• 2024年10月18日
  • 2024年10月16日

希望する部署への異動じゃないからといってモチベが下がる後輩。やる気にさせるには?

 

希望する部署への異動が叶わなかったからといって、あからさまにモチベーションが落ちている後輩。気持ちはわかるけど、しっかり働いてもらいたい。このお悩みに対して精神科医の井上智介さん、看護師兼ロリータモデルの青木美沙子さん、ブロガーのDJあおいさんがアドバイスします!

今回のお悩みに答えてくれるスペシャリストたち

希望する部署への異動じゃないからといってモチベが下がる後輩。やる気にさせるには?

相談者
ある病棟から異動してきた3年目の看護師。どうやら希望の診療科ではなかったようで、異動から半年以上たったいまもずっと「私ここに来たかったわけじゃない」と言っています。

気持ちはわかるけど仕事のモチベーションが下がるのは論外では?と思ってしまう私。置かれた場所で一生懸命向き合うことで、自分が思ってもみなかった可能性に気付かされることもあるでしょうし、そもそも全て自分の思い通りにはならないのが世の常だと思うんです。

それに、患者さんには関係のないことなのにやる気のない態度で接してしまう彼女をどう指導したらいいのでしょうか。呆れかえって諭すこともできません…。

スペシャリスト3人のアドバイスは?

産業医
井上智介さん

3年目ともなると、一般的な業務にも慣れ、より専門性を高めたいと感じたり、キャリアプランを意識したりする頃でしょう。それに対して希望通りにならず、モチベーションが下がるのもわかります。

おそらく、相談者さんは適応能力が高い方なのでしょう。どの職場にも、置かれた場所で咲けない人や、そもそも咲く意欲がない人はいます。その人を無理に咲かそうとしても摩擦が生じるだけ。

イソップ物語の「北風と太陽」に例えるなら、太陽のように温かく接する方がまだ効果的でしょう。「嫌々かもしれないけれど、頑張っているね」という姿勢で評価する関係を目指したいところ。

「あの人はやる気がない」と決めつけると、その人の悪い部分ばかりに目が向き、本人なりの努力すらも見逃してしまいます。まずは先入観を捨て「1日1つ、彼女を褒めよう」という姿勢で接してみてください。

それでも改善が見られないなら、最終的には本人がその結果を受けることになるでしょうし、どこまでが相談者さんの指導範囲かを見極め、過剰にエネルギーを消費しないようにしてくださいね(by 井上智介さん)。


ロリータモデル・看護師
青木美沙子さん
私も新卒で入った病院が希望の科ではなく、最初はモチベーションが下がりました。

しかし、私は相談者さんの後輩のような八つ当たりに近い態度や意見をしたことはなかったので、お悩みを聞いてびっくりしました。キャリアにおいて目標としていることはみんなそれぞれ違うので、先輩に愚痴るのは筋違いな気がします。

もし、希望の科に行きたいのであれば、引き止める必要はないので本人の意見を尊重する。もし、迷っているのであれば、希望ではない場所でも看護師としての経験がつめるので無駄ではないと伝える。

私ならそう説明するくらいで、あとは本人がどうしたいのかを傾聴して、選択は本人にゆだねるのが大事だと思います。

私も希望ではない科だったのですが、働いているうちに興味が出て、同じ科に5年勤めました。今でもその経験はいきていて、後悔はありません。

看護師の働き方も色々あるので、本人の人生、本人が選択する大切さを学んでもらえるといいですね(by青木美沙子さん)。


人気ブロガー
DJあおいさん
『不満がある』ということと『モチベーションが上がらない』ということは、必ずしも相関関係にはありませんよ。

仕事をちゃんとやる人は不満があってもちゃんと仕事をこなしますし、仕事をしない人はどんなに恵まれた環境であっても、なんだかんだと言い訳をしていつも仕事から逃げ回っています。

そんな仕事をしないダメ子ちゃんがよく使うワードが『モチベーション』ですね。

そもそもモチベーションに満ち溢れ仕事に取り組んでいる人の方がマイノリティ。

ほとんどの人はモチベーションとは別の原動力で動いています。それは義務感であったり、連帯感であったり、または道徳観であったり。

置かれた場所で咲く気はないけれど、周りの咲いている花や咲こうとしている花の邪魔にならないように、置かれた場所を荒地にしないようにと努めている人が大半です。

これを『社会性』というのですが、社会性はモチベーションよりも大切なものつまり、ダメ子ちゃんに足りないものはモチベーションではなく社会性なのですよ。

とはいえ社会性を指導しようとすると精神論や感情論になりがちで、それは今の世の中ではアンタッチャブルな領域になってしまいますので、へたに指導しようとしないように。

「やる気がないならないなりに、やるべきことはちゃんとやってくださいね」とお願いするしかない
ですね(by DJあおいさん)。


三者三様のアドバイス、いかがでしたか? 本人の問題と仕事における責務は別物。後輩の方にも組織の中で働くことを意識してもらえるといいですね。相談者さんのお悩み解決の一助になれていれば幸いです。それではまた次のお悩みでお会いしましょう。

企画・構成/藤田佳奈美(TAC企画)

井上智介さん
産業医/精神科医/yahoo!ニュース公式コメンテーター
島根大学医学部を卒業後、現在は産業医・精神科医・健診医の3つの役割を中心に活動している。産業医としては、毎月30社以上を訪問。著書に「職場での「自己肯定感」がグーンと上がる大全」(大和出版)など。

青木美沙子さん
ロリータファッションモデル / 看護師 / 日本ロリータ協会会長
雑誌「KERA」「姉ageha」でロリータモデルをしつつ正看護師としても働く。2009年、外務省任命カワイイ大使として25カ国45都市以上の国を歴訪。2013年、日本ロリータ協会を設立。ロリータファッションBOOKの発売やプロデュース業も行うなど、精力的に活動している。

DJあおいさん
月間600万PV!の大人気ブロガー。独自の恋愛観と核心をついた鋭いアドバイスで、Twitter合計フォロワー35万人の人気を誇る謎の主婦。女性誌やサイトで連載多数。著書に「キャリアなどに興味はない。それなりに稼げて、ストレスフリーなら、それがいいのだ! 」(ワニブックス)、「女の人間関係はめんどうなのよ 人付き合いの処方箋」(KADOKAWA)、「結婚は「だから、好き」より「だけど、好き」。」(幻冬舎)など。

著者プロフィール