• 2021年12月27日
  • 2022年1月21日

外来とは? 外来看護師の仕事内容から働くメリット・デメリットまで

 

自身が患者として病院に行ったとき、「外来」という言葉を目や耳にしたことがある人も多いでしょう。しかし、この外来という言葉の意味をよく知らないという人は珍しくありません。

また病院では、看護師を含む各医療スタッフの業務を入院と外来とで病棟から分けていることが特徴です。これから看護師として働きたいという人は、外来の意味と具体的な仕事内容を把握しておくとよいでしょう。

そこで今回は、外来の概要から「外来看護師」の仕事内容、働くメリット・デメリットを解説します。看護師として働きたいと考えている人は、ぜひ参考にしてください。

外来とは?

外来とは、入院せず病院に通って診察を行う(受ける)こと、またはその場所のことです。病院ではよく「外来患者」という言葉を目にしますが、これはすなわち入院していない患者さんを指します。

医療機関には、入院設備のある総合病院から、入院設備のない小さな診療所・クリニックまでさまざまな規模が存在します。入院設備のない小さな診療所・クリニックは、外来患者しか受け付けていません。

入院設備のある総合病院の場合、入院病棟と外来病棟を分けているケースも少なくありません。外来病棟で主に働く看護師や、入院設備のない小さな診療所・クリニックで働く看護師は、「外来看護師」とも呼ばれます。なお、入院病棟で主に働く看護師は「病棟看護師」です。

また外来は、「病院の玄関」という役割も持っています。入院する必要のある患者さんの場合でも、初診時はすべて外来患者となるためです。そのため、外来看護師は患者さんの状態を瞬時に察知し、ニーズに応じた早急な判断力が求められます。

外来の持つ問題点と対応策

外来は病院の玄関という重要な役割を持つ反面、いくつかの問題点も挙げられていることが実情です。特に大きな問題点が、患者が大規模病院や中規模病院に集中してしまい、患者の待ち時間が長くなったり、勤務医の負担が増加したりする点です。 2021年に行われた医療計画検討会では、外来患者の待ち時間短縮・勤務医の負担軽減を目的に、今後はかかりつけ医機能を強化したり、外来をさらに専門化したりするなど、患者の流れの円滑化を目的としたさまざまな施策が取られる予定となっています。
(出典:厚生労働省「外来機能報告等の施行に向けた検討について
(出典:厚生労働省「外来医療の今後の方向性(イメージ)」

外来看護師の仕事内容

外来の患者指導を行う看護師

外来看護師と入院看護師とで、主な働き方に大きな違いはありません。しかし、その役割の違いから具体的な仕事内容にはやや違いがあることも覚えておきましょう。

外来看護師の仕事内容には、下記のようなものが挙げられます。

診察補助
医師が患者さんへスムーズに診察・検査できるよう、外来看護師は患者さんを診察室に案内したり、バイタルチェックを行ったり、医師が使用する器具の準備を行ったりします。医師・患者さんに対するきめ細やかなサポートや気配りが重要です。

患者指導
外来病棟で診察を受けた患者さんが、医師の指示通りに服薬・生活制限などを行えるよう、診察後に再度看護師から患者さんに対して生活指導を行います。なお、入院での治療・療養が決まった場合は入院病棟の担当者に患者さんの状況を報告したり、患者さんに再度説明したりすることも外来看護師の役割です。

事務作業
診察の受付やカルテの記入、さらに電話対応といった事務作業も、外来看護師の重要な仕事となります。場合によっては、患者さんからのクレーム対応も求められるでしょう。細かな業務が重なることも多いため、他看護師たちと連携しながら同時進行でタスクを効率よく進めるスキルも重要です。

また、勤務する診療科によっても細かな業務は異なることも覚えておきましょう。看護師のほか、准看護師も多く勤務するような比較的大きな病院では、准看護師への指示や教育も必要です。

外来看護師のスケジュール例

下記は、外来看護師の1日のスケジュール例です。

時間 仕事内容
8:30 出勤・朝礼
出勤したあとは着替え・準備を済ませ、朝礼でチーム内の担当確認と情報共有を行います。その後、外来予約状況の確認・カルテ用意・診察室の準備などを進めておきます。
9:00 午前診察(外来業務)の開始
診察時間を迎えたら、訪れる患者さんの対応をします。医師の診察介助・採血や注射・患者指導など担当の業務を進めます。
13:00 昼食
午前診療が終わったら、1時間~2時間の休憩があります。
14:00 午後診察(外来業務)の開始
午後の診察時間を迎えたら、午前と同様、患者対応や診察介助などの担当業務を行います。
17:00 片付け・清掃・翌日準備
診察時間が終了したあとは、使用した診察室・処置室の片付けや清掃を行い、消耗品補充などをして翌日の準備を進めます。
17:30 退勤
環境整備や翌日の準備が終わったら、退勤します。

上記のスケジュール例はあくまでも一般的な診療所で働く外来看護師の参考例であり、実際とは異なる点があることに注意してください。中には2交代制勤務とする総合病院もあり、この場合は勤務時間も人によって異なるでしょう。このように、勤務先の診察時間によって働く時間帯が大きく異なることを覚えておいてください。

