• 2022年5月18日
  • 2024年4月2日

看護分野のアセスメントとは? 実施時のポイントと基本的な書き方も

 

看護師はさまざまな場面において患者さんと接し、必要なケアを検討するために必要な情報を収集したうえで、看護計画を立案します。看護分野のアセスメントとは何かを正しく把握し、正しい手順や注意点を守って実施することにより、仕事の精度が高まるでしょう。

当記事ではアセスメントに苦手意識を持つ人に向けて、本質的な意味と実施する際のコツを解説します。アセスメントに役立つ看護理論や看護記録の書き方も紹介するため、実務スキルを磨くことで市場価値の高い人材を目指したい方は、ぜひ参考にしてください。

看護分野のアセスメントとは?

そもそも「アセスメント(assessment)」とは「評価」「査定」などの意味を持つ英単語であり、人物や物事について客観的に評価・分析することを指します。アセスメントという言葉は医療・看護の現場のみでなく、人材マネジメントや環境評価制度といったさまざまなビジネスシーンで使われているのが特徴です。

看護分野におけるアセスメントは、看護過程の一環として看護計画の作成に必要な情報を収集し、分析・診断することを指します。看護過程とは、看護師が看護を行う際の一環のプロセスです。看護師は、アセスメントで得た情報をもとに看護診断を行って看護計画を立案し、事前に患者さんの同意を得たうえで、必要なケアを実施します。

看護分野でのアセスメントの目的は、患者さんの健康状態や症状について把握することです。アセスメントを通して得た情報から、患者さんが抱える問題と優先順位を分析し、一人ひとりに合った看護ケアプランの内容や方向性を決定します。

なお、「アセスメントは一度行って終了」というわけではありません。看護師はケアを行う最中にも必要に応じてアセスメントを実施し、より望ましい看護計画を立案する必要があります。
(出典:公益社団法人日本看護協会「看護記録に関する指針」

アセスメントは看護過程の第一段階

患者さんに対して看護を実施する際、看護過程の5つのプロセスが基本となります。アセスメントは、看護過程における最初の段階です。

具体的な5つの看護過程は、下表の通りです。

(1)アセスメント 患者さんについての情報収集と分析・評価を行う
(2)看護診断 アセスメント内容をもとに、看護によって解決・軽減できる問題を抽出する
(3)看護計画 問題解決のための目標を定め、看護計画を立案する
(4)看護介入 作成した看護計画に基づいて看護ケアを提供する
(5)看護評価 看護介入したことで、目標としていた成果が得られたか評価・見直しする

アセスメントと看護診断はどちらも「分析」を実施する段階であるため混同されやすいですが、両者には明確な違いがあります。

アセスメントは、患者さん本人が感じている症状や検査結果の数値をもとにして、患者さんの現状について分析する過程です。対して、看護診断はアセスメントの結果を受け、看護計画に組み込むべき問題点を分析します。

アセスメントで収集する2種類の情報

客観的情報とは、検査や身体診察によって得られる数値化・視覚化された情報を指します。主観的情報とは、患者さんとの対話を通して得られる情報です。客観的情報・主観的情報のそれぞれの具体例は、以下の通りです。

客観的情報
  • 検査結果
  • バイタルサイン
  • 皮膚の状態
主観的情報
  • 食欲
  • 痛みの感じ方
  • 患部の違和感
  • 症状や治療に関する悩み

アセスメントで収集する情報には、患者さんのプライバシーにかかわる個人情報も含まれます。情報収集する際には職業上の守秘義務を遵守して、個人情報を適切に扱いましょう。

アセスメントで収集した情報は、看護記録に残します。看護記録とは、看護過程の実施の証明や、事後の振り返りを行うことを目的に作成する記録です。看護記録は、自分自身の対応や患者さんの状態をほかのスタッフに展開し、一貫性のあるケアを実践するためにも役立ちます。

看護アセスメントの一般的なプロセス

看護アセスメントの一般的なプロセス

看護アセスメントは「PDCA」の手順を踏んで実施するのが一般的です。ここでは、それぞれのステップについて詳しく解説します。

  • Plan(計画)
    アセスメントの進め方について計画を立てます。アセスメントを通して達成したい目標を決定したら、達成に向けた行動計画を作成しましょう。

    行動計画は具体性が重要となるため、誰が・どのように・何を実施するのかを明確にすることがポイントです。5W1Hを意識しながら計画を立てると分かりやすいでしょう。

  • Do(実行)
    「Plan(計画)」で立案した行動計画を実行し、有効性について検証します。

    アセスメントにおいては、情報収集がもっとも重要な要素です。行動計画実行時は、患者さんの状態について知ることを常に意識しましょう。体温測定といった数値記録はもちろん、診察・問診なども実施しながら、さまざまな角度から情報を集めるのが有効です。

