• 2022年2月28日
  • 2022年12月27日

病棟クラークとは? 仕事内容・必要なスキル・看護師からの転職事情

 

医療機関で活躍する職種は、「医師」や「看護師」などが一般的に知られています。しかし、医療業界に詳しくない人や業界初心者からは認知度の低い医療系職種も多く存在しています。そのうちの1つが、「病棟クラーク」です。

病棟クラークは、主に病院で働く医療従事者や患者さんのサポートを行う職業です。専属部署によって細かな仕事内容が異なる点も特徴といえるでしょう。医療業界において、働く人々のサポート役に徹したい方にとっては人気の職種です。

そこで今回は、病棟クラークの概要・仕事内容・年収について徹底的に解説します。さらに、看護師から病棟クラークへ転職するメリットや注意点、病棟クラークに向いている人の特徴も紹介するため、興味のある方はぜひご一読ください。

病棟クラークとは?

病棟クラークとは、各病棟のナースステーションに事務員として駐在する、専属事務スタッフのことです。

そもそも「クラーク」は「事務員」という意味を持っており、病棟クラークはその名の通り各病棟で働く医師や看護師など医療従事者・医療スタッフのサポートがメイン業務となります。

  • 入院患者の手続きや案内
  • 患者さんのカルテ・食事伝票の管理
  • 医療器具の管理
  • 環境整備
  • コスト管理・コスト漏れの確認

このように、病棟クラークは多岐にわたる事務業務を担当します。いわゆる縁の下の力持ちであり、医療の質の向上に貢献する大きく重要な職業といえるでしょう。

病棟クラークの働く場所

病棟クラークはいわゆる「病棟に駐在する医療事務スタッフ」であるため、主な勤務場所は入院施設のある医療機関となります。なかでも、総合病院や大学病院は代表的な職場の種類です。

また、具体的には入院施設のある医療機関のナースステーションで業務を行います。時には、診療器具の準備・片付けや患者さんの誘導・送迎、さらに書類の作成・運搬など、ほかの看護師をサポートする雑務も担当することもあるでしょう。

病棟クラークは女性が多く、結婚や出産を経ても復職できるよう福利厚生が整っている職場も多くあります。加えて、正社員採用だけでなくパート・派遣での採用もあり、育児や介護との両立もしやすい点が特徴です。

病棟クラークの仕事内容

病棟クラークの仕事内容

病棟クラークの仕事内容は、多岐にわたることが特徴です。下記に、病棟クラークの主な仕事内容を紹介します。

患者対応
  • 入退院の受付
  • 入院患者の手続き
  • 病院内設備の案内 など
データ管理
  • 入院用カルテ・台帳の管理
  • 診療内容や点滴・投薬情報の管理
  • 医師のスケジュール管理
  • 検査伝票や処置伝票の作成・管理
  • 患者さんの食事伝票の作成・管理 など
事務作業
  • 面会者対応(受付・案内)
  • 検診や検査の準備・片付け
  • ほかの病棟・診療科との共有連絡
  • 薬剤の搬送
  • 病室のネームプレート作成
  • 各種データ・書類の整理 など

上記のように、病棟クラークは主に補助業務や事務作業が基本です。細かな業務内容については、配属する診療科や施設の規模によっても異なることを覚えておきましょう。

また、病棟クラークは「外来クラーク」「医療事務」「看護助手」と混合されることも多々ありますが、それぞれ異なる職種となっています。ここからは、病棟クラークと混合されやすい職種との違いをそれぞれ詳しく解説します。

外来クラークとの違い

外来クラークは、病棟クラークと似ている職種として最も挙げられる職種です。しかし、両者には大きな違いがあります。

病棟クラークは主に入院病棟に駐在して勤務することから分かるように、外来クラークは外来に勤務し、医師の事務サポートを行うこととなります。病棟クラークは入院患者の案内や手続きを行いますが、外来病棟には入院患者がいないため、入院に関する業務を行うことはありません。来院患者の受付対応や電話対応、各種データ管理などが主な仕事内容となります。

