• 2023年12月25日
  • 2023年12月18日

【看護師が描く4コマ漫画】ナースの世界線 vol.14

 

看護師漫画家のあさひゆりが自身の経験をもとに描く4コマエッセイ漫画。看護師あるあるからお役立ち情報、ナースの恋愛事情まで、とくとご覧あれ!

あさひゆりさんからのメッセージ

以前働いていた内科病棟では、4人部屋の患者さん全員が胃ろうを造設しており、食事の時間になると一斉に胃ろうから栄養を流すという処置を行った。
そのような「胃ろう部屋」がその病棟にはいくつかあった。

「お腹の管から栄養を流しますね」という声かけに患者さんの反応はない。白濁した瞳で窓のほうをぼんやり眺めていた様子が今でも脳裏に焼き付いている。一体何が見えていたのだろう。

患者さん達のデータベースから家族構成を知り、昔は子供達と旦那さんの為に食事を一生懸命用意して、賑やかな食卓だったのかな…。等と想像すると、患者さんとの関わり方も変わってくる。

また、高齢寝たきりで意思疎通もままならない患者さん達への、経管栄養の処置になんだか罪悪感を抱くこともあった。

医師の指示、家族の意向とはいえ本人はどう思うだろう、考えれば考える程、答えは見つからない。看護師が決めていいことでもないし本人の意思はもう確認できない。

しかし交代制ではあるが24時間患者さんのお世話をする立場になると、ただ生きているだけで大変そうだなと思うことがたくさんあるから、正直早く楽に休ませてあげたいと思ってしまうこともある。

今でも、親と食事をする時、子供や夫と食事をする時、あの「胃ろう部屋」の患者さん達のことを思い出す。食事はずっと、生きている限り続くものだけど、あの現場にいなければそんな「食事」があるということも知らずに年を重ねていたかもしれない。

いつか終わりが来る家族との食事を、大切にしたいと思う。


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バナーデザイン:高橋さやか

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