外来看護師として働くメリット・デメリット

外来看護師の女性

外来看護師として働くことには、メリットとデメリットの両面があります。働き始めてからデメリットに気付き後悔しないためにも、外来看護師を目指す人はあらかじめデメリットを把握しておくことが重要です。

ここからは、外来看護師として働くメリットとデメリットをそれぞれ紹介します。

メリット1:基本的には夜勤がない

外来看護師は、基本的に夜勤のない職場がほとんどです。

常勤看護師(正社員)として働くうえで、夜勤があることは珍しい話ではありません。しかし、外来の診察時間がそもそも朝から夕方までであることが多いため、外来看護師においては夜勤なしでも働き続けることが可能です。日勤のみの働き方は負担も少ないため、産休育休後の復帰先としても働きやすい点も魅力でしょう。その一方で、夜勤手当は出ないため夜勤のある働き方よりも給料が低くなりやすいことに注意してください。

一部のクリニックでは、診療の終了時間が18時や19時となっていることもあります。終業時間の早さにこだわるのであれば、比較的早い時間に診察を終了する病院を選びましょう。

メリット2:肉体労働が少ない

主に入院病棟で働く看護師は、身体の不自由な患者さんの生活介助・身の回りのお世話も仕事の1つとなるため、肉体労働となるケースも少なくありません。外来看護師も基本的に立ち仕事で常に動く必要があるものの、比較的肉体労働が少ない点がメリットです。

肉体労働が続けば、腰痛を引き起こしたり精神的な疲労にもつながったりしてしまいます。しかし、肉体労働が少ない外来看護師であればこのような心配はなく、長く働き続けることができるでしょう。

デメリット1:クレーム対応が発生する可能性がある

前述の通り、外来病棟では患者さんの待ち時間の長さが問題視されています。体調が悪い中、長時間待たされることに苛立ちを感じてクレームを入れる患者さんもいます。

外来看護師は、他の患者さんの迷惑とならないよう、苛立ちを感じている患者さんに対して細かな気配りを行ったうえで、冷静にクレームに対応しなければなりません。コミュニケーション能力が問われる部分でもあり、慣れていない間はストレスに感じることもあるでしょう。

デメリット2:患者さんとの関係性が浅くなりやすい

外来病棟では、毎日多くの患者さんが訪れます。定められた診察時間内に診察を終えられるよう、また患者さんの待ち時間を短縮できるよう、外来看護師は一つひとつの業務をスピーディーにこなさなければなりません。

そのため、結果として患者さん一人ひとりとの関係性が浅くなりやすい点がデメリットです。

デメリット3:病棟勤務に比べスキル向上のスピードが落ちやすい

外来看護師は、日々数々の業務をテキパキとこなすことが重要視されるため、比較的一つの業務に長く向き合いづらいといえるでしょう。そのため、病棟勤務に比べてスキルが向上しにくいという点がデメリットです。

しかしこのデメリットの裏を返せば、自己研鑽が求められるという魅力にもなり得ます。研鑽を求められることで、自身で道を切り拓いていく力や主体性・積極性が自然と身につくのではないでしょうか。

外来看護師に向いている人の特徴は?

外来看護師に向いている人の特徴は?

外来看護師に向いている人の特徴は、下記の通りです。

プライベートを重視したい
外来看護師が活躍できる外来病棟、診療所・クリニックなどでは、診療時間が短いため比較的早い時間に帰宅できるうえ、日勤のみ・土日祝休みなど一般的なサラリーマンのような安定した働き方をすることが可能です。そのため、プライベートを重視したいという人に向いているでしょう。

テキパキと仕事をこなしたい
外来看護師は、ある程度決まった小さな業務を日々スピーディーに進める必要があります。常に考えて責任を持ったうえで行動・決断するような働き方よりも、ある程度決まった仕事をテキパキとこなしたいという人は、外来看護師が向いています。

近年の高齢化により、病院の利用者も増加しました。今後も病院の玄関とも呼ばれる外来病棟で活躍する看護師は、高い需要が見込めます。ここまでの内容を参考に、ぜひ外来看護師を目指してみてはいかがでしょうか。

まとめ

外来とは、入院せず病院に通って診察を行う(受ける)こと、またはその場所のことです。つまり、外来患者は入院していない患者さんを指します。そして、外来病棟や入院設備のない診療所・クリニックで働く看護師は「外来看護師」と分類されることを覚えておきましょう。

外来看護師として働くことには、夜勤がない・肉体労働が少ないといったメリットがある反面、クレーム対応の必要がある・患者さんとの関係性を構築しにくい・スキルを向上しにくいといったデメリットもあります。負担が少なく、かつやりがいのある仕事として、多くの看護師から人気の働き方となっています。

自身にとって外来看護師の働き方が適しているかどうかを踏まえたうえで、適切な求人・職場を選びましょう。看護師求人をお探しなら、ぜひ全国の看護師求人情報を豊富に掲載する「マイナビ看護師」をご利用ください。

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