• 2023年1月14日
  • 2023年1月11日

「宿直」の読み方は? 看護師の宿直の内容・当直や夜勤との違いも

 

宿直は「しゅくちょく」と読み、勤務先に交代で泊まり夜間の業務に携わることを指します。看護師の場合、夜間の緊急対応のために、勤務時間外に院内に宿泊することが宿直にあたりますが、宿直ではどのような業務を行うのか気になる方もいるでしょう。

この記事では、看護師の宿直の内容を、夜勤や当直との違いを交えながら詳しく解説します。宿直に関するルールや、宿直が大変かどうかにも触れるため、看護師を目指す方や、看護師の働き方に興味を持つ方はぜひ参考にしてください。

「宿直」の読み方と意味

「宿直」には、以下の2通りの読み方があります。

  • しゅくちょく
  • とのい

読み方で意味が変わるため、それぞれの読み方と意味を合わせて覚えましょう。

「しゅくちょく」とは、勤務先に交代で泊まり夜間の業務に携わることを表します。夜間の当番をする人自体を表すこともあります。一方「とのい」は「殿居」とも書き、古代日本において宮中や役所・貴人の邸宅の警備のために宿泊勤務をする役目のことです。天皇や貴人の寝所に女性が仕えることを意味する場合もあります。

「とのい」は古代日本の役目を表す言葉であり、今や使われる機会はほぼありません。そのため、現代の日本では「しゅくちょく」と読むことが一般的といえます。

看護師の宿直の内容

看護師の宿直の内容

看護師が行う宿直とは、夜間の緊急事態に対応するために、勤務時間外に院内に宿泊する形態のことを指します。

宿直勤務では、人手が少ない夜間帯に緊急事態が起こった際、即座に対応する待機要員として院内に泊まり込みます。仕事内容は、緊急時に備えた待機が主なため短時間で行えるような軽度な業務に限られており、通常業務には従事しないことが特徴です。

宿直時に許可されている業務の例としては、緊急電話への対応や定時巡回、患者さんの状態確認、急変対応など、断続的な業務が挙げられます。

宿直と同様に、緊急事態に備えて待機する「オンコール」という勤務形態もあります。

オンコールとは、勤務時間外において、緊急事態に対応できるように常に連絡可能な状態を維持することです。勤務先で待機することが求められる宿直とは異なり、オンコールは自宅や院外で過ごせる点が大きな違いです。

また、宿直と混同されやすい言葉に「夜勤」や「当直」があります。似ている点はあるものの、仕事の内容や勤務形態など異なる部分も多いため、宿直とあわせて理解しましょう。

以下では、夜勤や当直の意味、宿直との違いについて詳しく解説します。

夜勤との違い

夜勤とは、夜間に通常業務を行う勤務形態のことを指します。

勤務する時間帯は宿直と同じ夜間ですが、宿直は待機要員のため通常の業務を行わない一方で、夜勤は通常と同様の業務を担当します。休憩時間として、合間に仮眠時間が設けられることが特徴です。

なお、通常労働を行う夜勤は、法定労働時間に含まれます。日勤と合わせて労働時間が週40時間以内になるよう調整する必要があり、深夜割増賃金として22時から翌朝5時までは125%の賃金が支払われます。

当直との違い

当直とは、勤務時間外に当番制で院内に待機する勤務形態のことを指します。

当直は、日直と宿直を合わせた呼び方であり、日中に行う当直を日直、夜間に行う当直を宿直と呼びます。つまり、宿直は夜間に働く当直のことを表しており、当直と日直・宿直に業務の違いはありません。

当直で行う内容は、緊急電話対応や定時巡回などに限られます。待機要員として従事し通常業務は行わないことから、法定労働時間には含まれません。

■関連記事

宿直とはどんな勤務? 当直や日直との違いも解説

看護師の宿直に関するルール

看護師の宿直に関するルール

宿直や日直を行う場合は、事前に労働基準監督署長の許可を受けることで労働時間規制の適用を除外されます。そのため、事業主は次のような許可基準を満たしたうえで、労働基準監督署に届け出ることが必要です。

