• 2023年9月20日
  • 2023年9月19日

終末期患者のターミナルケアで、無力な自分に落ち込む…。どう向き合えばいい?

 

終末期患者の担当をしている看護師ですが、死生観について考えてしまう。助けられない自分に無力さも感じる……。このお悩みに対して人気ブロガーのDJあおいさん、ロリータモデル兼看護師の青木美沙子さん、産業医の井上智介さんらスペシャリスト3人がアドバイスします!

今回のお悩みに答えてくれるスペシャリストたち

終末期患者のターミナルケアで、無力な自分に落ち込む…。どう向き合えばいい?

相談者
ターミナルケア(終末期患者さんへの看護)をしているためか、死生観について深く考えてしまいます。

最期を受け入れている患者さんでも、いざその時が迫ると「死にたくない」と抵抗されることもあり、そのとき私は救いたくても救えなくて、とてもつらい気持ちになります。何もできない無力感に押しつぶされそうです。

最近では気持ちがうまく切り替えられなくて、なんだか鬱っぽくなってしまいました。

なんとかホスピスでがんばっていきたいので、どうかドバイスお願いします。

スペシャリスト3人のアドバイスは?

産業医
井上智介さん
「人はいつか必ず死ぬ」とはいえ、終末期の患者さんとなれば、寿命ではなく何かしらの疾患によって最期が近いので、ほとんどの人が歯がゆい思いをするでしょう。それを近くで一緒に感じるのはとてもしんどいですね。

ただ、医療に携わるということは、これからもずっと無力感との戦いでしょう。どのような場面でも、医療は万能ではなく、助けたいけど助けられないことはいくらでもあります。その無力感を抱えながら、自分の全力で患者さんと向き合うことができたら、自分に花丸をあげてください。

その一方で、人を救うのは医療行為だけでないことも忘れずに。患者さんの声に耳を傾ける、食事のときに傍で様子を見ている、笑顔で挨拶をする。それだけでも、患者さんの抱える孤独感の解消につながります。

たとえ相談者さんがネガティブな気持ちになっても、心のなかで患者さんのことを気にすること自体が、患者さんにもご家族にとっても救いになっているのです(by 井上智介さん)。

▶️職場の看護師と仕事の熱量やスタンスが違いすぎて合わない。どうすれば?


ロリータモデル・看護師
青木美沙子さん
私も訪問看護師として、在宅で看取りを希望する終末期の患者さんを受け持つことが多々あります。

終末期の患者さんと接していると感情が引っ張られてしまい、たしかに落ち込むこともあります。ただ、無力だと思う必要はないと思います。

治すことは出来なくても、苦痛が少なく穏やかな最期を迎えられるように看護をするのは立派な仕事でやりがいも感じられるはず

マイナスな部分に目が行きがちですが、看護師として素晴らしいケアをしていると誇りを持つことも大事かと思います。あまり考え込みすぎず、時には息抜きをして、これからもお仕事頑張ってください!(by青木美沙子さん)


人気ブロガー
DJあおいさん
どんな名医でも、どんなに最善を尽くしても、最後の最後に待ち構える“死”という病から救うことはできません。悲しいことに、人は必ず死んでしまうんですよね。

でも、死から人を救うことはできなくても、分かち合うことはできるじゃないですか。

死を受け入れる気持ちも、死にたくないという気持ちも、私たちは共感できる能力を持っている

それがどんな気持ちであろうと、分かち合うことができたのなら、その人が生きた意味はあるし、あなたが生きる意味もある。

無力だと感じることもまた、誰かと分かち合うことによって意味を見出すことができるのだと思います。自分ひとりで抱え込んで、自分ひとりで答えを出そうとしないことですよ。

幸せは独り占めしてもいいけど、つらいことや悲しいことは違う誰かとシェアしてください。答えは出なくても、分かち合うということ自体が、あなたにとってのストレス緩和ケアになると思いますよ(by DJあおいさん)。


三者三様のアドバイス、いかがでしたか? 患者さんの人生の最期のステージに立ち会うとき、その人を思って考えていること自体が救いになっているのかもしれません。相談者さんのお悩み解決の一助になれていれば幸いです。それではまた次のお悩みでお会いしましょう。

企画・構成/藤田佳奈美(TAC企画)

井上智介さん
産業医/精神科医/yahoo!ニュース公式コメンテーター
島根大学医学部を卒業後、現在は産業医・精神科医・健診医の3つの役割を中心に活動している。産業医としては、毎月30社以上を訪問。著書に『職場での「自己肯定感」がグーンと上がる大全』(大和出版)など。

青木美沙子さん
ロリータファッションモデル / 看護師 / 日本ロリータ協会会長
雑誌『KERA』『姉ageha』でロリータモデルをしつつ正看護師としても働く。2009年、外務省任命カワイイ大使として25カ国45都市以上の国を歴訪。2013年、日本ロリータ協会を設立。ロリータファッションBOOKの発売やプロデュース業も行うなど、精力的に活動している。

DJあおいさん
月間600万PV!の大人気ブロガー。独自の恋愛観と核心をついた鋭いアドバイスで、Twitter合計フォロワー35万人の人気を誇る謎の主婦。女性誌やサイトで連載多数。著書に『キャリアなどに興味はない。それなりに稼げて、ストレスフリーなら、それがいいのだ! 』(ワニブックス)、『女の人間関係はめんどうなのよ 人付き合いの処方箋』(KADOKAWA)、『結婚は「だから、好き」より「だけど、好き」。』(幻冬舎)など。

著者プロフィール