• 2020年8月28日
  • 2021年10月1日

新型コロナウイルス感染症に備えよう!~復職時に必要な感染予防のおさらい~

 

復職を考えはじめているものの、新型コロナウイルス感染症感染への不安や心配が尽きない方もいらっしゃるのではないでしょうか。ご自身や家族、周囲の人たちを守るためにも、この機会に「感染予防」を基本からおさらいしましょう。

スタンダードプリコーション(標準予防策)って?

新型コロナウイルス感染症の影響で、現場では感染予防についてマニュアルが見直されたり、新型コロナウイルス感染症に特化したマニュアルが作成されたり、さまざまな対応に追われています。医療施設によって違いはありますが、基本の予防策はおさえておきたいですよね。その基本となるものが、「スタンダードプリコーション(標準予防策)」です。

スタンダードプリコーション」とは、「感染症の有無にかかわらず、汗を除くすべての湿性生体物質には感染性があるものとして扱う」という予防策です。
予防策の内容としては、手指衛生、個人防護具(PPE)、咳エチケット、器材の適切な取り扱い、リネンの管理、環境整備、患者の配置、危険物の処理、安全な注射手技、腰椎穿刺手技などがあります。

なかでも重要な「手指消毒」と「個人防護具」を詳しくおさらいします。

今から身につけたい手洗いの基本とは

院内感染予防の基本となる「スタンダードプリコーション」のなかでも、とくに手指衛生は大切です。

私の復職先は手術室でしたが、復職した際、手洗いの手順で抜けている部分が多くあったので、基本に戻り学び直す大切さを実感しました。

現場では患者さんに接する前や接した後、清潔/無菌操作の前、患者さん周辺の環境に触れた後、体液に曝露された可能性がある場合など、さまざまな場面で手洗いが必要になります。

感染予防のためにも、正しい手洗い方法を紹介します。

【手指衛生の3分類】

手洗いには、大きく分けて「日常的手洗い」「衛生学的手洗い」「手術時手洗い」の3種類があります。

日常的手洗い

食事前やトイレのあとなど、日常的に行う手洗いです。石鹸を用いて流水で15ほど洗います。

衛生学的手洗い

石鹸と流水による手洗いと速乾性アルコール消毒液による手洗いがあります。目に見える汚れがある場合、石鹸と流水で1分ほどこすり洗いを行います。目に見える汚れがない場合には、速乾性アルコール消毒液を使用します。

手術時手洗い

手術前に行うもので、ラビング法とスクラブ剤を用いた消毒方法があります。

以上を踏まえ、速乾性アルコール消毒機を使用した手洗い方法について、より詳しい手順を説明します。

【速乾性アルコール消毒液を用いた手洗い方法】

①消毒薬を手に取り、両手の指先にすり込みます

②両手の指を組み両手を合わせたら手掌にすり込みます

両手の手背にすり込みます

母指にすり込みます

⑤最後に手首にすり込み乾燥させてください。

※とくに汚れが残りやすい「爪、指先、指の間、母指、手首」は注意して洗いましょう。

個人防護具(PPE)はどう使う?

個人防護具は、患者さんの処置やケアなどの業務を行う際に、血液や体液、分泌物、排泄物に含まれている病原体などから感染を予防するために用いられます。

患者さんや医療者を守るためのもので、手袋、マスク、ガウン、フェイスシールドなどを使用します。
個人防護具を初めて使う方もいらっしゃると思いますので、正しい着脱方法をしっかり確認しましょう。

【個人防護具の着脱方法】

(1)着用時の手順

①手指衛生を行う

②ガウンを着る

③マスクを装着する
※マスクは裏表と上下を確認してから、ひもを両耳にかけます。鼻の部分に沿ってマスクの形を合わせてから顎まで覆うように広げ、マスクに隙間がないように整えます。

④ゴーグルまたはフェイスシールドを装着する

⑤手袋を装着する
手首が露出しないようにガウンを覆います。

(2)脱衣時の手順

①手袋を外す
※皮膚に触れないよう手袋の一部をつかみ、手袋の内側が表になるように外してください。外した手袋は、反対側の手袋を装着している手の中にひとまとめにします。
手袋をしている方は表側に触れないよう手袋内側に指を入れて、そのまま引きあげるように外します。

②手指衛生を行う

③ゴーグルまたはフェイスシールドを外す
表面は汚染されているので、ゴーグルの場合は耳にかけている部分を持ち、フェイスシールドはゴムひもを持って外します。

④ガウンを外す
はじめに首のひもを切り、袖側から脱ぎます。外側に触れないよう、ガウンが裏側になるように小さくまとめながら脱ぎます。

復帰後の現場環境によってさらに気を付けるべきポイントが出てくるかもしれませんが、基本的な感染予防としては、この手順をおさらいしておけば問題ありません。

ご自身や家族、周囲の人たちを守り、復職への理解を高めてもらうためにも、ぜひこの機会に感染予防対策を振り返ってみてくださいね。

[参照]・北大病院感染対策マニュアル 「2-1.標準予防策(スタンダード・プリコーション)」
https://www2.huhp.hokudai.ac.jp/~ict-w/kansen/2.01_hyoujunyobousaku.pdf

・サラヤ株式会社 医療従事者向けサイト 「手指衛生のススメ > 手指衛生のタイミング」
https://med.saraya.com/kansen/handh/timing/

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