【質問】看護師でも公認心理師になれる?
看護師も条件次第で受験資格を得られると聞いたのですが、どのような条件を満たせばよいのでしょうか? 詳しく知りたいです。(精神科病院勤務 看護師歴5年目 26歳)
【回答】実務経験が5年、講習会受講で受験できる
日本初の心理職の国家資格
平成29年9月15日に「公認心理師法」が施行され、平成30年9月9日、日本初の心理職の国家資格「公認心理師」の第1回試験が実施されました。そして合格発表を経て、11月に初の公認心理師が誕生しました。
公認心理師の行う業務として、公認心理師法では、以下のように定められています。
1.心理に関する支援を要する者の心理状態の観察、その結果の分析
2.心理に関する支援を要する者に対する、その心理に関する相談及び助言、指導その他の援助
3.心理に関する支援を要する者の関係者に対する相談及び助言、指導その他の援助
4.心の健康に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供」(厚生労働省 公認心理師より)
公認心理師取得後は、学校において「スクールカウンセラー」として勤めたり、病院や診療所の精神科・心療内科等で就業したりといったケースが考えられるでしょう。
■関連記事
公認心理師とは? 受験資格の取得ルートや合格率を解説
看護師としてスキルアップのチャンス
実は、精神科に勤務する看護師もある条件を満たしていれば、公認心理師の受験資格を得ることができます。公認心理師になるには、「受験資格を得たのち、国家試験に合格し、資格登録をする」ことが必要です。看護師の方は大学または大学院で特定の科目を履修したのち、特定機関で規定の期間実務経験を積み、公認心理師講習を受講することで受験資格を得られます。
ここで言う特定機関には、学校・裁判所・保健センター・自動福祉施設および児童相談所・病院または診療所・精神保健福祉センター等が挙げられます。
ただし特例措置として、大学・大学院を出ていなくても、5年以上の実務経験を積み、「現任者講習会」を修了することによって、公認心理師試験資格の受験資格を得られる可能性があります。
実務経験の期間についてですが、まず、平成29年9月15日の施行日時点で実務経験があるかが重要なポイントとなります。
平成29年9月15日以前に5年以上の実務経験を積んでいる方はすでに条件を満たしています。
平成29年9月15日時点での実務経験が5年に満たない場合は、そこから平成34年9月14日までの期間に合計5年以上となる実務経験を積むのみです。今後足りない分の実務経験を積み、「現任者講習会」を受講することで、受験資格を得られます。
また特例として、平成29年9月15日時点で業務を休止した方であっても、休止以前に5年以上の実務経験があり、かつ業務を休止した日から起算して平成29年9月15日時点で休止期間が5年を経過しない方にも受験資格が認められます。
【現任者の実務期間と受験資格の有無】

また、受験の申し込みには、勤務先で「実務経験証明書」を発行してもらう必要があります。
「現任者講習会」では、制度について、心理社会的問題および必要な支援について、医学に関する知識などについて学び、講習時間は合計30時間・4日間にわたります。
費用は受講料7万円のほか、テキスト代4500円程度が必要です。詳しい日程等は日本心理研修センターのホームページをご覧ください。
初の心理職の国家資格として注目されている「公認心理師」。保有していれば、看護師としてのスキルアップにも役立つことでしょう。気になる方はぜひ挑戦してみてくださいね。
新型コロナウイルス感染症の影響により、今後の公認心理師試験のスケジュールが変更となりました。詳しくは「看護師最新ニュース」をご参照ください!