    また「Do(実行)」のステップでは、ただ行動計画を実行するのみでなく、立案した行動計画の有効性についてもチェックします。行動計画を実行する際は、改善点はないか、ほかに有効な方法はないかを意識しながら検証しましょう。

  • Check(評価)
    行動計画を実行した結果について評価します。目標を達成できた部分・できなかった部分を明らかにし、成功要因や失敗要因を分析します。
  • Action(改善)
    「Check(評価)」の分析結果を踏まえ、課題や問題点を改善するための施策を考えて次回の計画に活かしましょう。

看護アセスメントの一連のプロセスは、看護計画の客観的評価によって改善を重ねることを目的としています。

看護過程を証明する看護記録の主な様式

看護過程を証明する看護記録の主な様式

看護過程の実施を証明する資料として機能する「看護記録」には標準化された様式がないため、病院や所属企業の記載基準に沿って作成します。看護記録の記載基準に採用されることの多い様式は、経時記録・問題志向型(problem oriented system:POS)・フォーカスチャーティングの3種類です。

以下では、それぞれの様式の概要を具体的に解説します。
(参考:厚生労働省「看護記録に関する教材の例」

経時記録

経時記録とは、時系列に沿って「いつ・どこで・誰が・どうしたか」を記録する様式です。経時記録には、入院から初期看護計画の立案までの流れや急変・事故発生時の経過を分かりやすく記録できるメリットがあります。

経時記録を作成する際のポイントは、下記の2点です。

  • 見た内容や出来事に対する対応を詳細に記録する
  • 医師への報告、患者さんの家族に対する説明内容を省略しない

転落の現場を見ていないにもかかわらず「転落していた」など、自分自身の解釈で看護記録を作成することは誤りです。看護記録には「病室を見回る際にベッドの右脇に横たわり、倒れている患者さんを発見した」など、事実を具体的に記録します。

問題志向型(problem oriented system:POS)

SOAPとは、患者さんの抱える問題ごとにS(主観的データ)・O(客観的データ)・A(アセスメント)・P(看護計画)を記録する様式です。S・O・A・Pにはそれぞれ、下表の内容を記録します。

S(主観的データ) 患者さんの訴えや家族が話した内容など
O(客観的データ) 検査数値、バイタルサイン、視診や触診から得た情報など
A(アセスメント) 患者さんの状態や今後考えられる問題など
P(看護計画) アセスメントに基づいて決定したケアの方針や生活指導内容など

SOAPの強みは、患者さんの抱える問題と看護計画などの対応を明確化できる点です。SOAPでは問題ごとの情報を整理して記載し、内容に基づく看護計画を立案するのがポイントとなります。

フォーカスチャーティング

フォーカスチャーティングとは、患者さんの抱える問題に焦点(フォーカス)を当て、D(情報)・A(行動)・R(反応)を記録する様式です。DARにはそれぞれ、下表の内容を記録します。

D(情報) 焦点を当てた問題に関する主観的、客観的な情報
A(行動) 焦点を当てた問題に対する看護計画と実際に行ったケアの内容
R(反応) Aで行ったケアに対する患者さんの反応や結果

フォーカスチャーティングは患者さんを中心に看護記録を作成する様式であることから、家族に対する説明を行う際の資料として活用しやすい特徴があります。ただし、患者さんの問題を正しく把握したうえで作成しないと内容に誤りが生じる可能性があるため、注意しましょう。

アセスメントに役立つ看護理論

アセスメントに役立つ看護理論

患者さんから収集した情報は、看護学的な視点からアセスメント(分析・診断)をします。必要な情報を漏れなく収集し、効果的なアセスメントを実施するためには、看護理論の枠組みを活用するとよいでしょう。

以下では、アセスメントに役立つ看護理論の枠組みを紹介します。

ヴァージニア・ヘンダーソン「14の基本的欲求」

ヴァージニア・ヘンダーソンは、看護の基本となる要素を14の基本的欲求にまとめました。ヘンダーソンは、基本的欲求のそれぞれを「未充足」から「充足」に移行させることで、患者さんの健康状態を回復・維持できると主張しています。