なお、病棟クラークと外来クラークのどちらも含めた大枠を「医療クラーク(医師事務作業補助者)」と呼びます。

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医療事務との違い

病棟クラークは看護師のように表立って患者対応などを行わず、事務処理業務を多く担う職種です。そのため、「医療事務」とも混合されやすい傾向にあります。しかし、病棟クラークと医療事務には「勤務場所」と「役割」において違いがあることを覚えておきましょう。

病棟クラークは、医療事務よりももう少し現場に近い場所から医療従事者・患者さんとのコミュニケーションを取りつつ現場をサポートします。対して、医療事務は窓口業務(会計処理・請求書作成など)などがメインとなるため、医療クラークよりも現場からやや遠い場所で医療従事者をサポートする役割となります。

看護助手との違い

看護助手も、病棟クラークのように医療現場において医師や看護師をサポートする役割を持つ職種です。しかし、病棟クラークとは主な業務内容において大きな違いがあります。

看護助手は医師による診察や治療をサポートする看護師をさらにサポートすることが基本です。加えて、患者さんの身体的なサポートにも主に携わります。

病棟クラークは入院患者の対応や事務作業を行うことが多いため、看護助手はより医療現場に近い場所からサポートできる職種といえるでしょう。

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病棟クラークの一日のスケジュール

病棟クラークの一日のスケジュール

病棟クラークの1日のスケジュール例は、下記の通りです。なお、あくまで一例であり、具体的なスケジュール内容は勤務先によって異なることも覚えておきましょう。

8:00 出勤
8:30 医師や看護師との打ち合わせや病棟管理日誌の管理を経て、患者さんの情報共有・スケジュール確認を行う
9:00 カルテなどの各種書類入力・提出や診療器具の準備、伝票管理を行う
9:30 当日に入退院する患者さんの最終準備や、ネームプレートの作成・設置、必要書類のセッティングを行う
10:00 入退院する患者さんの手続き・案内や、カルテの整理、環境整備などの午前中業務を行う
12:00 入院患者さんへ昼食を配膳する
13:00 昼休憩
14:00 入退院する患者さんの手続き・案内や、ネームプレートの作成・設置、カルテの整理、レセプト業務を行う
15:00 検査前の患者さんに対する説明や翌日に予定されている患者さんの検査出し、ミーティング参加を行う
16:00 翌日に退院する患者さんの準備や、その日にやり残した雑務作業を行う
17:00 退勤

病棟クラークになるためには?

病棟クラークになるためには?

病棟クラークになるために、必要な資格や学歴はありません。定められたルートがないだけでなく、未経験・無資格でも応募できる求人が多数あるため、誰でも病棟クラークとして活躍できるチャンスがあるといえるでしょう。実際に、さまざまな業種から病棟クラークに転職する人も多くいます。

とはいえ、医療機関で患者さんとかかわる仕事であることから、医療に関する最低限の知識を備えることは必須です。未経験者でも現場で働きながら知識を日々修得することも可能ですが、即戦力として活躍したい・将来的に病棟クラークからさらなるキャリアアップ・キャリアチェンジを目指すのであれば、医療福祉系の学校を卒業してから就職することとよいでしょう。

病棟クラークに求められるもの

前述の通り、病棟クラークは患者さんだけでなくほかの医療従事者と対面で深く関わることも多々あるため、必須の資格や学歴はなくてもある程度のスキルや経験は求められます。

下記は、病棟クラークに求められるスキルの一例です。

  • コミュニケーション能力
  • PCスキル
  • 事務スキル
  • ホスピタリティ
  • マルチタスク能力
  • スケジュールの管理能力
  • 柔軟性 など

病棟クラークは患者さんとコミュニケーションをとったり、ほかの医療従事者と連携しながら業務を進めたりしなければならないため、コミュニケーション能力は最低限必須です。また、データ管理も病棟クラークの主な仕事となるため、基本的なPCスキルや事務スキルも求められるでしょう。入院患者への対応も重要な仕事であり、ホスピタリティの高さも重要となります。

さらに、病棟クラークは細かな複数の業務を同時並行しなければならないケースもあります。そのため、マルチタスクをこなす能力は自ずと必要となるでしょう。

マルチタスクをうまくこなしつつ、医師や看護師のサポートを行うためには、スケジュール管理能力も重要です。とはいえ、予測しない事態が起こりやすいことも医療現場の特徴です。そのため、予想外のトラブルが起きた際も臨機応変に判断できる柔軟性も必要となってきます。

