• 2025年3月1日
  • 2025年2月26日

自己効力感とは? 自己肯定感との違いや高めるための方法を解説

 

自己効力感は、特定の状況において自分の行動が成功するという自信を持つことです。この感覚は個人の成長や社会的成功に大きな影響を与えますが、自己効力感と似た概念に「自己肯定感」があります。自己肯定感は、自分の価値を無条件に認める感情であり、自己効力感と密接に関わっています。

当記事では、自己効力感とは何か、自己肯定感との違い、さらに自己効力感を高める方法について説明します。自己効力感を理解し、日常生活や仕事、看護の現場での活用方法を学ぶことで、自己成長や人間関係に良い影響を与えられるでしょう。

自己効力感とは

自己効力感とは、特定の状況下で自分の行動が成功すると信じ、目標達成への自信を持つことです。自己効力感が高い方ほど、実際に特定の状況下で行動した結果、成功する可能性が高いとされています。

自己効力感は、看護の現場においても重要視される概念です。セルフケアが難しい患者さんに対し、自己効力感を高める看護を実践すると、課題解決や治療への積極性が促進される可能性があります。

自己効力感の英訳は、「Self-Efficacy(セルフエフィカシー)」です。場合によっては、自己効力感ではなく、「自己可能感」や「自己革新」と訳されるケースもあります。

自己肯定感との違い

自己効力感と自己肯定感はいずれも自身に対する評価にあたるものの、意味合いが異なります。自己効力感は、自身の能力に対する認知を意味し、特定の課題や状況に直面した際に「自分にはできる」と信じる自己評価に焦点を当てている点が特徴です。

一方、自己肯定感は、状況にかかわらず、自身の存在そのものに価値を認め、自己を肯定する感情を指します。

自己効力感と自己肯定感は意味合いが異なるものの、いずれが欠けても、ビジネスシーンでの成功や人生に対する満足度の向上は困難です。両者には相関関係があるとされており、看護の現場では、自己効力感と自己肯定感の双方を高めることが、患者さんの満足度を高める重要な要素とされています。

自己効力感の3つのタイプ

自己効力感の3つのタイプ

自己効力感を心理学的に分類すると、自己統制的自己効力感・社会的自己効力感・学業的自己効力感の3タイプに区分できます。

タイプ別の概要を確認し、自己効力感をより深く理解しましょう。

自己統制的自己効力感

自己統制的自己効力感とは、自身の行動や感情をセルフコントロールし、マネジメントできる自信や肯定感を指します。一般的に「自己効力感」という場合は、自己統制的自己効力感を指すことが多いです。

自己統制的自己効力感が高い方は、未知の分野に挑戦する際に「成功する」と自己暗示をかけ、ポジティブに行動を起こす傾向があります。自己統制的自己効力感の高い方は、困難な仕事やプロジェクトに対しても前向きに取り組み、成功を掴みやすくなります。

社会的自己効力感

社会的自己効力感とは、他者との関わりや対人関係に関する自信や肯定感を指します。乳児期から児童期までの期間で特に発達し、大人になっても持続してビジネスシーンや日常生活における基礎スキルとして機能します。他者への共感や、相手を理解し尊重する態度も社会的自己効力感の重要な要素です。

社会的自己効力感が高い方は、良好な人間関係を築く能力に優れています。周囲から敬遠されがちな方と接する場合でも、「良好な関係を構築できる」という信念を持ち、円滑なコミュニケーションを図れます。

学業的自己効力感

学業的自己効力感とは、学業分野における成功体験によって培われる自己効力感を指します。具体的には、難関大学への合格や資格試験の通過などの成功体験が、学業的自己効力感を高め、その後の学習意欲や自信を向上させます。

学業的自己効力感の高い方は、社会人になった後、未知の分野で新たなスキルを習得する際にも、計画的かつ継続的な努力が可能です。このような姿勢は、自分の知識やスキルの幅を広げ、結果的に社会的な成功に近づけるでしょう。

自己効力感を高めるメリット

自己効力感を高めるメリット

自己効力感を高めることは人間的な成長を目指すうえで重要度の高い概念であり、さまざまなメリットが期待されます。自己効力感が高まると、自分の能力や可能性を信じて挑戦し続けられ、困難な状況でもポジティブな姿勢を保てます。