14の基本的欲求の詳細と情報の対応は、下表の通りです。

正常に呼吸する 呼吸数、呼吸パターン、酸素飽和度、喫煙歴など
適切に飲食する 食事の摂取量、身長、体重など
身体の老廃物を排泄する 排泄回数、尿意や便意、発汗量など
移動する、好ましい肢位を保持する 生活習慣、麻痺や骨折の有無など
眠る、休息する 睡眠時間、疲労度、ストレスの有無など
適当な衣類を選び、着たり脱いだりする 麻痺や骨折の有無、運動機能、認知機能など
衣類の調節と環境の調整により、体温を正常範囲に保持する 温度、湿度、バイタルサインなど
身体を清潔に保ち、身だしなみを整え、皮膚を保護する 入浴回数、爪や口腔の清潔さなど
環境の危険因子を避け、また、他者を傷害しない 認知機能、皮膚損傷の有無、感染予防対策など
他者とのコミュニケーションを持ち、情動、ニード、恐怖、意見などを表出する 表情、言動、聴力、視力、認知機能など
自分の信仰に従って礼拝する 信仰の有無、価値観など
達成感のあるような形で仕事をする 職業、社会的な役割など
遊ぶ、あるいは、ある種のレクリエーションに参加する 趣味、ストレス解消法、認知・運動機能など
正常な成長発達および健康へとつながるような学習をし、発見をし、好奇心を満たし、また、利用可能な保健設備等を活用する 疾患や治療に愛する理解度、学習意欲など

上表のうち上に位置するものほど優先度が高く、患者さんの健康回復・維持を大きく助ける要素です。
(出典:厚生労働省「看護の独自の機能について」

マージョリ・ゴードン「11の機能的健康パターン」

マージョリ・ゴードンは、どのような看護場面においても利用できるアセスメントの枠組みとして、「11の機能的健康パターン」を開発しました。11の機能的健康パターンの詳細と情報の対応は、下表の通りです。

健康知覚−健康管理 健康状態、運動習慣、服薬状況など
栄養-代謝 入院前後の食事内容、身長、体重など
排泄 排泄回数、下剤使用の有無など
活動-運動 運動機能、呼吸機能、バイタルサイン、血液データなど
睡眠-休息 睡眠時間、疲労度、睡眠導入剤の使用状況など
認知-知覚 意識レベル、不安の有無、表情など
自己知覚-自己概念 性格、社会的役割、今後の見通しなど
役割-関係 職業、社会的役割、経済状況など
性-生殖 年齢、家族構成など
コーピング-ストレス耐性 ストレス状況、入院環境、家族のサポート状況など
価値-信念 信仰、価値観、目標など

ゴードンの理論に沿ってアセスメントする際には、「健康知覚−健康管理」パターンに問題はないか、といった考え方で分析・診断を進めます。パターンごとに分析・診断することでどこに問題点があるかを正しく把握し、適切な看護診断を行うことが可能です。

アブラハム・マズロー「欲求5段階説」

アブラハム・マズローは、人間を「自己実現に向けて、絶えず成長する生き物」と表現したうえで欲求を5段階に理論化し、「欲求5段階説」としてまとめました。マズローの欲求5段階説を看護過程に取り入れると、患者さんの抱える問題点やケアを必要とする課題が複数存在する場合の優先順位を適切に判断できます。

マズローの理論化した欲求5段階の詳細は、下表の通りです。

自己実現欲 人生経験、能力、スキルなどに基づき、「あるべき自分になりたい」と考える欲求
承認欲求 他者からの尊敬や認められることへの欲求
社会的欲求 集団に属することや、友人や家族などの親しい仲間が欲しいと考える欲求
安全欲求 安心で安定した住居環境と経済状態のもと、安全に生活したいと考える欲求
生理的欲求 食事や睡眠など、人間が生きていくうえでの本能的な欲求

生理的欲求や安全欲求が充足されないと、患者さんの生命に危険が及ぶ場合や治療に不安を感じるリスクがあります。そのため、5段階欲求の下位に位置する欲求に関する内容ほど、「優先度が高い看護問題」といえるでしょう。

ただし、実際の看護の現場では、複数の看護問題を同時進行で支援していくことが通常です。支援を進めるうえで優先順位が変化することもあるため、看護師の皆さんは臨機応変に対応しましょう。

カリスタ・ロイ「4つの適応様式」

カリスタ・ロイは人間を「変化する環境の中で成長・発達する全体的適応システム」と考えて、「4つの適応様式を持つ生き物」と表現しました。ロイの言う「4つの適応様式」とは、生理的様式・自己概念様式・役割機能様式・相互依存様式です。

生理的様式
  • 身体の基本的な作用に基づくもの
  • 呼吸、栄養、運動と休息、内分泌機能など
自己概念様式
  • 身体的自己と人格的自己からなり、人間の心理的側面を表現したもの
  • 患者さんの不安や心配事、将来の希望など
役割機能様式
  • 人間の社会的な側面
  • 年齢、性別、子どもの有無、社会における役割など
相互依存様式
  • 人間の親密な人間関係
  • 患者さんにとって大切な人から得られる援助、援助を受ける意思など