病棟クラークの業務に活かせる資格

病棟クラークの業務に活かせる資格

病棟クラークは無資格でも目指せるものの、就職・転職・キャリアアップにおいては、業務にかかわる何らかの資格を保有していたほうが有利となる可能性があります。

カルテ管理といった事務作業や、医療器具の管理、環境整備といった作業は正確性やスピーディーさが求められるため、これらのスキルを証明できる資格は特におすすめといえるでしょう。

また、資格の保有によって資格手当がつく職場も多いため、効率よく収入をアップさせることにもつながります。

ここからは、病棟クラークの業務に活かせる資格を5つ紹介します。

医療事務検定試験

医療事務検定試験とは、日本医療事務協会が実施する検定試験であり、医療事務に関する基本的な知識・技術を証明する民間資格です。医療保険制度の基礎知識や医療費算定の実践スキルが問われる資格であり、取得すれば即戦力としても活躍できます。

医療事務検定試験の受験資格・受験料・合格基準は下記の通りです。

■受験資格

  • 日本医療事務協会が認定する医療事務講座を修了した者
  • 受験申請のあった高校・専門学校・短期大学・大学等
  • 受験申請のあった一般受験申込み者

(引用:日本医療事務協会 医療事務検定情報サイト「医療事務検定試験」

■受験料

7,700円(税込)

(引用:日本医療事務協会 医療事務検定情報サイト「医療事務検定試験」

■合格基準

問題の総得点の70%程度を基準として、問題の難易度で補正した点数以上の得点の者。

(引用:日本医療事務協会 医療事務検定情報サイト「医療事務検定試験」
(参考:日本医療事務協会 医療事務検定情報サイト「医療事務検定試験」

医療秘書技能検定試験

医療秘書技能検定試験とは、一般社団法人 医療秘書教育全国協議会が実施する検定試験であり、医療秘書の実務分野において専門的かつ高度な知識やスキルの保有を証明する民間資格です。難易度の高い順から1級・準1級・2級・3級の4段階に分けられており、準1級以上への合格は、医師事務作業補助技能認定(ドクターズクラーク®)の条件を1つ満たすこととなります。

医療秘書技能検定試験の受験資格は、各レベルにおいて特に問われません。自身の保有知識に適したレベルを選ぶとよいでしょう。受験料や合格基準は、下記の通りです。

■受験料

1級 6,500円

準1級 5,800円

2級 5,100円

3級 4,000円

(引用:一般社団法人 医療秘書教育全国協議会「医療秘書技能検定試験 > 一般受験者の手続き」

■合格基準

  • 合格基準(全級共通)
    試験は、領域I、II、III(技能審査基準参照)それぞれに100点ずつ配点されています。
    この三つの領域の正解の合計が全体で180点以上ある者のうち、それぞれの領域の正解が、60%以上の場合、合格となります。

(引用:一般社団法人 医療秘書教育全国協議会「医療秘書技能検定試験 > 審査基準 1級」
(参考:一般社団法人 医療秘書教育全国協議会「医療秘書技能検定試験」

医療事務技能審査試験(メディカルクラーク®)

医療事務技能審査試験(メディカルクラーク®)とは、一般財団法人 日本医療教育財団が実施する検定試験であり、医療事務としての専門的な知識・技能・スキルの保有を証明する民間資格です。医療機関における受付業務の知識はもちろん、診療報酬請求事務業務の能力が問われる資格となっており、合格すれば「メディカルクラーク®」の称号が与えられます。

医療事務技能審査試験も、医療秘書技能検定試験と同様に受験資格は特に問われません。受験料や合格基準は、下記の通りです。

■受験料

7,700円(税込)(医科・歯科)

(引用:一般財団法人 日本医療教育財団「医療事務技能審査試験の概要」

■合格基準

学科試験および実技試験I・IIのすべての得点率が70%に達した時点で合格とします。

  • 『試験科目免除制度』
    3科目すべてを受験したうえで、得点率70%に達した科目は、6ヵ月間に限り受験が免除となります。

(引用:一般財団法人 日本医療教育財団「医療事務技能審査試験の概要」
(参考:一般財団法人 日本医療教育財団「医療事務技能審査試験(メディカル クラーク®)」

医師事務作業補助技能認定試験(ドクターズクラーク®)