また、自己効力感が高い看護師は、患者さんのケアにおいて自信を持ち、さまざまな状況に冷静に対応できるでしょう。ステップアップを目指すためにも、自己効力感を高めるメリットを確認しておくことが大切です。

過度に落ち込みにくくなる

自己効力感を高めると、失敗した際に過度に落ち込むことが少なくなるでしょう。自己効力感が高い方は、失敗そのものを自分の能力の限界として捉えるのではなく、問題解決に焦点を当てます。具体的には、「どこを改善すれば成功できるか」を冷静に分析し、次に活かす方法を考えます。

自己効力感の高い方は、自身の能力を信じているため、困難な状況に直面しても精神的な安定を保てます。結果として、難易度の高い課題に取り組む際も、冷静に判断し迅速に行動できるため、大きな成果につなげることが可能です。

モチベーションを維持しやすくなる

自己効力感を高めることで積極性が向上し、モチベーションを維持しやすくなります。自己効力感が高い方は、自主的に目標設定を行い、前向きに努力を続けられるでしょう。難易度の高い課題に直面した際に、諦めずに行動できれば、想像を超える成果が期待できます。

患者さんの場合、課題達成に向けたモチベーションは療養行動を長期継続してもらうための重要な資源です。患者さんの自己効力感を高めると、セルフケアやリハビリにも前向きに取り組み、継続してもらいやすくなるでしょう。

チャレンジ精神が身につく

自己効力感を高めると、未知の物事を恐れる気持ちが薄れ、チャレンジ精神が身につく点も大きなメリットです。難易度の高いタスクへ積極的に挑戦するマインドが備わっている方は、自然と自己成長につながる行動を起こします。

自己効力感が高い方は、挑戦に失敗しても簡単に諦めません。失敗から学びを得て、その経験をもとにアプローチを改善し、継続的に自己成長を追求する姿勢が特徴です。

自己効力感を高める方法

自己効力感を高める方法

自己効力感は、社会的学習理論を構築した心理学者アルバート・バンデューラが提唱した概念です。バンデューラは自己効力感を高める方法として、以下の4つのアプローチを提唱しています。

自己効力感を高める方法 概要
遂行行動の達成 遂行行動の達成とは、自身の行動によって直接的な成功体験を積むことです。特に、時間をかけて成功を掴んだ経験や、課題に一生懸命取り組んで達成した体験は自己効力感を高めやすい傾向があります。
代理的経験(代理経験) 代理的経験とは、ロールモデルとなる他者の行動の観察や成功体験を聞き、自分もできるという感覚を得ることです。
言語的説得 言語的説得とは、ポジティブな言葉がけや自己暗示を通じて、自分の可能性を信じる力を高めることを指します。ポジティブな歌詞の音楽を聴いて、前向きな気持ちになるのも、言語的説得の一種です。
情動的喚起 情動的喚起とは、心身の健康を維持することで前向きな心理状態を保つことです。具体的には、生活リズムの安定化、ストレスの軽減、リラクゼーション、また気分を高揚させる環境の選択などが該当します。

患者さんの自己効力感を高める支援を行う際には、上記の方法を参考にして、下記のようなアプローチが検討されます。

  • 患者さんの身体能力や回復状況に応じた目標設定を行い、達成可能な課題を通じて成功体験を積んでもらいます。
  • 前向きなリハビリを経て回復した患者さんと面会する機会を設け、他者の成功事例を通じてモチベーションを高めます。
  • 患者さんの小さな成長を適切に褒め、肯定的なフィードバックや前向きな言葉がけを繰り返します。
  • セルフケアや自己管理の重要性と期待される効果について明確に伝えることで、患者さんの内発的なやる気を引き出します。

ただし、自己効力感を高めるための適切なアプローチは、患者さんの性格や状況によって異なります。個別の事情を考慮し、適切に患者さんを支援しましょう。

まとめ

自己効力感とは、自分の行動が成功すると確信し、特定の課題や状況における自己評価に関連する概念です。一方、自己肯定感は自分の価値を無条件に認める感情で、自己効力感と密接に関連しています。自己効力感には、自己統制的、社会的、学業的自己効力感の3つのタイプがあり、いずれも個人の成長や社会での成功に重要な役割を果たします。

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※当記事は2024年12月時点の情報をもとに作成しています

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