ロイの考える「看護」とは、4つの適応様式のそれぞれに関して「適応」につながる行動を促進し、「非適応」を招く行動を抑制することです。看護師はロイの言う「看護」を実現すべく、初めて患者さんと接する際に4つの適応様式のそれぞれに対して、行動のアセスメント・刺激のアセスメントを実施します。そして、2種類のアセスメントの結果として看護診断を導き、必要なケアを明確化する流れです。

下表は、2種類のアセスメントの概要を示します。

行動のアセスメント 適応様式ごとに患者さんの行動や状態をよく観察し、「適応・非適応」を判断すること
刺激のアセスメント 患者さんの行動や状態に影響を与える刺激を分析、診断すること

刺激のアセスメントによって抽出された刺激が、ケアを必要とする対象です。ケアを実践した後は看護によって、患者さんの適応が促進されたかを評価しましょう。

NANDA-I「13領域の分類」

NANDA-Iとは、北米看護診断協会のことです。NANDA-Iは、看護の現場で使用する表現を統一化する目的から看護診断を13領域に分類し、それぞれに対する明確な定義を示しています。13領域の分野の詳細は、下記の通りです。

(1)ヘルスプロモーション

(2)栄養

(3)排泄と交換

(4)活動/休息

(5)知覚/認知

(6)自己知覚

(7)役割関係

(8)セクシュアリティ

(9)コーピング/ストレス耐性

(10)生活原理

(11)安全/防御

(12)安楽

(13)成長/発達

アセスメントによって分析・診断した看護問題はNANDA-Iの分類・定義と照合し、看護診断に落とし込む必要があります。たとえば、アセスメントにおいて患者さんの抱える問題を「便秘リスク状態」と判断した場合、NANDA-Iの分類・定義と照合することで、裏付けを得ます。

NANDA-Iの分類・定義と照合しても看護診断への落とし込みが難しい場合は、下記4点を確認しましょう。

  • アセスメントにあたって収集した情報に誤りはないか
  • 看護問題の根拠となる情報や危険因子の見落としはないか
  • 看護問題に関係する看護診断の候補を見落としていないか
  • 看護師が支援することで解決できる問題か

なお、NANDA-Iの分類・定義は随時改訂されています。しかし、すべての病院や企業で最新版を使用しているとは限らないため、職場の規定に従って、アセスメント・看護診断を進めてください。

看護師がアセスメントを実施する際のポイント

看護師がアセスメントを実施する際のポイント

看護理論を正しく把握するだけでは、実践的なテクニックを身に付けることは難しいでしょう。看護の現場で豊富な経験を積み、より良いアセスメント方法を見出すことが、実践的なテクニックを習得するためのポイントです。

看護の現場で適切にアセスメントを実施し、より早くテクニックを磨くためには、以下の内容を意識しましょう。

アセスメントの目的やゴールを明確化する

アセスメントの目的やゴールは、看護師の職場によって異なります。アセスメントを実施する前に「何のために必要な過程か」を明確化し、目的やゴールの達成に必要な情報を収集しましょう。

職場によっては必要なケアを特定することが、アセスメントの目的ではない場合もあります。たとえば、訪問看護ステーションでは、「利用者さんは在宅生活を継続できるか」「医師の診察は必要か」などの判断が必要です。

なお、医学的判断をアセスメントの目的・ゴールにすることは、疾患に基づくケアが必要な職場においても看護師資格の責任範囲を超えます。たとえば、誤飲性肺炎が疑われる患者さんのアセスメントでは「不適切な嚥下状態と考えられる」などの結論を導きましょう。

現状から原因を特定して予測を立てる

アセスメントでは患者さんの現状と問題を招いている原因を特定し、必要な支援を予測します。患者さんの現状や問題の原因を正しく把握できれば、的確な予測を立て、看護計画を作成しやすくなるでしょう。

現状を招いている原因は極力詳細に特定し、記録に残す必要があります。たとえば、患者さんの状態が「不適切な栄養状態」である場合、原因を「間食が多いこと」と記載するだけでは不十分です。正しくは、アセスメントで収集した情報をもとに「作業机の横にお菓子を常備しており、昼食前や夕方に毎日、間食する習慣が原因と考えられる」などと記録します。

