訪問診療では、病院とは異なるトラブルが発生することがあります。実際に、訪問診療時にトラブルに見舞われた医療従事者の方もいるでしょう。
この記事では、実際に起こったトラブルの内容やトラブルを受けたことがある人の割合を紹介しています。また、トラブルに遭わないための対処法もまとめているので、訪問診療を行う医療従事者の方は参考にしてください。
訪問診療とは
訪問診療とは、病院に通院するのが難しい患者さんのもとに定期的に医療スタッフが訪問して診療を行うサービスのことです。「2週間に1回、◯曜日の何時に訪問する」というように、定期的かつ計画的に訪問をし、診察や治療、看護、薬の処方、療養中の指導などを行います。
多くの場合、365日24時間体制で患者さんの在宅療養をサポートしており、急変時には緊急訪問や入院の手配をします。
往診との違い
往診とは、病院に通院するのが難しい患者さんの要請を受けた際に、その都度医療スタッフが訪問して診療を行うことです。訪問診療は定期的かつ計画的に訪問をしますが、往診は突発的な症状が出たり突如体調が悪くなったりしたときなど、要請があった際に訪問します。
訪問診療で行う診療や処置

訪問診療を実施する病院やクリニックによって差はありますが、実際に行う具体的な診療や処置は以下のとおりです。
- 診察
- 血圧測定
- 薬の処方
- 点滴
- 採血
- 床ずれの処置
- 各種検査
- カテーテル管理
- 経管栄養管理
- ストーマの管理
- 緩和ケア
- 看取り
- 療養生活に関する相談
訪問診療では、病院とほぼ同じ診療や処置を実施します。血液検査はもちろん、検査機器を所有する病院やクリニックの場合は心電図検査や超音波検査、レントゲン検査なども行います。
訪問診療で起こるトラブル

一般社団法人 全国在宅療養支援医協会の「〜在宅医療の安全確保に関する調査報告書〜」によると、「理不尽な要求やクレームからのトラブルがある」と答えた訪問診療医は81%にものぼりました。回答の内訳は以下のとおりです。
数年に一回程度:21%
ごく稀に:24%
なし:19%
また、トラブルの内容としては、以下のような回答がありました。
嫌がらせ行為/威嚇/恐喝:21%
訪問診療/往診について:21%
病気や老化の受容について:19%
医療費/書類発行について:15%
患者さんと医療従事者との間ではトラブルが発生しており、なかには「身の危険を感じるような経験」をしたと答えた人が40%もいました。具体的な内容としては、乱暴な言葉や暴言のほか、暴力行為、ハサミ・刃物による脅しなどがあります。訪問診療で危険な目に遭う可能性はゼロではないため、トラブルにならないように事前にできる限りの対処をしておきましょう。
参照元:一般社団法人 全国在宅療養支援医協会「〜在宅医療の安全確保に関する調査報告書〜」
訪問診療でトラブルにならないための対処法

訪問診療でトラブルにならないためにも、以下のような対策を講じるのが大切です。
パンフレットやマニュアルの整備
患者さん向けのパンフレットを作成して、訪問診療でできることとできないこと、緊急時対応などを理解して頂き、同意を得ることが大切です。訪問診療について理解いただくことで、患者さんと医療従事者の認識の相違が減り、トラブルを減らせるでしょう。
また、訪問診療を行う医療従事者向けにマニュアルを整備するのも有効です。訪問診療に行った際の業務の流れや患者さんへの対応方法などを医療従事者全員で統一することで、訪問したスタッフが異なっても診療内容に差ができず、患者さんから苦情が出にくくなるでしょう。
患者さんの話を傾聴する
訪問診療に限ったことではありませんが、患者さんの話を傾聴することがとても重要です。
医療従事者は医療の知識があるため、断言をしたり簡単な説明しかしなかったりすることもあるでしょう。しかし、患者さんやその家族に医療の知識があるとは限りません。一方的な診療や不十分な説明で起こるトラブルもあるため、患者さんの意見をしっかりと聞くようにしましょう。
情報共有
症状や診療の方針だけでなく、患者さん自身やその家族に関する情報を訪問診療をする医療従事者間で共有しておくのも大切です。いくら医療従事者側が最善の注意を払っても、なかにはクレームを言ったり相手によって態度を変えたりする人はいます。医療従事者間で患者さんやその家族の特性や注意事項を共有しておくことで、トラブルを避けやすいほか、万が一トラブルが発生した場合も対処しやすいでしょう。
参照元:一般社団法人 全国在宅療養支援医協会「〜会員から寄せられた日頃の取り組み事例〜」
訪問診療を受ける患者は増加し続けている

厚生労働省が2021年10月に公表した「在宅医療の現状について」によると、訪問診療料の件数は大幅に増加しています。2006年は1ヶ月当たり19万8,166件でしたが、2019年には79万5,316件を突破しています。
訪問診療を受ける患者さんの約9割は75歳以上の高齢者であり、今後も高齢化は進むため、さらに訪問診療を受ける人は増えると予測されます。訪問診療の増加に伴いトラブルも増加する恐れがあるため、訪問診療を行う医療機関は対策を講じることが大切です。
まとめ
通院が難しい患者さんにとって、訪問診療は重要な役割を担っています。実際に、訪問診療料の件数は2006年から2019年にかけて約60万件も増加。訪問診療を受ける患者さんの約9割は75歳以上の高齢者であることから、今後さらに訪問診療の需要は高まるでしょう。
訪問診療の増加に伴い、訪問診療を実施する医療機関には暴言や嫌がらせ行為などのトラブルが増える可能性があります。トラブルによっては身の危険を感じる恐れもあるため、事前に対策を講じることが大切です。
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