医師事務作業補助技能認定試験(ドクターズクラーク®)とは、一般財団法人 日本医療教育財団が実施する検定試験であり、医療事務作業の補助業務を行うにあたって必要な医療文書の作成スキルや法令・法律に関する知識の保有を証明する民間資格です。医師をはじめとした医療従事者の事務作業を代行でき、医療現場の質向上に資する資格となっており、合格すれば「ドクターズクラーク®」の称号が与えられます。

医師事務作業補助技能認定試験の受験資格・受験料・合格基準は下記の通りです。

■受験資格

1.教育機関等が行う教育訓練のうち、認定委員会が認定規程により定める「医師事務作業補助技能認定試験受験資格に関する教育訓練ガイドライン」に適合すると認めるものを履修した者

2.医療機関等において医師事務作業補助職として6ヵ月以上(32時間以上の基礎知識習得研修を含む)の実務経験を有する者

3.認定委員会が前各号と同等と認める者

※1~3のいずれか一つに該当する者

(引用:一般財団法人 日本医療教育財団「医師事務作業補助技能認定試験の概要」

■受験料

9,200円(税込)

(引用:一般財団法人 日本医療教育財団「医師事務作業補助技能認定試験の概要」

■合格基準

学科試験および実技試験の各々の得点率が70%以上を合格とします。

(引用:一般財団法人 日本医療教育財団「医師事務作業補助技能認定試験の概要」
(参考:一般財団法人 日本医療教育財団「医師事務作業補助技能認定試験(ドクターズクラーク®」

医事コンピュータ技能検定試験

医事コンピュータ技能検定試験とは、一般社団法人 医療秘書教育全国協議会が実施する検定試験であり、クラーク業務を行うにあたって必要となるコンピュータ入力業務の知識・能力の保有を証明する民間資格です。IT化が進む近年では、電子カルテ導入も一般的となったため、非常に注目されている資格ともいえるでしょう。難易度の高い順から準1級・2級・3級の3段階に分けられており、2級以上への合格は、医師事務作業補助技能認定(ドクターズクラーク®)の条件を1つ満たすこととなります。

医事コンピュータ技能検定試験の受験資格は特に問われないため、職業・実務経験・資格にかかわらず誰でも受験できます。受験料や合格基準は、下記の通りです。

■受験料

準1級 8,600円  2級 7,500円  3級 6,400円

併願2・3級 13,900円  併願準1級・2級 16,100円

(引用:一般社団法人 医療秘書教育全国協議会「医事コンピュータ技能検定試験 > 一般受験者の手続き」

■合格基準

  • 合格基準(全級共通)
    配点は、領域I60点、領域II60点、領域III60点で180点満点とする。
    領域I、II、III、ともに60%以上正解のとき合格となります。

(引用:一般社団法人 医療秘書教育全国協議会「医事コンピュータ技能検定試験 > 審査基準 準1級」
(参考:一般社団法人 医療秘書教育全国協議会「医事コンピュータ技能検定試験」

病棟クラークの将来性

病棟クラークの将来性

現在ではまだ認知度の低い病棟クラークですが、今後の需要動向はどのようになっていくのでしょうか。結論から出すと、病棟クラークは今後もますます需要が高まる将来性のある職業と予想されています。

少子高齢化が進み、定年やリタイアなどで現役を引退する就業者も増加する中、医療業界においても人材の不足問題が発生しています。加えて医療サービスもますます複雑化しており、現場の業務は圧迫されている傾向です。

そして、医療従事者の負担を軽減するため、また医療人材の不足問題を解消するために、病棟クラークを含む医療クラークの需要は高まっています。

厚生労働省が発表したデータ情報によると、医療現場において病棟クラークを含む医療クラークの配置は、「診療チームが診療に専念できる環境を整備すること」「病棟・外来運営の効率化」「医療サービスの質の向上」に効果があるとされています。
(出典:厚生労働省「医師及び医療関係職と事務職員等との間等での役割分担の推進について」

