労働人口の減少や高齢者数の増加により、医療人材・介護人材の確保は大きな社会課題となっています。そうしたなか、国は看護師不足への対応を目指して、潜在看護師の復職支援強化や勤務環境の改善、社会人経験者の看護職への取り込みなどの対策を進めています。
マイナビ看護師でも潜在看護師の復職を積極的に応援しており、2024年5月17日(金)には東京衛生学園専門学校とコラボレーションする形で、潜在看護師の再出発をサポートするための復職支援研修を開催しました。本記事では、同研修の目的や内容、参加者の声などをレポートしていきます。
復職への一歩が踏み出せない潜在看護師に、自信を取り戻してもらいたい!
医療従事者のなかで最も多い人数を占める看護師ですが、65才未満の免許取得者が約172万人いる一方で(2022年時点)、潜在看護師の数は約46万人。免許取得者の約27%が離職している状況です。また、離職した理由では「結婚」「妊娠・出産」「育児」「転居」などが上位を占めており、看護師の離職がライフステージの変化と密接に関係していることがわかります。
つまり、潜在看護師の「現在のライフスタイル」や「今後のライフプラン」に合った労働環境を提示し、支援することで、復職率が高まる可能性は十分にあると考えられます。もちろん、潜在看護師のすべてが復職したいと願っているわけではありませんが、復職を希望する潜在看護師に対するサポート体制が整えば、人材確保につなげていけるはずです。
そうした状況をうけて、各都道府県のナースセンターなどでは、潜在看護師の復職を促進するための復職支援研修が随時開催されています。これは、1980年代の深刻な看護師不足に対応するために制定された、「看護師等の人材確保の促進に関する法律」に基づく活動で、復職支援や定着・離職防止、看護師への取り込み促進などがその柱となっています。
ただし、ブランクを経て再び医療現場に立つには仕事への意欲だけでなく、医療技術の変化や進化に対する理解、電子カルテをはじめとする医療DXへの適応なども必要です。ブランクのある看護師にとって、そうした壁を乗り越えるのは容易ではないでしょう。また、子育てをしながら復職を目指す潜在看護師にとっては、「仕事と育児を両立するために職場の理解が得られるか」「どのサポート資源をどう活用するか」などもクリアすべき課題となります。そのため、「一度は復職を考えたものの、つい後ろ向きになってしまった」という潜在看護師も多く見られますが……。せっかく芽生えた仕事への意欲を無駄するのは、とても残念なこと。少し大げさな表現をするなら、現代社会にとっての損失ともいえます。
そこでマイナビ看護師では、東京衛生学園専門学校とコラボレートし、看護師復職支援研修をスタートさせることにしました。目的はもちろん、「潜在看護師のみなさんに自信を取り戻してもらい、希望に合った復職を実現してもらうこと」です。
講義では採血に関する基本事項を見直すとともに、最新情報をインプット

今回の復職支援研修には、ブランクが数年~10年以上という約30名の潜在看護師の方が参加しました。久しぶりの研修のせいか、みなさん少し緊張ぎみの様子です。開始時間になると、東京衛生学園専門学校人材育成センターの三品靖子さん(看護教員)が登壇。「安全を考慮した静脈血採血と検体の取り扱いができること」を目標とした講義が始まりました。
講義では、まず「静脈血採血の目的」「各採血方法の長所と短所」「血管や神経の走行」といった基本的事項が説明され、採血実施に向けた「採血部位と注意点、適切な体位」「翼状針、直針、注射針を用いた採血手順」(トラブル対応を含む)の解説へと進んでいきます。話を聞く参加者はみな真剣な表情で、メモをとりながら「採血の今」についての話に耳を傾けていました。
その後、三品講師は「医療安全の確保」がより重要視されている現状をうけて、採血中に起こったヒヤリハット事例や医療事故事例を紹介。採血演習を前にした事例演習では、採血時の医療事故の2事例を取り上げて、「事故防止の取り組み策」を考える時間も設けられました。「自分が当事者だったならどのようにアセスメントするか」「どのように患者さんと関わるか」などについてあらためて考える時間は、参加者の経験や知識を呼び覚ます良いきっかけになったのではないでしょうか。
