【看護師が描く４コマ漫画】ナースの世界線 vol.21

看護学生の頃、当時付き合っていた彼氏の実家に初めて行き、玄関で彼ママに頭のてっぺんからつま先まで無表情でなめるように見られ、眉間にシワを寄せながら「学生さん？」と無愛想に聞かれたが、若かった私は彼ママの迫力に圧倒され固まってしまった。

見かねて彼が「看護師の学校に通っているんだよ」と伝えてくれて、それを聞いた彼ママの態度が急にコロっと変わりニコニコと優しくなって、そのまま手料理まで振舞ってもらったことがある。

彼ママは当時バリバリのキャリアウーマンで、テクノカットにバッチリメイク、無駄に脂肪がついていないスレンダーな体にはグレーのパンツスーツがよく似合っていた。子供を育てながら仕事を手放さず一生懸命社会で生き抜いてきた彼女は、将来の目標を持って頑張っている息子の彼女に若い頃の自分を重ねたのだそうだ。

まだ人に褒められることなど何もしていないただの看護学生に思いを募らせ、彼女は私にいろんな仕事の話を聞かせてくれた。親切にしてくれたのは嬉しかったが、できれば看護学生というワードが無くても私という人間を受け入れてもらいたかったと思うのはわがままだろうか。そんな複雑な心境だったことをすごく覚えている。