実際に、医療クラークを導入した医療施設で働く医師を対象にとったアンケートでは、下記の結果が出ていました。

医療クラークの導入により得られた効果
時間外労働が減少した 87%
複雑な外来業務を省くことができた 38%
その他よい影響があった 6%
(出典:厚生労働省「チーム医療に不可欠な新たな人材ー医療クラーク導入の取り組みとその効果についてー」

このように、病棟クラークを含む医療クラークの導入には、あらゆる効果が見込めます。そのため、病棟クラークとして活躍できる人材は今後も多数の医療施設において必要とされるでしょう。

病棟クラークの年収

病棟クラークの年収

複数の求人サイトから算出した病棟クラークの平均年収は、250万~300万円程度です。また給与水準は地域や施設規模によっても細かに異なるため、なるべく高い収入を得たいという場合は、人口密度が高い地域に存在する比較的大きな規模の施設からの求人をチェックしましょう。

また、看護師の平均年収は約498万円(※)で、病棟クラークとは100万円以上もの年収の開きがあります。しかし、看護師として働くためには国家資格が必要であるうえ、医療現場の最先端で活躍するため、病棟クラークと比較的差が生じることは妥当といえるでしょう。
(※出典:厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査」

病棟クラークが年収アップを目指すためには?

病棟クラークが年収アップを目指すためには、医療従事者の負担を減らす事務スキルの向上を目指すこともおすすめです。日々年収アップを目指して積極的に業務にあたり、着実に経験・スキル・知識を積むことで、自ずと昇給が見込まれるでしょう。

また、働き方によっても給料に差が生じます。なるべく高い収入を得たいなら、夜勤のある勤務先を選び、積極的に夜勤を行うようにしましょう。基本給に加えて夜勤手当が入るため、効率的に収入アップを目指せます。

看護師から医療クラークへの転職はアリ?

医療クラークは、無資格・経験不問からの就職も可能である一方で、看護師など医療系職種から転職し活躍する人も多数います。では、看護師から病棟クラークに転職するメリットや魅力には何があるのでしょうか。また、反対にどのようなデメリットや注意点があるのでしょうか。

ここからは、看護師から病棟クラークに転職するメリットとデメリットをそれぞれ詳しく解説します。

病棟クラークへ転職するメリット・魅力

看護師から病棟クラークに転職するメリット・魅力は、下記の4つです。

事務作業中心となるため身体への負担が少ない

病棟クラークは、事務作業がメインの職業です。看護師と違って患者さんの身体的なサポートを行う必要もないため、身体への負担のない働き方ができます。

自分のペースで仕事を進めやすい

看護師は、ほかの看護師や医療系職種(医師・臨床検査技師など)とのチームワークが重要であり、共有・連携しながら業務を進めることが基本です。連携力が培われる一方で、「自分のペースで仕事を進めたい」という人にとってはデメリットにもなり得るでしょう。しかし、少人数制で仕事を進める病棟クラークへ転職することによって、他者に干渉されず自分のペースで仕事を進められます。

看護師経験を活かして働ける

病棟クラークになるために特別な知識や資格は必要ありませんが、業務内では医療に関する専門的な医療知識が必要なシーン(カルテ業務・保険制度の問い合わせなど)も多々あります。これらはすべて看護師経験を活かしてスムーズに対応できるため、即戦力となるだけでなく、医師や看護師からの信頼も得やすくなります。さらに、転職も非常に有利となるでしょう。

病棟クラークへ転職するデメリット・注意点

看護師から病棟クラークへの転職は、メリットだけではありません。下記のようなデメリット・注意点も存在するため、よく検討したうえで転職を決意しましょう。

関わるスタッフとの相性によって働きやすさが変わる

看護師から病棟クラークへの転職は、チームとして主に関わっていくスタッフも大きく異なります。関わるスタッフとの相性が悪ければ、働きにくい環境となってしまう可能性がある点に注意してください。とはいえ、この注意点は看護師から病棟クラークへの転職に限らず全業種にいえることでもあります。

PC業務や事務経験がない場合は苦労する可能性がある

病棟クラークは、PCを使用したデータの管理業務をメインに行います。そのため、パソコンスキルや事務職の経験がない場合は慣れない作業に苦労する可能性がある点に注意してください。不安な場合は、パソコンスキルを習得できる基本の参考書などをあらかじめ一読しておくとよいでしょう。

