• 2023年8月17日
  • 2023年8月10日

何でもナースコールを押す患者さん。緊急かもしれないから対応するけど困っています。

 

看護師をお手伝いさんと勘違いしているのか、業務外のことでもナースコールで呼び出す患者さんに困っています……。このお悩みに対して人気ブロガーのDJあおいさん、ロリータモデル兼看護師の青木美沙子さん、産業医の井上智介さんらスペシャリスト3人がアドバイスします!

今回のお悩みに答えてくれるスペシャリストたち

何でもナースコールを押す患者さん。緊急かもしれないから対応するけど困っています。

相談者
看護師業務を「お手伝いさん」と勘違いしている(間違って認識している)患者さんに困っています。

「スマホをベッドの下に落とした」「食器を下げて欲しい」「リモコンとって」など、緊急度の低い用件でナースコールを押す患者さんへの対応って、どうしたらいいのでしょうか?

「それは看護師業務ではありません」と伝えても、また別の用件でナースコールを押すの繰り返し……。マルチタスクをこなしながらなんとか駆けつけても、「来るのが遅い」と言われてしまいます。


なかには本当に緊急度の高い呼び出しもあるので無碍にはできません。でも、いろんな業務をしているなかで、気軽に呼び出されてつらいです。

「どうせまた無駄なナースコールだ」と思って行かないと、インシデントレポートを書く羽目になることも。

患者さんも看護師業務がどの範囲までなのかわからないのかもしれませんし、かといって私たちの業務内容を一から説明するのも違いますし……。

双方が気持ちよくコミュニケーション取るためにできることってありますか?

スペシャリスト3人のアドバイスは?

産業医
井上智介さん

看護師さんを“お手伝いさん”と勘違いしている患者さんは「看護師さんの対応範囲を知らない」につきます。多忙で壮絶な現場を想像できず、「いつでも何でもしてくれる人」と考え、自分の権利ばかり主張しがちです。

相談者さんはいつも病院で過ごしているため「これくらい言わなくてもわかるだろう」と思うでしょうが、残念ながら「医療者の常識は、患者さんの非常識」なので、一から言葉で説明しないと伝わりません。

直接的に「このようなことで呼び出すのはNG」と伝えたり、何度も繰り返す患者さんには具体的なNG行動をメモにして渡すことも必要です。ただし、そのような患者さんへの対応は個人では行わず、病棟チームの取り組みとして扱う姿勢が大切。


また、「来るのが遅い」と言われても「他の患者さんの対応をしていたので遅くなりました」と毅然と理由を伝えることも必要で、これも患者教育の一環です。ただ、その時に「期待に応えられなかったこと」への謝罪を含めると、お互いの摩擦も減ります(by 井上智介さん)。

▶️忙しそうな先輩看護師にどう声をかけたらいい?


ロリータモデル・看護師
青木美沙子さん

私もナースコールの多い患者さんの看護で困った経験があります。

夜勤帯だと受け持ち患者さんも多いですし、働いている看護師の人数も少ないから特に困りますよね。

ですが、そういう時、患者さんにイライラをぶつけたりせず、コミュニケーションを取ることが大切だと思います。患者さんはきっと寂しい気持ちもあって、ナースコールをしているので。

ただ、他の業務があるのも事実なので、患者さんに説明して理解してもらうことは必要かと思います。なかなか理解してもらうのが難しい時は、師長など上の人に説明を頼むのもありかと思います。

なるべく、患者さんと信頼関係を築いて、お互いストレスなくできたらいいですよね。

もし、それでも改善しないようでしたら、患者さんの担当を変えてもらったり、日替わりで担当看護をローテーションしたりして、接触回数を減らすのもいいかと思います(by青木美沙子さん)。


人気ブロガー
DJあおいさん

人の本音というのは「何を言っているのか」ではなく「どう言っているのか」に表れます。

人は、言葉では容易に嘘をつくことはできますが、表情や声色、態度など、非言語の部分で嘘をつくことはなかなかできません。


どんなに優しい言葉を掛けてあげても、「うるせえな」という態度をしていた場合、非言語が優先されて、悪い印象を与えてしまうんです。

患者さんと気持ちの良いコミュニケーションを取りたいのなら、非言語の部分に気をつけること。非言語の部分さえ良ければ、人は良い印象を持ってくれて、気持ちよく言うことを聞いてくれるというわけです。

簡単に言うと、この非言語スキルって「演技力」なんですよね。

“戦略的ないい人”作戦ですから、心からいい人になろうと努めなくてもいいということです。自身のメンタル保護のためにも、心からいい人にならずに、演技と割り切って接した方がやり易いと思いますよ(by DJあおいさん)。


三者三様のアドバイス、いかがでしたか? 心身一体と言いますが、患者さんは体が弱っているからこそ心も弱って、誰かに甘えたくなっているのかもしれませんね。そんな患者さんの気持ちを汲み取りつつ、こちらの事情を伝えてみると良さそうです。相談者さんのお悩み解決の一助になれていれば幸いです。それではまた次のお悩みでお会いしましょう。

企画・構成/藤田佳奈美(TAC企画)

井上智介さん
産業医/精神科医/yahoo!ニュース公式コメンテーター
島根大学医学部を卒業後、現在は産業医・精神科医・健診医の3つの役割を中心に活動している。産業医としては、毎月30社以上を訪問。著書に『職場での「自己肯定感」がグーンと上がる大全』(大和出版)など。

青木美沙子さん
ロリータファッションモデル / 看護師 / 日本ロリータ協会会長
雑誌『KERA』『姉ageha』でロリータモデルをしつつ正看護師としても働く。2009年、外務省任命カワイイ大使として25カ国45都市以上の国を歴訪。2013年、日本ロリータ協会を設立。ロリータファッションBOOKの発売やプロデュース業も行うなど、精力的に活動している。

DJあおいさん
月間600万PV!の大人気ブロガー。独自の恋愛観と核心をついた鋭いアドバイスで、Twitter合計フォロワー35万人の人気を誇る謎の主婦。女性誌やサイトで連載多数。著書に『キャリアなどに興味はない。それなりに稼げて、ストレスフリーなら、それがいいのだ! 』(ワニブックス)、『女の人間関係はめんどうなのよ 人付き合いの処方箋』(KADOKAWA)、『結婚は「だから、好き」より「だけど、好き」。』(幻冬舎)など。

著者プロフィール