新型コロナウイルスをはじめとした感染源はいたる場所にあります。特に医療施設では、患者さんと接することが多いため、看護師は正しい感染予防策を身につける必要があります。今回は、感染予防の基本についてご紹介します。
感染を防ぐための予防策
感染予防策には、「感染源の除去」「感染経路の遮断」「感受性宿主への対応(抵抗力、健康の管理など)」の3原則があります。 なかでも「感染経路の遮断」は、感染予防において重要です。そして、感染源を防ぐために標準予防策(スタンダードプリコーション)と、標準予防策だけでは病原体の伝播を防げないときに適用される感染経路別予防策があります。 ・標準予防策(スタンダードプリコーション) 標準予防策は、全ての患者さんに適用され、実施される基本的な感染対策です。感染の有無に関わらず、血液、体液、分泌物(汗を除く)、排泄物、創傷のある皮膚・粘膜には、感染リスクがあるとして取り扱う、標準的な予防策のことです。
主な予防策として、手指衛生、個人防護具(マスク、ゴーグル、ガウン、エプロン、手袋など)の使用、呼吸器衛生(咳エチケット)が挙げられます。また、使用した器材やリネンの適切な処理(洗浄・消毒・滅菌)、環境の整備、適切な患者配置、廃棄物の確実な処理なども含まれます。そのほか、血液媒介病原体対策、安全な注射手技、特殊な腰椎穿刺処置時の感染対策などにも留意することが求められています。 ・感染経路別予防策 通常の感染予防策では感染を防ぐことができない場合に、標準予防策に加えて感染経路別の予防策があります。主な予防策としては、接触予防策、飛沫予防策、空気予防策の3つがあります。 それぞれに患者配置、個人防護具、使用物品、移送の制限について規定があります。
感染を防ぐための手指衛生
手指衛生は標準予防策の基本になります。医療従事者が日々の業務のなかで手指を介して感染を広げてしまう恐れは非常に高いといえます。そのため、正しい手指衛生を実施することが重要です。 手指衛生は、「日常的手洗い」「衛生的手洗い」「手術時手洗い」の3種類に分類できます。ここでは日々の業務のなかで頻繁に行われる「衛生的手洗い」についておさらいしましょう。
衛生的手洗いには、石けんと流水による手洗いの方法と、アルコール擦式製剤(速乾性手指消毒薬)を用いた方法があります。 目に見える汚れがない場合には、アルコール擦式製剤による手指消毒を行います。 アルコール擦式製剤を指先、手のひら、手の甲、指の間、親指、手首に乾燥するまでしっかり擦り込むことで効果を得られます。爪・指先・親指・手首などは、汚れが残りやすいので、意識しながら消毒を行いましょう。