「初めてさん」も「久しぶりさん」も、ドキドキの採血演習

講義に続いては演習のスタート! 参加者は講義で学んだ内容をふまえながら、トレーニング用のモデル腕を使って翼状針や直針で真空管採血を行います。久しぶりの採血あるいは初めて採血にのぞむ参加者は、一様に緊張の面持ちでしたが、手順を確認しながらスムーズに採血が進むと、ほっとした様子で笑顔を見せていました。
練習の後は、自己評価表で自身の採血をチェックし、「できていた点」と「課題が残った点」を確認。自己評価をあげるべく、2回目、3回目の練習に取り組む参加者も多く見られました。
参加者の1人で、10年以上のブランクから復職を目指すKさんは、「実践で使える内容を丁寧に説明してくださり、とてもわかりやすかった。講師の方に質問しやすい雰囲気で、すぐに疑問点が解消できたのも良かったです」と研修の印象を話します。聞けば、Kさんは前職が採血のない部署だったため、今回初めて真空管採血を経験したのだとか。「採血のスキルを身につけることができ、再就職への不安が少し解消できました。次は慢性期病棟で再度じっくり学び直したいです」と語るKさんの表情には、最初のころの緊張や不安を感じません。きっと、今回の演習で得た成功体験が、復職への意志を後押ししてくれたのでしょう。
また、三品講師は演習が終わった後、「採血技術に不安を持つ方が多くいたので、自信を持つきっかけになるよう、どんな小さな疑問も聞ける研修、何度も採血練習ができる研修を目指しました。これをきっかけに、さまざまな職場にチャレンジして看護師として活躍してほしいですね」と参加者にエールを送りました。
マイナビの復職サポートを利用して、希望にあった復職を目指しましょう
ここまで、マイナビ看護師と東京衛生学園専門学校がコラボした、復職支援研修のレポートをお届けしてきましたが、いかがでしたか?
マイナビ看護師では、復職を考える潜在看護師のみなさんを応援するために、「看護師のための復職支援個別相談会」も定期的に開催しています。相談会では、ブランクの期間やブランクまでのキャリア、今後ありたい姿(キャリアプラン・ライフプラン)などをうかがったうえで、プロのキャリアアドバイザーが1人ひとりに合ったアドバイスを実施。最善の復職ができるように、しっかりサポートいたします。
そのほかにも、各都道府県でさまざまな研修を開催し、看護師のみなさんの復職支援を行っていますので、「今のライフスタイルに合った職場を見つけたい」という方はもちろん、「久しぶりの就職活動で不安」という方も、以下のバナーからお気軽にお問い合わせください。
まとめ
現在、看護職は病院やクリニックにとどまらない、幅広いフィールドで活躍しています。ブランクがあると、採血や献血に不安を感じるかもしれませんが、近年は企業や保育園など採血や点滴のスキルを必要としない職場も少なくありません。
潜在看護師のみなさんも、この機会に「自分が看護師として何を目指したいのか」「どのようなフィールドで働きたいのか」についてじっくりと考え、新たな出発に備えてみてはいかがでしょう。看護師の需要が高まっている今だからこそ、そして人生経験を重ねた今だからこそ活躍できる職場を見つけて、ナースとしてもう一度輝いてみませんか?
厚生労働省「新たな看護職員の働き方等に対応した看護職員需給推計への影響要因とエビデンスの検証についての研究」
https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/report_pdf/202022038A-buntan1.pdf
東京衛生学園専門学校|理学療法士・鍼灸マッサージ師・看護師をめざす
https://www.teg.ac.jp/
文/高山真由子(看護師・保健師・看護ジャーナリスト)
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