(1)一般の宿日直の許可基準(昭22・9・13発基第17号、昭63・3・14発基第150号)
一般の宿日直の主な許可基準は以下のとおりです。医師、看護師などもここに含まれます。
①通常勤務における労働は行わず、定期的な巡視、緊急の文書または電話の収受、非常事態に備えての待機等を目的とするものであること
②宿直勤務は1回/週以下、日直勤務は1回/月以下であること
③1回の宿直・日直手当は宿直勤務につくことが予定されている同種の労働者1人当たりの平均賃金の1/3以上であること(コラム参照)
④宿直については、寝具、暖房等相当の睡眠設備を設けること など

(2)医師、看護師等の宿日直の許可基準の取り扱いの細目について(昭24・3・22発基第352号)
以下のような条件をすべて満たしていない場合は、すべて時間外労働として処理することと定められています。
①通常の勤務形態からは完全に解放されていること
②一般の宿直業務以外には、病室の定時巡回、異常患者の医師への報告、少人数の要注意患者の定時検脈、検温など、特殊な措置を必要としない軽度のまたは短時間の業務に限ること
③夜間に十分な睡眠が取れること
④一般の宿日直の基準を満たしていること

(引用:日本看護協会「看護職の夜勤・交代制勤務に関するガイドライン」

宿直や日直勤務は緊急事態に備えた待機を基本とし、原則として通常業務を行うことは認められません。勤務にあたる回数も、宿直は週に1度、日直は月に1度までと定められています。ただし、人手不足でどうしても対応が難しい場合などは例外とし、定められた回数を超えて従事することも認められます。

宿直に関しては、睡眠がとれる環境が整っていることもルールの1つです。仮眠室や宿直室・ベッドなど、睡眠に必要な設備を整えていないと、宿直勤務は許可されないため注意しましょう。

また、宿直や日直勤務に支払う手当については、同種業務の労働者一人に対して支払われる1日の平均賃金の、3分の1以上を支払うことが定められています。

なお、宿直や日直の基準要件を守らず、通常業務を担当させた場合や、恒常的に許可基準を満たさない状態にある場合は、時間外勤務と見なされます。事業主は労働者に対し、深夜労働や休日労働などの割増賃金を支払うことになるため、注意が必要です。

看護師の宿直は大変?

看護師の宿直は大変?

宿直勤務は、基本的に軽度な業務だけを行い、睡眠も確保できるよう配慮されます。そのため、宿直勤務が楽だと感じる人もいます。一方で、「気が抜けず、ゆっくり休めない」とストレスを溜める人も少なくありません。

宿直が大変だと感じるのは、以下のような理由だと考えられます。

  • 夜から翌朝までと勤務時間が長い
  • 気が張って十分な休息がとれない
  • いつ緊急事態が発生するか分からず、気疲れする
  • 緊急対応時の負担が大きい

職場によっても異なりますが、宿直の勤務時間は12~16時間程度と長時間になる傾向があります。緊急事態に備えて長時間気を張った状態で待機するため、人によっては気疲れして十分な休息がとれないケースもあるでしょう。

しかし、人手が少ない夜間において、緊急時に即座に対応できる宿直業務は、病院や介護施設の機能を維持するために欠かせない存在です。患者さんやご家族から感謝されることも多く、緊急対応を経験することでスキルや対応力を獲得でき、自分自身の成長も期待できます。そのため、宿直は大変ながらもやりがいのある、大切な仕事だといえるでしょう。

まとめ

看護師の宿直は、夜間の緊急事態に備えて院内に泊まり込むことを指します。夜間に通常業務を行う夜勤とは異なり、宿直では巡回などの軽度な業務のみ行います。宿直に似た言葉に当直があり、当直は日直と宿直の総称です。宿直には業務内容以外にも勤務の頻度・手当・宿直の環境など細かなルールが定められています。

看護師として就職や転職する際に、宿直の有無や向き不向きが気になる場合は、「マイナビ看護師」にぜひご相談ください。マイナビ看護師では、業界に精通したキャリアアドバイザーが、どのような働き方をしたいかなどをヒアリングし、希望に合う応募先の選定をお手伝いいたします。

※当記事は2022年11月時点の情報をもとに作成しています

著者プロフィール