仕組みになっています。
日本KAIGOソフトのグループ会社が運営するグループホーム「満快のふる郷 さくら東苗穂」で介護職員として働く柴田悠理さんは、「これまでは、記録のために1時間~1時間半程度の時間を割いていましたが、CareViewerに切り替えたことで平均20分程度にまで短縮されました。入力項目が少ないときは数分で終わることもあります。他の業務の合間にサッと入力できるようになったので、終業まぎわに一日の出来事を思い出しながら必死に文章を考える、という苦労もなくなりました」と、記録業務が大幅にスピードアップできた体験を教えてくれました。

CareViewerを活用しながら働く、「満快のふる郷 さくら東苗穂」の介護職員・柴田悠理さん
現場のコミュニケーションを変える「次の一手」
CareViewerがChatworkと連携した背景には、介護業界の現状に対する問題意識がありました。Chatwork社の執行役員である福田升二さんは、「27万社を超える会社様に当社のサービスをご導入いただいていますが、このうち医療・介護業界の占める割合は決して少なくありません。
つまり、日本の社会を支える基盤ともいえる業界でありながら、まだ “コミュニケーションの効率化”に課題を抱えている現場は多いということ。それが結果的に、高い離職率にもつながっているのではないでしょうか」と話してくれました。

Chatwork株式会社で、執行役員CSO兼事業推進本部長を務める福田升二さん
最初に日本KAIGOソフトへ声をかけたChatwork社の廣瀬和桂さんによれば、「記録や事務処理に時間がかかりすぎる」「情報が膨大でリアルタイムでの共有が難しい」と悩む現場も多いそうです。「そうした介護業界ならではの業務を効率化するにはどうしたらいいか? を模索する中で、以前からお付き合いのあった日本KAIGOソフトさんに、『一緒に何かできないか』と相談させていただいたのです」(廣瀬さん)。
この話を受けた日本KAIGOソフトの取締役兼CTOである福原亮さんは、「Chatwork社の取り組みは、うちのサービスにベストマッチだ」と確信したそうです。「日々の記録をデジタル化するだけでなく、引き継ぎや申し送りといった様々な場面で情報共有がしやすくなれば、スタッフ間のコミュニケーションは大幅に改善されるはず。すでに広く普及・定着しているChatworkと連携できるなら、そうした便利な機能をいち早く現場に届けられると考えました」(福原さん)。
こうして2019年に連携を開始して以来、介護記録をグループチャットに即時共有できるようにするなど、スタッフ向けの機能強化が進められていったのです。

日本KAIGOソフト株式会社で、取締役兼CTOを務める福原亮さん
コロナ禍にある現場を支えるための機能強化も
そして両社は、2020年5月にさらなる連携強化へ踏み切ります。そのきっかけは、新型コロナウイルス感染症の流行でした。介護事業所で面会制限が行われるようになったことで、利用者さんの家族から「状況がわからず不安」という声があがるようになったほか、家族と会えなくなった利用者さんの認知機能、ADLの低下が懸念される事態にも……。
また、サービス担当者会議なども実施しづらくなり、記録や情報共有に難しさを感じるスタッフも増えていました。
そこで新たに実装されたのが、グループチャット数の拡大で、従来の「1事業所につき1室まで」という制限を取り払い、利用者さんや目的ごとに複数のグループチャットを作れるようになりました。
CareViewerで記録された写真を、各グループチャットで共有することも可能になりました。もともとChatworkにはビデオ/音声通話機能が搭載されていましたが、そこに写真共有の機能が加わったことで、文字だけでは伝え切れなかったリアルな利用者さんの姿を、家族や他職種などに簡単に伝えられるようになったのです。
こうしたオンライン面会や写真・データ共有は、利用者さんやその家族からも好評だといいます。「最初は不慣れなビデオ通話に不安そうだったご家族も、利用者さんと会話するうちにいつもどおりの表情に戻っていきます。おかげで、『直接は会えなくても、こうして話したり様子を教えてもらえたりすることで、大きな安心感を得られました』と好意的な声をいただく機会も増えましたね」(柴田さん)。
介護現場のスムーズなデジタル化に必要なこと
介護現場のデジタル化を進める上では、丁寧なフォローアップが欠かせません。「ソフトを使うための端末の購入や設定、Wi-Fi環境の構築はもちろん、導入後の現場定着をサポートすることも大きな課題です。現状では電話対応がメインになりますが、いわゆる運用サポートについては今後さらに力を入れていきたいと思っています」(福原さん)。 誰にとっても使いやすいサービスであるためには、開発の段階から細やかな調整を図ることも重要です。CareViewerの開発を担当した欧(おう)陽兪(ようゆ)さんは、次のように話してくれました。 「現場の意見を受けて、これまで様々な改良を施してきました。たとえば、アプリ版のタッチ領域の拡大もその一つです。現場では、動き回りながら入力するケースが多いので、年齢を重ねたスタッフだと細かな作業が難しかったりします。そこで、当初と比べて指でタッチしたときに反応するエリアを3倍程度に拡大したところ、以前より使いやすくなったと好評でした」。
そうした積み重ねもあって、「満快のふる郷 さくら東苗穂」では、とてもスムーズにCareViewerを現場に導入できたといいます。「私の職場では幅広い年齢層が活躍しており、デジタル端末に慣れている若いスタッフが年配のスタッフにCareViewerの使い方を説明しました。そのとき、スマートフォンの使い方には多少の説明が必要だったものの、CareViewer自体は大きな苦労もなく使い始められたので、とても驚きました」(柴田さん)。
Chatwork株式会社で、事業推進本部セールス部アカウントセールス第1チームに所属する廣瀬和桂さん(写真左)。
日本KAIGOソフト株式会社で、CareViewerの開発に従事する台湾出身の欧陽兪さん(写真右)

「向き合う」「寄り添う」ための時間を最大化する
日本KAIGOソフトの代表を務める中元秀昭さんは、デジタル化が介護現場にもたらすメリットについて、次のように説明してくれました。
「ペーパーレス化で記録時間が短縮され、情報共有が簡単にできるようになれば、現場は利用者さんと向き合う『本来業務』に、より力を注ぐことができます。それによって利用者さんやご家族の満足度がアップするのはもちろん、働く人のモチベーションも高まっていくのではないでしょうか」。
ゆくゆくは紙ベースの記録をなくし、ポケットにスマートフォンが1台あればOKという現場環境を生み出したいのだとか。事務作業などの非本質的な業務を効率化し、そこから生まれた時間を利用者さんのために使う——。それが、介護の質改善につながっていくことを大いに期待したいところです。

日本KAIGOソフト株式会社の代表である中元秀昭さん。母体となるさくらCSホールディングス株式会社でも、代表取締役を務めている
文:ナレッジリング中澤仁美(編集者・ライター)
日本KAIGOソフト株式会社
約20年間、介護事業所を運営してきたノウハウと現場の生の声をもとに、AIケアプラン・介護記録ソフト「CareViewer(ケアビューアー)」を開発。AIやIoTで介護業界の問題解決に取り組むことで、「介護の質の向上」と「新たな介護の提案」を目指している。
所在地:北海道札幌市東区東苗穂5条2丁目9-28
URL:https://www.japan-kaigosoft.com/
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