年収や待遇が下がる可能性が高い

看護師から病棟クラークへの転職で最も懸念すべき点が、年収・待遇のダウンです。看護師は国家資格が必要となり、あらゆる知識をもったうえで医師のサポートや患者対応を行います。一方で病棟クラークは看護師のサポート業務や事務仕事がメインとなるため、自ずと年収や待遇が下がってしまうことに注意してください。

病棟クラークのやりがい

病棟クラークのやりがい

病棟クラークとして活躍することには、いくつかのやりがいがあります。ここでは、病棟クラークの主なやりがいについて紹介します。

ともに働く医療従事者から「ありがとう」といってもらえる
医師や看護師が行うべき書類業務といった事務作業を、病棟クラークが受け持つことによって、医師は診察や治療に、そして看護師は患者さんへの看護に集中できます。そのため、病棟クラークの存在に感謝する医師や看護師も多くいます。ともに働く仲間からの「あなたのおかげで助かった」「ありがとう」といった言葉は、大きなやりがいを感じられるでしょう。

患者さんとも関わりをとれるだけでなく、感謝される
病棟クラークは患者さんへの直接的なケア業務を行うことはありませんが、病棟の受付窓口として多くの患者さんと関わる機会もあります。特に、入院していた患者さんが退院するときは「今までありがとうございました」など、家族とともに感謝の言葉を伝えられるケースもあるでしょう。患者さんやその家族からの感謝や労りの言葉は、やりがいだけでなくモチベーションにもつながります。

「医療現場を支えている」という使命感をもてる
前述の通り、病棟クラークの存在に感謝する医療従事者が多くいるほど、病棟クラークが果たす役割は大きいものです。病棟クラークがいるからこそ、医療現場の混乱や負担を軽減させられているといっても過言ではありません。院内の業務効率化に貢献する存在、いわゆる縁の下の力持ちとして使命感をもちながら働ける点は、病棟クラークの大きな魅力でもあります。

病棟クラークに向いている人の特徴

病棟クラークに向いている人の特徴

ここまで、病棟クラークの概要や主な仕事内容、さらに平均年収や看護師から病棟クラークへの転職のメリット・デメリットまで詳しく解説しました。これまでの内容を踏まえて、病棟クラークに向いている人の特徴を最後に紹介します。

病棟クラークに向いている人の特徴
  • 柔軟性があり、臨機応変に対応できる
  • 分け隔てなく、周囲に思いやりをもって接することができる
  • スケジュールやタスクの管理能力・正確性がある
  • 細かい作業を長く行っても苦にならない
  • 最低限のコミュニケーション能力がある
  • 収入の高さよりも、働きやすさを重視する

上記の特徴に2,3個以上当てはまっていれば、病棟クラークとして働き続けられるといえるでしょう。当てはまっていない特徴があっても、決して向いていないわけではありません。

収入・待遇・人間関係・働きやすさにおいて、すべてを完璧に満たした職場はほとんどありません。特に知識やスキルに関する悩みは、働くうちに自ずと解消できます。病棟クラークは医療従事者のなかでも比較的幅広い人がチャレンジできる職種であるため、少しでも病棟クラークの仕事に興味のある方は、ぜひ一度目指してみてはいかがでしょうか。

まとめ

病棟クラークは、病棟ごとのナースステーションに事務員として駐在する、専属事務スタッフです。主な仕事内容は、施設運営のサポート・各病棟で活躍する医師や看護師のサポートや、入院患者の手続き・案内、さらに細かな事務作業など多岐にわたります。

病棟クラークになるために必要な資格・学歴はありませんが、基本的なコミュニケーション能力やスケジュールやタスクの管理能力などのスキルは求められます。

ますます需要の高まる病棟クラークは、看護師からの転職事例も増加しています。ここまでの内容を踏まえ、病棟クラークとして活躍したいと考えている方は、「マイナビ看護師」で病棟クラーク求人検索をしてみてはいかがでしょうか。看護業界に精通したキャリアアドバイザーが、一人ひとりにぴったりの求人情報を紹介するだけでなく、充実した転職サポートも提供しているため、理想の職場で働きたいという方はぜひお気軽にご相談ください。

※当記事は2022年10月時点の情報をもとに作成しています

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