異常が分かるよう正確な状態を把握する

情報収集する際には異常を発見することだけに注力せず、患者さんにとって何が「正常」であるかを把握しましょう。患者さんにとっての「正常」はライフスタイルや考え方などに影響されるため、個人差が見られます。看護師の皆さんは患者さんのことを深く理解し、現在の状態・過去の状態・バイタルデータなども把握したうえで、正確なアセスメントに努めてください。

アセスメントでは極力多くの情報を収集し、多角的な分析・診断を行うことも大切です。ケアの最中も患者さんの状態を常に観察し、多くの情報を収集することで、正確なアセスメントに努めましょう。

看護アセスメントの基本的な書き方とコツ

看護アセスメントの基本的な書き方とコツ

看護アセスメントを書く際は、はじめに患者さんの反応について解釈したうえで、患者さんの反応に関して3つの段階に分けて分析するのが基本です。

ここでは、看護アセスメントの基本手順や書く内容、書き方のコツについて詳しく紹介します。

STEP1:患者さんの反応の解釈結果を書く

アセスメント視点から見た患者さんの反応について、患者さんの発言や検査数値などの情報をもとにしながら解釈します。

具体的な書き方は、以下の通りです。

(アセスメント項目)については、(情報)や(情報)があった。このことから、(解釈結果)と考えられる。よって(実在型問題)を問題に挙げる。

実在型問題は、解釈結果として「不適切である」と判断した場合に記入します。たとえば、患者さんの健康管理状況についての記述例は、以下のようになります。

健康管理状況(アセスメント項目)については、4か月前から左胸の痛みを数分間ほど感じることがあった(情報)が、病気の可能性は低いだろうと考え放置していた(情報)。また、「健康に関する話には興味がない」と発言している(情報)。入院後は「手術のパンフレットを読むのが面倒」と話し(情報)、内容に目を通していない(情報)。このことから、健康管理状況は不適切(解釈結果)と考えられる。よって、不十分な健康管理(実在型問題)を問題に挙げる。

解釈の根拠となる情報は、複数挙げるのがポイントです。1つの情報だけで判断すると、間違った解釈を生む危険性があるため注意しましょう。

STEP2:患者さんの反応の原因・誘因を書く

患者さんの反応が引き起こされた原因や、患者さんの反応を助長している誘因について考えます。

具体的な書き方は、以下の通りです。

この問題の原因には、(情報)や(情報)から(原因)が考えられる。また、(情報)や(情報)から(誘因)が誘因となっていると考えられる。

たとえば、肥満と診断された患者さんの「不適切な栄養状態」という問題についての原因・要因の記述例は、以下のようになります。

この問題の原因には、「会社で毎日間食している」と話し(情報)、常に机にスナック菓子を置いて1日2袋食べていることから(情報)、職場での間食(原因)が考えられる。また、「これまで健康や適正体重について気にしていなかった」と話しており(情報)、健康についての知識が浅いこと(誘因)が誘因となっていると考えられる。

原因・誘因について考える際は、患者さんの発言や生活環境などのあらゆる情報を参考にしましょう。

STEP3:患者さんの反応の改善に導く強みを書く

患者さんの反応を改善・促進・維持できる「強み」があれば記入します。

具体的な書き方は、以下の通りです。

(情報)や(情報)から、(強み)が(アセスメント項目)の強みになると考えられる。

たとえば、「健康管理が不十分」という問題を抱えた患者さんについての強みの記述例は、以下のようになります。

「左胸の痛みについて妻から受診を勧められた」(情報)や、「妻にタバコ・お酒を控えるように言われた」(情報)と話している。このことから、妻による健康管理についての適切な助言(強み)が健康管理状況(アセスメント項目)の強みになると考えられる。

STEP4:患者さんの反応経過の推測結果を書く

患者さんの反応について、今後の経過を推測しましょう。推測結果はそれぞれで異なり、増悪因子がなく改善されると判断する場合や、今後さらに悪化すると判断する場合など多様なパターンがあります。

たとえば、肥満という実在型問題がある患者さんの今後の推測結果の記述例は、以下のようになります。

肥満(実在型問題)については、「食品開発という仕事柄、試食の機会が多い」(情報)や、「取引先との会食が多い」(情報)と話している。このことから、仕事に関連した頻繁な食事の機会(増悪因子)が増悪因子となり、今後より悪化すると考えられる。

まとめ

看護分野のアセスメントとは、患者さんに関する主観的情報・客観的情報を収集し、その時点における看護問題や必要な支援を明確化することです。適切なアセスメントを実施するためには著名な看護理論を正しく理解し、十分な情報収集や看護問題の優先順位を判断する必要があります。

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※当記事は2024年2月時点の情報をもとに作成しています

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